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追悼特別番組
巨人、逝く 小室直樹が残した足跡

清水美和氏(東京新聞論説主幹)
マル激トーク・オン・ディマンド
第495回(2010年10月09日)
追悼特別番組
巨人、逝く 小室直樹が残した足跡

ゲスト:橋爪大三郎氏(東京工業大学教授、社会学者)

プレビュー

 「近代とは何であるか」を問い続けた稀代の学者小室直樹氏が、先月4日、この世を去った。大学など研究機関に属さず、「在野」の研究者としてわれわれ一般市民に向けて語り続けた小室氏の功績は、余人をもってしても代えがたい。また、小室氏は、マル激の司会者宮台真司が最も大きな影響を受けた学者でもある。そこで今回マル激では、追悼特別番組として、小室氏のもとで学んだ社会学者の橋爪大三郎東京工業大学教授と宮台真司の両名とともに、小室氏の追悼特別番組をお送りする。

 橋爪、宮台の両氏が師と仰ぐ小室直樹氏とは、いったい何者だったのか。一般には、1980年に出版した『ソビエト帝国の崩壊』でソ連崩壊を10年以上も前から正確に予測したことや、ロッキード事件で世間の大バッシングを浴びた田中角栄元首相を一貫して擁護する論陣を張ったことが広く知られている。

 しかし、小室氏を語る上で特筆すべきことは、非常に多岐にわたる学問を修めていることだと、橋爪、宮台両氏は言う。京都大学で物理学と数学を学んだ後、大阪大学大学院で経済学を学び、フルブライト留学生として渡米して当時の第一線の研究者のもとで、計量経済学、心理学、社会学を学び、帰国後は東京大学大学院で法学博士号を取得している。これらすべての学識を集めて、分析を行った。

 小室氏をここまで学問へと突き動かしたものは、小室氏が12歳で迎えた敗戦があると、橋爪氏は話す。敗戦時、まだ若い小室氏が「世界がガラガラと崩れたような感覚」を覚え、その後、敗戦の屈辱を噛みしめながら、近代の基本原則を熟知する以外に欧米諸国に対する捲土重来を果たせる手段はないと考えたことが、小室氏をもっぱら学問の道へと向かわせたという。

 小室氏は一貫して田中角栄を訴追した特捜検察や裁判所を批判したが、そこには高級官僚たちが「主人であるはずの市民を甘く見ている」ことへの怒りがあったと橋爪氏は言う。汗水垂らして働き、日本を支えている市民に民主主義を理解させ、ツールとしてその使い方を伝えることが、小室氏の仕事だった。「社会の構造への怒りを、学問で解決」(宮台氏)しようとした人生だった。

 小室氏の軌跡を辿りながら、いま起きている検察事件を小室氏はどう見るかを、小室氏の薫陶を受けた橋爪、宮台両氏とともに議論した。


■故・小室直樹氏には、2005年4月24日に番組にご出演いただき、貴重なお話をお伺いしました。ここに謹んで深く哀悼の意を表し、ご冥福をお祈りします。


関連番組
マル激トーク・オン・ディマンド 第212回(2005年04月24日)
日本人にはまだ憲法は書けない
ゲスト:小室直樹氏(政治学者)

プレスクラブ (2010年10月07日)
小沢氏が離党・議員辞職を明確に否定


<ゲスト プロフィール>
橋爪 大三郎(はしづめ だいさぶろう)東京工業大学教授、社会学者
1948年神奈川県生まれ。72年東京大学文学部卒業。77年東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。執筆活動を経て、89年東京工業大学助教授、95年より現職。06年より同世界文明センター副センター長を兼務。著書に『冒険としての社会科学』、『はじめての言語ゲーム』など。

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小室直樹氏への評価

 むかし、ロッキード事件のとき 小室氏は一貫して田中角栄を訴追した特捜検察や裁判所を批判した。たしかに、田中角栄氏をかばう小室氏に、若すぎた私は奇異に感じた。
 むしろ田中角栄を叩く側であった立花隆氏に喝采していた。 しかし、今は評価が真逆になった。ああ、ぼくは小室先生に詫びなければならない。誤解していた。先生が心配していたことが当時の国民には分からなかったのだと思う。
 小室先生の熱情には、高級官僚たちが「主人であるはずの市民を甘く見ている」ことへの怒りがあった。
 そのことが、今、現実になった。「検察暴走」「検察崩壊」。「検察依存のスルーパス裁判所」・・・でたらめ偽造証拠、恫喝誘導調書、によって国民をだましてきたのである。権力に邪魔な人物は「検察ハンター」が狙い撃ちする。その邪悪なものが明らかになって、正義の旗印が色あせるどころか「ニセの正義」だった。小室先生は、そのことを真剣に捉え、今日の悲劇を的中させました。
 小室直樹氏こそ知の巨人である。小室先生の本を読みたくなった。歴史は皮肉だ。庶民は後で、その偉大さに気付く。

小室直樹先生が独特の節回しで、わかりやすく、日本の先行きを心配されていた事を今でも

覚えております。日曜日に先生が出るのを楽しみにしておりました。

御冥福をお祈りいたしております。

                                合掌

小室直樹氏の宗教原論に取り掛かった矢先に、氏の訃報に接しWikipediaを参照して驚いた。
氏は元々湯川秀樹博士のノーベル賞受賞に触発され物理学を目指したが時期的に博士の薫陶得られず、悶々とする中、市村真一氏に出会い経済学の世界に入っていったと記録されているではないか。
恐らく小室氏とは幾度となく尊顔を拝していた筈で当時あの学窓にこのような才気溢れる人物が居たとは極めて感慨深いものがある。
経済学の世界に飽き足らず持てる才能のはけ口に悶々としておられた苦悩の様子が見て取れる。
氏にいま少しの根気と忍耐があれば物理学の世界で大きな業績と名を残して居られただろうにと惜しまれてならない。

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1961年東京生まれ。
15歳で渡米。コロンビア大学ジャーナリズム大学院修士課程修了。
クリスチャン・サイエンス・モニター記者、AP通信記者を経て独立。
ビデオジャーナリストの草分けとして、日米の放送局に映像リポートやドキュメンタリーを多数提供。
2000年1月、世界初のニュース専門インターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』を立ち上げ代表に就任。
2001年4月より『ビデオニュース・ドットコム』で宮台真司氏と人気ニュース番組「マル激トーク・オン・ディマンド」のキャスターを務め、現在にいたる。
2005年4月より立命館大学産業社会学部教授を兼務。
2008年4月より、早稲田大学ジャーナリズム大学 院非常勤講師を兼務。
専門は地球環境問題、開発経済、メディア倫理、日米政治関係。

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