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2006年12月27日

INSIDER No.379《NEW YEAR 1》2007年の世界と日本・その1──イラク“決着”の年

 AP通信の独自集計によると、イラク駐留米軍兵士の死者は、12月26日までに2974人に達し、9・11テロの犠牲者2973人を1人上回った。だからどう、ということでもないのだが、少なくとも米国人にとっては、これは一体何のための戦争だったのかを改めて痛切に考え直すきっかけとなる1つの臨界点ではある。

 これが「テロ撲滅」のための戦争であったとすれば、3000人近い死者と2万2000人を超える負傷者を合わせた米軍の犠牲者の数など問題ではない。彼らにはこの上ない名誉の冠が捧げられ、そして米国はそれだけの犠牲を厭わずテロとの戦いの最前線に立ち向かい続ける指導国として全世界から崇拝されることにもなっただろう。しかし、イラクが9・11やアル・カイーダとは何の関係もなく、ただ単にイスラエル右派の情報操作とその“トロイの馬”としてホワイトハウスに浸透したネオコンの誇大妄想とに暗愚の大統領が踊らされて間違って発動してしまった戦争であることが明らかになった後では、その犠牲は全くの無駄でしかなかった。

 またこれが「報復」のための戦争であったとすれば、米軍の犠牲者もさることながら、9・11に何の責任もないイラク市民65万人以上の死者と80万人以上の負傷者はどのようにして償われるのだろうか。

 米国人は07年、自国の大統領が生み出したこの世界史上希な馬鹿馬鹿しくも痛ましい現実に、何らかの決着、とは言わないまでも、最低限、これ以上無駄死にが累積することに歯止めをかける道筋をつけなければならない。

●1月中旬に新政策発表

 超党派「イラク研究グループ(ISG)」の提言を受け取ったブッシュ大統領は、昨週末以来、国務長官や国防長官と協議を重ねた上、28日にはテキサス州の私邸で国家安全保障会議の会合を開いて集中議論し、07年1月中旬にはイラク新政策を発表し、さらに1月23日の一般教書演説で中東和平を含む包括的な中東政策を打ち出し、その上で、2月5日の予算教書でイラク駐留米軍の一時増強(?)、再配置(?)、段階的撤退(?)の計画に沿った予算措置を提案することになろう。

 ブッシュが最優先しようとしているのは、取り敢えず現在の下血状態を止めるための米軍の一時増強である。しかしこれはどう考えても上手く行かない。

 第1に、これは、ISGの「08年3月末まで」と期限を切った段階的撤退論に激しく反発するネオコン系のアメリカン・エンタープライズ研究所(AEI)が巻き返しを狙って打ち出した提案に沿ってチェイニー副大統領が主張しているもので、政治的には、超党派の合意を目指したせっかくのISG提言を頭から無視する形となり、議会で承認を得ることは難しい。

 第2に、対イラク関係では、「イラク政府が治安維持能力をつけるまで待っていられない」という不信のメッセージであって、これにはマリキ政府は反発し、米国が同政府の尻を叩いて治安を任せられるようにしていくための最低限の信頼関係が壊れる危険がある。「マリキは役立たず」という趣旨のハドレー安保担当補佐官のメモがメディアに漏れたことで、すでにマリキは切れる寸前の心理状態にある。またイラクの武装勢力のスンニ派はもちろんシーア派の中の反米派も「占領強化」に怒りを高め、これまで以上に米軍及びその“傀儡”に対する攻撃を激化させるだろう。

 第3に、それをも抑えてイラク全土を軍事的に制圧しようとすれば、現在の戦闘部隊5万2500人の数倍規模の新戦力を投入しなければならない。AEIの提案は、3万1500人を増員し、そのうち特にバグダッドでは現在の5個旅団1万7500人を07年9月までに12個旅団4万2000人へと上積みするというもので、米メディアはこれをやや皮肉を込めて「野心的」と評したが、軍事常識からすればそれでもまだ控え目に過ぎて、せめてバグダッドだけは完全に抑えようという程度の目論見でしかない。ところが、ホワイトハウスが検討しているのは、1万5000人〜3万人規模の中途半端な増派で、これではほとんど意味がない。軍の制服組は、統合参謀本部から現地司令官までこぞって、「明確な任務の定義付けがないまま増派しても、米軍の犠牲を増やすだけだ」と、いかなる増派にも反対している。

 第4に、どの程度の増派にせよ、米軍にはすでに物理的に人員のゆとりがない。現在のイラクとアフガニスタンの戦線を維持するにも、陸軍50万7000人、海兵隊18万人の現役部隊ではやり繰りがつかず、予備役や州兵など“パートタイム軍人”の動員が常態化しており、それが国内の反戦機運をなおさら高めている。そのためブッシュは、12月19日付ワシントン・ポストに載ったインタビューで、「この長期にわたる思想戦を戦い抜くには軍の増強が必要だ」と述べた。朝鮮戦争時には160万あった米陸軍は、ベトナム戦争後には80万に半減し、冷戦終結後は50万を切るところまで縮小していた。9・11後に議会が3万人の増員を認め、07年までに51万2000人とすることが既に予算化されているが、ペンタゴンとしてはさらにその先、2万3000人ないし2万8000人増強して53万5000人ないし54万人体制にするプランを準備している。が、いずれにせよ新設部隊の兵員をリクルートし訓練し部隊に配置するにはかなりの時間と1000人当たり1億2000万ドルのコストが必要で、最大限頑張っても年に6000〜7000人増やすのが精一杯である。上記ホワイトハウスの一時増強案が1万5000人〜3万人と控え目なのは、すでに予算化されている07年までの増強分の範囲内で実行するしかないという現実的な対処であって、逆に言えば、AEIの増強案は非現実的である。

 つまり、イラク全土を圧倒的に制圧するような大増強はもちろん、AEIが言う程度の増強も実際には難しいという現実の下で、ホワイトハウスが考えている現実的ではあるが象徴的な意味しかない一時増強では、制服組が言うようにかえって犠牲を大きくするだけになる公算が大きい。軍事手段は既に手詰まりである。

●イラク軍・警察の実状

 一時増強は実は、イラク政府と治安軍・警察が自力で治安を維持できるようにするまでの時間稼ぎだが、イラク軍・警察の実状は惨憺たるものである。

 イラク駐留のイギリス軍800人とイラク軍600人は25日未明、戦車と戦闘用車両の援護を受けて、シーア派の頭目サドル師の拠点であるバスラ市内に進攻、バスラ警察本部の拘置施設を急襲して、そこに収容されていたイラク人127人を救出した。バスラの警察にはシーア派系の過激民兵や犯罪集団が深く浸透していて、「警察」の名の下で主にスンニ派のイラク人を手当たり次第に検束、虐殺したり、拷問を加えたり、家族から法外な身代金を取り立てたりしていて、同施設に収容された人々が生命の危機に晒されているとの判断から独自の作戦を発動した。

 英軍スポークスマンによると、その施設の様子はおぞましいもので、100平米ほどの広さに便器2つと流し2つがあるだけの房に100人以上が詰め込まれ、その多くは手足が折れたり、銃傷を負っていたり、電気やタバコによるやけどの痕を残していたりして、明らかに拷問に遭っていた。宗派対立がないといわれたバスラでさえこんな有様なので、対立の激しい地区ではもっと酷いことになっており、事実、10月にはバグダッド警察の1大隊がスンニ派に対する暗殺団と化していた疑いが生じて、政府が同大隊を丸ごと活動停止にする措置を採っている。また北部のクルド族地区では、クルド族の警察・民兵が捕らえたテロリスト容疑者やスンニ派武装集団と目される者たちが大量に拘置され、裁判にもかけられない(というより裁くべき法律も裁判所もない)ままに、劣悪な条件の下で命の危険に直面している。すなわち、本誌が何度も繰り返し指摘してきたように、米国が旧支配勢力であるスンニ派を徹底排除してシーア派とクルド族を主体として慌てて軍・警察を再建しようとしたために、一方では、軍・警察にシーア派とクルド族の民兵や暗殺集団や犯罪グループが好きなように紛れ込み、他方では、だからこそスンニ派が軍・警察を米国の手先と見てますます激しく攻撃するという歯止めの利かない悪循環を生み出して収拾がつかなくなっている。

 21〜22日にかけては、もう1つイラク事情の複雑怪奇を暗示する異常な事件が起きている。駐留米軍は21日夜、イラク軍に対する襲撃計画があるとの情報を元に警戒中のところ、イラン外交官2人を乗せたイラク政府公用車を発見し、同乗者全員を拘束、後になってイラン外交官2人は釈放した。続いて22日未明、シーア派の最大政党であるイラク・イスラム革命最高評議会及びその傘下の民兵バドル旅団の指導者であるハキム師の本拠施設内を捜索、ここでもイラン軍高官を含む2人のイラン人を拘束した。イラク政府は、これらのイラン人は「イラクの治安状態の改善について協力態勢を協議するためタラバーニ=イラク大統領の招待で訪れたもので、逮捕は不当」と不満の意を表明したが、米軍側は「イランがイラク国内に介入して内戦を扇動している」との疑いを捨てていない。

 この2つの出来事を通じて明らかなのは、誰が誰と戦っているのかについて誰も分からなくなってしまった中で勝手気ままに暴力が飛び交っているというイラクのどうにもならない現実である。バスラの事件では、英軍がイラク軍と連合して地方警察を攻撃したが、その警察の実態はシーア派民兵と犯罪グループが癒着した偽警察だった。後者のケースでは、米軍が味方であるはずのシーア派の拠点を捜索し、イランの扇動者と思って逮捕したイラン人がイラク政府の協力者だった。何が何だか分からない。

 このような出鱈目とも言える不信と疑心暗鬼と憎悪の連鎖は、根本的に政治問題であって、それを軍事問題に置き換えて力で制圧しようとしても混乱に輪をかけるだけだろう。一般論として、政治を抜きにした軍事で何事かを解決できると考えること自体が幻想だが、イラクの現実ではますますそうで、政治的定義も定かならぬ米軍増派など愚の骨頂で、それを中心に置いた「政策転換」をブッシュが1月中旬に発表したりすれば、馬鹿にされるだけである。

 そうかと言って、ISGの提言もまた、米軍の撤退時期を明示することでイラク政府の自覚を促そうというだけで、それ以上の政治的方策を示している訳ではない。こうして帝国としての米国は自分が何をしているのか分からないまま自滅に向かうのである。▲

2006年12月25日

INSIDER No.378《SCHEDULE》2007年の主な予定

 2007年の主な予定をまとめた。■は日付未定。読者の方々からの「こんな予定もあるよ」というコメントを受け付けて集団で充実させていきたいので、そちらも参照のこと。▲

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《1月》
1日:所得税の定率減税廃止
http://www.soumu.go.jp/czaisei/czaisei_seido/zeigenijou2.html
21日:六本木に国内最大の国立新美術館が開館
http://www.nact.jp/
25日:通常国会召集
http://www.asahi.com/politics/update/1223/003.html?ref=rss
30日:米マイクロソフトが新OS「ウィンドウズ・ヴィスタ」発売
http://www.microsoft.com/japan/windowsvista/
■  KDDIが東京電力の光ファイバー通信事業を買収
http://www.kddi.com/corporate/news_release/2006/1207b/index.html
■  JR東日本とNTTドコモが電子マネーSuicaと携帯電話クレジットiDを共通利用する小売店向けシステムを運用開始
http://www.nttdocomo.co.jp/info/news_release/page/20060927.html
■  山梨県、愛媛県、宮崎県で県知事選挙、宮崎でそのまんま東が立候補
http://www.sonomanmahigashi.net/

--(世界)----------------------------

1日:ブルガリア、ルーマニアがEUに加盟、EUが27カ国に
http://jpn.cec.eu.int/home/news_jp_newsobj1898.php
1日:スロベニアが欧州通貨ユーロを導入
■  北朝鮮核問題の6カ国協議、再開
■  ジョン・ボルトン米国連大使辞任(上旬)
■  ブッシュ米大統領年頭教書、イラク政策転換を発表

-----------------------------------------------------

《2月》
7日:国際水素・燃料電池展(〜7日、東京ビッグサイト)
http://www.fcexpo.jp/jp/
18日:アジア最大の市民マラソン?「東京マラソン2007」
http://www.tokyo42195.org/
■  愛知県知事選挙、北九州市長選挙
■  全日空が中部国際〜中国天津路線を開業

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《3月》
18日:首都圏の私営・公営の電車とバスがIC乗車券PASMO導入、Suicaとも相互利用
http://www.pasmo.co.jp/
30日:六本木防衛庁跡地に「東京ミッドタウン」と外資系高級ホテル「ザ・リッツ・カールトン」開業
http://www.tokyo-midtown.com/
http://www.ritzcarlton.co.jp/
31日:産業再生機構が1年前倒しで解散
■  ホリエモンのライブドア事件判決
■  首相直属の「教育再生会議」が中間報告
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kyouiku/index.html
■  芝浦の埋め立て地で最大の再開発計画「芝浦アイランド」オープン
http://www.shibaura-island.com/shima.html
■  北海道・夕張市が財政再建団体に指定
http://www.city.yubari.hokkaido.jp/
■  団塊世代の大量退職が始まる(2007年問題)
http://ja.wikipedia.org/wiki/2007%E5%B9%B4%E5%95%8F%E9%A1%8C

--(世界)----------------------------

■  米のイラク侵攻4周年

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《4月》
1日:離婚夫婦の年金分割制度スタート、定年離婚激増か?
http://www.sia.go.jp/topics/2006/n1003.html
1日:フリーターなど短期就業者からも個人住民税徴収開始
1日:住宅金融公庫が独法・住宅金融支援機構に衣替え
http://www.jyukou.go.jp/news/topics/topics_houan.html
1日:レジ袋削減の「推進員」制度施行
http://www.env.go.jp/recycle/info/stop_ya/
1日:新潟市と浜松市が政令指定都市に
http://www.city.niigata.niigata.jp/
http://www.city.hamamatsu.shizuoka.jp/dmc/index.htm
1日:東京都が都立高校でボランティア体験活動を必修に
http://www.kyoiku.metro.tokyo.jp/buka/shidou/houshi/houshi_leaf.htm
24日:文科省が小6と中3の全員を対象に全国学力テスト
■  セブン&アイ・ホールディングスが電子マネーnanacoを導入
http://www.iy-card.co.jp/corp/nanaco.html
■  スカパーとJSATが経営統合
http://www.skyperfectv.co.jp/
■  新丸の内ビル完成
http://shin-maru.mec.co.jp/
■  12都府県で統一地方選挙・知事選挙

--(世界)----------------------------

22日:フランス大統領選挙の第1次投票(5月決選投票)、初の女性大統領か?
■  インドの第11次5カ年計画がスタート
■  ナイジェリア大統領選挙

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《5月》
■  トヨタ自動車がレクサスの最上位機種LSにハイブリッドモデル投入
http://lexus.jp/models/hybrid/index.html
■  イオンが「イオン銀行」設立
http://www.aeon.info/aeonfp/
■  親会社の株式を対価とした「三角合併」解禁
■  チリとの経済連携協定が発効
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/fta/j_chile/k_hapyo0611.html

--(世界)----------------------------

■  英ブレア首相退陣(〜9月までに)、ブラウン政権へ

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《6月》
1日:住民税の定率減税廃止、一律10%に
20日:国際バイオEXPO・フォーラム(〜8日、東京ビッグサイト)
http://www.bio-expo.jp/
■  「骨太方針2007」を閣議決定
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%AA%A8%E5%A4%AA%E3%81%AE%E6%96%B9%E9%87%9D

--(世界)----------------------------

6日:ドイツのハイリゲンダムで主要国首脳会議(〜8日)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8F%E3%82%A4%E3%83%AA%E3%82%B2%E3%83%B3%E3%83%80%E3%83%A0
24日:世界経済フォーラム・東アジア会議(〜26日、シンガポール)
http://www.weforum.org/

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《7月》
7日:川崎市でアメリカンフットボールW杯開幕(〜15日)
http://wc2007.info/
22日:参議院選挙
■  東京都がIOCに2016年夏期オリンピック立候補
http://www.shochi-honbu.metro.tokyo.jp/
■  松下電器が尼崎に世界最大規模のプラズマ・ディスプレー第2工場

--(世界)----------------------------

9日:サッカーアジア杯(〜29日、ベトナムなど)
http://www.nikkansports.com/soccer/japan/schedule/jp-schedule.html
■  EU議長国がドイツからポルトガルに
■  APEC貿易相会議・財務省会議(オーストラリア)

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《8月》
2日:関西国際空港の2本目の滑走路、使用開始
■  政府税調が中長期的な税制改革の方向を示す答申
■  「金融商品取引法」施行
■  東京証券取引所が持ち株会社化
■  JR東海とJR西日本が新幹線の新型車両「N700系」運転開始、全席禁煙に?
http://jr-central.co.jp/co.nsf/CorporateInfo/co_0H80
■  六ヶ所村で日本原燃の再処理施設が稼働
http://www.jnfl.co.jp/business-cycle/3_saisyori/saisyori.html

--(世界)----------------------------

22日:サッカー北京五輪アジア最終予選(〜11月21日)

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《9月》
30日:BSアナログハイビジョン放送が終了
■  東京・日比谷に高級ホテル「ザ・ペニンシュラ東京」開業
http://www.peninsula.com/tokyo_jp.html
■  auと三菱東京UFJ銀行が「モバイルネット銀行」設立
■  日中国交正常化35周年

--(世界)----------------------------

7日:第6回ラグビーW杯、仏サン・ドニを中心に開幕(〜10月20日)
http://www.rugbyworldcup.com/
8日:APEC総会・首脳会議(〜9日、シドニー)
http://www.apec2007.org/
■  第62回国連総会

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《10月》
1日:日本郵政公社を民営化、4事業会社を統轄する持ち株会社に
http://www.japanpost.jp/index.html
27日:第40回東京モーターショー開幕(〜11月11日)
http://www.tokyo-motorshow.com/
■  F1日本グランプリ、20年ぶりに富士スピードウェーで開催
http://www.fujispeedway.jp/

--(世界)----------------------------

■  欧州エアバスが世界最大の旅客機「A380」1号機をシンガポール航空に納入
http://www.airbusa380.com/

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《11月》
■  改正都市計画法が全面施行
■  NTTドコモがPHSのサービス停止
■  有楽町駅前再開発で丸井有楽町店がオープン
■  ソニーとサムソンの第8世代液晶パネル、本格生産へ
■  羽田空港の国際線本格導入のための工事開始

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《12月》
1日:BSデジタルハイビジョン放送が本格開始
■  銀行窓口での保険商品の販売が全面解禁
■  トヨタの販売台数がGMを抜いて世界N0.1に
■  トヨタのサンクトペテルブルグ工場が稼働
■  日本初の有人宇宙施設「きぼう」打ち上げ(08年にかけ3回)
http://www.jaxa.jp/index_j.html

--(世界)----------------------------

■  韓国大統領選挙
■  ロシア下院議員選挙

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《2008年》
3月:福井俊彦日銀総裁任期満了
6月:日本で主要国サミット(関西か横浜・新潟か?)
9月:小沢一郎民主党代表任期満了
10月:政府系金融機関の再編統合

--(世界)----------------------------

5月:ロシアのプーチン大統領任期満了、大統領選挙へ
8月:北京オリンピック
http://en.beijing2008.cn/
http://www.arachina.com/news/2008/
11月:米大統領選挙
■  中国が有人宇宙船「神舟7号」打ち上げ
■  ドバイに世界最高800メートルの超高層ビル完成

2006年12月14日

INSIDER No.377《IRAQ》イラク政策“見直し”が難航──思考停止状態のブッシュ政権

 12月6日の「イラク研究グループ(ISG)」報告書を受けて、ブッシュ政権は週明けの11日から、国務省・国防総省幹部や政権外の専門家との集中協議、駐留米軍司令官や駐イラク米大使ら現地側からの衛星回線を通じての意見聴取、訪米中のハシミ=イラク副大統領(スンニ派)との会談を設定、それらに基づいてクリスマス前にも大統領の国民向け演説でイラク政策の“見直し”を発表する予定だった。が、ホワイトハウスのスノー報道官は12日、「年内に新政策が発表されることはない。はっきり言ってまだ準備ができていない」と述べ、政権内の調整が難航していることを認めた。別の高官は「1月中に発表するだろう」と漏らしているが、そうだとすると大統領の年頭教書まで持ち越される可能性もある。進むも地獄、引くも地獄というブッシュ政権のディレンマはますます深まりつつある。

●世論も政界も分

 『ニューズウィーク』が9日発表した世論調査によると、ISG報告を支持する人は39%、反対は約半分の20%で、おおむね同報告が示した政策転換に好意的ではあるが、逆に言えば41%は同報告を読んでいないか、読んでも判断できないでいるか、あるいは関心がないということで、この米国の運命を左右する重大局面で賛成でも反対でもない人が4割もいるということ自体がこの国の危機的状態を示唆している。

 政界でも分裂は露わで、議会の多数を制した民主党の大勢は基本的に同報告に好意的であるのに対して、共和党では次期大統領候補として有力視されるジョン・マケイン上院議員が「イラク戦争は正しかった」という立場からISG報告の方向を批判、むしろ米軍の増派を主張しているのをはじめ、反対が多い。先の中間選挙でイラク戦争支持を訴えて落選した保守派の大物リック・サントラム前上院議員に至っては同報告を「降伏への処方箋」とこき下ろしている。同党に依然として影響力を持つネオコン系の論客たちはもちろん猛反発しており、リチャード・パール元国防次官補(現アメリカン・エンタープライズ研究所研究員)は「大統領の代行司令官としての任務をアウトソーシングすること自体が馬鹿げた考えで、同報告は無視すべきだ」と言っている。そんなことを言っても、パールを筆頭とするネオコンがこの戦争を仕掛けておいて政権を去ってしまい、大統領がどうしたらいいか分からなくなったのでISGが登場したんじゃないか。無責任なことを言ってはいけない。

 議論の焦点の1つは、ISGが言うように「2008年3月まで」と米軍撤退期限を明示することが妥当かどうかである。これは言うまでもなく、イラク政府が一向に埒があかないので、先に期限を示してそれまでにどうしても自力で治安を維持できるようにしなければという気にさせるレバレージ(梃子)効果を狙ったもので、民主党には以前からこの主張がある。しかし、ブッシュや保守派は一貫してこれに反対で、なぜならイラク民主化という目標を達成することなく撤退するのは敗北に等しいからである。上記サントラムの「降伏」というのもそのことを指している。それにそもそも、期限を明示したところで、それまでにイラク政府がしっかりするかどうかは何の保証もなく、その時点になって駐留再延長をせざるを得ないか、もしくは「おおむね治安は回復した」と強引に定義して撤退し後が大混乱になるという事態となって、米国にとって恥の上塗りとなる可能性が高い。

●「イラク民主化」を捨てられるか

 この議論がややこしくなるのは、IRGが目標を「治安回復」に置いているのに対して、ブッシュは「イラク民主化」を目標にしていて、「イラクを中東民主化の拠点とする」というネオコン的誇大妄想をまだ引きずっているからである。しかも矛盾しているのは、現在の「イラク民主化」路線が巧く行ったとして、それで出来上がるのはシーア派中心の政権であり、米国が忌み嫌うイランの従属国家もしくは兄弟国家である公算が大きく(米国風の単純多数決原理なぞ持ち込むからこんなことになる!)、むしろイランを中心として湾岸からイラク、シリア、レバノンのヒズボラを結ぶ“シーア派の弧”の形成に手を貸すことになりかねない。それはブッシュが描く中東民主化とは正反対の結末であり、それが嫌だと言うなら、今のイラク民主化の目標と手段が間違っていたということになる。ここがきちんと整理できなければ、ブッシュ政権の思考停止状態は直らない。イラクの将来がどうであれ、取り敢えず治安を回復して内戦の危険を除去して米軍は撤退するというところに目標を絞れば、それなりにまともな議論が始まり得る。

 このことは、もう1つの議論の焦点であるイラン、シリアなど近隣諸国との対話が必要かどうかという問題と密接に関連している。ネオコン的立場からすれば、イラクのフセイン政権に続いてイランの独裁政権やシリアの反米政権を打倒することこそ中東民主化の次のステップであり、そんな政権の指導者など口をきくことさえ汚らわしい。それに対してIRGは、イラクのシーア派の後ろ盾となっているイランが影響力を行使し、またアル・カイーダはじめ各種過激派の出撃拠点となっているシリアが態度を変えることがイラクの混乱を止める上で不可欠であり、彼らとの対話を通じて協力体制を作ることがまた彼らの内戦介入を抑止することになると考えている。この両国だけでなく、例えばサウジアラビア政府の安全保障担当補佐官であるナワフ・オバイドは先週『ワシントン・ポスト』への寄稿で「もし米軍が撤退すれば、サウジはスンニ派をシーア派の攻撃から守るためにイラクに介入し、資金、武器、補給を提供する」と語っている。サウジはじめアラブ穏健派諸国も含めてこの地域全体でイラクの治安回復と内戦激化・中東大戦乱防止のコンセンサスを形成することは喫緊の課題だが、ブッシュにとってはそれは「中東民主化」放棄となるので受け容れがたい。

●根底に横たわる無知

 ブッシュ政権の混乱の根底にあるのは、自分たちが何をしているのか分からないという意味での無知である。

 そもそもこれは「テロとの戦い」で、そこで想定される主敵は(少なくとも一時は)アル・カイーダ・メソポタミアだった。ところが、フセイン時代のイラクはアル・カイーダとは関係がなく、国内にその系統のテロ集団は存在していなかった。米国がイラクを侵略して混乱状態を作り出したのに乗じて、アル・カイーダの戦闘員が外から潜入して、フセイン支持の武装勢力などスンニ派の一部と連携してアル・カイーダ・メソポタミアを作ったのであって、その意味ではイラクにアル・カイーダを呼び込んだのは米国である。

 ところが米国の戦争・占領目的は「大量破壊兵器はなかった」ことが明らかになった辺りから変質して「フセイン政権打倒=イラク民主化」にすり替わってしまった。このように、戦略目標が定かでない戦争はそれだけですでに泥沼に陥る危険をはらんでいるのだが、加えて米国は、スンニ派が少数派でありながら一貫して支配勢力であったこの国の歴史と国柄を理解せずに、スンニ派=フセイン残党=アル・カイーダ系という粗雑極まりない想定に立って、スンニ派を敵視し、シーア派とクルド族を主体として“イラク政府”及び治安軍を編成するという致命的な誤りを犯した。さらに、単純多数決選挙を急いでシーア派に主導権を渡し、その誤りを塗り固めてしまった。

 IRG報告は言う。「米国はイラクのアル・カイーダに対して素晴らしい戦果を上げたのは事実だが、その一方、我が政府は今なおイラクの反乱とそこでの民兵の役割についてあまりよく理解していない」と。米情報機関は、反乱をよく解読し、分析し、全国レベルと地方レベルで起きていることを区別して理解する点で不十分であり、また彼らの組織、リーダーシップ、資金、民兵の作戦、彼らの政府治安軍との関係などについての知識を欠いたまま政策立案に当たってきた。IRGはそのように言い、さらにこの驚くべき無知が、各政府・情報機関で地域分析の専門家が大事にされず、元々数が少なすぎることに加えて、短期間でサラリーマン的に転勤させられて、一貫した分析と知識の蓄積が行われていないことにあると指摘している。

 少し古い話だが、10月17日付『ニューヨークタイムズ』でジェフ・スタイン(『コングレッショナル・クォータリー』誌の安保担当編集者)が暴露したところでは、彼がインタビューした情報専門家や政治家のほとんどが「スンニ派とシーア派の違い」についてまともに答えることが出来なかった。例えば、FBIに新しく設立された安保担当部局のチーフであるウィリー・ヒューロンに「イランとヒズボラはどっち?」と訊ねると、ちょっと考えてから「スンニ」と。ブー。「ではアル・カイーダは?」「スンニ」。ピンポーン。テリー・エヴェレット下院議員に「スンニ派とシーア派の違いは?」と聞くと、彼は「片方はある場所にいて、もう片方は別の場所にいる。いや、正直に言うと知らないんだ。たぶん宗教の違い……別の家族か何かだろう」と。スタインは「テロとの戦争に携わっている多くの高官が、我々が一体誰と戦っているのかについて勉強しようともしていない。これでは国民は夜も眠れない」と嘆いているが、ブッシュの知識もこんな程度かもう少しはマシかというくらいのもので、これでは泥沼からの脱出口は見つかりそうにない。▲

2006年12月11日

INSIDER No.376《ISG REPORT》米「イラク研究グループ」報告書の要点

 ジェームズ・ベーカー元国務長官とリー・ハミルトン元上院議員を共同議長とする「イラク研究グループ」が12月6日発表した報告書の冒頭部分、「共同議長からの手紙」(序言に当たる)と「エグザクティブ・サマリー」(主要論点の要約)を仮訳して参考に供する。

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《共同議長からの手紙》

 イラク問題を解決する魔法の方程式はない。しかし、状況を改善しアメリカの利益を守るために採りうる対策はある。

 多くのアメリカ人は、イラクの状況だけでなく、イラクについての政治的議論の状態に不満を抱いている。政治指導者たちは、今や長引いて費用も嵩んでいるこの戦争に対して、責任ある結論を下すような超党派のアプローチを確立しなければならない。我が国が必要としているのは、レトリックよりも実質を重んじる議論であり、適切な予算的裏付けを持ち持続可能な政策である。大統領と議会は協力しなければならない。アメリカ国民の支持を獲得するためには、指導者たちは国民に対して包み隠さず率直でなければならない。

 この時点でイラクで何らかの対策を採ることによって、宗派間の戦闘や暴力の増大、あるいはカオスに向かっての転落を止められるかどうかは、保証の限りではない。もし現在の傾向が続くなら、あり得る結末は深刻である。イラクにおける米国の役割と責任、そして我が政府が行ってきたコミットメントからして、米国は特別の義務を負っている。我が国は、イラクが抱える多くの問題に全力を挙げて取り組まなくてはならない。米国は中東に長期にわたる関係と利益を有しており、関与を続ける必要がある。

 イラク研究グループの10人のメンバーは、よりよい前進方向があるとの確信に基づいて、この報告書で1つの新しいアプローチを提言する。すべての選択肢が論じ尽くされた訳ではない。イラクによりよき未来を与え、テロリズムと戦い、この地域を安定させ、そしてアメリカの信頼と利益と価値を守るための別の政策を追求することも可能だろう。この報告書は、イラクの政府と国民もまた安定した希望に満ちた将来のために行動すべきであることを明らかにする。

 この報告書に盛られた勧告を実現するには、強大な政治的意思と政府の行政・立法両部門の協力が求められる。熟達した遂行能力が求められる。政府各機関による統一した努力が求められる。そしてその成功は、政治的に分極化したこの時代にあってアメリカ国民が統一できるかどうかにかかっている。アメリカ人は、民主主義の範囲内で活発な議論をする権利を享受することが出来るし、しなければならない。しかし、もしこれが広範な持続可能なコンセンサスによって支えられなければ、イラクにおけるどんな対策も、米国の外交政策も、失敗に帰することになる。

 米政府の内外、イラク、そして世界中の人々が我々のインタビューに応じ、情報を提供し、研究グループを支えてくれたことに感謝する。また作業グループの専門家メンバーやスポンサー組織から派遣されたスタッフに感謝する。そして何よりも、寛容と超党派の精神でこの困難な問題に一緒に取り組んでくれた研究グループの委員の皆さんに感謝する。

 この報告書を大統領と議会、そしてアメリカ国民に提出するに当たって、我々は、イラクで任務に就いてきた、そして今も就いている軍人・民間人を問わずすべての男女と、本国にいるその家族に対して、これを捧げたい。彼らは類い希な勇気を示し、多大なる犠牲を払った。すべてのアメリカ人は彼らに恩義がある。

 我々はまた、国のために犠牲となった多くのイラク人、そして我が国とイラク国民の側に立った連合軍のメンバーの名誉を称えたい。

ジェームズ・A・ベーカーIII
リー・H・ハミルトン

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《主要論点の要約》

 イラクの状況は深刻かつ悪化しつつある。成功を保証することの出来る道筋はないが、見通しを改善することは可能である。

 この報告書で我々は、イラクで、米国で、そして[中東]地域で採りうる対策について多くの勧告を行う。我々が最も重きをおいて勧告するのは、イラクおよび同地域における新しい、より強力な外交的・政治的努力であり、また米国がその戦闘部隊をイラクの責務から解き放って撤退させることを可能にするような、イラク駐留米軍の主要任務の変更である。我々が信じるところ、この2つの勧告は同じ程度に重要であり、また相互補完的である。これらが効果的に実行されれば、そしてイラク政府が国民的和解に向かって前進すれば、イラク人はよりよい将来を築く機会を手に入れ、テロリズムには大打撃が加えられ、この世界の中でも重要な地域の安定が強化され、そしてアメリカの信頼と利益と価値は守られるだろう。

 イラクにおける課題は複雑である。暴力の範囲と致死率は増大している。それをもたらしているのは、スンニ派の反乱者であり、シーア派の民兵であり、アル・カイーダの暗殺団であり、広く拡散する犯罪である。安定を達成する上で主要な難問は宗派間抗争である。イラク国民は民主的に選ばれた政府を持っているが、その政府は、国民的和解を進めて基本的な治安を確保し、重要な行政サービスを提供することが出来ないでいる。ペシミズムが蔓延している。

 状況が悪化し続ければ、結果は深刻なものとなるだろう。カオスへの転落は、イラク政府の崩壊と人道上の大惨事の引き金となるだろう。近隣諸国が介入し、スンニ対シーアの衝突は広がるだろう。アル・カイーダのプロパガンダは勝利を収め、彼らの作戦基盤は拡張されるだろう。米国の世界的地位は下落し、アメリカ人はさらに分裂するだろう。

 過去9カ月の間に我々は前進するためのあらゆるアプローチを考察した。そのどれにも欠陥がある。我々が勧告したコースにも欠点があるが、しかしそれはイラクと同地域の行く末に積極的な影響を与える最善の戦略と戦術を含んでいると確信してやまない。

<対外的アプローチ>

 イラクの近隣諸国の政策と行動はイラクの安定と繁栄に大きく影響する。この地域のどの国も、カオス化したイラクから利益を得ることはない。しかしイラクの近隣諸国はイラクが安定を達成するのを助けるために十分なことをしていない。いくつかの国は安定を妨げてさえいる。

 米国は直ちに、イラク及び同地域の安定について国際的なコンセンサスを作り上げるための新たな外交的攻勢に打って出るべきである。この外交的努力は、イラクの近隣諸国をはじめ、イラクのカオス化を回避することに関心のあるすべての国々を包括すべきである。イラクの近隣諸国と同地域内外の主要国は、イラク自身では達成することが出来ない同国内の治安と国民的和解を強化するために、支援グループを結成すべきである。

 イランとシリアがイラク国内の出来事に影響を与える能力と、彼らがイラクにおけるカオスを回避することへの関心とを考慮すれば、米国はこの両国に建設的に関与すべきである。両国の行動様式に影響を与えることを追求する上で、米国は活用できる促進要因と阻害要因の両方を抱えている。イランは、イラクに対する兵器と軍事訓練の供与を止め、イラクの主権と領土的統一を尊重し、イラクのシーア派が国民的和解に進むよう影響力を行使すべきである。イランの核開発計画の問題は、引き続き国連安保常任理事国の5カ国プラスドイツによって対処されるべきである。シリアは、イラクとの国境を管理して、そこを出入りする資金、反乱部隊、テロリストの流れを止めるべきである。

 米国は、アラブ・イスラエルの対立と同地域の不安定の問題に自ら直接対処することなしには、中東における目標を達成することは出来ない。レバノン、シリア、そしてイスラエル・パレスチナそれぞれの国家樹立についてのブッシュ大統領の2002年6月のコミットメントなど、すべての戦線における包括的なアラブ・イスラエル和平に対する米国の新たな、そして一貫したコミットメントがなければならない。このコミットメントは、イスラエル、レバノン、パレスチナ人(彼らがイスラエルの生存権を認める前提で)、シリアとの2国間及び相互間、多国間の直接対話を含むものでなければならない。

 米国がイラクと中東に新たなアプローチをするようになれば、イラクから撤退した戦闘部隊を活用することを含めて、アフガニスタンに対する一層の政治的、経済的、軍事的支援を提供することも出来るに違いない。

<対内的アプローチ>

 イラクの将来に関して最も重要な問題は、今やイラク人自身の責任能力である。イラク国民が自分自身の運命をコントロール出来るように仕向けることへと、米国のイラクにおける役割を調整しなくてはならない。

 イラク政府は、イラク軍の数と質を向上させることによって、イラクの治安に責任を負えるようになるべきである。このプロセスは現在進行中ではあるが、それを促すには、米国は、戦闘部隊を含む米軍事要員の数を大幅に増やしイラク軍を支援すべきである。これらの対策が進めば、米戦闘部隊がイラクから撤退し始めることが出来るだろう。

 イラクにおける米軍の主要任務は、イラク軍を支援することに移行すべきであり、それによってイラク軍は米軍に代わって戦闘作戦の主な責任を担うようになるだろう。現地の治安状況に予期しない展開が生じない限り、2008年の第1四半期までに、部隊防護に必要な一部を除くすべての戦闘旅団を撤退させることが出来るだろう。その時点で、イラク内の米戦闘部隊は、部隊単位でイラク軍と同居する形でのみ配置され、緊急展開および特殊作戦、訓練、装備、助言、部隊防護、調査、救急などの任務に携わることになろう。情報と支援の活動は継続されるだろう。この緊急展開および特殊作戦の部隊の重要な任務は、イラク国内のアル・カイーダを攻撃することであろう。

 イラク政府が、今後しばらくの間、特に治安の責任を担えるようになるために米国の支援を必要としていることは明らかである。しかしながら米国は、たとえイラク政府が計画通りに転換を実行しなかった場合でも、米国は部隊再配置を含めて自らの計画を遂行するであろうことを、イラク政府に対し明言しなければならない。米国は、イラクに配置された大規模なアメリカの部隊を無期限に維持するかのようなコミットメントをしてはならない。

 再配置が進むにつれ、軍事指導者は米国に帰還した部隊の訓練と教育に力を入れ、完全な戦闘能力を回復させるべきである。装備が戻ってきたら、議会は十分な予算を手当てして今後5年間の内に装備を回復させるべきである。

 米国は、国民的和解、治安、統治能力に関して具体的な目標(あるいは里程標)を達成するために、イラクの指導者と密接に協力すべきである。奇跡は期待できないが、イラク国民は対策が奏功して事態が改善されることを期待する権利がある。イラク政府は、自国の市民のみならず米国や他の国々の市民に対しても、支援を受けるに値する存在であることを示す必要がある。

 ノウリ・アル・マリキ首相は、米国と協議しつつ、イラクにとって重要な一連の目標を掲げてきた。彼の目標リストは出発点としてはそれでよいけれども、政府を強化しイラク国民に利益をもたらすような目標を含むものに拡張されなければならない。ブッシュ大統領とその国家安全保障チームは、イラクの指導者との緊密かつ頻繁な接触を保って、これらの目標の達成に向かって実質的な進展を生み出すためには迅速な行動が必要であるという明確なメッセージを伝え続けるべきである。

 もしイラク政府が政治的意思を行動で示して、国民的和解、治安、統治能力という目標の達成に向かって実質的な進展を実現するなら、米国はイラク治安軍に対する訓練、援助、支援を継続し、また政治的、軍事的、経済的支援を継続する意思があることを明確にすべきである。もしイラク政府が、国民的和解、治安、統治能力という目標に向かって実質的な進展を実現しないのであれば、米国はイラク政府に対する政治的、軍事的、経済的支援を削減すべきである。

 我々の報告書は他のいくつかの分野についても勧告を出している。それには、イラクの裁判システム、石油部門、米国のイラクにおける[経済]再建努力、米国の予算措置、米政府要員の訓練、米国の情報能力などの改善提案が含まれる。

<結論>

 イラク研究グループの一致した見解では、これらの勧告は米国のイラク及び同地域における新たな前進方向を提供するものである。これらは包括的であって、1つのまとまった形で実行される必要がある。分割されて個別に実施されるべきでない。地域全体の力学が働くようにすることが、イラクにとってもイラク国内の出来事にとっても重要である。

 課題は気の遠くなるようなものである。この先困難な日々が待ち受けていよう。しかし、この新たな前進方向を追求することによって、イラク、地域、米国はもっと強力なものとなって浮上することが出来る。▲

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