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INSIDER No.349《YOKOTA》横田、嘉手納の「空」を返せ!——在日米軍再編への疑問

 昨日のサンプロでは、大詰めを迎えている普天間海兵隊航空基地の名護移転問題がテーマの1つだった。ジュゴンのいる珊瑚礁の海をブッ潰す旧来案から、キャンプ・シュワブの海岸線に密着した沿岸案になったのはまだマシとして、それでも飛行ルートが住宅地の上空を通るというので、それを10度ほど海側に傾けて住宅地を避けたらどうか、といったところで最終調整が進んでいて、それについて出演した専門家たちの議論があった。私は、交渉事としてそういうところに煮詰まっていくのはそれで仕方がないとして、そもそも、何で米海兵隊が沖縄にいなければならないのか、7000人だか8000人だかの海兵隊がグァムに移るというならなぜ全部がグァムに移らないのか、米軍も日本政府も日本の納税者が納得できるように説明責任を果たす必要がある、という趣旨のことを発言した。

 名護に限らず、座間への陸軍第1軍団司令部進駐、岩国への米艦載機移転、東京横田空軍基地の「横田ラプコン」一部返還などを含め、在日米軍再編問題が全体として解せないのは、冷戦が終わったというのになぜ在日米軍はそれまでの配置を基本的に維持しているばかりか、部分的にはそれを強化さえしようとしているのかということについて、その経費を負担させれらている国民にも、事故の危険や騒音やレイプ事件などの被害が甚だしい現地住民にも、きちんとした説明がなされていないことである。出演者の1人である石波茂=前防衛庁長官は、そんなことは当たり前だという調子で、在沖縄の米海兵隊が「抑止力」だと言ったが、誰に対するどういう抑止力なのか。

 在日米軍がいるから中国や北朝鮮が日本を攻撃しにくい? 中国や北朝鮮が何で日本を軍事攻撃するんですか。彼らは日本と友好関係を保って経済・技術協力を得た方がいいに決まっていて、日本を攻撃して占領したとして、こんな高度成熟社会をマネージ出来るわけがないし、そもそも日本を占領できるだけの渡洋戦力を持っていない。話は逆さまで、在日米軍がいるから日本が攻撃されるのである。台湾海峡や朝鮮半島が有事になって米軍が介入する、日本も「周辺事態法」というアホな法律を作ってしまったのでその後方支援に出撃する。となれば、中国や北朝鮮としては、米軍及び自衛隊の出撃基地をミサイルで攻撃するのは当然で、それ以外に中国や北朝鮮が日本を攻撃する合理的な理由はありえない。

 つまり、在日米軍がいるから日本は攻撃を受けにくいのか、在日米軍がいるから攻撃を受けやすいのか、というのは自明の事柄ではなくて、その両面を国民がどう判断して、どこまでの基地負担を受容しようかという問題なのである。

 それにしても、日本国民は日米安保下の現実をあまりにも知らないか、知っていてもそのことに鈍感である。この図を見ていただきたい。

yokota060329.jpg

 これは私が東北旅行中にたまたま手にした12日付『河北新報』に載ったもので、共同通信配信であるかと思われるが、無断で搭載する。驚くべきことに、米軍は東京のみならず栃木、群馬、埼玉、神奈川、山梨、新潟、長野、静岡の一部を含む1都6県に及ぶ広大な空域を「横田ラプコン(Rader Approach Control=レーダー管制空域)」として占領し続けている。高度は、7000メートルから6100、5500、4900、4000、3700メートルまで段階になっていて、羽田や成田と西日本各地と結ぶ航空便は、往きは離陸後に急上昇してこの巨大な箱の上を飛び、復りは南に迂回して大島、房総半島上空から進入しなければならない。この急上昇や遠回りの影響を受ける羽田・成田の発着便は、最近初めて国交省が試算したところ、1日約470便に達し'09年から便数が増えると約650便が影響を受ける。

 羽田発で西に向かう便は、急上昇のため飛行時間が3分余計にかかり、羽田着の便は遠回りのため約9分余計にかかり、ソウルや北京から成田着の便も遠回りで約7分余計にかかる。仮に東京都西部から伊豆半島にかけての現在5500〜3700メートルの空域を3000メートルまで返還させただけでも、年間約80億円の燃料節減となり、09年以降では約109億円となる。また単にお金の問題だけでなく、異常接近の危険も大幅に低減する。逆に言えば、我々は世界一高い国内航空運賃と超過密空域の慢性的な事故の危険性という大きな負担を払い、さらに横田米空軍基地そのものの維持・運営費を“思いやり予算”として税金から支出して、これを支えているのだが、それによってどういう“安全保障”を得ているのか。もちろん基地の機能は単体で評価することは出来ないが、横田は主として第374空輸航空団が運用する極東最大の軍事輸送のハブ空港であり、平時でも年間2万便の輸送機が離発着する。このようなものを独立国の首都に置いて広大な空域を外国軍に占有させておくことが合理的なのかどうかは、正面切って議論されなければならない。

 これまでも日本政府は、最初は全部が7000メートルだった横田ラプコンを、南側については少しずつ返還を求め、その結果、上述のように3700メートルまでの階段状になってきた経緯がある。日米安全保障協議委員会が昨年10月にまとめた在日米軍再編に関する中間報告では「横田空域における民間機の航行を円滑化するための措置を探求する」「米軍の管制空域の削減や横田基地への日本の管制官の併置を検討する」などとしており、さらに3月末をめどにまとめる最終報告では、もう一歩踏み込んで同空域の「航空管制業務の全面返還実現に向けて協議する」との内容を盛り込む方針である。しかし他方では、府中の航空自衛隊司令部をここに統合し、MD配備を含む日米共同作戦センターを設置するという計画があって、むしろ横田は、一部の空域を民間開放する替わりに日米両軍の統合の拠点として基地機能が強化されようとしている。

 米軍が航空管制するラプコンは、沖縄、岩国の上空にも存在する。沖縄の嘉手納ラプコンは沖縄本島をほぼスッポリ覆う巨大なもので、そのため那覇に離発着する民間機は米軍の誘導を受けて海面すれすれの低空で飛ばなければならない。が、嘉手納ラプコンは2007年に返還されることが決まっている。しかし横田についてはまだで、日本は首都圏の空を外国に売り渡してそれを主権侵害だと思わない世界唯一の呑気な国であり続けることになる。▲

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コメント (2)

日本人として 知りませんでした
恥ずかしい限りです。

とにかく 高野様 めちゃくちゃ格好良いです。
こんな コメントでゴメンナサイ

大ファンの主婦より

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