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« INSIDER No.363《YASUKUNI》靖国「A級戦犯合祀」問題をどう解決するか──分祀、抹消、別施設、特殊法人?!
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INSIDER No.364《YASUKUNI》予告通り参拝した小泉首相──混乱を後に遺す無責任

●相変わらずの幼稚な説明

 やっぱり予告通り小泉首相は靖国に参拝した。参拝後の会見で小泉は、「中国、韓国の言いなりにはならない」「A級戦犯が合祀されているから行ってはいけないという批判があるが、私はA級戦犯のために行っているのではない」などの趣旨を改めて強調した。相変わらず幼稚極まりない非論理的な説明で、第1に、誰も中国・韓国の「言いなりになれ」などとは言っていない。中国や韓国は、日本の過去の戦争・占領政策に責任ある指導者と半ばその被害者でもある日本国民一般とを峻別することを前提として、戦後対日関係の再構築を進めてきたのであり、その根本のところを突き崩すことは止めてくれと言っていて、日本の識者の多くや中曽根康弘元首相をはじめとする批判者も、中国や韓国のそういう立場に配慮するのは日本の首相として当然だと言っているのである。相手の立場を理解してそれなりに配慮をするということと、言いなりになるというのは、別のことである。

 第2に、「私はA級戦犯のために行っているのではない」と言い張ることには何の意味もないどころか、ますます問題をこじらせるだけである。靖国に参拝すれば自動的にA級戦犯にも参拝したことになるのは当たり前で、中国や韓国はそれを「困る」と言い、昭和天皇も富田メモが示すようにそれが嫌だから靖国に行かなくなり、現天皇もその立場を引き継いでいる。遺族の中にも合祀を迷惑に思っている人がたくさんいる。加えて、小泉自身も過去の戦争は侵略戦争であり、A級戦犯は戦犯であるとの歴史認識を明言してきた。だとすれば、この合祀問題をどう打開するのかの政治的イニシアティブを発揮するのが首相の役目であるはずで、そのことに一言も触れることなく参拝を繰り返して混乱だけを後に遺すのは無責任の極みである。

●戦争責任論は今日的問題

 A級戦犯合祀が国論を二分する状況が続いているのはなぜなのかについて、読売新聞15日付の社説は「要因の1つは、A級戦犯が、軍事裁判(東京裁判)を行う戦勝国によって類型化されたものであって、戦争責任の所在が日本自身の手で検証されなかったことにあるのではないか」と指摘している。また与謝野馨経済財政金融担当相は同日付の朝日新聞「論陣論客」欄で、靖国・A級戦犯をめぐる論議をどう思うかと聞かれて、やはり、「先の戦争に対する不十分な責任検証が、今の混乱を引き起こしている」と述べている。これは正しいと思う。

 読売は、ただ単に「戦争責任問題が検証されてこなかった」と嘆くだけでなく、自ら1年間かけてその作業を行い、13日付で2ページ、15日付で4ページを費やして、東京裁判とは離れて(と言っても一致する部分もあるのだが)独自の判断から、天皇から軍人、政治家、軍官僚の重要人物についての責任評価を試みている。これは誠に真摯な取り組みで、是非誰もが熟読して自分の考えをまとめ他人と議論するためのきっかけにすべきであると思う。

 それは単なる歴史のお勉強のためではない。同じく15日付朝日新聞のopinion欄で作家の半藤利一が指摘しているように、陸海軍の死者約240万人の実に7割は餓死であり、また240万人のうち遺骨が戻ったのは124万5000人にとどまっていて、つまり日本国家は戦中も戦後も二重に彼らを見捨ててきたという現実がある。「死の実相を問わず遺骨も放ったまま、名前だけを『英霊』として靖国に祀ってきた。戦死者がこのように遇されている責任は戦後の日本人にもある」のであり、だから靖国問題、戦争責任問題は今の我々の生き方にも関わることなのだと思う。

 東京裁判がおかしい、だからA級戦犯は冤罪だと言いつのる人もいるけれども、当時の日本人はたぶん、東京裁判をいいことに戦争責任問題をA級戦犯に押しつけて、あとは「一億総懺悔」とか言ってやり過ごして、自らその問題に向き合うことはしなかった。その結果、日本国家と社会は戦後、遺骨の約半分が帰ってきていなくても、当事者以外はさして気に掛けることもなかったのだろう。こういうことすべてを曖昧にしたままこの先も生きていくのかどうなのか。小泉の言動からはそのことを考える糸口は何も見えてこない。▲
[本稿は《ざ・こもんず》の高野ブログに掲載したものです。]

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