Calendar

2007年4月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30          

Recent Entries

« INSIDER No.386《COUNTRY LIFE》どういう家を造りたいか──安房鴨川に移住して田舎暮らしを始めるの記・2
メイン
INSIDER No.388《SEMINAR-1》高野孟の「インテリジェンスの技法」(1)──曼荼羅的な想像力と直感力/このゼミで何をしようとしているか/全体のイメージと若干のルール »

INSIDER No.387《SEMINAR-0》高野孟の「インテリジェンスの技法」(0)──はじめに/読者の皆さんへのごあいさつ

 早稲田大学の「大隈塾」の枠組みの中で、私の「インテリジェンスの技法」と題したゼミを担当して5年目になる。その講義録というか、実際の講義では時間的な制約から十分語れなかったことをも含めて、インサイダー及び《ざ・こもんず》の読者の皆さんに順次、断続連載として公開する。

●私がゼミをやるなんて…

 2003年4月から早稲田大学で「大隈塾演習《インテリジェンスの技法》」と題したゼミを担当していて、07年度で早くも第5期生を迎えることになった。人の一生、何が起きるか分からないとはよく言われるが、私が還暦を目前に母校=早稲田大学の客員教授に任ぜられてゼミを講ずることになったことほど驚天動地の事態も珍しい。

 そもそも私は自分の学生時代にゼミというものを受けたことがなくて、それがどういうものかよく分からない。私がいた頃の早稲田大学文学部西洋哲学科にはゼミという仕組みがなかったように思うし、あったとしても、自分がその3月に卒業するはずの1966年1月に授業料値上げ反対をきっかけとする150間に及ぶ全学バリケード・ストライキが起こって(というよりもそれを起こした張本人の1人が私で)、とうてい落ち着いて勉強などしていられるような状況ではなかった。ストが収まった後もまだしばらく学生運動に明け暮れて、ようやく6年生の夏に任務を解かれて、急いで卒論を書いて、ようやく卒業させて頂いたような私が、それから3分の1世紀を経て、母校の教壇に立ってゼミを持つ羽目になったのだから、さて果たしてゼミとは何なのかというところから模索を始めなければならなかったのはやむをないことだった。

●「大隈塾」という試み

 こういうことになったのは、「大隈塾」は、大学改革に熱心だった奥島孝康前総長がたまたまどこかで田原総一朗氏と一緒になった時に、「なかなか改革の実があがらなくて頭を抱えている」とぼやきを漏らしたところ、田原氏が「早稲田版の松下政経塾とでも言うような将来のリーダーを養う講座をつくったらどうか」とアイディアを出したのがきっかけである。それで2002年度から、田原氏と私が客員教授に就いて、同大学オープン教育センターの全学部対象のプログラムの1つとして「大隈塾」授業が創設された。田原塾長のコーディネートと司会で毎週、政財界のトップや人気ジャーナリスト・学者をゲストに招いて、自らの生々しい体験に基づいたリーダーシップ論を語ってもらい、学生と討論するという贅沢な授業が始まり、私と、1年遅れて毎日新聞の岸井成格氏も客員教授陣に加わって、その補佐役を務めることになった。幸いにして、この試みはたちまち早稲田の人気講座の1つとなってマスコミにもしばしば取り上げられ、これに入りたいから(東大や慶應にも受かったけれども敢えて)早稲田を選んだという学生も出てきたりするほどになった。

 翌03年度年からは、その授業の履修者の中から20人余を選抜して「大隈塾演習《インテリジェンスの技法》」が開設されて、それを専ら私が担当することになった。さらに06年度からは、岸井氏による「大隈塾演習・《ジャーナリスト入門》」も始まって、高野ゼミは原理的、岸井ゼミは実践的という巧い具合の配置が整った。他方、04年度からは主に企業派遣の社会人を対象とした「大隈塾社会人ゼミ《ネクスト・リーダーズ・プログラム》」も始まって、それも私と岸井氏が補佐することになって、いつまで続くかは分からないが当分このトロイカ体制で授業、ゼミ、社会人の学生たちと付き合っていくことになる。

 この「大隈塾授業」の概要は、半期ごとに順次、単行本シリーズとして出版されている。最近のものは次の通り。

※田原総一朗『誇りの持てる国 誇りの持てる生き方(早稲田大学「大隈塾」講義録2006-2007/1)』(ダイヤモンド社、06年10月刊)=06年度前期分
※田原総一朗『田原総一朗激論!日本の憲法と経済(早稲田大学「大隈塾」講義録・下)』(ダイヤモンド社、06年4月
刊)=05年度後期分
※田原総一朗『田原総一朗激論!日本の外交と経済(早稲田大学「大隈塾」講義録・上)』(ダイヤモンド社、05年9月刊)=05年度前期分

※早稲田大学オープン教育センター「科目一覧」
http://www.waseda.jp/open/syllabus/kougi2006.html

▲『誇りの持てる国…』表紙(画像略)

●インテリジェンスの技法

 「大隈塾授業」の狙いは、どんな厳しい状況でも自分の頭で物を考えて決断を下すことの出来るような次世代のリーダーを育むことにある。毎回ゲストとして登場する日本のトップリーダーたちのスピーチと質疑応答は、大いに学生たちに感銘を与えたけれども、正直なところ、やや猫に小判のようなところがあった。それも無理からぬことで、それを受け止められるだけの教養ベースが乏しいし、人生体験も不足している。例えば日本の過去の戦争について論じると言っても、テレビ討論と小林よしのりの漫画以外に自分の意見を作り上げる材料を持っていなかったりする。

 そうすると、「自分の頭で物を考える」人間を創ろうとすれば、まず新聞の読み方、本の読み方から始まって、「情報」の扱い方、モノを考えるとはどういうことかの基本を身に付けて貰わなければ始まらない。そこで私のゼミのテーマを「インテリジェンスの技法」としたのである。ここで言う「インテリジェンス」がどういう意味であるかは後に本編で述べる。

 さて、テーマ設定はそれでいいとして、どうやってゼミを進めるのか。『広辞苑』で「ゼミ」を引くと、「大学の教育方法の一。教員の指導の下に少数の学生が集まって研究し、発表・討論などを行うもの」とある。どうもゼミでは、学生たちが自分でテーマを立てて調べたり本を読んだりして発表を行い、それを巡って討論するものらしい。しかし私が彼らを引き込もうとしているのはインテリジェンスという彼らにとっての未知の世界であり、いきなり彼らに「この本を読んできて順番に発表しなさい」などと言ってどうなるものなのか。そう言ってしまっては身も蓋もないけれども、彼らの発表のレベルなど知れていて、そんなものは私も聞きたくないし、他の学生もそうだろう。他方、私には彼らに伝えなければならないと思うことが山ほどあって、1年間26回2340時間、しゃべり続けても到底間に合わないほどなのだ。

▲『外交フォーラム』04年2月「大学ゼミ訪問」で紹介されたゼミの授業風景(画像略)

 それで私は、まず第1に、「インテリジェンス」とは何かということから始まっ て、宇宙・地球・生命・世界・日本・地域・自分を串刺し的に貫く時空自在の「想像力」と「直感力」の再開発について駆け足で論じた後、第2に、どういうわけか、いきなり毛沢東『矛盾論』の原典講読を通じて弁証法的な思考方法と動いているものを動態のままに捉える「動態分析」の手法の一端に触れて貰い、さらに第3に、イラク戦争や北朝鮮問題や国内政治などその時々の時事的な話題を取り上げてその応用例を示すというふうに1年間の授業を構成し、臆することなく一方的にしゃべりまくることにした。

 このやり方に、学生たちは戸惑いつつも、それなりにたくさんの刺激を受け取って貰ったようだったが、本当のところ彼らにとっていちばん刺激的だったのは、授業後の雑談や毎月のように開かれる飲み会での酔談、あるいは合宿と称して安房鴨川の「鴨川自然王国」に泊まり込んで稲刈りを体験した後の宴会での談論風発、等々を通じての人生談義だったようで、そういう時に特に彼らが聞きたがったのは、私や私と同世代の学生運動体験や、それをどう総括しつつどうジャーナリストとして生きてきたのかといったことだった。そういうこともあって、このゼミは半ば「人生論ゼミ」のようなことにもなってきて、田舎で祖父が守っている山林と田畑を継ごうかと考える者、東京の大企業への就職を潔しとせず敢えて地方の中小企業に入る者、年度途中で出産して“子育て”を軸として自分の人生戦略を見事に組み立ててみせた者、大学を辞めて国際ボランティアに生きると言ってどこかへ旅立ってしまった者、今から医学部に入り直してイラクはじめ戦乱や貧困に苦しむ人たちを救うのだと言いだした者など、年々いろいろ面白い奴が現れて、その意味でもゼミは成功しつつあると自負している。

▲今年3月のゼミ謝恩会の記念写真(画像略)

 写真は、06年度高野ゼミ4期生と岸井ゼミ1期生の修了者にOBたちも加わって3月に開かれた謝恩会。今回は高野ゼミOBの中から、金沢の先端中小企業に就職し営業で頑張りつつ嫁さんと一緒に野菜農園づくりに取り組んでいる1期生のU君、無料新聞「ぱど」の営業として横浜の商店街を走り回って、初年度で4つの社内賞をとるほどの成績を収めたが、思うところあって転職しようとしている2期生のYさんの2人に、「私のゼミ体験、就職、そして人生戦略」についてスピーチしてもらった。

●超オープンゼミ

 面白いことに、私がそうやって一方的にしゃべって、質問すら受ける時間が残らないこともしばしばあって、「ご免、またしゃべっただけで終わっちゃった」と謝ったりすると、学生が「しょうがねえなあ」という感じでクスクス笑ったりしていて、それは私の話を聞くのもそれはそれで面白いけれども、やっぱりこれはゼミなんだからもうちょっと……という意味なのだが、そうすると彼らの中に自分らで発表して討論したいという欲求がむしろ高まって、止むにやまれず「来週は私が発表したいのですが」と言い出す奴がいたり、ゼミ終了後の翌年に一部の者が集まって自主ゼミが発足したりしている。そうなることがむしろ私の狙いなのである。

 そういうわけで、私はこのゼミで、しゃべり続けてもしゃべり足りないので、ここで講義録というか、実際の講義でしゃべり足りないことも含めて言いたいことを文章化して、順次公開していくことにする。ゼミ生諸君は、ここにアクセスして「ああ、こういうことだったのか」と私の言っていることをより深く噛みしめることが出来るだろうし、また《ざ・こもんず》の一般読者の方々には仕事や勉強の上で活用すべきインテリジェンス術入門のための超オープンゼミとして活用して頂きたい。またブログというものの性質上、学生や一般読者の方も「ここは違うんじゃないか」とかいろいろ意見を投稿して、浅学の新米教師である私を育てて頂くようお願いしたい。■

===========================

【INSIDER編集部より】

 当「インテリジェンスの技法」は、本来、写真や図版等が多く含まれています。メールマガジン上では写真・図版タイトルのみ記してあります。
 
 写真等が付加されたPDF形式のファイルをメールマガジン配信に併せてWeb上にアップロードしています。写真・図版付きバージョンをご覧になりたい方は、下記URLで閲覧、またはダウンロードして下さい。

http://www.smn.co.jp/insider/takano/takano-semi00.pdf

 なお、PDFファイルを開くソフトウェアをお持ちでない方は、アドビシステムズより、PDFファイルの表示・印刷用ソフト、“Adobe Reader”が無料で配布されています。下記URLからダウンロードできます。

http://www.adobe.com/jp/products/reader/

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.the-journal.jp/mt/mt-tb.cgi/491

コメント (2)

たとえばこのような本も欲しいな 表紙からめくると実践現代農業誌、 裏表紙からめくると関係現代思想解説誌 のようなデザインにして 農という漢字が被っている士農工商イメージから抜け出させて 農は本来芸術の王道であることを認識させるためにできるといいですね

この高野孟という学生運動上がりの男、90年代にサンデープロジェクトで「北朝鮮が500キロ届くミサイルを持っているっていう話が一人歩きしている」と他の出演者を批判。結果は今日明らかな様に間抜けな高野の間違いであった。彼にはインテリジェンスを語る資格はない。まず、己の極左活動と北朝鮮を利した予測を総括せよ!

Profile

現在、INSIDERニュースレターの内容は、ご覧の《THE JOURNAL》内でブログの形で公開されております。
誰でも無料で閲覧し、またそれについて感想や意見を書き込むことが出来るようになっておりますが、従来通り、お手元に電子(Eメール)版配信もしくは印刷版郵送の形で講読を希望される方は、引き続きEメール版:年間6,300円(税込)、ペーパー(紙)版:年間12,600円(税込)をお支払いください。[法人購読の場合は年間105,000円(税込)になります]
ウェブ上で無料で閲覧できるものが、Eメール版・ペーパー(紙)版が有料なのはどういうわけだと思われるかもしれませんが、後者の場合、読者名簿管理と請求の事務、配信と郵送の手間が必要であり、とりわけ印刷版の場合は紙代、封筒代、印刷代、郵便代のほか宛名を印刷して封筒に貼り、印刷されたものを三つ折りして封入し、糊付けし、紐で束ねて郵便局に運び込むのに膨大な手間とコストがかかっていることをご理解下さい。
また、無料で閲覧できるならそちらに切り替えたいという方もおられると思いますが、残余の購読期間は引き続きEメール版もしくはペーパー(紙)版を配信させて頂き、購読料を途中返還することは致しませんのでご了解下さい。

BookMarks

TOKYO KALEIDO SCOOP
http://www.smn.co.jp/

INSIDER(インサイダー)
http://www.smn.co.jp/insider/

→ブック・こもんず←



当サイトに掲載されている写真・文章・画像の無断使用及び転載を禁じます。
Copyright (C) 2008 THE JOURNAL All Rights Reserved.