Calendar

2008年5月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31

Recent Entries

Recent Comments

« INSIDER No.438《KAMOGAWA DIARY 3》鴨川田舎暮らし絵日記・その3
メイン
INSIDER No.440《CASINO CAPITALISM》欧州でサブプライム損失がさらに拡大──米国は病気を自分で治せるのか? »

INSIDER No.439《KOUKI-KOREISHA》岩見隆夫が本気で怒っている!──後期高齢者医療制度は廃止すべきだ

 岩見隆夫さんが本気で怒っている。24日付毎日新聞の「近聞遠見」は「当コラムがスタートして約19年になるが、憤りをこめて書くのは今回が初めてである」と尋常ならざる書き出しで始まって、さらにこう書き継いでいる。「こんな情けない政治を目のあたりにしようとは、思いもよらなかった」と。

●ぬくもりのない福田政治

 何のことかと思えば、テレビ番組で後期高齢者医療制度をめぐって自民党議員と何度もやりあって、その息子のような年齢の若造議員の態度に腹を据えかねたということらしい。岩見さんが「この差別的な制度は、高齢者の琴線に触れた。政治の重大な失敗だ。戦後最悪の下策、止めてやり直すしかない」と主張したのに対し、議員は「感情論でしょう」と反論した。「もちろん感情論だよ。感情がいちばん大事なんだ」と答えたが、その感情とは情の大切さのことで、何を大事に思うかの感性の問題だ、と彼は書いている。

「福田は制度の本質を直視していない。あるいは直視するのを逡巡している。……国づくりの基本は最大多数の最大幸福を目指す<ぬくもり>ではないか。いかに制度論として理屈が通っていても、人生の最後のコーナーを力走中の75歳以上を隔離する無神経と非情は許せない。民主党の最高顧問、きょう76歳の誕生日を迎えた渡部恒三の『あなたはこの世に必要ない、生きているのが迷惑だと言われたみたいで不愉快、ゼニ・カネでなく、心の問題だ』という怒りは核心を突いている」と、まさに怒髪天をつく勢いである。

 中曽根康弘元首相も23日に収録したTBS番組で「愛情の抜けたやり方に老人が全部反発している。至急、元に戻して考え直す姿勢をはっきり示す必要がある」と語っている。

●制度設計が間違っている

 さんざん指摘されてきたことだが、「後期高齢者」という言い方にすでに、「75歳以上の高齢者なぞ病院の待合室をサロン代わりにする役立たずばかりだ。自己負担させればさすがに目が覚めて無駄な病院通いを止めるだろう」という厚生労働省官僚の老人に対する酷薄非情な侮蔑感が集中的に表現されている。しかも、それでいて実は新制度には、医療費の無駄を抑制するメカニズムが埋め込まれていない。

 小林慶一郎=経済産業研究所上席研究員は24日付朝日新聞「けいざいノート」欄で書いている。
▼無駄を少なくする最も簡単で効果的な方法は、患者(あるいはその家族)の自己負担を増やすことで、それは新制度を作らなくても、もっと簡単にできたはずだ。高齢者の患者の窓口負担を現行よりも上げればよかったのである。
▼だが新制度では、高齢者の患者負担は現行制度に比べてほとんど増えていない。一方、保険料は医者に行くかどうかにかかわりなく取られる。インセンティブの経済学を間違って理解した制度設計ではないか。「高齢者に集団として医療費の負担を感じてもらえば、無駄な医療費を使わないようになるだろう」という考えが背景にあったとすれば、完全に間違っている。
▼高齢者が、集団としてではなく自分個人の医療費を負担するなら、損しないために、無駄な医療を受けないように行動する(スポーツなど体調維持にお金をもっと使うかもしれない)。その結果、国全体の医療費も抑制されることになる。しかし、保険料は医者に行くか行かないかという選択の自由に関係なく徴収されるものである。そこには自発的に無駄な医療を受診しないようにしよう、と高齢者に考えさせるメカニズムが何もない。
▼むしろ、新制度は一部の高齢者の負担を増やし、生活を圧迫し、必要な医療を受けることをあきらめさせるようなことにならないだろうか。

 なるほど重要な指摘で目から鱗の感がある。老人は75歳以上の「集団」としてひとくくりにされ、「お前ら、みんな病院をサロン代わりにしているような輩だろう。罰として全員に自己負担させるぞ」という扱いをされたことに怒っているのである。確かにそういうけしからん輩も一部にはいるのだろうが、しかしそれは基本的には、地域コミュニティが崩壊した中での独居老人などの孤独をどう救うことが出来るかという問題であって、医療費に罰則的な意味を持たせることで解決することではない。他方では、渡部や中曽根や、もうじき「後期」入りする岩見さんのように、サロン代わりに病院に行こうなどと考えたこともない元気な老人がたくさんいて、彼らはその輩と同一視され厄介者扱いされたことに深く傷ついている。集団でなく個人として自己負担させるのであれば(もちろん低所得者には減免措置を講じるとして)、確実に無駄な医療費は減る。

 解決策は簡単で、まず野党が出した廃止法案に中曽根ら自民党の一部も賛成してひとまずは元の制度に戻して、小林の言うように、単に窓口負担を増やせばいい。新聞は盛んに、野党が廃止だけ求めて代案を出していないと非難しているが、一旦は元に戻して老人の意見を聞いてよく考えればいいのではないか。▲

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.the-journal.jp/mt/mt-tb.cgi/543

Profile

現在、INSIDERニュースレターの内容は、ご覧の《THE JOURNAL》内でブログの形で公開されております。
誰でも無料で閲覧し、またそれについて感想や意見を書き込むことが出来るようになっておりますが、従来通り、お手元に電子(Eメール)版配信もしくは印刷版郵送の形で講読を希望される方は、引き続きEメール版:年間6,300円(税込)、ペーパー(紙)版:年間12,600円(税込)をお支払いください。[法人購読の場合は年間105,000円(税込)になります]
ウェブ上で無料で閲覧できるものが、Eメール版・ペーパー(紙)版が有料なのはどういうわけだと思われるかもしれませんが、後者の場合、読者名簿管理と請求の事務、配信と郵送の手間が必要であり、とりわけ印刷版の場合は紙代、封筒代、印刷代、郵便代のほか宛名を印刷して封筒に貼り、印刷されたものを三つ折りして封入し、糊付けし、紐で束ねて郵便局に運び込むのに膨大な手間とコストがかかっていることをご理解下さい。
また、無料で閲覧できるならそちらに切り替えたいという方もおられると思いますが、残余の購読期間は引き続きEメール版もしくはペーパー(紙)版を配信させて頂き、購読料を途中返還することは致しませんのでご了解下さい。

BookMarks

TOKYO KALEIDO SCOOP
http://www.smn.co.jp/

INSIDER(インサイダー)
http://www.smn.co.jp/insider/

→ブック・こもんず←



当サイトに掲載されている写真・文章・画像の無断使用及び転載を禁じます。
Copyright (C) 2008 THE JOURNAL All Rights Reserved.