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アフガニスタンで捕まって

常岡浩介氏(ジャーナリスト)
マル激トーク・オン・ディマンド
第491回(2010年09月11日)
アフガニスタンで捕まって
ゲスト:常岡浩介氏(ジャーナリスト)

プレビュー

 今春アフガニスタン北部のクンドゥズ州で取材中に武装勢力に誘拐され、5か月間の拘束の後9月4日に解放されたジャーナリストの常岡浩介氏が6日、無事帰国した。

 拘束中の生活について常岡氏は、彼を誘拐した武装勢力ヒズビ・イスラミの支配地域の民家に留め置かれ、粗食ながら毎日三度の食事は与えられ、手荒な扱いを受けることもなかったと語る。

 当初、タリバンに拘束されているとの報道もあったが、常岡氏は今回彼を拘束した勢力が、武装勢力ヒズビ・イスラミの一派であることはまちがいないという。それは、拘束当初、彼ら自身がヒズビ・イスラミであることを全く隠そうとはしなかったからだ。しかし、4月18日に日本大使館と電話で話した際、常岡氏は武装勢力側から「自分はタリバンに拘束されていると言え」と命じられたという。常岡氏はその際、日本語で自分を拘束しているのがタリバンではないことは伝えたというが、それ以来、兵士たちは自分達はタリバンだと主張するようになったと言う。

 常岡氏の見立てでは、今回の事件は、ヒズビ・イスラミの一勢力が、タリバンを名乗ることで日本政府から身代金を獲得する魂胆だったが、それがうまくいかなかったために、自分は釈放されたのだろうということだ。

 常岡氏はまた、氏の誘拐事件を首謀したラティーフ司令官はカルザイ大統領の側近の一人であるワヒドゥッラー・サバーウーン氏と昵懇の関係にあることを指摘した上で、自らの身分を偽って外国人を誘拐し、身代金をせしめようとするこの事件を、カルザイ政権の腐敗の象徴的な意味を持つものと指摘する。

 常岡氏によると、アメリカを後ろ盾とするカルザイ政権は、汚職の蔓延や治安維持の失敗などで統治能力を喪失しており、既にアフガニスタン全域の8~9割はタリバンの支配下にあるという。首都のカブールでさえ、大統領府や中心部は辛うじてカルザイ軍が掌握しているが、数十キロはずれると、そこは既にタリバンの支配地域になっているという。

 実際に常岡氏自身も、拘束中いくつかの民家を転々をする中で、ヒズビ・イスラミの支配地域の住民の大半が、実際はタリバンを支持していることに驚いたという。その地域ではヒズビ・イスラミとタリバンは戦闘状態にあったからだ。

 アフガニスタンの人々がタリバンを支持する最大の理由は、カルザイ政権が侵略者であるアメリカ軍と協力していることにあると常岡氏は言う。そして、タリバンこそが唯一、異教徒の侵略者であるアメリカ軍を撃退する力を持っていると思われていることが、アフガニスタンの人々の広範なタリバン支持の根底にあるというのだ。

 無事生還したとはいえ、5ヶ月間も生死の境をさまようような経験をした常岡氏ではあるが、彼を拘束したヒズビ・イスラミもかなりいい加減な計画に基づいて誘拐を実行していたようだ。当初は身分を明かしておきながら、途中から急に自分達はタリバンだなどと言い出すあたりもやや滑稽だが、6月14日、「72時間以内に身代金を払わなければ殺害する」との最後通告を日本大使館に伝える電話の相手は、実際には日本大使館員ではなく毎日新聞の記者だった。要するに、最後通牒を伝える電話が、間違い電話になっていたということのようだ。

 武装勢力側のドタバタぶりが最も顕著に表れたのが、常岡氏がまだ拘束中の9月3日に、ツイッターで「i am still allive, but in jail.here is archi in kunduz. in the jail of commander lativ.」と英語でつぶやいた「事件」だった。日本では、拘束されているはずの常岡氏がつぶやけるはずもないので、その真贋が論争になったりしたが、実際は常岡氏を監視している兵士が新型の携帯電話を入手したので、その兵士にツイッターの使い方を教えてあげるふりをして、常岡氏がツイートしたものだったという。ヒズビ・イスラミの兵士たちは、英語は「ABCも読めない」(常岡氏)し、そもそもツイッターが何であるかも理解していなかったので、人質の常岡氏が監視役の目の前で、世界に向けて重要な情報を発信していることが全くわからなかったそうだ。

 アフガン情勢について常岡氏は、明らかにアフガン全土で人心を掌握しているタリバンが、アフガニスタンを支配することになるのは時間の問題であり、アメリカはタリバンには勝てないだろうという。

 00年にイスラム教に改宗、5度目となるアフガン取材中拘束にあった常岡氏に、拘束生活とアフガニスタンの現状を聞いた。

今週のニュース・コメンタリー
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<ゲスト プロフィール>
常岡 浩介(つねおか こうすけ)ジャーナリスト
1969年長崎県生まれ。94年早稲田大学人間科学部卒業。同年NBC(長崎放送)入社、報道部記者を経て98年よりフリーに。アフガニスタン、エチオピア、チェチェンなど紛争地を取材。著書に『ロシア 語られない戦争 チェチェンゲリラ従軍記』。00年イスラム教に改宗。

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不思議と無関心なのな、
戦争とか紛争、この様な事態、ネットのおかげで小さい画面で対岸の火事だけども動画でも一杯見てきた。
日本の将来でも、もし他民族他宗教多言語の共生社会と地方分権や社会主義染みた様相を呈した場合、旧ユーゴの様に成りうる可能性が否定できないはずだし、もっと関心を持つべきだと思った。
なによりも無事に生還できたのは幸いだったと思う。
それと万が一身代金が渡っていたと仮定すれば、今後アジア系の容姿を晒して入るのは何処の国の人でも、にのまいを喰らわないように政府が注意喚起するべきだな。

常岡さんが無事に戻ってこられて本当によかったですね!

私はツイッターで、本当に偶然、タイムラインに常岡さんのアイコンが目に入り、英語で生きているとの呟きを見つけ、驚くとともに、すぐさまリツイートしました。あっというまに、リツイートが増えていきました。これには本当に驚きました。

なぜ、英語なのか?という疑問がありましたが、常岡さんからのその事情のお話を聴く事ができて、なるほど、と思いました。
神保さん、宮台さんもおっしゃっていたように、まるで映画に出てくるお話のようで、たいへん驚きました。

カルザイ政権、アメリカ、タリバン、ヒズビ・イスラミの関係について勉強になりました。また、その関係もなかなか複雑なものがあることを知りました。

アフガンの警察の腐敗についてはやはり、そうであったのかと思ってしまいました。日本が出す金がそこに流れてしまうとしたら、大問題です。

また、カルザイ政権よりタリバンの方が人々の支持が受けている現実に対し、われわれ日本の支援のありかたはどうなるのか気になります。国会でしっかりと議論してもらいたいです。

ダリバンの幹部は日本が給油をやめたことも知っているというお話がありました。やはり、給油をやめたことは大正解ですね。防衛省政務三役の誰かさんは給油再開すべきなどという寝言を言っていましたが。そのような彼はだいじょうぶではなさそうです。

タリバンの日本への評価がきわめて高いこと、信頼性があることを活かした、日本独自のアフガン和平への貢献を日本政府は模索すべきなのでしょう。

常岡さんのお話を聴く事ができて、本当に勉強になりました。

何より、無事でお帰りになって、本当によかったです。

NO2の野郎だが、そうだな、その通りだと思う。
5年で4500億円~プラス元タリバン兵更生プログラムで追加が報道された。ある報道では、Englandが200億円、Japanが2千億円、一方では1000億円と言う。中をとっても1500億円プラスで日本からの税金投入は計6000億円となる。日本の1万円は果たして何倍の価値に成るんだろうか?そうゆうところも一考で頼みたい。
それにアメリカ軍のトラックでさえ通行料金1台800ドルと以前聞いた。汚職やカスリも偉い人が抜いて行くらしい。そうして何よりも日本が大盤振る舞いをしたと思われるので、お金持ちなのな?と、東洋系の一般人やジャーナリストの方々が身代金目的で誘拐されないことを願う。もちろん世界中の人がこのような目に遭わないように・・・それと、知識が無いんだが、いわゆる音楽とか彼女的な事が許されないのだろうか?
そうして、希望が無いのだとしたらこのまま永久に子供から、ねんぱいまでずっと銃を抱いて寝て、自爆テロとかが続くのではないだろうか?せめて音楽とか許可されたらそれだけで違った世界観になるのではなかろうか?平和も来る日がくるのではないだろうか?でも現地でこのようなことを言うこともたぶん許されないんだろうけどな、厳しすぎる気がするんだが・・・

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Profile

神保哲生(じんぼう・てつお)

-----<経歴>-----

1961年東京生まれ。
15歳で渡米。コロンビア大学ジャーナリズム大学院修士課程修了。
クリスチャン・サイエンス・モニター記者、AP通信記者を経て独立。
ビデオジャーナリストの草分けとして、日米の放送局に映像リポートやドキュメンタリーを多数提供。
2000年1月、世界初のニュース専門インターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』を立ち上げ代表に就任。
2001年4月より『ビデオニュース・ドットコム』で宮台真司氏と人気ニュース番組「マル激トーク・オン・ディマンド」のキャスターを務め、現在にいたる。
2005年4月より立命館大学産業社会学部教授を兼務。
2008年4月より、早稲田大学ジャーナリズム大学 院非常勤講師を兼務。
専門は地球環境問題、開発経済、メディア倫理、日米政治関係。

BookMarks

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ビデオジャーナリスト神保哲生のブログ
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『格差社会という不幸』
2009年12月、春秋社、共著


『民主党が約束する99の政策で日本はどう変わるか?』
2009年7月、ダイヤモンド社


『オルタナティブ・メディア―変革のための市民メディア入門』
2008年12月、大月書店、翻訳・解説


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2008年10月、春秋社、共著


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2007年7月、春秋社、増補版


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2007年6月、春秋社、共著


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2006年1月、春秋社、共著

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2002年10月、春秋社、共著

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