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INSIDER No.392《COUNTRY LIFE》半農牧半電脳生活の根拠地としての書斎──安房鴨川に移住して田舎暮らしを始めるの記・3

 私が始めつつあるのは、「半農半X」の自分流の形としての「半農牧半電脳」の暮らしである。「農」とは、ここから車で5〜6分の距離にある農事組合法人・鴨川自然王国でこの十数年来取り組んできた米作りを中心とした農作業や都市農村交流の活動を続けつつ、自分でも家の脇に小さな畑を作って自給自足度を高めることである。「牧」とは、いずれここで馬を飼って周辺の山々を乗り回し、あるいは近所の居酒屋に乗り付けたいという夢である。帰りは、眠りこけても落ちさえしなければ馬が家まで連れて帰ってくれるはずだ。馬は道路交通法上、軽車両扱いなので、厳密には酒酔い運転になるが、今まで馬で検問に引っかかった事例は聞いたことがない。とはいえこれは、私が全国を飛び回って月の半分も留守にしているようでは馬の世話が出来ないので、もう少し落ち着いてここで過ごせるようになってから実現を図る。

 「電脳」とは、言うまでもなく、ネットを通じて連絡しあったり、調べ物をしたり、原稿を書いて送ったりして仕事をすることで、この僻地には光ファイバーが届く予定は全くの未定なのが残念だが、基地局が近いのでADSLでもさほど回線速度に不満を感じることはない。テレビがすべて光ファイバー回線に収まってしまい、地デジだBSだスカパーだといちいちアンテナとチューナーを買いそろえなくてもいい時代が来るには、まだ3〜5年はかかるだろうから、それまでにはいくら何でもここにも光ファイバーが届くと思いたい。ちなみにここは、地デジ以前の地上波アナログの段階ですでに僻地で、地上波テレビを見るにも、勝浦にある局からUHFで送信される地アナを村の共同組合のアンテナで受けてそれを有線で自宅まで引かなければならず、その組合加入料と工事費が30万円ほどかかる。地上波を見るのにですよ! それでその勝浦の局が地デジ対応になると、また負担金を取られる羽目になる公算が大きい。しかもそれではBSデジタルは見られないから、それは別途にアンテナを立てなければならない。テレビを見るにも田舎では手間も金もかかるのだ。

 この半農牧半電脳的生活が成り立つのは、電脳で仕事が出来るからで、その根拠地としての書斎は、機能的合理性と環境的快適性に徹底的にこだわって当たり前である。

▲書斎からの清澄山系の眺め(画像略)

 家の北東の角に位置する書斎は6畳で、北に面した長辺に長さ約350センチ、奥行き58センチ、厚さ6センチの集成材のデスクが据え付けてある。その正面=北面と右側=東面にはそれぞれ幅133センチの嵌め殺し窓と45センチの片開き風通し窓があるので、椅子に座った位置からは約180度の緑の景観が目に入る。北に見えるのは、房総産地の中心部である清澄山系の山並みで、広葉樹にところどころ竹と杉が混じるその山々は、朝は右=東、夕は左=西から陽が差してそれぞれに異なる陰影と色合いを見せ、昼間は後ろ=南からの陽を受けて緑が映える。パソコン画面を1時間見つめたら10分間は遠くの緑を眺めて目を休めなさいとよく言われるが、まさにそれにピッタリの贅沢な眺望である。窓際には、Nikonの双眼鏡も置いてあって、面白い形の木を探したり、下の街道沿いにある大山小学校の校庭で遊ぶ子供らを観察したりしてしばし遊ぶことが出来る。

t070520.jpg

 その細長いデスクの、窓から山がよく見える位置に設置してあるのは、

▼パソコン本体:Apple/Mac mini/1.83GHz Intel Core Duo/80GB harddrive/1GB memory
▼キーボード&マウス:Apple/純正Wireless Keyboard(US)& Mighty Mouse
▼モニター  :EIZO/19インチ液晶モニターFlexScan LCDS1931-SE
▼スピーカー :BOSE/Micro Music Monitor M3
▼音源    :Apple/iPod & iPod Universal Dock
▼電気スタンド:三菱電機/精密作業用蛍光灯スタンドBS0002WCH
▼プリンター :Brother/薄型複合機MFC-630CDW
▼椅子    :Herman Miller/AeronchairAE123AFB

 このうち主要な構成要素であるApple、EIZO、BOSEに共通する特徴があるのにお気づきだろうか。家電量販店では売らない、もしくは売っていても原則としてほとんど値引きをしない、ということである。これについては後で触れる。

●EIZOの液晶モニター

 電脳道具群の中核は、EIZOのモニターである。EIZOは、一般にはそれほど知られているとは言えないが、世界中のデザイナー、写真家、印刷業者など厳密な色扱いをしなければならないプロフェッショナルたちや凝り性の電脳マニアの間では超有名なブランドで、作っているのは石川県白山市(旧松任市)に本拠を置く(株)ナナオである。ナナオは、68年創業のモニター専門メーカーで、CRTモニターを作っている頃から品質に定評があり、欧州市場を中心にEIZOブランドで知られるようになった後に、それを日本に逆輸入。さらに97年からは液晶モニターを手掛けて、その精密な色調整の技術でたちまち世界最先端に躍り出た、典型的なローカルなハイテク中堅企業の1つである。

 私は、MS-DOSマシン+CRTモニターの時代に秋葉原で実際に画面を見比べてナナオのモニターを買って事務所で使っていたことがあり、その丁寧な色作りについては知っていた。が、この15年ほどはPowerBookやiBOOKなどMacの携帯パソコン1台を持ち歩いて家でも事務所でも旅先でも用を済ませているので、外付けのモニターに関心はなく、今度の引っ越しに当たっても、これを機にIntel Macの携帯型MacBookを買おうと心に決めていた。ところが、今年2月のある日、何の気なしに立ち寄った秋葉原のLAOXのMac館(今はなくなって隣の本館3階に移った)で、Mac本体にApple純正(と言っても台湾かどこかのメーカーのOEMだろうが)のモニターとEIZOのモニターと両方を並べて接続して、比較できるように展示してあるのを見て、その違いに愕然とした。EIZOのほうが文字や画像の細かいところまでくっきりとして鮮明で、それでいて全体としての色調は柔らかくナチュラルなのだ。「えーっ、こんな綺麗なモニターがあるんなら、MacBookはやめてMac miniにしてこれに繋ぐのもいいかもしれないなあ」などと思いながら、それがEIZOであることも、EIZOがナナオのブランド名であることもよく認識しないまま、置いてあったパンフレットをバッグに無造作に突っ込んで店を出た。それから2つ3つ用を足して、夕方に少し時間が合ったので新橋駅前でコーヒーを飲んだときに、「あ、そうそう」と思い出してパンフを取り出して読み始めた。「あれ、EIZOって確か……そうだ、ナナオだよね」。ナナオには、私が早稲田大学でやっているゼミの第1期生だったUがいるじゃないか!

 私はゼミの学生に常々、こう言っている。「お前ら、もう大企業の時代じゃないぞ。東京へ出て、早稲田なんぞというそこそこの大学に入ったんだから名のある大企業に就職して親を喜ばせよう——といった発想からは決別しなければならない。米スタンフォード大学の先生に聞いた話では、同大に限らず米国の一流大学では、一番優秀な1割の学生は在学中からベンチャー起業を目指す。YahooもGoogleもスタンフォードの学生ベンチャーから始まって億万長者になった。次の3〜4割は、既存のベンチャー企業や面白い技術やノウハウを持つ中小企業に就職して、若いうちから大活躍してチャンスを掴もうとする。平均から下の3〜4割は、化学を学んだからデュポン、プログラミングが出来るからIBMといったふうに大企業に普通の就職をする。そして出来の悪い最後の1割が役人になるだそうだ。『日本じゃあ逆ですよ。一番優秀な奴は役人になる。次が大企業で、そのどちらも入れないのが仕方なく中小企業に行く。私のような落ちこぼれがフリーランスのジャーナリストをやっていたりする』と言うと、先生はズバリ、『そりゃあ、日本がまだ発展途上国だからだ。発展途上国では、官僚が天下国家を動かすから、それが面白いに決まっている』と断じた。図星だ。前から言っているように、日本は今、明治から100年余の行け行けドンドンの発展途上国からキッパリと卒業して、GDP5兆ドル=世界経済の7分の1を占める成熟経済大国への扉を押し開けなければならないのだが、それがうまく出来なくてジタバタしている。お前らがどういう就職をするかということが、その100年目の転換を促すのだ」と。

 それでも「先生にはバカにされると思いますが、総務省と読売新聞社が受かったんで、総務省に行くことにしました。すいません」というような奴がいるのだが、Uは私の言うことを真に受けて、地方のハイテク企業を回って結局ナナオに就職した、そういう意味では私のゼミの優等生なのだ。私は早速メールして、有楽町の居酒屋で一杯飲みながら「お前のところのモニターがほしい。ついでに、Webで調べたら32インチの液晶テレビもあってそれも凄いらしいじゃないか。新居に両方を導入したい」と持ちかけた。Uは大いに喜んでくれて、上司にも相談の上、社内特別価格で提供してくれることになった。

●ものづくりへのプライド

 Uの説明で、私は今までほとんど関心を向けることがなかったモニターの世界に目を開かれた。「ナナオの製品はヤマダ電器はじめ家電量販店には置いていない。理由は2つあって、1つは価格面で、うちは値引きしないので初めから置いてくれない」と彼は言う。確かに家電量販店の値引き競争は凄まじいものがあって、それは消費者の立場としてはありがたいことではあるけれども、反面、こんなことでメーカーはやっていけるのかと心配になるほどだ。先週の『週刊ダイヤモンド』は、ヤマダ電器が家電のダントツトップ、家電以外を含む量販店でNo.3に躍り出た様子を大特集していたが、そこでも、ヤマダの本部に呼びつけられたメーカーの担当者が物を作る側のプライドも何も打ち砕かれて屈辱の中で原価割れに等しい仕入れ値を押しつけられる有様が(やんわりとではあるが)描かれている。その結果、例えば薄型テレビの値下がりはますます加速していて、4月30日付日経新聞によると、都内の家電量販店ではシャープAquosの昨秋モデルの32型液晶テレビの(ポイント割引を含めた)実勢価格が11万円程度にまで下落、1インチあたりの価格が1年前に比べて4割近くも安くなっている。それでも、4月25日発表のシャープの07年3月期決算では、売上高が前年比11.8%増の3兆1277億円と初めて3兆円を上回り、当期純利益も14.7%増の1017億円で、共に4年連続で過去最高を更新した。そのうち液晶テレビについては前年比49.4%増の6135億円で、それ自体の利益率がどうなっているのかは見えないが、まあ結局、次々に新製品を売り出して、その実勢価格が半年で半値近くに下落してしまうのを一層の規模拡大と効率化・コスト減で追いかけるようにカバーしていくという構造なのだろう。

 そこで働いているのは、まさに発展途上国的な“量の経済”であり、具体的には、メーカー側が依然として売り上げ=業界シェア至上主義に囚われ続けているので、最大の販売量を誇るヤマダには何を言われても屈服せざるを得ない構造がある。しかし、自分らの作っている物に誇りを持って、一切値引きに応じないというメーカーもあって、パソコンではApple、スピーカーではBOSEがそうである。Appleは、オンラインのApple Storeと、銀座、渋谷、名古屋・栄、大阪・心斎橋、福岡・天神、仙台・一番町、札幌のリアルな直営Apple Storeでの販売を中心に据えていて、LAOXにはMacのフロアがあり、ヤマダ電器でさえも棚1つ分のMacコーナーがあるけれども、値段は直営店と同じ正価でしか売っていない。

「もう1つの理由は技術面で、ナナオはあくまで人の目に優しいナチュラルな色調をめざしている。家電量販店に行くと、テレビのモニターがウワァーッと積み重ねるように置いてあって、爛々たる蛍光灯の照明の下で『これでもか!』というように鮮やかさを競い合っているが、ああいうものを『うわあ、綺麗だな』と思って買って家に据えて薄暗い電気の下で間近で見たら、ギンギン過ぎて目によくないどころか体にもよくない。逆に、ナナオのモニターをあの売り場の中に置いても、埋没してしまって誰も目を向けないだろうから、置くこと自体に意味がない」

 ナナオのテレビ受像器は商品名をFORIS.TVと言って、32インチのSC32XD2が最大・最新モデルで、それを導入して居間に据えた。私も家内も、ナナオのテレビを知る以前からテレビは32インチで十分と考えていた。近頃は、それこそ量販店の売れ筋は50インチで、それを「自宅の部屋で画面から2〜3メートル離れて見ていただくと、映画館の中央の席で見るのと同じような迫力で映像と音を楽しめる」(日立の幹部:14付毎日新聞)のだそうだが、本当にそんな風にテレビを見る必要があるのかどうか。狭い居間兼食堂でそのようなド迫力テレビを置くということは、テレビが中心の生活を送るということであって、たぶんその家では食事の時もお互いに顔も見合わせず言葉も交わさないまま早々に食べ終えて、さっさと自室に戻って今度はマイテレビで親父は野球を、息子はお笑い番組を、奥さんは後片付けをしながら韓流ドラマを見たりしているのだろう。そんなことにならない限度が、32インチではないかというのが私の山勘だったのだが、実際に置いてみてその通りだった。

▲我が家の居間に置かれた32インチのFORIS.TV(画像略)

 まあとにかくこのテレビは画像が美しいし、テレビ画面と同じ大きさのスピーカーパネルから流れるサウンドも良質だ。何でそうなのかという解説は、下記のHPとその中にあるAV(アダルト・ビデオでなくオーディオ・ビジュアル)評論家=麻倉玲士のレポートをお読みいただきたい。

http://www.eizo.co.jp/products/tv/index.html

 この画面から「32V型」→「製品の詳細・購入/個人の方」→「麻倉玲士が語るFORIS.TV」と追えばたどり着く。「一般的な液晶テレビとは、まるで違っています。換言すると液晶らしくない映像なのです。巷間の液晶らしさをいかに減らし、人の目に自然に感じる映像を作ろうというのがナナオの絵づくりの憲法です。……目に優しいという意味は、決して甘い映像という意味ではなく、コントラストや色合い、黒の再現性、白の伸びなどのバランスが、とても心地よいということです」と。

●モニターは縦がいい

 パソコン用のモニターにも、液晶テレビと同じく動画表示の際に中間階調域の応答速度を高速化するオーバードライブ回路が搭載され、またパソコンから送られる256階調のデータを整え直してより滑らかな色を再現するガンマ補正機能、引き締まった黒を表示できる1000:1のコントラスト比の機能が付与されていて、鮮明でありながら優美というナナオの特徴が見事に実現されている。視野角はこのクラスで最上位の178度である。さらに、液晶が周囲の温度変化や経時変化によって明るさが変わってしまうのを自動チェックして調光する機能や、室内の明るさを検知して画面の明るさを適切に調整する機能も備わっている。

http://direct.eizo.co.jp/cgi-bin/omc?port=42531&req=PRODUCT&CODE=FlexScanS1931SE

 メカニカルな領域では、19インチの画面が横でも縦でも使えるのが便利で、試しに縦にしてみるとこれが思いの外、使い勝手がいい。普段の原稿書きに常用しているMac標準のワープロ(TextEdit)をOsaka等幅フォント14ポで40字×60行に設定すると、ちょうど画面の上下一杯近くなって、原稿用紙で言えば400字詰め6枚分が一覧できるから、iBookなどの小さな横長画面で書いているときのように、少し前に書いたことを確かめるのにも、「えーと、どこだっけかな」と上へ下へとスクロールして探さなければならないということがないので、作業効率が格段によくなる。それでいて、入力領域の幅は画面全体の横幅の半分強ほどにしかならないから、余白部分に他の資料や画像をいくつも並べて参照することが出来る。考えてみれば、文書は日本語も英語もほとんど縦長で、それを横長の画面で見ることに無理がある。なぜパソコンの画面は初めから縦長にならなかったのか。テレビの画面の応用だったから、何とはなしに横にしてしまったのだろうか。

 画面を縦横に90度回して切り替えられるモニターは別に珍しくもないが、ナナオの場合、その画面を支える「EZ-UPスタンド」というのがなかなかの優れもので、Z型に折りたためるアームで上下17センチの範囲で高さを調整することが出来る上に、そのアームに対する画面の傾きも調整することが出来るので、その両方の組み合わせによって、画面までの視距離40〜50センチ、見下ろし角度は画面上部で10度程度、下端で30度程度という理想的とされる姿勢になるよう設定することが可能なのだ。これはまことに快適な作業環境である。

 そのモニターに接続してあるのはパソコン本体はMac miniである。上述のように、EIZOのモニターを使いたいというのが先で、だとするとAppleの現在の製品ラインでモニターが別売りなのは最上級のMacProとMac miniしかなく、原稿書きとメール、画像処理とWeb制作程度である私にとって前者は完全にオーバースペックなので、後者に落ち着くのは必然である。miniの本体は縦横16.5センチ、厚さ5センチで、東京駅で売っている「おにぎり駅弁」の箱より小さいくらいだから、デスクに置いてもモニターの陰に隠れてしまうほどで、全く邪魔にならない。これに、ブラザーの複合機(これもゼミ第1期生のAが就職しているので社内特別価格で提供して貰った)とiPodドックを繋ぎ、ドックにさらにBOSEのスピーカーMicro Music Monitorを繋いでモニターの左右に配置してある。

※Mac mini
http://www.apple.com/jp/macmini/

 これだけでも各機器の電源と相互の接続のためのコードは相当な数になるが、作り付けデスクのパソコン・モニターの後ろとプリンターの後ろの2カ所に直径3センチの穴を開けて、ほぼ全部をデスクの下に出して、ホームセンターで買ってきた洗濯機の排水用の蛇腹のビニールパイプにまとめて通してデスクの裏側に固定したので、わざわざデスクの下に潜らない限りコードが見えることはない。

 このBOSEのスピーカーは、高さ・奥行きともに12センチ強、幅6.4センチという小ささであることが信じられないほど深みのある音を出す優れもので、秋葉原のBOSE直営ショップではこれをメインにディスプレーしていたから、同社も力を入れている自慢の製品なのだろう。持ち運び用の布ケースが付属していて、単3電池を4本入れてiPodと一緒に持ち出せば、野外でも高音質が楽しめるというのも、なかなかの趣向ではある(もっとも、AC電源では20W×2もあるスピーカー出力は電池では2W×2に落ちてしまうが)。

※BOSE/MMM
http://www.bose.co.jp/dmg/home_audio/m3/

 旅に出るときは、iPodを外して、やはりBOSEのノイズキャンセリング機能付き大型ヘッドフォンQuietComfort(QC)を接続する。ノイズキャンセリング機能とは、密着度の高いヘッドフォン内部にあるマイクロフォン・センサーが再生音と外部からの騒音とを識別して、騒音に対してだけ逆位相の音波を出して打ち消してしまう技術。同社が最初に開発して、1980年代に無給油・無着陸で世界一周旅行を成し遂げたボイジャー号のパイロットが装着して有名になった。機体の軽量化のために障壁を薄くした同号のコックピットでは、エンジン音が容赦なく侵入してパイロットが難聴に陥る危険が大きかったため、この対策が採られたのだ。私のはずいぶん前に買った旧型で、その後、改良型のQC2が出て、さらに最近はやや小型化されたQC3も発売されている。値段は4万円台で高い。私は一度、半分ほどの値段のSonyの同様の製品も試してみたが、ヘッドフォンに手を触れるとその触れ方によってキーンという騒音が内部で発生するなど、性能はあまり感心しなかった。QCは大きいので、荷物が多いときは持って出るのをためらってしまうことがある。小さくなって性能も向上したQC3をそのうち買うことになるだろう。

 BOSEの創業者で電子工学博士のインド系米国人アマー・ボーズは、技術に夢を持ち、「正しい技術で作った製品は必ず売れるのだ」という信念を崩したことがなかった、と同社の宣伝パンフに書いてある。値段が高いものがいいものだとは限らないが、いいものにはそれなりの値段がつく理由があって、それに自信があるメーカーは、ヤマダ電器ごときに何を言われようと、値引きなどすべきでないし、またその差損を従業員を泣かせたり下請けをいじめたりして取り戻そうとするようなことはしてはならない。私のこのセット——Macmini+EIZOモニター+iPod+BOSEのMMMスピーカー&QCを1つのライフスタイル提案を込めたパッケージにして、3社共同で「安ければいいという時代は終わりました」というキャンペーンでもやったらどうか、と私はナナオの役員に提案している。

 最後に、椅子。なにしろ長時間座っていることが多いので、ここは思い切ってハーマン・ミラーのオフィス用チェアの最上位機種アーロンチェアにした。これもまた、品質に自信を持って決して値引きしない商品だ。詳しくはホームページを見て頂きたいが、9種類の調整機能があってそれぞれの体型や仕事ぶりに合わせた座り心地を実現することが出来る。私が特にありがたいと思っているのは、アーム(肘掛け)の高さと角度を調整して肘をアームに軽く乗せた状態でキーボードを打てることである。これは長時間の作業には絶対必要なことで、前はフィンランド製の可動式アーム台「エルゴレスト」をデスクに装着していた。「肩の筋肉の緊張は、何も支えを使用しない場合と比較して約10分の1」というのが謳い文句で、確かに10分の1かどうかは分からないが、だいぶ疲労が軽減されて助かっていたので新居にも導入しようとした。ところが、デスクに固定する取り付け金具が4.3センチが限度で、今度の作り付けデスクの6センチ厚では付けられない。「弱ったなあ」と思っていたのだが、アーロンチェアが届いてみれば、その機能は椅子自体に備わっているではないか。アーロンチェアは高価だが、エルゴレストはマウスパッド付きロングアーム型だと両手分で3万5000円ほどもするので、そのぶん得をしたような気分である。

※アーロンチェア
http://www2.hermanmiller.com/global/japan/product/aeron.html
※エルゴレスト
http://www.shopavrio.com/goods/ergorest.htm

 こうして、書斎は考え得る最良の環境が整った。が、現実にはまだ外回りの工事で土建屋さんや造園屋さんや電気屋さんが出入りしていて打ち合わせをしなければならないし、注文しておいた植木や草花が届けば植えなければならないし、そうこうするうちに近所の方々や友人たちがお祝いに訪れるてきて酒は飲まなければならないし、てんやわんやで、落ち着いてこの前に座っていられないのが今の最大の悩みである。▲

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