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INSIDER No.331《REVIEW》佐野眞一の「沖縄コンフィデンシャル」が快調だ!

 ドキュメンタリー作家の佐野眞一が月刊プレイボーイに10月号から連載を始めた「沖縄コンフィデンシャル/戦後60年の沖縄を作り上げた怪人たち」が、12月号あたりからだいぶ盛り上がってきた。12月号の第3回では、日本最西端の島=与那国が戦後の数年間、島を挙げて「密貿易」に精を出し、久部良港は24時間、沖縄や宮古はもちろん奄美、九州、台湾などからやってくる密輸ブローカーとそれ目当ての女たちで溢れかえり、港周辺だけでも70軒もの料亭やバーがあって札束が乱れ飛んでいたという、知られざる歴史が解き明かされる。

 密貿易の主な内容は、沖縄の米軍基地から盗み出された煙草、薬莢、銅製品、バルブ、航空燃料等々さまざまの軍用物資と、台湾から運ばれた食料品や医薬品などの貴重品との物々交換である。米軍基地からの窃盗を専門にする不良集団は“戦果アギヤー”と呼ばれ、それがやがて沖縄ヤクザの有力な一派に発展する。海上には、密貿易船を狙う海賊も出没したが、その仲間の1人が今も与那国に生き残っていて、佐野のインタビューに「昔の話は忘れた」などと答えているのを読むと、何かお伽噺の世界に迷い込んだような不思議な感覚に囚われる。

 密貿易と言っても、権力の側から見ればそうだというだけの話で、与那国島は那覇から510キロ、台湾から111キロで、台湾のほうがよほど近い。戦前は沖縄より植民地=台湾との関係が深く、日用品の買い付けには那覇に行かずに台湾に行っていたし、戦後になって国境線が引かれた後もまだ台湾の紙幣が通用していた。もっと遡れば、与那国が琉球王朝の支配下に組み入れられたのは比較的新しく、1510年(日本本土では室町中期)のことで、それ以前はサンアイ・イソバという伝説的な女酋長が島を治めていて琉球王の軍を寄せ付けなかったという。沖縄県の端っこになったのも、戦後になって台湾との間に国境線が引かれたのも、与那国からすれば自分の意思ではない迷惑な話なのだ。

 さて、『カリスマ 中内功とダイエーの「戦後」』の著作でも知られる佐野が、このように沖縄の闇世界の取材にのめりこむことになったきっかけは、まさにその中内ダイエーのかつての急成長の“秘密”が沖縄にあったことを知ってしまったからである。ダイエーの原点は「牛肉安売り」だが、その牛肉がどこよりも安いのは、オーストラリア産の子牛を沖縄で大量に飼育し、それを米軍支配下の沖縄には特例措置で関税がないことを利用して格安で輸入したからだった。ところが中内が沖縄経由で輸入してボロ儲けをしたのは牛肉だけではなかったようで、香港から運ばれるペニシリンなどの医薬品を「ぜんぶ今のダイエーの中内さんが買いはっ(て)ペニシリンは高いから盗られんように田岡(一雄=山口組組長)さんの子分らが警備した」。山口組と手を組んだ沖縄舞台の密貿易こそ中内商法の原点なのだ。

 だから、『阿片王/満州の夜と霧』を上梓したばかりの佐野は言う。「満州という“時間軸”と、沖縄という“空間軸”を立てる。そして、その2つの軸がクロスしたところに結ばれた像こそ、われわれがいま生活する日本列島の掛け値なしの姿なのではないか」と。賛成だ。われわれは満州も沖縄もよく知らず、だから日本のこともまだよく分からない。さあこの連載、これからどう展開していくのか、楽しみだ。▲

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コメント (1)

沖縄は 昔から 密貿易盛んでしたね

薩摩藩も江戸に内緒で行っていました。

そういえば ジョン万次郎が帰り着いた所も 沖縄でしたよね。

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