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INSIDER No.461《ASO CABINET》福田ほどにも追い風が吹かない麻生内閣の出発──それでも11月総選挙に賭ける政権の命運

 25日に麻生太郎内閣が発足し、まだ何もしていないうちに世論調査をするのも酷だとは思うが、27日付各紙が申し合わせたように一斉に発表した新内閣支持率は、ほどほどというか、「う〜ん、まあ、こんなものか」という結果でしかなかった。

    麻生内閣     | 支持率 前・前々比較
    支持率 不支持率 | 福田初 安倍初
-------------------------------------------------------
朝日  48   36    | 53   63
毎日  45   26    | 57   67
読売  49.5  33.4   | 57.5  70.3
日経  53   40    | 59   71

    政党支持率 | 勝たせたい党 | 党首人気
    自民 民主 | 自民 民主  | 麻生 小沢
-------------------------------------------------------
朝日  34  23  | 36  32   |
毎日  28  22  | 41  37   | 42  19
読売  37.4 22.8 | 37  30   | 53.6 25.9
日経  41  31  | 36  33   |

 発足時の支持率としては、幻想混じりのブーム高揚の中で登場した安倍には及ばなくとも、その安倍末期よりかはマシかという程度の期待度だった福田は上回りたい、というのが麻生のホンネだったろう。しかし結果は、各紙共通して福田発足時を下回り、最近歴代では、密室談合で政権を受け継いだ森を上回るにとどまった。発足時の不支持率を見ても、例えば日経では、安倍17、福田27、麻生40で、麻生が突出的に高く、初めから期待していない人が極めて多いことが分かる。

●総裁選へのシラケた気分

「賑やかに総裁選をやってほしい」というほとんど唯一の遺言を残して福田康夫前首相が辞意表明した後、真っ先に手を挙げた麻生としては、その総裁選を大いに盛り上げる中で圧倒的にトップ当選を果たして国民的な“麻生ブーム”を巻き起こし、その勢いに乗って臨時国会冒頭解散に打って出るというのがベスト・シナリオだったろう。しかし、総裁選は思いのほか盛り上がらず、むしろ世界的金融危機や国民の不満鬱積の中で5人が本当のところ何を競っているのかも定かでないまま同じバスに乗って手を振っている緊張感のない姿は人々をシラケさせるに十分で、それを反映して、地方の党員・党友による予備投票は投票率が53.9%、つまり党員・党友でさえ新総裁選びに関心を持たないという異常事態となった。これでは、形の上では麻生圧勝となったものの、ブームが起こらないは当然で、その時点で早くもベスト・シナリオは消えた。

 この総裁選が国民にも党員にも真面目なものと受け止められなかった最大の要因は、本誌No.459で指摘したように、自民党政権が2度に渡って1年で崩壊するという前代未聞の連続スキャンダルと、しかもそれが単に個人の資質の問題でなく自民党そのものの構造的劣化の問題であることについて、麻生はもちろん他の4人も一言も触れずに通り過ぎようとしたことにある。21日のサンデー・プロジェクトで私がそれを問うた時、麻生は「1人目の方は病気ということがあったんで別だが、2人目の方は、大連立のことで(小沢一郎に)裏切られ、日銀総裁人事で反対され、誰と話をしたらいいか分からなくなって、だんだんやる気をなくしていった」などと、まるで民主党の我が儘がいけなかったかのような幼稚極まりないことを言っていた。毎日新聞の川柳欄に「小沢がネお手々つないでくれないの」というのがあったが、麻生までがこんな程度のことを言っているのでは国民に馬鹿にされても仕方がない。

 しかも、麻生は安倍辞任の時も福田辞任の時もNo.2の幹事長であって、その大失態に責任の半分を負うべき立場にありながら、お詫びも反省もなく、真っ先に次の候補に手を挙げる有様で、野中広務が17日付毎日新聞のインタビューで指摘したように「幹事長の職務が分かっていない」。

 25日付毎日のコラムで与良正男もこう指摘する。「2人ともほとんど誰にも相談せずに辞任表明した。……首相が1人で勝手に悩み、勝手に辞めてしまっても、その首相を選んだ人たちからは『責任を感じる』といった言葉は聞かれない。もう過去の話とばかりに『さあ、次は誰が首相なら自分の選挙に有利か』と走り始めるのだ」と。

 これでは、国民が麻生に対して「2度あることは3度ある」かもしれないと不安を抱くのも当然である。麻生ブームは起こりようもなかった。

●それでも麻生の“顔”で勝負?

 それでも自民党は、あたかも麻生ブームが起きているかのようなつもりで、麻生の“顔”を前面に押し出して選挙に立ち向かわざるを得ない。上述の世論調査で、「比例区でどの党に投票するか」あるいは「総選挙でどの党に勝たせたいか」という問いに、久方ぶりに自民が民主を上回るスコアを得たこと、その要因の1つとして考えられるのがブームとは言えないもののそこそこの麻生人気で、その証拠に「次の首相として誰がふさわしいか」の問いに、読売でも毎日でも麻生がダブルスコアで小沢を引き離していることは、多少はご祝儀分が混じっていたとしても、自民党にとって救いである。

 新任の河村建夫官房長官は「総選挙は次の総理を選ぶ選挙。『麻生を選ぶのか小沢を選ぶのか』という戦略を立てていたところだから、その方向で進んでいく」と語った。その心は、小沢が専ら「誰がなっても自民党は同じ。自民党政権では世の中変わらない。政権交代こそが必要」と、自民党を選ぶのか民主党を選ぶのかと訴え、ほとほと自民党にあきれ果てている長年の自民党支持層にも一定の共感を引き起こしていることへの対抗である。「ここはもう自民党はいったん野党になって出直すしかないんじゃないか」という心情の広がりに歯止めをかけるには、「いや、麻生で自民党は変わったんだ」という強烈な印象を作り出さなければならないが、それには麻生は、人間的には個性的だが政策的には平凡というより反改革という意味では後ろ向きで、この戦略もなかなか思うに任せない。

 人格的には、確かに、麻生の軽快・饒舌に対して小沢の鈍重・口下手という対照が成り立って、それはメディア時代の選挙には有利に働くかもしれないが、裏返せば、麻生のどこまで真面目なのかと疑わせるほどの軽さやそれゆえの失言癖と、小沢の愚鈍なまでに本筋だけを訴え続ける生真面目さと重厚さというコントラストに転化しかねない。いつもは自民党機関紙のような読売が今回珍しく麻生に辛口で、25日付1面の橋本五郎特別編集委員の「拝啓麻生太郎様」というコラムは、祖父=吉田茂にも数々の失言が残っているが「問題は質です。吉田の失言にはある種の信念、確信がありました。麻生さんの失言には『軽さ』が目立ちます。失言にも器量が出てくるのです。『たかが失言』ではありません。言葉の重みがなくなり、政治への信頼が一気になくなります」と、早々と麻生が失言でコケる危険に言及しているのが面白い。

 党・内閣人事の1つの特徴も、麻生の際だたせで、総理を支える両輪となる官房長官には河村、党幹事長には細田博之と、いずれも声の大きくない実務型の人物を据えて麻生が食われないよう配慮してある。

●「小泉改革」への死刑宣告

 政策面での最大特徴は、「小泉改革」の完全終息宣言である。とりわけそれは、積極的な財政出動で思い切った景気対策をと一貫して主張してきたこと、その考えを共有する同志=中川昭一を財務相に据えたばかりか、何と、小泉以前からの改革の原点である「財金分離」を否定して、彼に金融相をも兼任させたことに、はっきりと現れている。

 財金分離については、日銀総裁人事の迷走との関わりで本誌NO.432でも詳しく述べているが、まさに明治以来百数十年に及ぶこの国の発展途上国型の官僚専横体制の頂点に立つ旧大蔵省権力を真っ二つに断ち割って、官僚の政治に対する支配を打破していこうとする決定的な第一歩だったのであり、それを麻生が「世界中で金融危機対応を検討する時に、日本の財務相だけが金融に関係していないのは機能的でない」などという理由でなし崩しにしようとしているのは、改革そのものを正面から否定しているに等しい。象徴的には、橋本行革から始まって小泉改革に受け継がれた自民党政権によるそれなりの「改革」は、この一事を以て終わるのであり、それを見て小泉純一郎元首相が「もはやこれまで」と思い、今期限りで国会を離れることを決めたのも、大いに理解できることである。

 時代の課題、従って総選挙の「本当の争点」は、NO.459で述べたように、過去百数十年の惰性としての官僚支配に対する全線に渡る対決である。麻生は、それはやらないと宣言し、小沢はそれをこそやるために政権を手に入れると決意している。そこが争点であることを国民が見定めれば、この選挙は、官僚と戦えそうにない自民党か、官僚と戦えるかもしれない民主党かという選択となる。補正予算審議は、その対立構図を具体的な問題を通じて国民に分かりやすく理解して貰う絶好の機会となろう。それに成功すれば、民主党の地滑り的勝利も夢ではなくなるだろう。▲

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