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INSIDER No.353《FROM THE EDITOR》

●ロンドンで「スルタンの象」を、イスタンブールで「ジンガロ」を観た!

 5月4〜5日に鴨川自然王国で約70人が大集合しての田植えがあり、翌日早々に成田を発ってロンドンに行き、フランスを代表する“ストリート・アート集団”=ロワイヤル・ドゥ・リュクス(Royal de luxe)のイギリス初公演「スルタンの象」を観て、それからイスタンブールに飛んで、これまたフランスが世界に誇る馬と人と音楽が織りなす“騎馬オペラ”=ジンガロ(Zingaro)の新作「バットゥータ」の初演を観て来また。どちらも、世界に類例のない強烈な個性を持ったダイナミックなパフォーマンスで、改めてフランスの持つ文化的創造力・発信力の凄さに打ちのめされる思いの5月連休だった。

 ロワイヤルは、「文化で町興し」の世界ナンバーワンの成功例と言われる(それゆえに日本の各自治体の文化担当者の巡礼地とさえなっている)仏ナント市を本拠に、巨大な機械仕掛けの操り人形を街頭に繰り出して、町民や子供らはもちろん訪れる観光客のすべてまでをも巻き込んで、町全体を舞台として駆使して幻想的な物語を縦横に展開するという壮大なパフォーマンスで知られるアート集団。30年に渡って欧州各地をはじめ世界中で公演して好評を博しているが、保守的なイギリスでは今回が初めてで、大変な騒ぎが現出した。

今回の出し物は「スルタンの象」で、今から100年ほど前、インドのスルタン(首長)が重症の不眠症に陥って、夜な夜なろくに眠れぬままに夢枕に幾度も美しい少女が現れる。治癒のためにはこの夢の世界の少女に会うしかないと思い立って、技術者に命じてタイムマシンとなる巨大な象の建造を命じ、それに乗ってタイムトラベルに出発する。そのスルタンと象とが少女に出会う場所が(今回は)ロンドンな訳で、まずそのスルタンとお妃たちや侍従たちが乗った高さ12メートル弱、全長約20メートル、自重42トンの巨大な象がトラファルガー広場に現れると、その夜、近くの路上に身長5メートルの少女が木製のロケットを地面に突き立てて姿を現す。その象と少女の絡み合うドラマが3日間に渡って繰り広げられ、象と少女は時には一緒に、時には別々に、ロンドンのピカデリー通りなど中心街や公園の中を動き回って、最後は、スルタンよりも象のほうが少女に惚れてしまって、悲しげに泣きながら鼻を振って別れを惜しむ中、少女はロケットに乗って彼方に去っていくのである。

 この震えるような凄さは口で言っても分からない。英BBCの特別サイトにはたくさんの写真、映像、解説があるので、それのほうがまだ説得的だろう。また、「スルタンの象」のHPもある。

http://www.bbc.co.uk/london/features/sultans_elephant/

http://www.thesultanselephant.com/home.php

 これを日本に持ってこようという話があって、そのために観に行ったのだが、さあ東京にせよ大阪にせよ、こんなとんでもないものを受け入れることが出来るだろうか。汚い電線と歩道橋だらけの町ででは到底無理だし、かと言ってお台場の空き地でやっても何の意味もない。さあ、どうしたもんだろうか。

 ジンガロは、パリに本拠を置く騎馬オペラ劇団で、昨年初には初の日本公演が実現した。私が実行委員会の責任者となってこの誘致と馬の検疫問題クリアのため奔走したことは本誌でも何度か報告した。その時の出し物は「ルンタ」で、チベット僧の声明(しょうみょう)をバックミュージックにしてラマ教的な生と死の夢幻世界を描いたやや哲学的・内面的なものだったが、5月5日からトルコのイスタンブールの世界演劇フェスティバルの一環として初演されている新作「バットゥータ(Battuta)」は、ジプシーの生活の様々な場面を賑やかに、かつスピーディに描く、ひたすら楽しいコミカルなもので、08年3〜5月に再びこの作品で来日公演を企画していることから、敢えて初演早々を関係者数名と共に見に行ったのだ。

 円形劇場の中央には天井から地面に向かって流れる水柱が立ち、それが照明によって色が変化するのがほとんど唯一の舞台装置。伴奏はもちろん古典的なジプシーの民俗音楽で、5人の弦楽団のメランコリックなメロディーと、反対側の高いところに陣取った10人のブラスバンドの元気のいいリズムが交錯して雰囲気を盛り上げる。ストーリーというほどのものはないのだが、「逃げた花嫁」の物語とでも言うのだろうか、それを通じて若い農夫や村の長老らしい父親や花嫁衣装の娘の曲乗りがめまぐるしいテンポで展開され、ラスト近くになるとジプシーの村の猥雑なまでに人間臭い暮らしぶりのあれこれを象徴する馬車が次々に登場してクライマックスを迎える。

 観劇後、座長のバルタバスとスタッフ数名、日本側3人でボスポラス海峡を見渡すシーフード・レストランで夜更けの会食。「今回のは分かりやすくて、子供でも無条件に楽しめるのがいい。始まって4日目にしては完成度が高いね」と言うと、彼は「まだ場面の切り替えのところがうまく行っていないところがある」と言っていた。とにかくスピード感が勝負という演出だから、切り替えのところで少しでもテンポが崩れるのが我慢ならないのだろう。

 前回の日本公演は、最初7〜8割程度の入り、1カ月ほどして中盤に入ってあちこちで話題になってほぼ満席、最後の方はプレミアムがついたり朝からキャンセル待ちの行列ができるほどになったが、2年後の今回は、その下地がある上に、作品の分かりやすさ・楽しさで大話題になることは確実だ。しかし問題は前回と同じく日本の当局の馬に対する検疫体制で、当局としてはBSEや鳥インフルエンザで世論が厳しい折、やたら検疫基準を厳格にすることに命懸けになっていて、前回同様、何頭かの馬が入れなくなる可能性がある。「食うんじゃないんだから」と言ってもお役人には通じない。さあ、この難題をどうしたものだろうか。

 CNNトルコその他トルコのメディアのHPを見ると、トルコ語は分からなくても写真が何枚かあって雰囲気は感じることが出来る。

http://www.cnnturk.com/KULTUR_SANAT/DIGER/haber_detay.asp?PID=116&haberID=177230

http://www.ntvmsnbc.com/news/371622.asp

 このあとジンガロは、8月22日〜9月14日にベルギー、そのあとルクセンブルクで公演して、10月から来年3月までパリの本拠でロングラン公演を行う。

※ベルギー公演予告 http://www.battuta.be/

 ジンガロのHPは、まだ「ルンタ」のままになっていて、新作「バットゥーバ」は反映されていない。

※ジンガロ http://www.zingaro.fr/

 パリ公演は毎回、数カ月前にチケット完売なので、パリに観に行こうという方は手配をお早めに。パリの後、欧州各地や米国などを巡回、もう一度パリに帰るのかな。そして08年春の日本公演ということになる。楽しみだ。▲

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