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INSIDER No.527《YEAR 2010》2010年の世界と日本・その1──チェンジはいいとして、その行き先は?

●政権交代後

 米国ではオバマ大統領が政権発足から1年10カ月後の11月2日中間選挙で、日本では鳩山首相が同じく10カ月後の7月参議院選挙で、共に政権交代後初めての選挙を通じて国民の審判を受ける。2人ともが、過剰なまでの大きな期待を担ってチェンジを果たしたのはいいが、内外にわたる難題の山に足をとられて政権運営は思うに任せず、当初70〜80%に達していた支持率も50%を切るという先行き不安の中で選挙を迎えることになるわけで、オバマは残り9カ月、鳩山は6カ月の間に何をどこまで達成すれば選挙を政権浮揚のきっかけにすることが出来るのか、厳しい試練に直面する。

 オバマにとって最大の難関はイラクとアフガニスタンである。彼は、大統領選中から「イラクは早期撤退、アフガニスタンは兵力増強」と言っていて、就任後、その通りの策を打ち、イラクからは8月にすべての米戦闘部隊が撤退する一方、アフガニスタンには春以降に3万人を増派する。

 (1)両方が巧く行って、イラクでは米軍が撤退しても内乱状態が深刻化せず、アフガンではタリバンとアル・カイーダの掃討がある程度でも成果を上げながら中間選挙を迎えることが出来ればベストだが、(2)どちらか1つでも巧く行けばベター、(3)両方巧く行かなければワース、(4)アフガン増派に強く警告しているアル・カイーダが米本土か出先の米大使館などに大規模な報復テロを仕掛ければワースト----ということになる。

 しかしアフガンの泥沼から脱するのは容易ではない。ホワイトハウスでは、09年9月から2カ月間、あくまでアフガン本土での内戦に介入し続けてタリバンを鎮圧するというゲーツ国防長官と、そんな成算のない目標は諦めて無人爆撃機と特殊部隊でパキスタン北部を拠点とするアル・カイーダを壊滅させることに集中すべきだとするバイデン副大統領との間で、激しい路線論争が展開されたが、オバマは結局、その両方を追求することにした。これでは、ブッシュ時代の誤りを継承しただけで、何の出口戦略にもならない。

 第1に、タリバンは単なるゲリラではなく、数千年の歴史を持つパシュトゥン人社会に根ざした宗教的集団であって、これを軍事的に壊滅させることなど出来るはずもなく、どこかで米国の傀儡であるカルザイ政権との妥協・和解を図らざるを得ない。第2に、その場合に肝心のカルザイ政権がしっかりしていて、少なくとも国土の半分以上を実効支配して国民の大半から支持を受けていなければ話にならないが、昨夏大統領選での大掛かりな不正選挙で内外からの信頼を失った上、政権内部の腐敗・堕落もあってすでに半壊状態で、国家再建の軸となり得ない。第3に、仮にアフガン国内を鎮めても、パキスタンにアル・カイーダが拠点を構えていることに変わりはなく、そこに特殊作戦を集中させたとしても、そもそも国際テロ集団は地理的存在でないから、北方の「ユーラシア暗黒回廊」を通じてどこへでも移動して相変わらす米本土へのテロ攻撃を企画し続ける。

 『ニューズウィーク』12月30日/1月6日号でシカゴ大学のジョン・ミアシャイマー教授が指摘するように、アル・カイーダと手を切ることを条件にタリバンと妥協し、米軍を完全撤退させることが唯一の合理的な解決策だったが、オバマはすでにその転換のタイミングを失ってしまった。

 他方イラクでは、スンニ派武装勢力の攻撃はいよいよ激しく、米兵や市民の犠牲は増えているし、クルド族の独立志向も抑えがたくなっている。このまま米軍戦闘部隊が撤収を始めれば、シーア派中心の政権と3者入り乱れての内戦が広がるのを避けられそうにない。つまり、上記の(3)イラクもアフガンも巧く行かないまま中間選挙を迎える公算が大きいということである。

 さて、「核のない世界」へのオバマのイニシアティブは、09年4月のプラハでの理想主義的な演説と12月のノーベル平和賞授賞式での現実主義的な演説との間のギャップが批判の的になっているが、それは的外れというもので、中長期の核廃絶と、米国にとって差し迫った最大の脅威である米本土に対する「核テロ」の危険除去という問題とは、区別と統一において捉えなければならない。この絶対矛盾の自己同一が米国をして、北朝鮮との2国間協議を通じた融和に走らせるのである。

●米朝対話

 09年12月のボスワース訪朝で始まった米朝2国間対話は、2010年を通じてかなりのテンポで進展するだろう。さしあたりは、米国が乗り出して北朝鮮を6カ国協議に復帰するよう説得するという形となっているが、北の側からすれば米朝2国間協議が最も本質的であって、それが継続的に行われるのであれば6カ国復帰もやぶさかでない。と言うよりも、米朝の間で38度線の「休戦協定」が「和平協定」に置き換えられて国際法的な"戦争状態"が解消されれば、北が核兵器を開発しなければならないと思い詰める理由が消滅してしまうのだから、それが一番の早道である。

 米朝2者で基本合意が成れば、それプラス中韓の4者で和平が結ばれて緊張緩和と信頼醸成の一連の措置がとられ、それを背景に南北の経済交流と米朝の国交樹立交渉が本格化する。恐らくオバマは政権第1期の内に米朝国交まで漕ぎ着ける腹である。それは、彼が平和主義者であるからでも何でもなくて、米国にとっての「北の核の脅威」とは第一義的に北の核弾頭もしくは放射性物質がテロリスト集団に売り渡されて米本土への核テロに使用されることであって、それを予防するには軍事的手段よりも外交的手段の方が有効であることが自明だからである。

 日本は、拉致問題をすべてに最優先するという姿勢をとる限り、この流れから落ちこぼれる。もちろんこの問題は重大な人権のみならず日本の国家主権に対する侵害であって徹底的な追及・解明が必要であるけれども、『週刊東洋経済』12月26日/1月2日号「日朝関係は改善するか」が言うように、「拉致問題の解決とは具体的に何なのかが誰にもわからない」まま、それ抜きにはどんな交渉も許さないという世論がまかり通り、従って政府も「国交正常化交渉に入るための条件・定義は何か」を明示できないでいる。これでは二進も三進も行かない。

 米国は(中国も)、このように日本が身動きが取れなくなった直接の原因は、北が出してきた横田めぐみさんの遺骨を科学的な根拠なしに早々に「偽物」と断定してしまったことにあると見ていて、以前から日本政府に対して「米国の最新技術で再鑑定したらどうか」と申し出てくれている。9・11事件の遺体処理の過程で高温で燃えてしまった遺骨のDNA鑑定の技術は格段の進歩を遂げていて、それを用いれば、より精密な鑑定が可能となる。が、日本は、それでもし「本物」という結果が出たらエライことになるとしてこれを断ってきた。

 鳩山政権の外交政策の中で対北朝鮮関係の優先順位は高くないようだが、米朝関係が進展する中でこのままジッとしているわけにもいかず、何らかの積極的な打開策を打ち出さなければならないだろう。私の考えでは、(1)まずめぐみさんの遺骨の米国による再鑑定を受け入れる、(2)その結果次第ということもあるが、現状で判明する限りの生存する拉致被害者の帰国を実現する、(3)さらなる実態調査と真相解明は国交樹立後に国交のある国同士の警察当局の捜査協力(場合によっては第三国も入った国際調査委員会)に委ねる----しかないのではないか。[続く]▲

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