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海外旅行は指紋を押して(読者からの投稿)

 タイトルは、あと3年ぐらいの近未来の話である。と思っていると、来年、すでにそうなってしまっている、ってことだってありうる。

 日本政府は、今国会に提出した入管法改正で、来日する外国人から入国審査時に指紋を採取することにした。その数、ここ数年の実績からすれば来日する外国人は年間約700万人。人類史上、これだけ多くの人から指紋を採取しようという計画は初めてだろう。

 指紋は人類65億人、全部違う。ということになっているが、検証した人はいない。

 電子的な指紋読み取りの場合、解像度や記号化の精度、照合時に利用する情報の量には何らかの制限がされるはずで、果たしてこのシステムが誤認識することなく稼働するのか、疑わしい。

 誰かが変造・偽造旅券を行使して入国するのを防ごうと思えば、たとえば採取した指紋を長期にわたって保存して、同じパスポートで入国しようとする人がいれば過去のデータと照合する。

 そのとき、指にけがをしたり、洗剤で指紋が薄くなったりで、機械が同一人物と判断しない場合が出てくるかもしれない。ちょっとした機械の誤認識で入国できない、なんて冗談じゃない。

 2004年9月から、アメリカは、「US-VISIT」といわれる入国管理方式を導入した。入国しようとする外国人から指紋と写真を採取することにしたのである。主要な空港でこうした入国手続きが行われている。

 これと同様のことを日本でもしようというのである。

 日本政府の入管法改正案では、16才以上の、公用旅券で入国しようとするもの以外のすべての外国人から指紋を採取することになっている。

 理由はテロ対策。テロを理由にすればなんでもできてしまう。しかし16才以下のテロリストはいないのか? 公用旅券を偽造してくるテロリストはいないのか? なぜ16才は指紋を採られ、15才は採られないのか合理的な説明はなかった。そもそも、指紋を採ったところでテロを防げるのか?

 外国人登録から指紋採取がなくなったと思ったら、今度は、すべての外国人の指紋を採ろうというのだ。

 「US-VISIT」には、ブラジル政府が対抗策をとって、アメリカ国籍者からのみ指紋を採取している。外交官の好きな相互主義という考え方からすれば当然である。日本が指紋を採りはじめれば、日本人だけが外国で指紋を採られる、という事態もあり得る。

 今国会の衆議院法務委員会での審議では、日本政府が想定している指紋の保存期間は70年から80年という言葉が法務副大臣から出た。が、その後、いつ廃棄するかはテロリスト側を資する情報なのでいえない、となった。

 法務委員会では、アメリカの「US-VISIT」が始まったときに、日米規制緩和イニシアティブという政府間交渉で、日本側が、<採取した指紋を出国時に廃棄する>よう要請していたことが民主党委員の質問でわかり紛糾した。アメリカにはすぐ廃棄を要求していたのに、自分がやるとなったら「80年保存」である。政府は矛盾を矛盾と認めず押し切った。法務大臣は、世界中の国家が指紋を採るのがいいのだという。

 アメリカがはじめた指紋採取は、日本がそれに続くことで全世界化に向かうのだろう。

 法務大臣のねらいどおりになるか。いずれにしてもこのままいけば、2、3年後には、<海外旅行は指紋を押して>、が常識になるだろう。

 外国人の指紋を採取するという話だろう、なんて人権感覚のないことを言っていると、それが回り回って日本人を含むすべての人類になることを見逃してしまう。

 この問題について、テロやら犯罪対策として仕方がないのか、それとも、国際人権規約にも違反することで、いくらテロ対策でもやってはいけないことなのか、国民的な論議が必要だろう。そうでなければ影響が大きすぎる。

 しかし、改正入管法はわずか2日半の野党質疑で衆議院法務委員会通過となってしまった。

 日本が変わる、世界を変える。もう止まらない人権の「構造改革」だ。

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コメント (1)

 私は指紋くらい差し上げたっていいんじゃないの?って思っています。もちろん、そんなことはしない世の中なのが一番ですが。
 現実的には日本国内では普通に生活することが不可能なくらいリスクが高まっているからです。テロ以外にも、犯人が捕まらない外国人がらみの世田谷一家惨殺殺人事件、ペルー人の小学生殺人事件、北朝鮮の拉致、オウム事件、などなど、もはや、少しでも安全が確保できるなら仕方がないのではという気がしてます。
 もはや、まったりとしたのどかな生活は日本では手に入らないのではと思います。
 この指紋集めも本来の目的はテロや犯罪対策なので、その部分には反対できないとおもいます。野党などの反対する論理は、個人情報を国家権力が管理する危険性ということだと思いますが、これは別の方法でクリアできないものでしょうか?たとえば、国家プライバシー局のようなアンタッチャブルな機関をつくり、すべてのプライバシーに関する業務をおこなうとか(SFぽいけど)。
 同じような話で納税者番号制や国民背番号制など、個人のプライバシーをたてに、提出されては廃案になっていますが、廃案になっていちばん喜んでいるのは、脱税しているお金持ちや、アンダーグラウンドのマネーで潤っている方、益税をもらえる商店街のおじさんくらいで、一般に生活している人にとっては、悪い奴が脱税しなくなる分、メリットがあると思うのですが。

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