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INSIDER No.523《HATOYAMA》あくまでグアム全面移転で押すべきだ──普天間移転問題の年内決着回避は正しい

 普天間の海兵隊ヘリポートの移転問題について、日米の外交・防衛官僚が従来合意通り辺野古への移転で年内にも決着をつけるよう圧力をかけ続けてきたのに対し、鳩山内閣は2日、それを回避し、結論を来年1月以降に先延ばしする方針を決めた。連立内部の国民新党と社民党の「県外移転」へのこだわりに配慮した形をとっているが、これは一種の口実で、鳩山自身は本音は一貫して「国外」を含む「県外」への移転を実現するのが沖縄県民の心情に応える道筋だという信念を持っていて、そのための対米交渉のきっかけを掴むための時間稼ぎである。この方針は正しい。

 これは、かつて55年体制下で、自民党政権が米国の過大な要求に対して「そんなことを受け入れたら社会党が怒り狂って国会が麻痺し政権が保たない」とか言ってワシントンを説得してきたのと大同小異で、連立の戦術的効果である。マスコミがこれを真に受けて、例えば4日付読売が「首相、日米より内政」「日米関係は大きな打撃を受けることになる」などと書いているのは何も分かっていない証拠である。自民党政権が問題が浮上してから13年間、辺野古移転で合意してからでも3年間、専ら内政上の都合で実行を先送りしてきたことが「日米関係に大きな打撃」を与えてきたのであり、それを民主党政権は、より望ましい方向で、数カ月内という極めて短期間に、決着させようとしているのであって、褒められることがあってもケチをつけられる筋合いなどどこにもない。

 そうは言っても、ただ時間稼ぎをしていても仕方なく、官僚レベルの表の折衝はともかくとして、そろそろ本気で水面下の対米交渉を進めるべき時で、そこではあくまで沖縄駐在の米海兵隊全部のグアム移転の実現で押しまくるべきである。

●『週刊朝日』が面白い

 その点で、今週の『週刊朝日』(12月11日号)の「海兵隊は辺野古でなくグアムへ返せる!」は面白い。それによると、普天間基地の地元である宜野湾市の伊波洋一市長は、独自の調査を通じて入手した公開・非公開資料や米軍高官との会談を元に、米軍自身が在沖海兵隊の全面的なグアム移転を構想している事実を明らかにし、11月26日にはそれを資料を添えて鳩山にも伝えている。

▼日米2+2の06年5月の「米軍再編実施のための日米ロードマップ」発表の2カ月後の同7月、米太平洋軍司令部は「グアム統合軍事開発計画」を策定したが、その中で「海兵隊航空部隊とともに移転してくる最大67機の回転翼と9機の特別作戦機(オスプレイ)用格納庫の建設、ヘリコプターのランプスペースと離発着用パッドの建設」を明記しており、普天間のヘリ部隊をグアムに移転させるつもりであることが示されている。

▼伊波市長が07年夏に移転先=グアムのアンダーセン空軍基地と「グアム統合計画室」を訪れた際、現地の米軍高官は「65〜70機の航空機と1500名の海兵隊航空戦闘部隊員が来る予定」と説明した。

▼米海軍グアム統合計画室が11月に発表した「グアムと北マリアナ群島の部隊移転に関する環境影響評価書」では、在沖海兵隊が司令部機能だけでなくヘリ部隊を含めて一体的に移転することを前提に、ヘリ基地の新設、アプラ軍港の増強、テニアン島の射撃訓練場の建設などを環境評価の対象としている。

●引き留めているのは日本?

 そうであれば、辺野古移転は何の必然性もない。防衛担当記者は、「米国側からすれば、日本が辺野古に基地を作ってくれるというのに断る理由はない。海兵隊がグアムに移れば、沖縄に残る陸軍が代わりに使えばいいだけのこと。『思いやり予算』がついてくる新基地をみすみす手放す必要はない」と同誌に語っているが、その通りで、日本が金を出してまで辺野古に居てくれと言うから、「そうまで仰るなら」と米国は辺野古移転に同意しているというのが実態である。

 本論説は11月19日付「普天間移転は見直しが当然」で、公開資料と若干のインフォーマル情報を元に、すでに発表・合意されている限りにおいても、これは主力の第3海兵師団がグアムに撤退して突端的な第31海兵遠征隊が(日本側の好意に甘えて)居残るということであって、日本政府が国民に印象づけたがっているように「司令部機能を中心とするごく一部のグアム撤退」ではないのでははないかと解析し、さらにそんな風に中途半端に遠征隊を残して、沖縄のキャンプと訓練場とヘリポート、岩国の戦闘機と空中給油機の基地、佐世保の艦艇基地を股裂き状態で運用しようとするよりも、全部をグアムに移転してまさに一体的に運用する方が米軍にとっても便利なのではないかと米国を説得すべきだ、という視点を提起しておいた。

 『週刊朝日』による宜野湾市長の指摘は、一部推測交じりだった本論説の主張を裏付けるもので、まことに心強い。

 米軍自身は、東アジアの戦略環境の変化(とりわけ朝鮮半島での大規模陸上戦闘の可能性の低減)、イラク・アフガニスタン両戦争の負担の増大、技術面のプロジェクション(遠隔投入)能力の向上などを背景に、日本と韓国に前進配備した軍隊を大幅に削減・撤退させようとしている。それがいわゆる「米軍再編計画」の本質である。韓国政府はそれに乗じて、陸軍師団を中心とする在韓米軍の撤退を視野に入れた「韓米同盟未来ビジョン」を提起して対米"対等"外交を実践しつつあるが、冷戦思考と対米従属根性を引き摺ったままの日本の外交・防衛官僚は、米軍が削減・撤退すれば日米同盟が弱まるという時代錯誤の危機感に囚われて、むしろ「思いやり予算をもっと出しますから」とか「辺野古に新しい基地を作りますから」とか言って、何とかして米軍を引き留めようとしているのである。

●核の傘を維持する工作

 1つの例は、青森県三沢の米空軍基地からのF-16戦闘機の撤退問題である。本論説が9月17日付「普天間基地のシュワブ移転は中止か?」で述べたように、米国は今年4月の段階で、三沢基地に配備しているF-16約40機をすべて早ければ年内に撤収させること、沖縄県嘉手納基地のF-15約50機の一部を削減させることを日本側に打診したが、これを報じた共同通信の表現によると、「日本側」は「北朝鮮情勢や在日米軍再編への影響を懸念し、いずれにも難色を示して保留状態」にした上で「日米同盟関係への影響などから秘匿性の極めて高い情報として封印」したという。「日本側」とは当時の麻生内閣ではなく、外交・防衛官僚であると見て間違いない。このようにして官僚が政治・外交を操ってきたのがこれまでである。なお、この嘉手納のF-15の一部削減とは半分の25機で、F-16が老朽化に伴って全面撤退した後に三沢に配備されるものであることが後に明らかになった。

 もう1つの例は、これも共同通信が11月24日に伝えた麻生政権下での対米「核の傘」堅持の要請である。「核なき世界」を目指すオバマ政権の下で急激な核兵器削減が始めるのではないかと危惧した米議会は、ペリー元国防長官ら有識者を集めて中期的な核戦略を検討する「戦略態勢委員会」を設置、同盟諸国の意見も聴取するなどして今年5月に報告書をまとめた。その中で、同委員会は2月末に在米日本大使館から意見聴取したが、日本側は「潜水艦発射の核巡航トマホークの退役は事前に協議してほしい」「核の傘の信頼性を高めるため、現在は米国が保有していない『低爆発力・地中貫通型の小型核』を開発・保有することが望ましい」などと申し出ていた。

 トマホークは2013年に退役することになっているが、米議会保守派はそれが核戦略を弱体化させるとして延期を求めている。日本大使館の言い分は、その主張におもねたもので、それがむしろ保守派の動きを勢いづける結果となった。「核なき世界」という目標を日米が共有する中で、しかし現実の問題として日米安保条約下での"核の傘"を日本自身の戦略問題としてどう考えるかを政権として検討した上で米国に意見を述べるのであれば(内容の是非はともかく)まだしも、恐らくこれは出先の大使館が本省と相談の上で勝手に意見具申したものに相違なく、ここにも官僚が政治を無視して国策を動かしている有様が現れている。

 こうした文脈で考えれば、普天間基地の辺野古移転案も、日本の官僚体制による米海兵隊の全面撤退計画に対する引き留め工作にすぎないことは明らかである。この問題こそ、外交・防衛政策における脱官僚主導体制の試金石であり、鳩山政権としては、あくまで海兵隊のグアムへの全面撤退を主張し、それが直ちに実現できない場合の緊急避難的な時限措置として、橋下徹大阪府知事が言い出している関西空港、鳩山の地元の苫小牧東地区などの「県外」、もしくは「県内」にはなるが嘉手納空軍基地への統合など、莫大な費用をかけずに、しかも自然環境を破壊せずに済む方策を見いだすべきである。▲

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