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INSIDER No.455《ELECTION》200議席割れ確実な自民党──それでも早期解散に追い込まれる?福田グズ内閣

 内閣改造も、臨時国会召集も、何をやってもスパッと決められないのが福田内閣で、自民党内からさえも「グズ内閣」という酷評が出始めている。

 政治には勢いが必要で、どうせやらなければならないことは遅滞なく片付けて前へ進む、要所要所で分かりやすい鮮やかなメッセージを発して方向感覚を是正する、時には政界ばかりでなく世の中の機先を制して思い切った決断に出て求心力を高める——といったことを節目ごとに演出して局面転換を図ることなしには、政局の流れを作り出すことが出来ない。小泉内閣は逆にはったりばかりの過剰演出に溺れて中身が伴わない傾きがあったし、安部内閣は小泉を半端に真似しようとして自滅した。それに対する反動からなのか、人柄ゆえなのか、しゃべり方が悪いのか、福田康夫首相にはその要素が絶無で、登場以来一貫して「何をしたいのか分からない」と言われ続けてきたが、洞爺湖サミットでの発信不発、それを挽回するための内閣改造もやるのかやらないのかハッキリしないまま先延ばしした挙げ句にズッコケ人事、秋の国会の日程も自民党内および公明党の思惑の錯綜を様子見ばかりしてなかなか決められず、とうとうグズ内閣とまで言われるようになった。北京五輪の日本の成績は全体として曇り時々晴れのようなスッキリしない結果となったが、思えばこれも、日本代表団に対して福田が「せいぜい頑張って下さい」という、何とも心のこもらない激励(なのか?あれが!)の仕方をしたことが大きな原因ではないか。リーダーがグズだと日本中がグズグズになってしまう。

●心中回避を決断した?公明党

 福田は秋の臨時国会で、(1)インド洋への海上自衛隊派遣を延長する新テロ特措法改正、(2)消費者庁の設置、(3)景気対策のための補正予算を、その優先順位で実現して政権浮揚のきっかけを掴みたいと考えてきた。それには、国会を8月下旬に召集して会期をたっぷりとらなければならず、とりわけ新テロ特措法改正案が参院で否決されることが確実で、何が何でも通すには「60日ルール」を使って衆院で3分の2で再可決しなければならないことを思えば、なおさら日程に余裕が必要で、8月下旬がダメでもせめて9月上旬、ギリギリで9月中旬の前半(月半ば)の召集で最低80日程度の会期を確保することが必須となる。

 ところがこれに真っ向から異を唱えたのが公明党で、「9月下旬召集、会期幅は60日程度」と主張して今なお譲らない。ということは、新テロ特措法改正案は通らなくても構わないということで、7月の日米首脳会談で同法延長を対米公約してしまっている福田へのあからさまな造反である。伊吹文明前幹事長は福田の立場に立って公明党を説得しようとしていたが、彼が閣内に去って後を襲った麻生太郎は、どちらかと言えば公明党に同情的で、召集日について「9月21日過ぎからというのも1つの選択肢だ」などと平気で発言している。福田と町村信孝官房長官は22日、麻生と大島理森国対委員長を官邸に呼んで「会期を早急に決めろ」「公明党の言う日程では、補正予算案だけ処理して、消費者庁の設置法案もインド洋給油活動の延長もやらないと宣言するに等しい。国政怠慢のそしりを免れない」(町村)と怒ったが、麻生・大島は公明党を説得しきる覚悟を示さなかった。

 公明党がここまで強硬態度を採るのは、第1に、同党の支持母体である創価学会には元々インド洋への海上自衛隊派遣に反対する空気が強く、これを昨秋に続いてまたもや3分の2で再可決を強行したのでは、総選挙や来年6月末ないし7月の都議選を戦えないという判断があるからである。

 第2に、その総選挙について同党は年末ないし年始と決めていて、太田昭宏代表はテレビで「年末・年始は一番最初に出てくる選択肢だ」と明言している。というのも、都議選は創価学会の政治進出の第一歩となった公明党にとっての原点であることに加えて、イシハラ銀行の乱脈への自公両党都議の関与問題や築地魚市場の移転強行などでかつてなく苦しい選挙になることが必至で、そのため同党はこれまで以上に活動家・支持者を全国から東京に集中させる態勢をとろうとしている。学会員に住民票を移動させて東京で票を増やす作戦を採れば、前後3カ月ずつ——つまり4月初から9月の任期切れまでの間に総選挙が行われることは避けたい。となると、古賀誠自民党選対委員長が最近言っているような「7月都議選後の総選挙」はありえず、福田の胸の内にあると言われる予算案通過後の「4月総選挙」もありえず、それ以前の2〜3月の予算審議中の解散は常識的にあり得ないから、どうしても年末ないし1月ということになる。となると、新テロ特措法改正案の再可決直後の総選挙ということになって非常に戦いにくくなるので、同改正案は捨てる。

 もちろん自民党としては、新テロ特措法そのままの延長でなく、新しい内容を付加するとか、自衛隊海外派遣の恒久法に切り替えるとかして、民主党の協力と世論の納得を取り付けるという方策はありえなくはないが、その新しい内容が麻生が言うような「タンカー警備」というトンチンカンなものでは到底成功しない。

 第3に、公明党が会期短縮を望む理由の1つには、矢野絢也元公明党委員長の国会喚問を通じて矢野が創価学会から脅迫と誹謗中傷を受けたとして訴訟を起こしている一件が大きくクローズアップされ、それが池田大作創価学会名誉会長の喚問に道を開くようなことになることを恐れていることもある。

 第4に、大きな背景事情として、公明党はすでに福田を見限っていて、福田と心中することだけは避けたいと考えているということがある。自公連立の9年間を通じて、公明党は「イヤよイヤよ」と言いながら結局は自民党に妥協して付き従い続けてきて、「公明党は自民党の下駄の雪か」とまで言われてきたが、いよいよ民主党に政権を奪われて野党に転落するかどうかの正念場を迎えて、さすがに自民党と一定の距離を置かざるを得なくなってきた。恐らく公明党首脳の心中は、(1)福田が臨時国会で景気対策だけやってサッサと解散・総選挙を打つならそれはそれでやむを得ないが、(2)新テロ特措法が延長できないなど政局が行き詰まって福田辞任、麻生の手で総選挙ということになればその方がまだマシだ、(3)それで与党が負けても、今から自民党との距離を置いていれば、民主党との連立に道が開けるかもしれない、ということだろう。もっとも、私の見るところ(3)の可能性は絶無で、結局、公明党にとっては福田と麻生とどちらで総選挙を迎えるのが打撃が少ないかという負の選択しか残されていないのだが。

 自民党がこうした公明党に強い態度で立ち向かえないのは、自民党参院のドン=青木幹雄元参院議員会長が言うように「いまや自民党に公明党・創価学会の協力なしに勝てる議員はほとんどいない」、つまりこの9年間に自民党は完全に創価学会中毒に侵されてしまって、自公協力なしには選挙を戦えない体質になってしまっているからである。私が「インサイダー」等で度々指摘してきたように、選挙を通じての正々堂々の政権交代が可能になる政治風土の醸成をめざして93年に小選挙区制の導入が決まり、翌94年に細川政権の下でそのための法案が成立して以降、自民党は、野党がテンデンバラバラに離合集散を繰り返している状況を利用して、あれこれの政党を連立に引き込んでは食い殺すというやり方で政権交代を防いできた。社会党、さきがけ、自由党、保守党がそのようにして次々に消滅して、最後に残ったのが公明党であり、しかしこればかりは簡単に食い殺されず、逆に自民党の方が体質がボロボロになって破滅に陥るかもしれない、と。今始まっているのはまさにそのような自公連立の終わりをめぐってどちらがより少ないダメージで生き残るかの暗闘であるけれども、今や自公連立=選挙協力の解消は、公明党にとっては、連立していればこそ唯一の“中政党”として振る舞えている同党が共産党か社民党並みの“小政党”になることを覚悟すればいいだけの話だが、自民党にとっては、他の伝統的な支持団体が壊滅状態に陥っている中で最後のほとんど唯一の支持団体である創価学会を失って文字通り壊滅的な打撃を被って当分は立ち直れないほどになる危険がある。そのために自民党はひたすら受け身に回るしかなく、ジリジリとやりたくもない年末・年始総選挙の方向に追い込まれ始めているのである。

●今の時点で総選挙をやれば

 こうした中で、週刊誌は恒例の「衆院全選挙区当落予測」を出し始めている。『週刊朝日』8月22日号の福岡政行白鴎大学教授の予測と『週刊文春』8月28日号の宮川隆義政治広報センター社長の予測を比較すると次のようになる(*福岡は無所属を与党系と野党系に分けている)。

現有勢力 予測議席数
選 比 計 選挙区 比例区 計

自民 229 76 305 福 133±8 56±5  189±13
宮 142+113−63 56+6−1 198

公明 8 23 31 福 5+3−1 22+1−2 27+4−3
宮 6+2−1 24±1 30

無所属* 1 1 2 福 0+1 − 0+1

与党小計 238 100 305 福 138+12−9 78+5−6 216+17−15
宮 148+115−64 80+7−2 228

民主 54 60 114 福 147±12 79±5 226±17
宮 141+61−110 84+1−7 225

社民 1 6 7 福 2±1 5±1 7±2
宮 2+1−2 5+1 7

国民 2 2 4 福 3+2−1 4+2−1 7+4−2
宮 2±1 0 2

大地 0 1 1 福 0 1 1
宮 0 1 1

日本 0 0 0 福 0+1 1+2 1+3
宮 0 1+1 1

無所属 5 2 7 福 10−4 − 10−4
宮 7+3−4   0 7

共産 0 9 9 福 0+1 12+1−3 12+2−3
宮 0 9+1−2 9

野党小計 62 80 142 福 162+9−12 102+6−5 264+15−17
宮 152+66−117 100+4−9 252

合計 300 180 480 300 180 480

 分析手法の違いはあるが、結論は似たようなもので、自民党は現有の305議席に対して100以上減らして200議席を割る大敗となって、30程度の公明党と合わせても過半数に達せず、他方民主党は現有114に対して100以上増やす大勝をするものの単独では過半数に達しない、ということである。

 もちろんこれは、現時点での話で、実際に総選挙が行われるまでにはいろいろな変数がある。政策的な要因としては、第1に、月末にも概要が発表される景気対策とその実体化のための補正予算および来年度予算の編成がどれほど与党にとって効果を発揮するか、またそれとの関連で消費税アップを含む税制改正の方向付けがどうなるか。第2に、国民の怒りの元である年金崩壊、後期高齢者医療制度の修正もしくは廃止、原油・食料高騰対策などについてどれだけ説得的な施策を打ち出せるか。第3に、「消費者庁」設置が目玉となるか。第4に、新テロ特措法を再可決強行なしに延長できるか……等々。消費者庁については、(1)各省庁にバラバラに設けられている消費者対策の担当部局が実は統廃合も人員削減もされず、消費者庁は単に屋上屋を重ねただけの存在に終わるのではないか、(2)決定的に重要なのは市町村レベルの現場の相談窓口の人員と予算の充実、中央省庁の出先機関の無能と怠慢を飛び越えて政府が直接、迅速な判断を下し対策を講じる体制作りだが、地方への補助金を多少増やす程度のことでお茶をにごそうとしているのではないか、といった疑念が湧いている。野党がこれらの点を徹底的に追及した場合、政府法案は成立しない可能性もある。消費者庁設置が通らず、新テロ特措法も延長できなければ、その時点で福田辞任もあり得る。

 政治的な変動要因としては、第1に、自民党支持層の間の“反自民”感情がどれほどかが計測できないことがある。小泉純一郎元首相は8月14日に開かれた衆院当選1回組の懇親会で「どんな言葉を使っても『民主党に一度やらせてみたら』という言葉を覆すことは出来ない。この重みは凄いぞ。今回は自民党に頼らず、自分党で選挙をやれ」と語ったが、事実、一度政権交代をしないと自民党は治らないと思っている人は自民党支持層の中で驚くほど増えていて、それが実際に選挙にどう現れるかはあらゆる専門家の予想を超えるものがある。第2に、自公選挙協力がどこまで効果を発揮するかは、これまでの実績からは予測できない。形だけは協力体制をとるが実際にはそれほど動かないといったケースが続出するのではないか。第3に、民主党の選挙態勢は、まだ候補者未定の選挙区が残るなど、遅れていて、これがどこまで進むか、など。

 この秋の展開次第では、福岡や宮川が今予測するよりもさらに激しい変動が起きる可能性もあると見るべきだろう。▲

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