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INSIDER No.532《HATOYAMA》"鼠一匹"も出ない?小沢事情聴取──追い詰められているのは検察である

 東京地検特捜部が目指しているのは、政治家=小沢一郎の抹殺すなわち議員辞職であり、それは無理だった場合でも、せめて幹事長辞職に追い詰めてその影響力を決定的に削ぐことである。

 すでに逮捕されている3人の元秘書に対する容疑は、政治資金報告書の「不記載」(規正法第25条1項2号)や「虚偽記入」(同3号)など、平たく言えば「帳簿のつけ間違い」で、本来は、問題があれば修正すれば済む程度の経理係レベルの形式犯にすぎない。こんなことで3人を起訴すること自体、「言いがかり」に近い不当起訴であり、ましてや帳簿記載方法のいちいちを知るはずもない小沢本人に累が及ぶことではない。

 もちろん、問題の土地を購入すること自体は小沢の指示・了解に基づくものであり、またそのための資金調達にも彼が携わっているのだから、仮に帳簿に何をどう記載したり記載しなかったりすることには直接関わっていなかったとしても、「不記載」や「虚偽記入」の「共犯」として小沢を起訴することは可能である。しかしこれもまだ形式犯の範疇であり、それで与党の大幹事長を失脚させようというのはいかにも無理な話である。

 そこで検察としては、これが単なる「帳簿のつけ間違い」でなく、ゼネコンの裏献金を用いて土地を購入し、またそのような資金の出所を偽装するためにわざと銀行融資を立てるなど、小沢自身が指揮して行った極めて悪質な意図に基づく「帳簿操作」だったというお伽噺を作り上げる必要に迫られた。そのために、無理は承知で3人の元秘書を逮捕し、また小沢本人にも任意聴取を求めて、何とかしてこのデッチ上げの材料を掻き集めようと計ったのである。

 これは無茶苦茶で、この大騒動の結果"鼠一匹"も出て来ずに検察が大恥をかくことになる公算が大きい。

●水谷からの5000万円?

 検察がデッチ上げたいお伽噺の中核は、この購入資金に「水谷建設からの5000万円の裏献金が混じっている」ということだが、これがまず実証不能だろう。

 第1に、水谷側の供述の信用性に大いに疑問がある。郷原信郎が指摘しているように、水谷側が検察の言いなりになって注文通りの供述をしている可能性がある。

 第2に、一般論として、この手の公共事業で政商的な地方の中堅ゼネコンが大手スーパーゼネコン(この場合鹿島建設)の下に入って下請け仕事を請け負おうとする場合に、「ウチは前々から○○先生(この場合小沢)とは昵懇で、しかるべき手は打っておきましたから」とか「この地元はヤクザ(この場合岩手県の田舎ヤクザ)がうるさくて私のほうで始末しておきましたから」とか言って、その"実績"を手土産に下請けに入り込み、しかもそのための闇経費分を下請け工事代金に上乗せしてスーパーゼネコンから支給して貰っていたりする。ところが、てなことを言って中堅ゼネコンがスーパーゼネコンから裏工作資金の支給を受けても、実際には政治家やヤクザに金を払っていなかったり、もっと少ない金額を払っただけだったりして、全部または一部をネコババしているケースもある。

 水谷あたりだとせいぜい年商100億円程度で、それで表献金として自民党政治家を中心に10億円も配っていては利益など吹っ飛んでしまう。そこで裏献金分のネコババが実質的な利益になったりするのである。そこを突かれると、裏支給を受けているスーパーゼネコンへの申し開きとしても、税務当局への言い逃れとしても、「いや、確かにあの政治家の秘書に金を渡しました」と言い張ることにならざるを得ない。従って、本当に水谷が石川にその5000万円を渡したかどうかは分かず、「受け取っていない」と言っている石川が正しいのかもしれない。

 第3に、これも一般論として、政治家秘書の側でも、しょせんはそういう闇の金であるから、帳簿に記入しないで済ませたり、自分でポケットに入れてしまったりする場合がある。石川が水谷から受け取ったにもかかわらず、自分でネコババしてしまったから「受け取っていない」と言い張っている可能性も絶無ではない。

 とすると、検察が思い描くお伽噺が成り立つには、(1)水谷から石川に本当に5000万円が渡っていた、(2)その金を石川はどこにも流し込まずにそのまま封も切らずに取っておいた、(3)土地購入資金を調達することになった時に、石川が「ここに水谷からの5000万円があるので、残りを小沢先生のほうで何とかお願いします」と言い、小沢が「おおそうか。では後は私のほうで何とかしよう」と答えたとかいうやりとりがあったことを、石川・小沢双方が認めた----という事実が確定できない限り難しい。仮に事実がそうであったとしても、それを裏付ける供述が2人から出揃う可能性はゼロである。

●マネー・ロンダリング?

 もう1つのポイントは、小沢がゼネコンからの汚い金で土地購入をしようとして、それを誤魔化すために、しなくてもいい銀行融資をしたのかどうかということである。

 検察が根本的に分かっていないのは、ごく普通の中小企業の月末の資金繰りというのはこんなものであるという世間常識である。

 まず第1に、良いか悪いかは別として、小沢は1つの「党内党」を作り上げている。彼個人が所有する私兵集団として20名ほどの秘書を丸抱えして、彼らを合宿状態で住まわせて、いつでもどこへでも派遣可能な選挙プロフェッショナルとして鍛え上げてきた。本来から言えば、そのようなオルグ機能は民主党本部が党として持つべきであるが、そうはなっていない現実では、小沢が私的に代位してきた。それこそが選挙上手=小沢のいわゆる"実力"の源泉である。

 第2に、その小沢私兵集団の経営形態は、「小沢商会」とも言うべき個人商店である。事業主としての小沢個人が君臨して、中心的な企業としての「陸山会」があって、他にもいくつか休眠状態のものも含め子会社があり、それらの間で資金を融通し合ったりするのは当たり前だし、会社本体が資金が苦しい時に事業主が自分や夫人名義の預金を崩して一時立て替えしたり会社に貸し付けをしたりしてその場を凌いだりするのも大いにあり得ることである。立て替えや、短期に相殺される個人の貸し付けを、帳簿にどう付けるかは微妙なところで、税務当局との間で「見解の相違」が生ずる場合もあったりする。

 第3に、定期預金を積んでそれを担保として銀行融資を受けるというのはごく普通にあることで、それがマネーロンダリングを目的とした不正操作ではないかと疑うのは世間常識とかけ離れている。不動産購入のためにまとまった代金を支払わなければならない時に、それを手持ち資金で賄ってしまうと手元現金が枯渇して月末の支払いに窮するという場合に銀行借り入れを起こすのは不自然ではない。本件の場合は恐らく、銀行借り入れで土地を購入しようとしたが、その手続きより以前に不動産屋に支払わなければならない事情が生じたため、至急に別途資金を掻き集めて支払いを済ませた上、後に銀行融資分と差し替えることにしたが、それと月末の支払いが重なって余計にバタバタした、というようなことではないのだろうか。

 こうして、私の見るところ、水谷建設の5000万円を絡めることで単なる形式犯でない悪質性を立証しようとする検察の思惑は、成り立たない可能性の方が大きい。追い詰められているのは検察のほうである。▲

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