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INSIDER No.537《HATOYAMA》さあ、鳩山政権、ここが正念場(その1)──参院選勝利と小沢「辞任」問題

 政権交代から半年を迎えた鳩山内閣の支持率は、15日付毎日新聞の調査で43%、2月の前回調査から6ポイント下落する一方、不支持率は8ポイント増の45%、同社調査としては初めて支持と不支持が逆転した。また16日付朝日の調査では支持率は2月から5ポイント減の32%と、不支持率は1ポイント増の47%に達した。政権発足当初の支持率はそれぞれ77%、71%だった。

 両紙とも、支持率下落の最大要因は「政治とカネ」の問題にあると捉えていて、毎日では、「政治とカネの問題を参院選投票の判断材料にする」と答えた人が63%、「小沢幹事長は辞任すべきだ」と言う人が前回より7ポイント増の76%に達した。また朝日では、「政治とカネの問題を重視する」が56%、「小沢辞めろ」は前回より10ポイント増の74%だった。

●正面突破しなかった小沢

 もちろんこのような数字は、マスコミが自作自演とも言うべき手法で生み出したもので、驚くほどのことではない。検察当局が昨年2月以来、憎悪にも近い異様な執念を燃やして小沢潰し・民主党潰しに乗り出し、マスコミがそれに無批判に追随するどころか悪乗りまでして「小沢=巨悪」キャンペーンを1年以上も毎日のように浴びせかけ、あたかもその問題がこの国にとって最大の懸案であるかの架空情報空間を作り上げておいて、おまけにそのような自分らの報道姿勢が「正しかった」ことを裏付けたいがために誘導尋問的な仕掛けを巧妙に潜ませた質問の仕方で「ほら、やっぱり小沢辞任を求める人はこんなに多いじゃないか」という世論調査結果を導き出すのだから、こういうことにならない訳がない。

 本論説の立場は一貫していて、昨年の大久保事件も今年の石川事件も、検察=マスコミ連合軍による不当極まりない人権蹂躙・政治介入の悪辣な試みであって、少なくともこれら2つの事件に関して小沢が屈服しなければならない理由は、論理的にも法律的にも、何もないのだから、昨年の場合は代表を辞める必要はなかったし、今年の場合も幹事長を辞める必要はない、というものである。しかしそこでたちまち矛盾が生じるのは、選挙というものは、大筋のところ新聞やテレビの討論番組やワイドショーによって形成される情動的な大衆感情をいかに引きつけるかを争うのであって、論理的・法律的に正しいからと言って勝てるはずのものではない。

 この矛盾を打開する道筋は、正面突破策か大衆迎合策の2つのうちどちらかである。

 第1は正面突破作戦で、(1)小沢が両事件の真相について誰もが納得するよう説明し、(2)まずは党内を「小沢擁護」で結束させ、(3)また党・官邸とも特別の広報体制をとって硬軟両様の綿密なマスコミ対策を講じて検察=マスコミ連合軍を切り崩し、(4)大衆感情レベルで政権発足当時の小沢及び民主党への求心力を回復することである。

 これには何よりもまず、(1)小沢が説明責任を果たすことが前提となる。「説明責任」などという言葉を使うと小沢熱烈信者からは怒られそうだが、私が言うのは、自民党が言う国会証人喚問、あるいは渡部恒三=元衆院副議長や又市征治=社民党副党首が言う「せめて政治倫理審査会に出て事態収拾を図るべきだ」といった半ば罪人扱いの屈辱に甘んじよということではない。完全オープンの記者会見を開いて自ら国民に向かって正々堂々、自らの潔白を疑問の余地なく主張すると同時に、特に(2)党内、とりわけ経験の浅い参院選候補者たちに対しては、彼らが支持者に胸を張って「うちの幹事長は正しい。間違っているのは検察とマスコミだ」と演説し、マスコミに毒された人びとが素朴な疑問をぶつけてきてもいくらでも反論し説得できるように、十分すぎるほどの資料と想定問答集を与えて懇切丁寧に指導すべきだった、ということである。

 ところが小沢は2月14日、検察の不起訴処分を受けての会見で、「検察の捜査に勝るものはない。捜査で全て調べて頂いて不正をしていないことが明らかになった」と言い放って、それっきりダンマリを決め込んだ。もちろんその言い方は、この1年来の検察=マスコミ連合軍のバカ騒ぎへの痛烈な皮肉であり、そう言いたい気持も分からないではないが、郷原信郎弁護士が指摘するとおり、「ならば大久保、石川らの起訴は公正だったと言うのか」という問い返しに答えることができず、従って民主党全体を検察の暴虐に立ち向かわせるよう導くことはできなくなる。つまり、問題を「検察vs小沢個人」の図式に封じ込めてしまった。これでは、選挙を控えて切羽詰まっている候補者たちに不安と動揺が広がるのは避けられない。

 (3)の広報体制について言えば、米国で言う「スピン・ドクター」すなわちメディア担当補佐官の不在が致命的である。米国に限らず先進国はどこでも、韓国でさえも、政権中枢にはトップ直結でそういう役割を担う練達の士が必ずいて、毎日克明に自政権のネットも含めたメディアへの露出の仕方を徹底的に分析し、機敏に対策を講じていく。「このキャスターの発言は偏見に満ちているので私が直接電話をしてクギを刺す」「この論説委員はなかなかいいので今週中に私とのランチをセットしろ」「このネットサイトはレベルが高い意見が集中しているので重視してウォッチしろ」「この数日、新聞の論調が変わってきたから、来週の大統領スピーチの原稿はこの言葉遣いに変えろ」という具合に、毎日10件も20件も指示を出して不断にメディアに働き掛けていく。が、暗愚の平野博文官房長官の下、鳩山政権にはこの機能が絶無だし、党側にもない。記者クラブの開放も大事だが、それ以前にこの機能がなければお話にならない。

 旧ソ連時代の在米ソ連大使館には有名なメディア担当がいて、テレビ・ラジオ・新聞の報道ぶりをすべて監視して、問題があればすぐに抗議し訂正を求めるということをやっていた。例えば人気のトーク・ショーで一方的なソ連非難が展開されると、その場で電話で抗議し、翌週の同じ番組に自ら出演して、人の良さそうなニコニコ顔ながら舌鋒鋭く反論して、米視聴者にも結構人気があったりした。近年の日本では小泉政権の飯島勲秘書官がまさにスピン・ドクター役で、彼は自ら表立つことはなかったが、メディア動向を克明に捉えながら、雑誌協会加盟の編集者やテレビのワイドショーのディレクターなどと巧く付き合いながら大手メディアの記者クラブを牽制するといった手法で政権を長続きさせた。

 本来ならこういう手立てを講じて検察=マスコミ連合軍に正面から立ち向かわなければならなかったが、小沢は、昨年の場合と同様、今年の場合もそうしなかった。

●「5月の悲劇」の再現か?

 昨年の場合は、そうしなかったことによって結局は代表辞任に追い込まれたのだったが、その教訓を小沢自身はどう考えてきたのだろうか。彼個人としては強気の姿勢を貫きながらも党を挙げての正面突破策を採ることはせず、結局は辞任せざるを得なかったというのは、「そうは言ってもやっぱり小沢は怪しいよね」という大衆感情を克服することに失敗して、むしろそれと妥協することによって選挙での勝利を確実にしたということである。今回は正面突破策を採らなくても辞任に追い込まれることはないという判断なのか、それともまたも辞任することになってもそれはそれで仕方のないことで、要は選挙に勝てばいいんだろうという考えなのか、そこは外からは窺い知ることができない。

 しかし、そうこうするうちにも小沢は外堀から順に埋められて次第に辛い立場に追い込まれつつある。

▼新聞・テレビの「政治とカネ」報道はやや下火になった感があり、新聞には「検察と報道」をめぐる反省的な特集なども出始めているものの、雑誌はそうは行かず、『文芸春秋』4月号の松田賢弥「小沢一郎『57億円略奪』の黒い霧」、『新潮45』別冊の1冊丸ごと櫻井よしこ編集長『小沢一郎研究』所収の君島文隆「小沢一族の深き闇」や岡本純一「特捜検察が迫った『小沢金脈』の全貌」など、小沢がいかに怪しいかを印象づけることだけを狙ったとしか思えない"疑惑"報道が際限もなく広がり、それが有権者のみならず党員・候補者の不安を誘っている。最初の段階で2事件に限ってピシッと終止符を打っておけばこれほど酷いことにはならなかったろう。

▼小沢が地方に行って参院候補者の決起集会に出ると、小沢が壇上に上ったとたんに聴衆の半分からは「オザワ!オザワ!」のコールが起こるが、もう半分からは「黙れ!」「止めろ!」と罵声が湧いて、何とも気まずい雰囲気の中、胸に造花をつけて最上席に座った小沢は目を閉じてそれに耐えているという。それを目撃したある民主党有力幹部は「小沢がかわいそうで見ていられない」と言った。

▼60議席確保には3〜5人区で2人の候補者を立てることが鍵となっているが、例えば2人区は12区のうち5区でまだ候補者を決められず、小沢が乗り込んで県連幹部を叱咤しても「この支持率の低下ぶりでは、2人立てたら共倒れですよ」と、"お前が辞めないから2人立てられないんだ"と言わんばかりの態度にぶつかってしまう。

▼冒頭の各社調査の裏側で弾き出されている非公式予測では、今のまま参院選が行われた場合、民主党は単独過半数確保に必要な60議席などとうてい届かず、50議席そこそこに終わると見られており、その見方はもちろん小沢にも伝わっている。50そこそこでも連立を維持すれば現状通り辛うじて過半数を制することは可能かもしれないが、60を目指して50では「敗北」だし、しかも後1つ2つでも取りこぼせば恐怖の衆参ネジレが再現して政権の行方に赤信号が点滅するという、すでに瀬戸際の情勢である......。

 何より参院選の現場で苦悩が深まっており、それを反映して、七奉行に止まらず政策調査会の復活を求める中堅・若手グループや小沢に近い有力幹部の間でさえも、昨年5月の「小沢の悲劇」の再現は避けられないか?という議論が広がりつつある。今更、正面突破策に立ち戻れる訳もない小沢は、この5月危機をどう乗り切るだろうか。▲

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