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INSIDER No.525《HATOYAMA》普天間問題は「常時駐留なき安保」への扉である──10年前の沖縄への想いを振り返る(その1) »

INSIDER No.524《HATOYAMA》米国は日本国民と沖縄県民を"脅迫"するのを止めろ!──海兵隊のグアム全面移転を最後まで探究すべきである

 7日付の毎日新聞は第1面で「米本国は怒っている/普天間、首相の布石空振り」という大見出しを掲げた。4日の日米閣僚級作業部会でルース駐日米大使は岡田克也外相と北沢俊美防衛相に「本国は怒っている。鳩山由紀夫首相は11月の日米首脳会談でオバマ大統領に『私を信じてほしい』とまで言ったではないか。なぜこうなるのか。このままでは普天間は固定化する」と詰め寄ったというのである。

 9日付の日本経済新聞は、同社と米ジョージタウン大学の戦略国際問題研究所(CSIS)の共催によるシンポジウムの要旨を掲載したが、そこではリチャード・アーミテージ元国務副長官、マイケル・グリーン元大統領補佐官、リチャード・マイヤーズもと統合参謀本部議長ら冷戦思考と対日植民地支配意識むき出しの"昔の名前"の日米安保マフィア連中を並べて、普天間の辺野古移転の「現行の移転案に基づき早急に解決を図るべきだ」との大合唱を演じさせている。 

 日本の新聞は一体どこを向いて物を言っているのか。「怒っている」のは日本国民と沖縄県民である。

 敗戦と占領から64年も経ち、冷戦が終わってからでも20年が経っているというのに、未だに全国29都道府県に(自衛隊との共用を含めて)135施設、10億2700平米の基地を米軍に提供し、約5万人の兵士と5万人近いその家族を日米地位協定により特権的な地位を与えて駐留させ、なおかつピーク時で年間2500億円、78〜06年累計で3兆円に及ぶ「思いやり予算」(間接的な負担も入れればその倍)を振る舞って「駐留して頂いている」ような独立国など、世界のどこにもありはしない。そのことを「怒っている」のは日本国民であり、とりわけ(米軍専用施設に限れば)基地面積の74%を押しつけられている沖縄県民である。沖縄発行の琉球新報と沖縄タイムズを除けば、一度も「沖縄県民は怒っている」という大見出しなど掲げたこともない本土の新聞が、どうして米国の走狗となって「米国は怒っている」などと日本国民への"脅迫"の片棒を担ぐのか。

 米国が怒っている? 怒らせておけばいいではないか。いま我々は初めて、沖縄県民はじめ日本国民の怒りの側に立って過酷な米軍基地の存在を根本から問い直そうとする政権を得たのである。「米国を怒らせたら大変」というこの外交・防衛官僚とその追随者であるメディアの植民地根性を克服するのが鳩山政権の「対米自主外交」である。

 佐藤優は『文芸春秋』1月号「岡田外相"密約開示"が暴く外務省の恥部」で、普天間問題について、岡田が嘉手納だと言い、北沢が日米合意重視、防衛通の前原が国外・県外を唱え、鳩山が「私を信じてくれ」、そして小沢は沈黙を守ったままで、「つまり皆がバラバラであるために、結果的に、諸外国は日本の真意を探りかね......とりあえずは鳩山総理を交渉相手とするほかなく、やはり結果として、鳩山総理の外交的プレゼンスは上昇している。逆説的に響くようだが、これが海外の外交関係者から見た、現在の日本外交の姿なのである。その証拠に、......ゲーツ国防長官のようなコワモテが、公式儀礼もすべて拒否して、民主党政権を一喝し、沖縄基地問題にケリをつけようとやってきたにもかかわらず、最終的には鳩山総理の『私を信頼してほしい』が結論となった形になっている。鳩山総理がどこまで意識しているかは分からないが、これは相当な外交的成果といっていい」と述べているが、その通りである。

 前にも書いたが、メディアは「インド洋での給油を止めるなどと言ったら米国が怒り狂う」と散々書いてきた。しかし、オバマ大統領は文句の1つも言わずにそれを受け入れたではないか。これは鳩山の外交的成果の第1号だが、メディアは前言を訂正することもなく口をつぐんでいる。

●海兵隊のグアム移転

 前回の論説で、『週刊朝日』に表れた伊波洋一=宜野湾市長の「海兵隊は辺野古でなくグアムに返せる!」という主張が「面白い」と書いた。この週刊誌記事も、本サイトのどこかで誰かのコメントが言及していた「きっこの日記」12月5日付ブログの記述も、元になっているのは同市長が11月26日に衆議院で行った与党国会議員に対するプレゼンテーションである。

 そのプレゼンテーションの概要は、宜野湾市ホームページに搭載されているので、それを参照して頂きたい。

※宜野湾市:http://www.city.ginowan.okinawa.jp/
※基地渉外課:http://www.city.ginowan.okinawa.jp/2556/2581/2582/1963.html
※市長レジュメ:http://www.city.ginowan.okinawa.jp/2556/2581/2582/37840/37844.html
※プレゼン資料PDF:http://www.city.ginowan.okinawa.jp/DAT/LIB/WEB/1/091126_mayor_1.pdf

 その要点は前回に書いたので繰り返さない。要は、06年の「日米ロードマップ」合意後、米軍には一貫してヘリ部隊を含めて在沖海兵隊のほぼ全部をグアムに移転する案があって、11月に公表された「グアムと北マリアナ群島の部隊移転に関する環境影響評価書ドラフト」もそれに沿った内容となっているということである。

※環境影響評価書ドラフト:http://www.guambuildupeis.us/documents

 そうだとすると、ルース駐日米大使はじめ米側は、そもそも無理があるからこそ自民党政権ですら強行するのをためらってきた06年「日米ロードマップ」合意を、何が何でも実行しろと脅迫的な態度で迫るのを止めて、グアム全面移転の可能性を含めて交渉のテーブルに乗せて、よりマシな合理的解決策を淡々と話し合うべきである。

●朝鮮半島有事という幻想?

 9日付日経によると、「沖縄に米軍を前方展開することを重視するのはなぜか」との問いにマイヤーズはこう答えている。

「第1に言えるのは地理的条件だ。前方展開戦力は潜在的に『問題』の存在する地域にいることが肝要だ。朝鮮半島有事の際には素早く対応したい。日本から遠い場所に米軍を置けば、その地域の重要性を低く見ていることになる」

「前方展開戦力を遠い場所に置いたとして、有事にどう対応するのか。それは潜在的敵性国家から見れば、ある種の『機会』を与えられたことを意味するだろう」

 この限りでは、在沖海兵隊の主力8000人がグアムに撤退した後も居残る予定の第31海兵遠征隊の主任務は「朝鮮半島有事」への即応であり、「潜在的敵性国家」とは北朝鮮のことである(英文は単数なのか複数なのか----複数なら中国も敵性とみなしていることになるが)。

 そこで、鳩山政権がまず第1に米政府に問いただすべきことは、米軍の「朝鮮半島有事」シナリオと軍事配置の歴史と現状である。

 米陸軍は現在10個の師団と4個の独立した部隊(旅団・連隊)から成っている。それぞれの師団は標準編成として、4個の戦闘旅団、1〜2個の航空旅団、1個の火力(砲兵)旅団、1個の支援旅団から構成される。旅団は、かつては2個連隊以上で構成されたが、今では2個大隊でかつての歩兵連隊規模と同じで、それに補給、衛生、宣撫などの兵科を加えて「旅団戦闘団(Brigade Combat Team)」というユニットを作っている。

 10個師団・4個部隊のうち、海外に「前方展開」しているのは、第2歩兵師団(韓国)と第173空挺旅団(イタリア)の2つである。

 在韓の第2歩兵師団3万7000人は、第8軍指揮下にあって、朝鮮戦争以来長きにわたって、北朝鮮の再侵攻に備えて38度線とソウルとの間にまさに前線配備されてきたが......、

▼2004年に師団を構成する2つの旅団のうち1つがイラクに派遣された後、そのまま韓国には戻らずに米本土に帰還したことから、第1重旅団戦闘団とそれに付随する火力旅団、航空旅団など1万2500人が駐留するのみとなった。

▼2008年以降、北による大規模陸上侵攻の可能性が著しく低減したこと、38線南部の過密な米軍駐留への韓国国民の反感が強まっていることを考慮して、ソウル以南の平澤、大邱、釜山近辺への移駐が進められた。

▼その結果、今では在韓米陸軍第8軍と言っても、実際に韓国に居るのは第1旅団のみであり、他の第2〜第5の4つの師団は米本土の基地にいる。

▼このように事実上"空洞化"している在韓米軍の実態に合わせて、2012年には、朝鮮戦争以来、国連軍司令部という形式で米軍が実質的に握っていた米韓両軍に対する戦時作戦統制権を韓国軍に移管することが決まっている。それに伴って、米第8軍司令部はハワイの太平洋陸軍司令部に統合される。

 つまり、米軍は「第2次朝鮮戦争はない」という考えに立って在韓米軍の縮小を進めているのである。

●在沖海兵隊の実態

 一方、在日米陸軍は、座間にある第1軍団(前方)=在日米陸軍司令部傘下の通信・情報・補給など要員約2000人で、戦闘部隊の常時駐留はすでに行われていない。

 さて、米海兵隊の全体は現在3個の遠征軍から成っており、そのうち第1と第2は米本土に基地があり、海外に「前方展開」しているのは、在沖の第3だけである。遠征軍(MEF=Marine Expenditionary Force)の標準編成は、1個の海兵師団とそれを支援する航空団、兵站群から成っており、師団(Division)は必要に応じて中規模の海兵旅団(MEB=Marine Expenditionary Brigade)やさらに小規模の海兵遠征隊(MEU=
Marine Expenditionary Unit)を編成する。

 在沖の第3海兵遠征軍は、第3海兵師団とそれとは相対的に独立した第31遠征隊を中心に1万3000ないし1万6000人が「常駐」していることになっているが、第3師団について言えば、実態は常駐というにはほど遠く、司令部や支援部隊の機能は沖縄に常駐しているものの、戦闘部隊や砲兵部隊は平常は米本土にあって、その中から必要に応じて順繰りに選ばれた部隊が「部隊配備プログラム(UDP)」に基づいて6カ月程度のサイクルで交代で沖縄に派遣され射撃訓練やジャングル戦訓練を施されてまた本土に帰って行く。UDPで送り込まれる海兵隊員には、高校出でリクルートされたばかりの新兵も多く、日本や沖縄の文化に無知のまま酒を飲んで暴行事件などの犯罪に走る者が後を絶たない。

 「日米ロードマップ」合意は「約8000名の第3海兵機動展開部隊[海兵遠征軍のこと]の要員と、その家族約9000名は、部隊の一体性を維持するような形で2014年までに沖縄からグアムに移転する。移転する部隊は、第3海兵機動展開部隊の指揮部隊、第3海兵師団司令部、第3海兵後方群(戦務支援群から改称)司令部、第1海兵航空団司令部及び第12海兵連隊司令部を含む」とされていて、これを日米の官僚は「司令部機能だけが移転する」かのように説明してきたが、司令部機能だけで8000人もいる訳がなく、これは間違いなく本体の師団そのものが移るのである。とは言え、8000人というのはあくまでUDPの定員枠であって、それだけの数の固定した部隊があってそれが丸ごとグアムに引っ越す訳ではない。だから「司令部機能だけ」という言い方が出てくることになる。

 もともと第3海兵師団は「朝鮮半島有事」に備えて「前方展開」されていたもので、まず在韓の第2歩兵師団が第1線で北の侵攻を受け止めて、数日〜1週間以内に在沖の海兵師団が急行して第2線を形成する手はずになっていた。ところが肝心の在韓歩兵師団が定員を3分の1に縮小した上、第1線を韓国軍に譲って後ろに退き、司令部も遠くハワイに移すのだから、在沖の第2線用の海兵師団も「前方展開」を続ける理由がなくなって、司令部ごとグアムに撤退するのである。

●なぜ遠征隊が残るのか?

 そこまではいいとして、だとすると、沖縄に残留する第31海兵遠征隊は何のために「前方展開」を続けるのか。全部をグアムに下げるのはさすがに心配なので小部隊は残しておきたいということなのか。朝鮮半島に大規模陸上戦闘は起きそうにないが、対テロ作戦や特殊作戦を得意とする遠征隊の出番はまだあるという判断なのか。いずれにせよ、マイヤーズが言うように「朝鮮半島有事」が遠征隊を沖縄に残す主な理由だとするなら、どのような「有事」シナリオを想定して同隊をどう運用するつもりなのか、、米国政府は日本国民=納税者にきちんと説明しなければならない。

 それで仮に日本国民を納得させられたとしても、まだ残る議論は、遠征隊本隊と訓練場とヘリ部隊を沖縄に置き、戦闘機と給油機を岩国に置き、ヘリ空母艦隊を佐世保に置き、司令部機能をグアムに置いて、4カ所に股裂き状態になりながら運用するのと、すべてをグアムに移して一体的に配備するのと、どちらが米軍にとって便利かという現実的な問題である。確かに、釜山から沖縄本島までは1000キロ、沖縄本島からグアムまでは2400キロあるので距離がだいぶ遠ざかるというデメリットはあるが、反面、日常から一体的に駐留している分だけむしろ即応力は強化されるというメリットもあるとは考えられないか。

 米側は、グアムでは遠いから日本に中継点が必要だと言うかもしれない。もし嘉手納はじめ在日米軍基地では足りないというのであれば、自衛隊基地でも関空でも有事に使えるよう予め協定を結んでおけばよい。それこそ、旧民主党の「常時駐留なき安保」の実現の第一歩となる。ただし、それもこれも、「朝鮮半島有事」に海兵隊が出動するというシナリオがまだ米側にあるのであればの話であるけれども。

 専門家の中には沖縄は台湾にも近いと言う人がいるが、台湾海峡危機に即応するのは第7艦隊であって、海兵隊が真っ先に飛び出して突入するという作戦シナリオはあり得ない。

 こういったことを時間をかけて双方納得するまで話し合って、グアム移転の環境影響評価の最終報告書が半年後に出るのを待って、結論を下したらどうか。その間、宜野湾市民は普天間の騒音と墜落の危険に悩み続けなければならないが、全面国外移転という最善の結論を追求するために必要な今しばらくの辛抱である。昔のCIAなら、ヘリを小学校の校庭にでも墜落させて、「ほら、鳩山が先延ばししたからこんなことになった」と非難囂々を掻き立てて政権を潰すくらいの陰謀を企むだろうが、今はそんな力量はない。▲

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