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INSIDER No.351《BOOKS》あなたは脳細胞の99%を眠らせたまま死んでいくのか?──溜め込んで3冊ずつ読むスローな読書術・その1

 《ざ・こもんず》ではこのほど、「溜め込んで3冊ずつ読むスローな読書術」と称する書評コーナーを新設して、最初のうちしばらくは私がペースを作るが、やがてブロガーの皆さんにも適宜参加して頂いて執筆して頂くようにしたいと思っている。

 私の本の読み方というのは乱雑で、自分で月に数万円分の本を買うのに加えて、それを上回るほどの本を友人・知人や場合によっては未知の方からも献本して頂く中から、(1)これは今すぐ斜め読みでもいいから読んで対応しなければならないもの、(2)一応、前書きと目次と後書きを読んで肝心要のところだけを読むもの、(3)積ん読というか目次を眺めたくらいでとっておくもの──を区別して、大雑把に言えば(1)が1割、(2)が2割、(3)が7割という割合である。で、その(2)と(3)の9割の本をどうするかといえば、出来るだけ溜め込んで、あるテーマが閃いた時に、それに関連するであろうと思われる3〜5冊をほとんど1日か2日で一気に読んで、いいとこどりをしてそのテーマに関する自分なりのイメージや考え方を作り上げる。

 私としては、溜め込んでおくのはスローだけれども、そこからあるイメージを形成するのは一気であるという本の読み方が自分のペースになっていて、それを他人に押しつけるのは気が引けるけれども、私がそれをまず始めて、そういうやり方に賛同してくれるブロガーの皆さんにも順次その「3冊一度に」という三面鏡的なフォーマットで参加して頂けることを期待して、このコーナーを始めようと思う。

なお、このコーナーのうち私が執筆したものはインサイダーにも転載される。他の人が執筆した場合は転載されないので《ざ・こもんず》の当該コーナーを見て頂きたい。[たかの]

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《今回取りあげる3冊》
竹内一郎『人は見た目が9割』(新潮新書)
ウィリアム・リード『マインドマップ・ノート術』(フォレスト出版)
トニー・ブザン『ザ・マインドマップ』(ダイヤモンド社)

●目は口ほどにものを言う

 「人は見た目が9割」という書名だけを見て、外面を飾れば女にもてるという類の軽薄な実用本かと思って手に取るのをためらった向きもあるかもしれないが、これは「言葉による伝達(verbal communication)」より「言葉以外の伝達(non verbal communication)」の方が伝達力が高いのだということをテーマとして、日本人のコミュニケーションの特徴を分析した真面目な本である。

 著者は、劇作家・マンガ原作者であり、また舞台演出や俳優教育を長年手掛けていて、自分が言葉で書いたシナリオが、芝居の役者やマンガの登場人物の表情や仕草、間(タイミングのよい沈黙)、色や匂いや音、声色や話すテンポなど、言葉以外の表現要素を巧みに動員することで、遥かに伝達力が高まっていくその手法やプロセスを熟知している。

 例えば、「目は口ほどにものを言う」と言われる通り、待ち合わせに遅れてきた女が「ごめん。怒ってる?」と訊き、男が「怒った」と答えながら目は笑っているという場合は、彼は怒っていない。逆に「怒っていないよ」と言いながら目が怒っているときには、怒っている。あるいは、頬杖をついている男に、女が「真面目に聞いているの?」と問い、男は「ああ、聞いているよ」と答えるが、頬杖に加えて、ロックグラスの氷を見つめるような目線でもあれば、心ここにあらずであることは明らかだ。

●言葉の割合は7%?!

 言葉以外のコミュニケーションというのは実は心理学の1研究領域であり、人が他人から受け取る情報の割合についての米国の心理学者アルバート・マレービアン博士の実験結果によると、「話す言葉の内容」が占める比率は何と7%にすぎない。残り93%は言葉以外の要素で、「声の質(高低)、大きさ、テンポ」が38%、「顔の表情」が55%である。実際には、身だしなみや仕草も大きく影響するだろう。その数字を引用しながら著者は言う。

 「ついついコミュニケーションの“主役”は言葉だと思われがちだが、それは大間違いである。…人は能力や性格もひっくるめて『見た目が9割』と言ってもさしつかえないのではないか…。にもかかわらず学校教育では“言葉”だけが“伝達”の手段として教えられる。だから7%を“全体”と勘違いしている人が生まれる」

 確かに学校でも、音楽や美術、ダンスや演劇、さまざまなスポーツなども教科に採り入れられているけれども、それらはすべてバラバラで、そのような言葉以外の伝達力をさらに言葉そのものの伝達力と上手に組み合わせて、自分自身の総合的な言語的かつ身体的な表現能力、コミュニケーション能力を鍛えていくという具合には指導されないので、例えば、音楽の授業でかえって音楽が嫌いになるというようなことが平気で起きている。

●テレビの影響力の大きさ

 テレビ・メディアの影響力の大きさ、引いては小泉劇場といった問題もたぶんこのことに関係しているのだろう。言葉の中身だけではなく、広場を埋め尽くした何万もの大群衆、大音響のワーグナーの音楽、天を突くサーチライトの光、林立する旗の色となびき方、その中へ(身長の低さを隠すため)白馬に乗って登場するヒトラー、制服、敬礼、そして次第に興奮して上ずっていく演説のトーン──など、ありとあらゆる手段を動員して精密に計算した演出で大衆を陶酔に引き込んだのが、ナチスの宣伝相ゲッペルスだが、戦後、米国のテレビ業界、CM業界、マーケティング業界はそれを徹底的に研究してテレビを通じての大衆心理操作の技法を磨き上げ、やがてそれは政治にも波及して「政治のテレビ化」が進んだ。

 他方、それに対抗して60年代後半の米西海岸のカウンターカルチャーの中で生まれたのが「マルチメディア」で、それは原始的には、ロック音楽のサウンドだけでなく、衣装、色、光と闇、動画、激しい扇動演説、抑制された詩の朗読等々、さらにはドラグに寄る聴衆心理の高揚まで計算に入れてロックコンサート兼反戦集会を演出するやりかたのことである。やがてアップル・コンピューターが登場し、個人がそのような様々の表現要素を組み合わせた表現物を制作することが可能になり、さらに電子的通信手段を通じてそれを自由に発信することさえ可能になって、それが今日のブロードバンド時代にまで繋がっている訳であるけれども、ますます大がかりになり巧妙化していくテレビの側の社会を動かす影響力の巨大さに比べて、ネット上の個人の発進力の総和はまだそれに十分拮抗するだけの力にはなっていない。

 まして日本では、幼い頃から言語的と身体的・イメージ的との表現能力を総合してコミュニケーション力を鍛えるということがないので、余計にテレビの魔術に対して抵抗力がない。それが「小泉劇場」が成り立つ日本の風土なのだろう。

●マインドマップという思考ツール

 さて、マインドマップというのは、あるテーマに関する関連事項を言葉だけでなく色づけした線やイメージ(画像)を使って1枚の紙に表現する技法のことで、それはノート術であり、記憶術であり、発想術、企画術、プレゼンテーション術、コミュニケーション術でもある。その元祖が英国のベストセラー作家でありカリスマ・コンサルタントでもあるトニー・ブザン。その弟子で世界で5人目の公認マスタートレーナー資格を与えられて「ブザン・ジャパン」を設立した在日米国人がウィリアム・リード。この2冊は、ブザンを原理篇、リードを応用篇と捉えてワンセットで読むのが分かりやすいだろう。

 ブザンはマインドマップを次のように定義する。

 「マインドマップは放射思考を外面化したものであり、脳の自然な働きを表したものである。脳の潜在能力を解き放つ鍵となる強力な視覚的手法で、誰もが身に付けることができる。あらゆる用途に使用でき、学習能力を高めたり、考えを明らかにしたりするのに役立ち、生産性の向上が可能になる。マインドマップの特徴は次の4つである。

(a)中心イメージを描くことにより、関心の対象を明確にする。
(b)中心イメージから主要テーマを枝(ブランチ)のように放射状に広げる。
(c)ブランチには関連する重要なイメージや重要な言葉をつなげる。
(d)あまり重要でないイメージも、より重要なものに付随する形で加える。ブランチは、節をつなぐ形で伸ばす。

 マインドマップに色、絵、記号、立体化などを使うと、おもしろさや美しさや個性などを加えることができ、創造力、覚える力、とくに記憶の再生の助けとなる」

 それこそ文字で書くより絵で見た方が早く、ブザンの本には面白いサンプルがたくさん載っているのだが、それをそのまま複写するわけにはいかないので、取り敢えず高野ブログの4月10日付「これは一体何だ?」、17日付「これは一体何?/その2」を参照して頂きたい。私もまだ初心者で、W・リードさんは「よく出来ている」と言ってくれはしたものの、これがセオリーに合致しているのかどうかは分からないのだが、まあ大体こんな感じのものである。

 で、それがなぜ「脳の自然な働きを表したもの」と言えるのか。人間の脳には推定で1兆個の脳細胞(ニューロン)がある。個々の脳細胞はピンの頭ほどの大きさだが、それぞれに複雑な電気化学装置と強力なマイクロデータ処理伝達システムを備えていて、何十、何百、何千という触手を木の枝のように放射状に伸ばして他の脳細胞と信号のやり取りをする。同じテーマを何度も考えると、そこに一定の電磁回路が出来上がって「記憶痕跡」や「認知地図」が形成されるので、ちょうど森に道を開くように、段々踏み固められて思考のスピードが増し効率的になる。それが放射思考で、マインドマップはそのような脳内のプロセスを鏡のように映し出すことで脳の力を強化するものである。

 その際に、マインドマップに線や形や絵や色を用いることでその効果は尚更大きくなる。よく知られている右脳と左脳の機能の違いという問題がこれに関連する。左脳が、言葉、論理、数字、数列、直線性、分析、リストなどに優位性を示すのに対して、右脳は、リズム、空間認識、全体性、想像力、空想、色、次元性などに優位性を持つ。先に竹内が、言葉と言葉以外とにコミュニケーション能力を分けて、とりわけ日本の学校教育では言葉を偏重しがちだと言ったのは、別の表現で言えば、左脳偏重に陥って右脳の豊富な認識と伝達の機能を十分に活用していないということになる。マインドマップは左脳と右脳の両方を使うというだけでなく、その両方が巧く連動してバランス良く働くようにするための訓練術でもある。

 W・リードの(長い書名を正確に言えば)『記憶力・発想力が驚くほど高まるマインドマップ・ノート術』は、まずノートの取り方というところからこの方法に慣れることを勧めた入門書である。彼は、合気道に憧れて1972年に交換留学で来日して早稲田大学で1年間を過ごし、そのまま在日して日本語(完璧)、合気道(7段)、書道(師範)、タップダンス(上級者)などを次々に極めつつ、翻訳・通訳・記者の仕事をし、その中でマインドマップに出会って今や日本におけるその伝道者である。と言うより、マインドマップを身に付けたからこそそれだけ何をやっても一流になれたということだろう。

 彼も言っている。「人間は本来脳が持っている機能の1%以下しか使っていないという学説も出ています。たった1%…。逆に言えば、あなたの脳の99%は眠ったままということです。もちろん使わなければその1%も退化してしまいます」

 99%も眠らせいて、しかも左脳ばかり使って右脳の退化が甚だしいと言うことであれば、脳細胞の0.5%も使っていないことになる。せっかく人間に生まれながら生きた屍も同然だ。これじゃあ死んでも死にきれないと思う方は、この3冊を読んで自らの脳を蘇生させ、悔いのない人生を送るよう心がけて頂きたい。▲

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コメント (1)

北朝鮮から漏れてくるTV映像を半ばお笑いのように眺めていましたが、白馬にまたがる将軍様の映像などや大群衆のマスゲーム、巨大金日成の像など、北朝鮮の映像戦略はナチスのパロディーに見えてしまうのですが、隔絶された世界では大きな影響力があるのですね。しかし、チワワや女の子の笑顔につられて、サラ金に手を出す日本人の姿を見ていると、北朝鮮を笑えません。竹内一郎『人は見た目が9割』(新潮新書)是非読んでみます。

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