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INSIDER No.464《ASO CABINET》解散先送りで麻生内閣の漂流が始まる──その先に何があるのか?

 麻生太郎首相が11月30日投開票と目されていた解散・総選挙を来年1月以降に先延ばしする決断をしたのは、偏に、選挙で大敗を喫して民主党に政権を奪われ、在任僅か2カ月余にして首相官邸を明け渡さなければならなくなる事態を恐怖したからである。かといって、26日の自公党首会談で公明党の太田昭宏代表が麻生に直言したように、「先送りしても勝てる戦略がない」。たとえわずかな可能性であっても、その戦略があってそれに賭けるというのなら話が分からなくはないが、何もないのでは決断どころか単なる不決断にすぎない。

●民主党単独過半数の見通し

 決定的だったのは、自民党が24〜26日に行った9月下旬以来4回目の選挙区情勢調査で、自公両党の獲得予想議席が過去3回の調査に比べて一段と落ち込んで205議席程度、それに対して民主党は240議席以上で単独過半数を確保するという結果が出たことである。日本経済新聞30日付の報道によると、300小選挙区のうち自公両党が優勢な選挙区は120弱にとどまる一方、民主党は170弱で、比例代表を合わせた予想議席は自民党が約180、公明党が25前後で、民主党は240超と与党を大きく上回る。この結果は「首相をはじめごく一部の幹部に報告され」、「解散先送りの判断を後押ししたとみられる」と同紙は書いている。

 9月下旬の第1回調査では、与党は現有より約100議席減の230超の見通しだったのだから、麻生自身が一度は決意しかかったように、臨時国会冒頭で解散に踏み切っていれば、まだ血路を切り開く余地があった。が、内閣発足直後の支持率が思ったほど上がらなかったことに加えて、中山成彬=国土交通相のアホ発言による辞任騒動に気勢をそがれて、ためらってしまった。そこで次には、補正予算で景気対策を打ち出せば拍手喝采を浴びるだろうと「補正成立後」に焦点を定めたが、その途端に株価の記録的な大暴落が襲いかかって、またもタイミングを失した。そうなるともう11月30日投開票は無理で、追加経済対策の発表とそれに基づく第2次補正の景気対策と来年度予算案の策定を着々と進めて人気回復のきっかけを掴もうという姿勢に転じたのだったが、そもそも目先のバラマキ的な景気対策で人気を集められるという発想そのものが間違っていることに麻生は気付いていない。

●景気対策が焦点ではないだろう

 第1に、今起きているのは、根本的には、金融危機、すなわち実体経済の何十倍にも金融経済を膨張させることで米国への資金環流を掻き立てようとしてきた、巨大な「振り込め詐欺」のような米国流金融資本主義の破産であって、その金融経済の波に乗っておいしい思いをしてきたごく一部の人たちは直接的な打撃を受けるだろうが、そうでない大多数の人々にとっては、金融機関が慌てふためいて貸し渋りに走った結果として倒れなくてもいい企業が倒れるとか、対米輸出に頼っていた企業が売り先を失って立ち行かなくなるとかいったことを通じて間接的な影響を受けることがあるかもしれないという程度のことであって、政府から4人家族で6万4000円だかの「給付金」を受け取らなくては暮らせないほど逼迫している訳ではない。

 30日の麻生の追加経済対策発表でその給付金についてテレビの街頭インタビューで感想を求められた若い女性が、「えっ、お金くれるんですか。うれしーっ。だけどそれで政府の財政は大丈夫なんですか?」と、むしろ政府のほうを心配しているのが実状なのだ。

 ここで日本の総理として麻生が国民に向かって語るべきことがあるとすれば、例えばそれは……、

(1)way of lifeの問題——日本人は、金が金を呼ぶようなカジノ資本主義の道は採らず、コツコツと額に汗して本物の価値を生み出すために真面目に働くモノづくり資本主義で生きていく。それを兎と亀に喩えるなら、最後は亀が勝つという確信を持とう。
(2)ユーラシアへの視線——米国頼りでは21世紀を生き抜けない。中国、インド、ロシアそれにEUのユーラシア4極構造を骨格としたユーラシアに大繁栄の時代が訪れるだろう。日本のモノづくり資本主義の未来をそこと結びつけて行こう。
(3)技術と教育への投資——そのためには、日本のモノ作りの技術を高め、またそこへと人材を注ぎ込むような教育を充実させるような長期的な投資に力を注ごうではないか。

 といったことではないのだろうか。少なくとも人々は、漠然とではあるけれども、米帝国の崩壊の後にどんな世の中が来るのだろうか、そこでは相当程度に生き方・暮らしぶりに大きな変化が訪れるのではないだろうか、という予感を抱いていて、目先に消費できる現金をほしがっているわけではない。

 第2に、人々の不安と消費手控えの根源は、今使うべき金がないことではなくて、将来の年金・医療費負担の行方が見えないことにある。「社会保障は将来不安をなくすものなのに、逆に不安の種を蒔いている」(御手洗冨士夫=経団連会長)ことが問題で、その状況では、6万4000円とかのバラマキをしても、それがそのまま消費に回って景気を押し上げるかどうかは分からない——と言うか、むしろ貯蓄に回ってしまう可能性のほうが大きい。

 麻生が30日の会見で、将来の消費税値上げを明言したのは、バラマキ批判をかわす狙いからのことだが、これもただ「上げる」では不安材料になるだけで、法人税・所得税など直接税と消費税との直間比率を先進国型に組み替えることを含めた税体系全般の見直し、またそれと福祉・医療・教育負担のあり方とを包括した国民負担像を示さなければならない。展望も骨組みもなしに、思いつきの策を並べることをバラマキと言うのである。

●求心力を失って漂流へ

 こうして、「政局より景気」と言って打ち出した景気対策そのものが正しく方向付けられていないので、大した効果は上がらず、従って内閣支持率も回復しない。むしろ年末から来年にかけては、米金融危機は底が見えず、株価と為替もヒステリックに乱高下する中で、倒産・失業が増え、さらに3月末に向けてはCDS市場破綻などの影響で思いもよらぬ大企業の倒産が出る可能性もあり、いくら待ってもいいことは何もない。

 しかも、解散をしないことで与党内での麻生の求心力は失墜し、野党が一気に攻勢に転じて再び「ねじれ国会」の運営が困難さを増す中で、とうてい結束して突破していく態勢にはならない。実際、細田博之幹事長を筆頭に自民党の大勢は「もう勝手にしろ」という気分に陥っていて、先延ばしを喜んでいるのは自分が落選しそうな派閥ボス級のベテラン議員だけである。早期解散をあれほど強く求めていた公明党との亀裂は深く、選挙協力にも支障を来すことになろう。

 結局は、支持率がさらに下がり、国会の運営はうまく行かず、与党内はバラバラになるなど、今よりもっと悪い条件で追い込まれて解散・総選挙をやらざるを得なくなる公算が大きい。時期としては、

(1)クリスマス解散——第2次補正予算案を今国会に出す場合は、同案を成立させ、来年度予算案の編成を終えた12月下旬に解散、1月13日公示、25日投開票。ただし第2次補正成立に野党がすんなり協力するはずはないので、麻生としては補正成立なしで改選することは避けたい。逆に参院で補正審議が止まり、破れかぶれで解散に打って出るケースもないとは言えない。
(2)通常国会冒頭解散——1月下旬に招集される通常国会の冒頭に解散するというのは1つのタイミングだが、予算と関連法案の成立は大幅に遅れる。
(3)予算成立後解散——09年度予算を3月末までに成立させた直後、4月14日公示、26日投開票。ただ予算関連法案に衆院再議決が必要になると5月解散にズレ込んでいく。
(4)7月都議選とのダブル選挙——公明党は認めず、選挙協力はなしになる。
(5)任期満了選挙——そこまでとうてい麻生はもたない?

 といろいろあり得るが、先になるほど麻生が主導的に解散を打つ力は弱まっていくだろう。1月を超えると、与党内から麻生下ろしの動きが始まるのではないか。▲

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