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INSIDER No.373《FROM THE EDITOR》

●昨夜の「朝まで」は6者協議再開と日本核武装論!

「朝まで生テレビ!」(11月3日深夜)に久々出演。今回のテーマは北朝鮮の6者協議復帰と日本核武装の是非論だが、13人の出演者で3時間マイナスCMだから1人当たり10分強の発言時間しかなく、消化不良に終わった。せいぜい7〜8人でないと無理だよね。それに、第1コーナーの在ワシントンのロビイスト=伊藤貫のインタビューも、わざわざ衛星中継まで使って約10分間を費やすほどの中身ではなく、ほとんど意味がなかった。

私の関心に引き寄せて補足しながら大事なポイントを挙げれば……、

(1)北朝鮮はなぜ早々に6者協議に復帰したのか。

第1に、金融制裁が、マカオのバンコ・デルタ・アジアの北の口座封鎖だけではなく中国銀行など中国の4大商業銀行による送金停止が加わったことによって、金正日体制を窒息寸前に追い込むほどの効果を発揮した。

第2に、そのことを含め、これまで北に対して困惑しつつも同情的だった中国が、北の核実験後ははっきりと米国と歩調を合わせて北に厳しい圧力をかける側にスタンスを移し替え、北の体制転換(すなわち金正日除去)の可能性さえも否定しない態度を暗に示した。

第3に、北の狙いは初めから“生き残り”、ということは米朝交渉を通じての“朝鮮半島の非核化”と和平の達成、国交樹立であり、そこへの唯一の入口としての6者協議に復帰するしか選択がなかった。

実際、中国の胡錦涛主席の北への怒りは凄まじく、何としても第2回目の核実験を阻止しようとして決然と行動した。葉千栄によれば、銀行の送金停止だけでなく、(実験失敗による)放射能汚染に備えた軍の特別公衆衛生部隊の緊急編成、かつて朝鮮戦争に参加した東北地方の2つの陸軍機甲師団計6万人の中朝国境近くへの展開、密輸防止のための鴨緑江沿いの強固な鉄条網とパトロール用道路の建設促進、原油供給の一時停止などの措置が黙々と実施されたようだ。それを背景に、中国は北に「もし2回目を強行すれば米国は北に対して先制攻撃に打って出るかもしれないが、中国はそれを阻止できない」くらいのことを言って金正日を脅したに違いない。

金正日に亡命を勧告したという見方もあるが、これは金は絶対に受け容れず、それよりも米国に爆撃されて死ぬことを選ぶだろう。中国が北の軍内部に手を突っ込んで宮廷クーデターを策する可能性については、葉は、中国はそのようなことが起きても構わないとは思っているが自分で手を下すことはしないという判断だった。

(2)6者協議が再開しても北は時間稼ぎに利用するだけではないか。

確かに、これまで10年余りの北のやり方を思い返せば、再開後ものらりくらり、押したり引いたりを繰り返して、その間に一層多くの核物質を蓄積して次の恫喝を準備するということになりかねず、そうなれば最悪の展開となる。

しかし第1に、中国も米国もそんなことになれば国際的に一層の恥の上塗りになることを百も承知しており、米朝国交樹立という“出口”を唯一の落とし所として用意した上で、容赦なく北を追い詰めるだろう。今回の6者は、実質は米中朝の3者であり、その中国が「米中関係は“重(要)中の重(要事項)”」という態度に踏み切った以上、北は米中の意見の違いを利用して巧く立ち回るというこれまでのやり方を封じられるだろう。

第2に、再開される6者(実質3者)では、最初から具体的かつ生々しい話が出るだろう。まず、北は偽ドル・偽タバコ・麻薬など国家的犯罪ビジネスについて「我が国の一部がそのような犯罪行為に手を染めた」ことを(拉致を認めたのと同じ論法で)暗に認めてその根絶を表明し、それをよしとして米国は金融制裁を一部解除する。一部とは、偽ドルなど犯罪行為のお金の洗浄に世界各地の銀行口座が使われていないかを引き続き監視し、また国連制裁決議に沿って軍事・核関連の物資や技術の取引や贅沢品の取引は今後とも阻止するが、一般の貿易の決済や既存の金正日の個人口座などは条件付きで出し入れを許すというようなことだろう。次に恐らく、北のIAEA(国際原子力機関)復帰とその下での寧辺の各施設への査察を受け容れるかどうかである。これは簡単には行かないが、それを条件に米中朝の和平協議(38度線の休戦協定を恒久的な和平協定に置き換える)、それに伴う半島の核を含む軍縮協議、平行しての米朝国交交渉準備など一連のプロセスのロードマップが米中側から提示されれば、北が呑むこともあり得ないことではない。あるいは、北側からそのような包括的な提案を出せばもっと話が早い。

第3に、再開合意の中に「作業部会」の設置が盛り込まれたことは小さくない。これは報道では金融制裁についての作業部会とされているが、実際にはすべての問題について迅速かつ実務的に詰めて行くための場となるはずである。

(3)日本は核武装の是非を論議すべきなのか。

この点についてはほとんど時間がなく、煮詰まった討論は出来なかったが、ほぼ全員が、大いに議論して、なぜ日本の核武装が軍事的に無意味なばかりか政治的に自殺行為であることを明らかにすべきだという認識で共通していた。

第1に、北が核実験をやったから日本も核武装すべきだという一部の意見は、その間の10段階くらいを吹っ飛ばした感情的な暴論であり、まず北が数発の実用に足る核弾頭を完成してノドンに装着したとして、それが明日にも日本に向けて発射されるかのように騒ぐことが馬鹿げている。北にとって日本は直接の軍事的脅威ではなく、何もない時にある日突然北が日本を核攻撃する可能性はゼロに近い。逆に、朝鮮半島で米朝が戦闘状態に入った場合に、もし北にそれだけのゆとりがあれば、米軍の出撃基地となっている在日米軍基地や“後方支援”に携わる日本自衛隊基地の無力化を目的として日本を、核にせよ非核にせよ、攻撃する可能性は大いに高まる。とはいえ、米朝が戦端を切れば、緒戦で米国は北のすべての核基地を破壊するだろうから、北に第2撃力を日本に向けるゆとりがあるとはほとんど考えられない。いずれにせよ、北が核を持ったとしてそれが実際に日本にとってどのような脅威となりうるかの見積もりをしなければ、「北は3発持ったらしい。日本も5〜6発は持たないと」というような、軍事的には無意味な、全く幼稚な感情的爆発としての核保有論になってしまってお話しにならない。

第2に、それでも核を持つことで北の外交的威嚇の手段が増えるのは事実である。しかし、だからといって日本も外交的な発言権確保のために核武装すべきだということにはなるはずがなく、それによって世界的に総スカンとなって外交的また経済的に失うもののほうが100倍も大きい。簡単な話、NPTと IAEAを脱退した日本はウランの輸入先を失い、電力供給の4割を占める原発が止まる。そこで、日米同盟下で“核の傘”を差し掛けられることによって外交的に対抗することになるが、この核の傘が本当に機能しているかどうかは大いに怪しい。日米は“同盟”と言いながら核の傘の実質についてまともに話し合ったことは一度もなく、日本は「米国があると言っているんだから信じるしかない」という態度である。仮にそこを詰めて「実はなかった」ということになったとしても、だから日本も核武装ということにはならないのであって、核だけが抑止力・外交力の源泉ではない。現に米国は、戦術核の使用に踏み切るぞと半ば公然と敵を威嚇しながらも、朝鮮戦争では引き分けに、ベトナム戦争では敗北に終わっていて、核恫喝の威力など知れている。

第3に、日本がもっと声を大にすべきは、北に核実験を止めろと迫っている米国も中国も、包括的核実験禁止条約(CTBT)に署名はしたが批准しようとはしないし、もっと遡って、5大核保有国が核軍縮に向けて努力することを前提としてそれ以外の国々への核拡散を防止しようというNPTの初歩的な原則さえ、米国も中国も誠実に実行していないことである。確かに日本は毎年のように国連総会に「究極的核廃絶」への宣言を提出して非核国・唯一被爆国の責務を果たしているかのようではあるが、究極的核廃絶とお題目を唱えるだけなら5大核保有国も賛成で、実質的には意味がない。そうではなくて、今回の事態をきっかけにNPTやCTBTの行き詰まりを打開する新しい全世界的な核軍縮プロセスを日本が発起し、その下で北東アジアと朝鮮半島の非核化のためのステップを提唱するような、本気の核軍縮イニシアティブを発揮することが求められているのではないか。

かつてインド・パキスタンの相次ぐ核実験の後、梶山静六は「保有国に核廃絶を説得できるのは日本だけだ」と言い、野中広務は「(米国を含む既存の)核保有国に対して『あなたがたが核をなくした上で他国に核を持つなと言いなさい』と言う勇気を日本が持たなければ」と言った。梶山は官房長官を下りた後、野中は自民党幹事長代理の時だったろうか。今は山崎拓と加藤紘一が陰のほうでそういうことを口にしているだけで、自民党の真ん中にはそんなことを言う人はいない。▲

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