Calendar

2010年10月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            

« <尖閣沖中国漁船衝突事件>腰砕け日本と強硬路線中国の国内事情興梠一郎神田外語大学教授に聞く
メイン
<尖閣沖中国漁船衝突事件>国際法上は尖閣の領有権に疑問の余地はない横田洋三中央大学法科大学院教授に聞く »

<尖閣沖中国漁船衝突事件>
政府の判断ミスで日本が失ったものは大きい
孫崎享元外務省国際情報局長に聞く

孫崎享元外務省国際情報局長
インタビューズ
(2010年09月30日)
<尖閣沖中国漁船衝突事件>
政府の判断ミスで日本が失ったものは大きい
孫崎享元外務省国際情報局長に聞く

無料放送中

 現在、国会で中国漁船衝突事件をめぐる集中審議が行われている。中国人船長を釈放した際の政府の政治介入の有無が主要な争点になっているようだが、元外務省国際情報局長の孫崎享氏は、そもそも今回船長を逮捕・勾留したことが、政府の重大な判断ミスだったとの考え方を示す。

 1972年の日中国交回復以来、日中両国政府は両者の言い分が食い違う尖閣諸島の領有権問題は「棚上げ」にすることを申し合わせてきたという。これは尖閣を実効支配する日本にとって、支配が継続することを意味する有利な取り決めであり、事実上、中国が日本の実効支配を認める取り決めだった。その「棚上げ」合意に基づき、日本は尖閣を自国の領土と主張しつつも、周辺海域で国内法を適用することはしなかったし、同じく中国側も表向きは領有権を主張しつつも、政府として目立った行動は取ってこなかった。そのような微妙なバランスの上に実質的には日本が実効支配したまま、両国ともにこれを大きな外交問題としない範囲で慎重に扱ってきたのが、これまでの尖閣問題だったと孫崎氏は説明する。

 しかし、今回中国の船が海保の巡視艇に衝突したという事故があったにせよ、尖閣周辺の海域で国内法を適用し船長を逮捕・勾留するという、明らかにこれまでよりも踏み込んだ対応を日本政府がとったことで、両国が尖閣諸島の領有権を声高に主張してぶつかり合う事態を招いてしまった。そもそも中国国内や軍は、「棚上げ」には反対をしており、船長の逮捕によって、日本政府がそれに火をつけてしまった。これは、せっかく日本に有利な形で「棚上げ」されていた尖閣問題を、このような形で再燃させることで、かえって日本に不利な状況が生まれる可能性が出てきてしまったことを意味するという。

 しかも、一旦は勾留を延長して、船長を裁判にかける意思を明確にしておきながら、中国側から数々の報復を受けたとたんに釈放という腰砕けな結果に終わったことにより、国際的にはこれまで均衡していると見られていた日中のパワーバランスが、今や明らかに中国が優位に立っているとの認識が、国際的に広がってしまったというおまけまでついたと孫崎氏は言う。

 アメリカは尖閣諸島が「係争地」であることを認めているが、今回の船長の逮捕劇では、中国脅威論で日本やASEAN諸国と連携していきたいと考えているアメリカにとっては、得るものが多い出来事だった。また、日本国内で中国脅威論が高まることで、鳩山政権下でこじれた在日米軍の基地問題も進展する可能性が高いと孫崎氏は指摘する。

 その意味で、日本政府の対応は、鳩山政権でこじれた日米関係の修復を図ることに寄与したとも言えるが、日中関係や国際的な評価において日本が得たものは非常に少ないというのが孫崎氏の見立てだ。

 外交情報分析の専門家である孫崎氏に、中国漁船衝突事件の見方を神保哲生が聞いた。

<プロフィール>
孫崎 享(まごさき うける)元外務省国際情報局長
1943年旧満州国生まれ。66年東京大学法学部中退、外務省入省。英国、ソ連、米国、イラク、カナダ勤務を経て、ウズベキスタン大使、国際情報局長、イラン大使などを歴任。02年防衛大学校教授に就任、09年3月退官。著書に 『日米同盟の正体 迷走する安全保障』、『情報と外交』など。

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.the-journal.jp/mt/mt-tb.cgi/7390

コメント (6)

■コメント投稿について編集部からのお願い

《THE JOURNAL》では、今後もこのコミュニティーを維持・発展させていくため、コメント投稿にルールを設けています。投稿される方は、投稿前に下記のリンクの内容をご確認ください。

http://www.the-journal.jp/contents/info/2009/07/post_31.html

ご理解・ご協力のほどよろしくお願いいたします。

わが国有利な状態での棚上げ、などと言う詭弁にもにた言い方はいかにも官僚らしい。
実効支配などと言ったところで、漁船の操業を黙認しているのでは、有効な支配とは言えまい。
当面棚上げにしているからといって、埋蔵資源等の実利が絡めば、当然火を噴くことになる。云わば、双方にとって無意味な領土であるうちはお互い何も言わない、と申し合わせただけなので、今回、埋蔵資源に絡んで居丈高になるのは当然予想されたハズである。
こうなるまでに、実効支配なるものを少しづつ積み上げる努力がなされてきたか、外交当局は猛省しなければならない。
ここまで火種があきらかになった以上、自衛隊の常駐化(短期間に隠密裏に)を実施するぐらいのことは考えておかねばならない。
繰り返すが、この種の問題に棚上げなどと言う紳士協定は糞の意味もない。

世に倦む日々様の指摘通り産経FNN世論調査で内閣支持率が驚くべき高い数字がだされてきた。
これで菅内閣は選挙では勝てる、正当化されたとみて、検察丸投げ論で逃げ切りを図るものとみる。
中国悪質論と国益で、孫埼氏の言う慎重論は封じ込められ、強硬論を主張した前原氏も知らぬ顔を決め込み、マスコミは全く問題にしないお粗末さである。前原は巧妙かつ狡猾である。
もうこの内閣では日中関係は元へは戻せまい。そうなると問題は景気である。東京・大阪の百貨店は中国観光客に支えられていたので大打撃である。民主党は雀の涙の補正以外に景気・円高対策を取れるかどうかである。
補正予算は公明党抱きかかえで成立する可能性が高く、今の自民党は参院で単独過半数でもなく、もともと安倍をバックに仙石・前原との連立狙いで党幹部石原・小池を決定しているので、公明党次第で腰砕けが起こると予測されている。
孫埼氏の発言は日本が独立国であれば正論であるが、政官マスコミ一体で米従属外交を展開している現在、マスコミでは少数意見にしか過ぎない。
日中関係の長期冷え込みと自衛隊の強化、日中の衝突という事態に
まで進まなければよいと懸念している。
細野訪中は小沢外交の手の内で中国への警告を発したのではないか、日中争えば米が尖閣列島の海底資源に手を伸ばすと。
だいたい各社違いがなく世論調査の数字を出すので、菅内閣は臨時国会について乗り切るものとみる。後は北海道補選次第となった。ここで民主党が勝てば長期政権の芽も出てくる。後は円高・景気次第である。
次の政局は小沢がどう動くかが焦点となり、内閣・マスコミあげて小沢つぶしに動くだろう。

~那覇地検に飛んだ中国課長垂秀夫の疑惑 - 高坂ゼミ出の工作員~

(末尾)
委員会質疑で詰めて政府答弁が破綻すれば、①那覇地検次席検事の鈴木亨か、②最高検首脳(検事総長の大林宏と最高検次長の伊藤鉄男)か、③外務省中国課長の垂秀夫か、④官房長官の仙谷由人か、四者のうちの誰かが責任を取らなくてはいけなくなる。おそらく、②が選ばれるだろう。前田恒彦のFD改竄問題を合わせて、最高検首脳が引責辞任のシナリオではないか。釈放判断を検察の責任に押しつけ、越権行為の外交をさせ、政府は知らぬ存ぜぬで通すことに決めたのは、その「構図」を描いた張本人は仙谷由人で、大林宏の辞任決着が折り込まれている。無論、世論がそれを許すかどうかは別問題だが、官房機密費を撒いてマスコミを握る仙谷由人は、その点は十分な自信があったのだろう。垂秀夫の人物について検索していたら、またしても驚愕の事実に突き当たった。大林宏が、嘗て伊藤律を取り調べた「特高刑事」であり、若くして中国で諜報活動をした「特務機関」の工作員だった問題は、昨年のブログの記事の中で書いた。漆間巌と同じスパイ経歴。この記事はその後も途切れなくヒットされ続け、最近の記事の中では最も照会頻度の多い一つになっている。ところが、またしても同じ類の恐るべき情報がネット上にあり、何と、今回の事件で立ち回った垂秀夫が、5年前に中国の裁判所から「日本のスパイ要員」と断定される事件を起こしていた。具体的には、北京市内のマッサージ業者が中国共産党の指導者用電話帳を入手、この業者は当局に逮捕され無期懲役となるが、コピーを大使館書記官を通じて本省の垂秀夫に手渡していたのである。そして、何と、垂秀夫は前原誠司と同じ京大の高坂正尭ゼミ出身。

今回の中国漁船事件は、前原誠司と垂秀夫の先輩後輩コンビが、菅政権のクーデターを機に示し合わせて企画した可能性が強い。中国側が異例の強硬姿勢に出た理由も頷ける。垂秀夫は代えないといけないだろう。

孫崎さんのおっしゃっていることを国民のほとんどが知らないことは大変恐ろしいことです。

今回、政府が中国人船長を釈放したことはよかった。間違いに気づいたのかどうか知りませんが、引き返せるうちに舵をきったことは高く評価できるでしょう。
また、検察の判断としたこともよいです。両国の面子や振り上げた拳を下ろすためにもそれがよいというが私の意見です。
建前として、法でやったのだから、法で終わりにするのがよいでしょう。

今回の尖閣の件で、私が学んだことは、【棚上げする】ことの大切さを知ったことです。
この慣例を守ることが大切であり、これにできるだけ触れず、日中の互恵関係を強めていくことが大切でしょう。それはきっと中国も望んでいることでしょう。両国にとって得なのが事実でしょう。

与野党の一部の議員から、尖閣に自衛隊配備せよ、などという勇ましい主張がありますが、本気で言っているとしたら、狂気です。たいへんあぶない考えです。
軍事衝突が起きる可能性が大であるにもかかわらず。
国民が生活に痛み、苦しんでいるときに、人はこのような勇ましい煽りに乗ってしまう危険が大きいことのですから、殊更に注意が必要でしょう。

今後は、また何かあった場合は【棚上げする】慣例に従うべきです。国外退去とすべきです。

われわれ国民はこの件については、道徳的な筋ではなく、この国政政治の徹底的に厳しい現実を知って、変なナショナリズムに乗せられないように注意すべきでしょう。

アメリカはこれをよい機会と判断し、思いやり予算の確保、あるいは、増額を求めてくるに違いありません。
国内でも、中国脅威論を煽り、防衛費を増額せよとの声が大きくなるに違いありません。
われわれはその煽りに乗せられないように注意が必要なのでしょう。

 暗黙の合意?、棚上げ論?、何だそれは?と言わんばかりに中国が「牙を剝いて」尖閣に襲いかかったのが問題で、今回の騒動に関しては慣例を破って尖閣海域で狼藉を働いた中国こそが非難されるべき。
今までに漁船?を日本の巡視艇に衝突させるというような危険な手法を採ったことはなかったはずで、中国の鼻息の荒さを感じずにはいられません。
 日本国政府はなんとも残念な対応に終始してしまいました。 徹頭徹尾、あくまで法治国家として「粛々として」法務手続きをこなせば良かっただけなのに・・・。 
 将来に禍根を残す対応をし、中国に付け入る隙を与えてしまったのはいかにもまずかった。
同じような騒ぎを中国が企てた場合は菅 政権はどう対応するのか?、不安の極みであります。

コメントを投稿

(いままで、ここでコメントしたことがないときは、コメントを表示する前にこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまではコメントは表示されません。そのときはしばらく待ってください。)

※[投稿]ボタンをクリックしてから投稿が完了するまで数十秒かかる場合がございますので、2度押しせずに画面が切り替わるまでお待ちください。

Profile

神保哲生(じんぼう・てつお)

-----<経歴>-----

1961年東京生まれ。
15歳で渡米。コロンビア大学ジャーナリズム大学院修士課程修了。
クリスチャン・サイエンス・モニター記者、AP通信記者を経て独立。
ビデオジャーナリストの草分けとして、日米の放送局に映像リポートやドキュメンタリーを多数提供。
2000年1月、世界初のニュース専門インターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』を立ち上げ代表に就任。
2001年4月より『ビデオニュース・ドットコム』で宮台真司氏と人気ニュース番組「マル激トーク・オン・ディマンド」のキャスターを務め、現在にいたる。
2005年4月より立命館大学産業社会学部教授を兼務。
2008年4月より、早稲田大学ジャーナリズム大学 院非常勤講師を兼務。
専門は地球環境問題、開発経済、メディア倫理、日米政治関係。

BookMarks

ビデオニュース・ドットコム(有料会員登録制)
http://www.videonews.com/

ビデオジャーナリスト神保哲生のブログ
http://www.jimbo.tv/

マル激!メールマガジン
↓ ↓ ↓


-----<著書>-----

新刊!
↓ ↓ ↓

『格差社会という不幸』
2009年12月、春秋社、共著


『民主党が約束する99の政策で日本はどう変わるか?』
2009年7月、ダイヤモンド社


『オルタナティブ・メディア―変革のための市民メディア入門』
2008年12月、大月書店、翻訳・解説


『教育をめぐる虚構と真実』
2008年10月、春秋社、共著


『ツバル―地球温暖化に沈む国』
2007年7月、春秋社、増補版


『ビデオジャーナリズム―カメラを持って世界に飛び出そう』
2006年7月、明石書店


『中国―隣りの大国とのつきあいかた』
2007年6月、春秋社、共著


『アメリカン・ディストピア―21世紀の戦争とジャーナリズム』
2003年9月、春秋社、共著


『天皇と日本のナショナリズム』
2006年11月、春秋社、共著


『ネット社会の未来像』
2006年1月、春秋社、共著

『粉飾戦争―ブッシュ政権と幻の大量破壊兵器』
2004年3月、インフォバーン、監訳

『プロパガンダ株式会社―アメリカ文化の広告代理店』
2004年8月、明石書店、解説

『漂流するメディア政治―情報利権と新世紀の世界秩序』
2002年10月、春秋社、共著

『地雷リポート』
1997年11月、築地書館

『ビデオジャーナリストの挑戦』
1995年11月、ほんの木

『重要政策全比較―シリウス・日本新党・平成維新の会』
1993年7月、ほんの木

→ブック・こもんず←



当サイトに掲載されている写真・文章・画像の無断使用及び転載を禁じます。
Copyright (C) 2008 THE JOURNAL All Rights Reserved.