Calendar

2010年1月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            

Recent Entries

Recent Comments

« INSIDER No.527《YEAR 2010》2010年の世界と日本・その1──チェンジはいいとして、その行き先は?
メイン
INSIDER No.529《HATOYAMA》イチから出直しの普天間問題で米国と議論すべきこと──10年前の沖縄への想いを振り返る(その2) »

INSIDER No.528《YEAR 2010》2010年の世界と日本・その2──日米安保条約、次の50年?

●普天間決着

 日米安保条約は1月19日、当時「新安保」と呼ばれた1960年の条約改定から50周年を迎える。本質的に冷戦時代の"敵対的軍事同盟"の名残である安保をそのままにしておいていいはずがなく、東アジアの環境変化とりわけ朝鮮半島の緊張緩和の兆しがはっきりと現れてきたという客観的条件と、日米が共にチェンジを掲げる新政権を持ったという主体的条件とがクロスする今年、たまたま安保50周年の大きな節目が訪れてきた訳で、これを機に21世紀的な日米関係と安保協力のあり方について全面的な見直しを始めるのが妥当だろう。普天間海兵隊ヘリ基地の移転問題の見直しは、そのための絶好の入り口と言える。

 その意味では、鳩山政権が、「年内に決着しないと日米同盟は危機に陥る」という守旧派官僚・マスコミ挙げての恫喝に屈することなく、約半年間をかけて辺野古以外の可能性を一から検討する方針を打ち出したのは賢明だった。しかもそれを米国務省が「我々としては現行の辺野古移転案が最上だという立場に変わりはないが、日本が新政権移行に伴う困難を抱えていることは理解しており、引き続き日本と緊密に協議していくつもりである」(22日クロウリー次官補発言要旨)と冷静に受け止めようとしているのは、10月に来日したゲーツ国防長官が怒声をあげて鳩山首相らに現行案丸呑みを迫った粗暴な態度と比べれば、米国の姿勢の大きな前進である。

 日本としては、あくまで在沖海兵隊のグアム全面移転の可能性を探究すべきで、鳩山が26日のラジオ収録で「抑止力の観点からみて、グアムにすべて普天間を移設させることは無理があるのではないか」と述べたのは、全く余計なことだった(と本人も気づいたようで、翌日発言を若干修正し、また29日に開かれた与党代表による検討委員会でもグアムの可能性を排除しないことになった)。

 繰り返すまでもなく、現行案とは、第3海兵遠征軍の本隊である第3海兵師団約8000人(と言っても実は米本土から6カ月交替で訓練のため送り込まれてくる部隊の定員枠)と併せて、主要な司令部機能(遠征軍と師団の司令部、普天間のヘリと岩国の戦闘機を動かす第1海兵航空団の司令部、砲兵連隊と後方群の司令部を含む)をグアムに移転する一方、第31海兵遠征隊を中心とする約5000人を引き続き沖縄に残し、その部隊が使用するヘリ部隊の発着のために普天間に代替する新基地を辺野古に建設するというものである。

 そこで日本として順番に米国に問うべきことは......、

《問1》冷戦終結後に米軍内部で「海兵隊廃止」論が高まったことがあったが、この議論はすでに消滅し、近い将来に渡って再燃することはないのか。海兵隊そのものが不要ということになるのであれば、これから5〜10年の年月と1兆円にも上ろうかという費用をかけて新基地を建設すること自体が意味のないことになる。

《問2》仮に海兵隊は存続するとして、主として「第2次朝鮮戦争」とも言うべき大規模陸上戦闘が起きた場合に水陸両用で敵前上陸強襲作戦を敢行することを想定して沖縄にこう移築してきた「前方配備=緊急展開」態勢は、朝鮮半島の緊張緩和の流れを含むこの地域の戦略環境の変化と、米軍の遠隔投入能力の飛躍的向上を考えると、もはや時代遅れなのではないか。

《問3》朝鮮戦争の可能性が限りなくゼロに近づいたとは言っても、台湾有事の可能性はまだ残ると言う人がいるが、仮にそうだとしても、台湾海峡危機の際には、米第7艦隊が介入することはあったとしても、海兵隊が陸上戦闘に加わるというシナリオはあり得ないのではないか。

《問4》朝鮮有事も台湾有事もほとんどありえないとしても、特に第31遠征隊には対テロ作戦や在外米人救出作戦の機能もあるので駐留は必要だと言う人がいるが、そのような事態は北東アジアだけでなく東南アジアでも起こりえて、東南アジアの場合には沖縄にいるよりもグアムにいるほうが近くて便利ではないのか。

《問5》仮に、それでもいいから沖縄に駐留したいという場合に、陸上部隊とヘリ部隊は沖縄に、戦闘機と空中空輸機は岩国に、ヘリ空母艦隊は佐世保にバラバラに分かれていて、しかも本隊司令部はグアムにあるという4個所分散配置は運用上不便ではないか。全部をグアムに統合配置する方がかえって即応力は高まるのではないか。

《問6》それでもなお第31遠征隊を沖縄に残すとして、それは、既得権益の維持という惰性のためでないとすれば、何のためなのか。「抑止力」のためだと言う人がいて、鳩山もコロリそれに乗せられたりしているけれども、誰の何の意図にたいする抑止力なのかを明らかにすることなくその言葉をオマジナイのように唱えて済むような時代は終わったのではないか。

《問7》以上すべてに合理的な説明が与えられて、現行案通り辺野古移転が再決定され、グアム移転と辺野古基地建設の新規費用及び既存基地維持のための「思いやり予算」の負担を沖縄県民を含む日本国民が納得したとしても、時間という要素がある。防衛省が行った辺野古移転の環境アセスメントは、現在辺野古にいる主力ヘリCH-46とCH-53などがそのまま移転するかの誤った前提で行われており、完成時に配備されると見られるMV-22オスプレイ垂直離着陸輸送機はCHヘリに比べて4〜5倍のエンジン出力を持っているので、少なくとも騒音調査については初めからやり直さなければならず、それから着工したとして今から5〜6年先になるだろう。増して、辺野古以外の県外移設の場合はまず地元理解を取り付けて、それから環境アセスを始めるのだら、巧く行って8〜10年後である。その間にアジアの戦略環境はもっと大きく変わっていて、海兵隊の存在理由や沖縄駐留の根拠も薄れている公算の方が大きいのではないか。

 このように日本は米国との議論を進めるべきであり、今年5月までという期限を考えると、米国が「分かった。全部グアムに移転しよう」と納得する可能性は少ないとしても、それについて引き続き協議を続けることに同意してその枠組みを作りさえすれば、その協議がなるまでの間のあくまで「暫定措置」として、費用も時間もかからない形での普天間移転先を見つけるのはそう難しいことではないのではないか。私の意見では、嘉手納空軍基地への併合、もしくは嘉手納弾薬庫の改造が早道である。[続く]▲

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.the-journal.jp/mt/mt-tb.cgi/6441

Profile

現在、INSIDERニュースレターの内容は、ご覧の《THE JOURNAL》内でブログの形で公開されております。
誰でも無料で閲覧し、またそれについて感想や意見を書き込むことが出来るようになっておりますが、従来通り、お手元に電子(Eメール)版配信もしくは印刷版郵送の形で講読を希望される方は、引き続きEメール版:年間6,300円(税込)、ペーパー(紙)版:年間12,600円(税込)をお支払いください。[法人購読の場合は年間105,000円(税込)になります]
ウェブ上で無料で閲覧できるものが、Eメール版・ペーパー(紙)版が有料なのはどういうわけだと思われるかもしれませんが、後者の場合、読者名簿管理と請求の事務、配信と郵送の手間が必要であり、とりわけ印刷版の場合は紙代、封筒代、印刷代、郵便代のほか宛名を印刷して封筒に貼り、印刷されたものを三つ折りして封入し、糊付けし、紐で束ねて郵便局に運び込むのに膨大な手間とコストがかかっていることをご理解下さい。
また、無料で閲覧できるならそちらに切り替えたいという方もおられると思いますが、残余の購読期間は引き続きEメール版もしくはペーパー(紙)版を配信させて頂き、購読料を途中返還することは致しませんのでご了解下さい。

BookMarks

TOKYO KALEIDO SCOOP
http://www.smn.co.jp/

INSIDER(インサイダー)
http://www.smn.co.jp/insider/

→ブック・こもんず←



当サイトに掲載されている写真・文章・画像の無断使用及び転載を禁じます。
Copyright (C) 2008 THE JOURNAL All Rights Reserved.