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INSIDER No.496《OZAWA》何が何でも“小沢潰し”に突き進む検察──西松事件冒頭陳述の異様

 19日に行われた西松建設事件の初公判での検察の冒頭陳述は、まるで同社が小沢事務所にのみ献金してきたかのような記述に終始し、その一点に絞って同社の国沢幹雄=元社長を政治資金規正法違反で起訴するという異様なものとなった。

 これについて、19日付読売は「当初、検察内部には『西松側の公判で、必要以上に小沢事務所がらみの立証を行うのは“欠席裁判”との批判を受けかねない』との慎重論もあったが、事件の全体像を示すことを優先したとみられる」と書いた。しかし、全体像というなら、これは小沢の秘書の裁判でなく西松建設の元社長の裁判なのだから、同社が自民党議員を含む政界全般に広く献金をバラ撒いて公共事業の受注を図ってきたかの全貌を描いて、検察の言うところの“悪質性”を際だたせるのが本当だろう。

 ところが冒陳は、2つの政治団体を通じた献金システムがあたかも小沢事務所の指示で、小沢のためだけに作られて、しかも「天の声」という言葉を躍らせて小沢事務所が岩手県や秋田県の工事受注について実質的な決定権を持っていたかの印象を与えるように腐心している。秘書逮捕以来の「政治捜査」批判に応えて、何が何でも小沢の悪党ぶりに世間の注目を集中させ、それを大久保裁判へと繋げていこうとする検察の執念が浮き出ている。

●大久保の弁護人の批判

 これに対して大久保被告の弁護人が次のような「所感」を発表したのは妥当と言える。

▼2政治団体による献金やパーティ券購入は、他の団体へのものも相当あるにもかかわらず、国沢氏の起訴は小沢氏側に対する献金だけに限られている。検察官がダミー団体による西松の献金と断じる多くの部分を不問に付し、特定分のみ起訴したことに正当な理由があるのか、先日報道された検察審査会の指摘にもあるが疑問と言わざるを得ない。

▼自民党関係の団体が西松関係の政治団体から献金を受けた事実について検察官は証拠が十分であるにもかかわらず、冒頭陳述で実態を明らかにしていない。結局、大久保氏を狙い撃ちにしたのは誰が見ても明らか。このような冒珍は大久保氏にとって欠席裁判に等しく、著しくバランスを欠き、到底容認できない。

▼検察官は特に岩手県下の公共事業について小沢事務所の意向に基づいて受注業者が決定されたなどと主張したが、一部の者の一方的供述に基づくものであり、その主張内容も極めて抽象的。大久保氏が具体的な工事で検察官の言う「決定的な影響力」をいつ、いかに行使したのか、そもそも「決定的な影響力」とは何か、まったく具体性を欠いている。大久保氏が受注者を決めていた事実は一切なく、大久保氏がこれに関する取り調べを受けたこともない。「決定的な影響力」を具体的に裏付ける証拠も何一つ出されていない。

 私が見渡した限りでは、この大久保の弁護人の所感要旨を詳しく載せたのは20日付毎日だけ。毎日はさらに同じ面で、(「これだけの証拠が出たのだから小沢は議員辞職するのが当然だ」との河上和雄=元地検特捜部長の談話と並べて)岩井奉信=日本大学法学部教授の次の談話を載せている。

▼検察側は、小沢事務所の要求に基づき国沢被告らが献金の流れを作ったことを強調しており、大久保被告の裁判の前哨戦のようだ。

▼東北地方の公共工事に対する小沢事務所の「天の声」は伝聞的な印象が強く、検証されているわけではない。検察側は「小沢事務所」と繰り返したが、秘書を指すのか小沢前代表なのかあいまいだ。結局は政治資金規正法違反事件であり、総選挙を控えた時期に、帳簿に記載されている「表の金」で強制捜査に及んだことは、やはり疑問だ。

 実際、建設業界の談合システムが“健在”だった時代でも、実質的な決定権を持っていたのは鹿島建設を頂点とする、それ専門に特化したプロフェッショナルたちのマフィア的組織であり、政治家がそれに「決定的な影響力」を持つということはなかったというのが常識である。多くの場合、有力政治家への献金は「挨拶料」のようなものであったし、また逆に資金集めを担当する秘書などが受注に影響力があるかのような口ぶりで献金額を増やさせるということも“営業方針”としてはあったわけで、その意味でこれは両者の「共同幻想」の上に成り立っていたという面がある。それを、個々の献金と口利きと受注のプロセスとして具体的に立証するのはかなり難しいことで、今回検察は、それについて西松側などの「自白」にのみ頼っていて大久保からは供述を引き出すことに失敗している。しかし、この裁判で西松側は容疑を認めていて争わない方針であるし、争うと言っても大久保は不在なので、実際には大久保裁判まで突っ込んだ議論は行われない。とすると、総選挙目前に、新聞がまた「天の声」と大見出しで報じて検察の言い分だけが世の中の印象として広まるという、鋭く政治的な検察の姿勢が浮き彫りとなった。

 もちろん、「共同幻想」に基づくものであるにせよ何にせよ、自民党的な献金システムを小沢が引きずっていたのは事実であり、ここで自己切開的にその実態を明らかにして、その返す刀で企業献金の全面禁止を訴えるのが潔く、この検察の政治的攻撃を跳ね返して総選挙を逆に有利に展開するための上策だと思うが、恐らく小沢は、大久保に対する検察冒陳が出るまでは口を開かないのかもしれない。▲

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コメント (2)

相変わらず鋭い切り口に、これこそジャーナリズムと感銘を受けます。

いったい検察の暴走はどこまで続くのでしょうか。

検察審査会指摘の無視も今に始まったことではありませんが(確か、指摘の受け入れは10分の1程度だったと思う)、それにしても、二階氏を不問にしたり、迂回献金が検証の必要もないほど明らかな森田健作氏や与謝野氏も不問というのは、そら恐ろしい。

真綿で首を絞めるように、「検察に睨まれたら最後」を印象付けます。これが先進国?法治国家?かと、愕然とします。そのことをほとんど問題視しないマスコミにも。良心も機能も失った日本のジャーナリズム界にあって、高野様は唯一信用できます。

それ故、圧力も相当なものがあり、「発言場の確保」と「毅然たる態度」の両立は至難の業かと思いますが、心ある国民は見ていますので、今の姿勢を貫いてください。ここに最低一人は応援する者がいます。

高野さんの発信を心待ちにして、毎日クリックしてますが、中々で…
お忙しい事は理解出来ますが、いろんなケースで“高野さんはどう言う見方だろう!”と思う訳です。
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