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2005年12月31日

INSIDER No.336《TODAY!》NHK衛星第一で今日!

 読者で八千代市議会議員の秋葉就一さんより次のお知らせがありましたので要約転送します。NHK衛星の番組は今日!1時間後!からです。

 以下の項目をご案内します。
1. NHK衛星第一でこの1年の優良ドキュメンタリーを再放送
2. 9/11以降のアメリカ描いたランド・オブ・プレンティは1月6日まで
3. 武器商人の世界をシニカル?に描いたロード・オブ・ウォーは17日から

1. NHK衛星第一でこの1年の優良ドキュメンタリーを再放送。日付は全て12月31日です。

13:10-14:00
「終わらないアスベスト問題〜増加するがん患者」
〜2005年 フランス ポワンドジュール制作〜

15:10-16:00
「イラク 劣化ウラン弾被害調査〜ドイツ人医師13年の足跡」
〜2004年 ドイツ オチョアワグナープロダクション制作〜
1月4日放送分の4回目の再放送

19:10-20:00
「ラムズフェルドの戦争〜米国防総省の内幕」
〜2004年 アメリカ WGBH制作〜

20:10-22:00
「なぜアメリカは戦争を続けるのか」
9月4日(日)放映分

以下、ジェイコム・マガジン記載の番組紹介です。
今なお巨大な権力を有しているアメリカ軍産複合体とは!?
01年9月11日の同時多発テロによって、アメリカ軍産複合体は、新たな戦争の時代に突入したのではないか。第2次世界大戦時代に誕生したアメリカ軍産複合体が、現在もなおアメリカの政治・経済に多大なる影響を与えている現状を伝える。サンダンスドキュメンタリー賞を受賞した番組。

★テレビ朝日で恒例の「朝まで生テレビ!」は元日朝(大晦日深夜)
1時30分から5時55分まで。

2. 9/11以降のアメリカ描いた「ランド・オブ・プレンティ」は1月6日までシネカノン有楽町で午前10時45分からの上映のみ。
(有楽町駅山手線内側すぐ読売会館内ビックカメラ7階 03-3283-9660)

3. 武器商人の世界をシニカル?に描いた「ロード・オブ・ウォー」は17日からニコラス・ケイジ主演の話題の映画は有楽座ほかで上映スタートしました。▲

2005年12月26日

INSIDER No.335《KEYWORD》日本人の金持ち度

 先日、早稲田の社会人ゼミの学生から教えられたことだが、「世界金持ち番付」というサイトがあって、ユーロ、ドル、円など通貨単位を選択してから自分の年収を入力すると、それが世界の総人口の中でどの程度にランクされるかが、たちどころに表示される。

http://www.globalrichlist.com/

 日本人の平均年収629万円は、何と世界のトップから1%以内、0.855%の大金持ちで、それより貧しい人は59億4864万1236人もいる。森永卓郎ご推奨の年収300万円で暮らそうとしても、世界ではトップから8.87%にランクされ、それより貧しい人は54億6746万3235人いる。

 ところで、人に向かって「300万円で暮らせ」という本を書いて昨年の年収8000万円だった森永は、世界で0.001%。これ以上何も言わずに、1時間あたりの収入約5万5555円をすぐに世界の貧困解消のために寄付しなさいと表示される。

 「格差の拡大」が流行語だが、どう転んでも世界人口の10%以内の金持ち同士の話であることを踏まえないと、お笑いになってしまう。▲

INSIDER No.334《IRAQ WAR》イラク内戦の危機を前に米軍撤退を始めてしまうブッシュの賭け

 米ブッシュ政権はクリスマスを前に、12月総選挙の結果に基づいてイラクに“本格政権”が出来るかどうかまだ何の目途も立っていないというのに、それが出来るはずだという架空の想定を前提に、現在16万人弱の派遣米軍の一部撤退を来年から実行する方針を打ち出した。第1弾として、来年早々に、選挙警備のために増派した2万人を撤退させてそれ以前の13万8000人に戻し、さらに第2弾として、来春に7000人を撤退させる。

 ある意味でこれは論理的で、イラクにイラク人自身の政府が出来るということは、米軍による事実上の占領状態を解消してイラク人部隊に国内治安維持の全責任を委譲するということであるから、政府が出来る以前に米軍撤退は始まっていて当然だし、政府が出来た後は急速に撤退を完了しなければならない。

 しかし問題は、本当に新しいイラク政府が出来るかどうかだが、その見通しは極めて暗く、結局、政府づくりは破綻して、スンニ派、シーア派、クルド族が三つ巴となった内戦に突入していく公算の方が大きい。その場合、米国は、イラクに侵攻し占領した責任上、占領状態を継続して、国内治安の確保と内戦の周辺国への波及防止に努めなければならない。ところが、内戦になればなおさら、米軍が今以上に特にスンニ派武装部隊の攻撃対象となるのは必至で、大規模な戦闘に巻き込まれて犠牲を増やさざるを得ない。米軍が侵攻・占領したから治安が悪化し内戦状態に近づいているのだが、そうかと言ってここで中途半端に責任を放棄して撤退すれば、本格的な内戦になって中東全体を動乱に陥れ、世界中から一層の非難を浴びるに決まっているというこの泥沼のようなディレンマの中で、米国はまなお長期にわたって苦しみ続けることになるだろう。

●どうしてこんなことに?

 どうしてこんなことになってしまったのか。

 第1に、軍事力を用いてイラク国家を破壊しサダム・フセインを除去するという当初の目標設定そのものが、形式上、完全に国際法に違反する暴挙であっただけでなく、内容上、イラクという国の成り立ちやその複雑な国内構造に対する驚くべき無知に基づいていた。

 バグダッドが歴史上、世界貿易の中心地として最も栄えイスラム文明の黄金時代を謳歌したのは、8世紀から13世紀にかけてのアッバース朝で、それはスンニ派がシーア派の助けを借りてシリアのウマイヤ朝の支配を倒して樹立したものだった。アッバース朝がモンゴル軍によって滅ぼされた後、長い間、異民族王朝によって入れ替わり支配を受けるが、20世紀に入ると、オスマン・トルコ帝国に対する自治要求、イギリスに対する独立闘争、王制打倒の民族主義運動を通じてイスラムを国教とする社会主義国家が形成される。その間、変革の中心にいてそれを導いたのは、政治家、官僚、軍人の圧倒的大部分を常に占めてきたスンニ派であり、その長い歴史が、人口的には少数派であるスンニ派が政権中枢を握り、シーア派やクルド族も時には対立もし不満を爆発させることもあるけれども基本的にスンニ派支配を容認するという独特の“国体”(国のかたち)を作り上げていたのである。

 本誌は前にも指摘したことがあるが、サダム・フセインは趣味や個人的嗜好で“独裁”をやっていたわけではない。このような宗教的・民族的に複雑骨折的な構造を持つ国を1つにまとめて行こうとすれば、何らかの独裁的政治手法を採らざるを得ないというのが事態の一面であり、それは往々にして行き過ぎの暴虐に陥ることがあったとしても、単に「独裁はけしからん」というだけでそれを物理的に除去してしまえば、後には混乱しか生まれないのは自明であり、もし占領者=米国が再び秩序構造を再建しようとすれば、多少なりとも暴力的な方法を用いるしかない。そんなことも分からないで戦争を仕掛けたのか、ということである。

 第2に、従って、米国がイラク人に新しい政府を作らせようとすれば、今までどおりスンニ派支配を認めるのか、そうでなければどうするのか、まず国体について3派の合意を形成することが不可欠で、新憲法制定のプロセスはまさにそのためのものでなければならなかった。しかし米国のやったことはと言えば、1年前の議会選挙で安易にシーア派に支配権を与え(単純多数決の“民主主義”ならそうなるに決まっている)、当然スンニ派は不満で選挙をボイコットし、憲法制定にも半身の構えのままで終始し、他方クルド族は限りなく独立に近い自治権の確保以外に興味がなく、そのような状況の下で出来上がった憲法草案は、シーア派は南部を支配してイランとの連携で生きていくことを願い、クルド族は独立に近づき、スンニ派は石油も出ない中部に閉じこめられることになりかねないという、明確な連邦制ならともかく、バラバラの思惑を曖昧に寄せ集めたもので、これでは内戦の火種を憲法に書き込んだに等しかった。

 12月の総選挙にスンニ派の少なくとも一部が参加したのは、確かに前進と言えるだろう。しかしそれは、完全にボイコットして今後の政治過程から排除されることを恐れての行動であって、選挙結果に粛々と従って本当の少数派に甘んじて生きていくことを納得したからではない。現にバグダッドでは12月23日、スンニ派住民約2万人が「総選挙に不正があった」として大規模な抗議デモを展開し、他の都市でも同時に抗議行動が組織された。スンニ派は、大票田であるバグダッド県の暫定開票結果(開票率89%)でシーア派の「統一イラク同盟」が58%もの得票を得たことに反発し、国連などによる調査が行われない限り審議会のボイコットも辞さないと主張している。注目すべきは、暫定首相だったアラウィが率いる世俗派の党派「イラク国民リスト」もこれに同調していることで、国家像の合意がないままの無理矢理の憲法制定と選挙実施は早くも破綻に瀕していると言える。

 23日に起きたのはデモだけではない。イラク北部アダイムではイラク軍の検問所が武装勢力の襲撃を受け、イラク兵10人が死亡、20人が負傷するという、選挙後では最大のゲリラ攻撃が起き、同日バグダッドでは、道路わきの仕掛け爆弾が爆発して米兵2人が死亡する一方、アルジャジーラ・テレビによると、スーダン大使館の2等書記官を含むスーダン人6人が拉致された。さらにイラク中部バアクーバ近郊バラドルズでも、シーア派モスク付近で爆弾を体に巻き付けた男1人が自爆し、警察官1人を含むイラク人10人が死亡、4人が負傷した。状況はますます悪化している。

 第3に、こうした中でワシントンはいよいよ冷静な判断力を失っている。ブッシュ大統領は12月14日、ウッドロー・ウィルソン国際センターでの演説で「大量破壊兵器についての情報のほとんどは結果的に間違っていた。大統領として、対イラク開戦の責任は自分にある」と、イラク戦争が間違った根拠に基づいて発動されたことを認めながらも、その一方で「サダム・フセインを取り除くという決断は正しいものだった。サダムは脅威だった。彼が権力の座を追われたことで、米国民と世界が置かれている状況は改善した」と、イラク戦争が結果オーライで正当性があったことを改めて強調した。

 これは完全に錯乱的で、「サダムが大量破壊兵器を隠し持っていて、それを今にもテロリストに手渡そうとしている」という情報が嘘だったとしたら、サダムはいかなる意味で米国と世界にとって脅威だったのか。例えばの話、ニューヨーク辺りの荒っぽい警官が、ある殺人事件の黒幕はこのマフィアのボスに違いないと誤認して射殺してしまい、後になって間違いと判明しても、いやあいつは元々悪い奴だったのだから、殺したのはかえってよかったんだと強弁しているようなもので、普通の法治国家ではとうてい通用するはずのない理屈である。サダムがいなくなって米国と世界のテロとの戦いにとって状況はどのように改善したと言うのだろうか。サダム時代のイラクはアルカイーダとさしたる関係があったわけではなかったが、米国の侵略以降、スンニ派武装勢力を支援する外国過激派が続々とイラクに入り込み、それに乗じてアルカイーダ・メソポタミアという組織も出現して、かえってイラクは国際テロの震源地になってしまった。アルカイーダをイラクに呼び込んだのはブッシュである。

 仮に、イラクの大量破壊兵器が世界にとって差し迫った脅威であるという情報が間違っていなかったとしても、それをイラクに対する国家間戦争という方法で解決を図ることが可能であり妥当であったかどうかは大いに疑問である。ましてその情報が間違っていたのであれば、その戦争に正当性がある訳がない。他方、サダムの独裁がイラク国民の人権にとって差し迫った危険であったとしても、それを軍事力によってイラク国家を破壊し指導者を捕まえて裁判にかけるというやり方で解決しようとすることが、国際法上合法で、なおかつ政治的に有効であるかどうかは全くの疑問である。いまやブッシュ批判の大合唱を演じつつある米メディアが、ブッシュの姑息な弁解に満足するはずもない。この偽情報の採用による戦争発動が決して偶然の産物でなく、ホワイトハウスによって意図的に仕組まれ世論を欺く作戦が実行に移されたものであることを検証する調査報道が相次いでいる。それらを踏まえて、ヘラルド・トリビューンのコラムニスト=フランク・リッチは同紙11月28日付でブッシュとチェニー副大統領を「不正直、不埒、腐敗、恥知らず」とまで非難している。

●フセイン裁判の茶番

 さて、囚われの身となったサダム・フセインの裁判は、10月19日の第1回と11月28日の第2回は、ほとんど形式的な駆け引きだけですぐに散会となり、12月5日から3日間の第3回が初めての実質的審議となった。このイラク刑事裁判最高法廷は、「バース党が権力を握った1968年7月からサッダム政権が崩壊した2003年5月1日までの期間中、イランとクウェートを含むイラク国内外でイラク人が実行した犯罪行為の裁判」を目的とするものだが、最初に採り上げられたのは、82年7月にバグダッドの北方60キロのチグリス河岸の町デュジャイルでサダム一行の車列が狙撃され、彼自身はかすり傷も負わなかったものの、激怒したサダムが治安部隊に命じてシーア派住民数百名を逮捕、家屋と農場と果樹園を根こそぎブルドーザーで破壊し、残る住民すべてを他の地域へ追放した事件である。逮捕された者のうち143名は84年6月に死刑判決が下され即刻執行され、また追放された住民は86年になってようやく帰郷を許された。

 フセイン政権時代の暴虐を裁くというなら、まずクルド族の反乱鎮圧のためためらうことなく化学兵器を使用して数度にわたって計10万人以上を殺戮したと言われる事件や、クエート侵攻による無差別殺戮や油田の破壊など、真っ先に採り上げるべき重大事件がいくつもあるはずだが、敢えてデュジャイルの事件を採り上げたのは、関係者が比較的少なくて審理が進めやすいという理由からだろう。どの事件を採り上げても、彼に死刑判決が下されることは決まっていて、イラク国民の大多数もおそらくそれを望んでいるのだから、やりやすい事件の方がいいという訳である。

 この事件については彼はこう反論した。「国家元首が撃たれたから、治安部隊が犯罪人どもを追及するのだ。国家元首たるサダム・フセインにその権利がないのか」「(果樹園破壊について)何処に何を植えるか、土地をどうするか、果樹園を所有するかどうかということは国家の権利だ。国家元首が5カ所の果樹園から射撃を受けたから、その5カ所に対して法的命令に基づいて清掃を実施した」「我々は(当初)所有者に補償を与えなかったが、(後に)デュジャイルの村民たちの訪問をうけた時、補償を与え、土地も返した」

 サダムは最後に「こんなお遊びをいつまで続けるついもりか」と裁判官を怒鳴りつけた。確かに一理あって、独裁国家で元首の暗殺を企てたら、集落丸ごとにこのくらいの報復が行われるのは当たり前だろう。しかし、どうであれ彼に死刑判決が下されるのは必定で、本人もそれを覚悟している。公判中、サダムは「この裁判は米国の仕組んだ茶番だ」「米国とイスラエル野郎は俺を吊るしたいのだ。サダムとその同胞は処刑など恐れない」と大声でわめいた。終始、傲岸な態度で“イラク大統領”を演じたサダムも、匿名で証言台に立った少女が16歳の時治安部隊に逮捕され、5人の男性隊員の前で素裸にされた屈辱を泣きながら語った時だけは、1つも野次を飛ばさずに黙って聞いていたと言う。

 いずれにせよ、この裁判が本質的に茶番であるのは、これをやらせている米国やイラク人政府自身が捕虜や容疑者の虐待や拷問で国際的な非難を浴びていることである。かつて湾岸戦争の時、本誌は、これはマスコミが囃し立てるような「冷戦後の新しいタイプの戦争」などではなくて、未だに軍事力で何事かが解決できるかの20世紀的価値観に囚われた2つの野蛮国家の抗争にすぎないという趣旨のことを書いたが、ブッシュとサダムの戦いもその延長上で起こっていることにすぎない。▲

2005年12月18日

INSIDER No.333《NEW MAGAZINE》“食”のライフスタイル誌『うかたま』が創刊された!


『うかたま』2006年1号
2005年12月、農文協

 農文協から、新しい“食”のライフスタイル季刊誌『うかたま』が創刊された。「うかたま」は、日本中どこにでもある稲荷神社の御祭神である宇迦御魂神(ウカノミタマノカミ)に由来する言葉。お稲荷さんは、字の通り、元は稲の豊作を祈願する神で、それが後には町場にも広がって、暮らしの中のさまざまな悩みや願い事に応える最も身近な神様として親しまれてきた。食べることを中心に健康な暮らしを作る日本人本来の知恵を取り戻そうというのが、タイトルに込められた意味なのだろう。

 表紙を飾っている、長い髪の、少し腹の膨らんだ、巫女のような女性が美味しそうにご飯を食べている写真は、ヤエさん。加藤登紀子さんの次女にして、歌手。今年、千葉県鴨川市の農事組合法人「鴨川自然王国」のスタッフである農業青年=ミツヲ君と結婚して、近所の築100年の民家を自分らで改造して、囲炉裏なんぞも作ってしまって、そこで暮らしを築き始めた。来春、出産予定。巻頭グラビアもヤエさんで、田舎暮らしに賭ける彼女の想いが語られている。

 特集は、日本全国お雑煮マップなど「おもちはエライ!」、気になるあの人の朝食を覗いた「100人の朝ごはん」など。小記事やエッセイもたくさんあって、その1つが豊田菜穂子さんの「ロシアの週末の家ダーチャ/自給暮らしに乾杯」。ロシア人は旧ソ連時代から誰でも家庭菜園付きの週末別荘=ダーチャを持っていて、野菜や果物を自給している。同国の野菜生産高の8割、ジャガイモの9割が家庭で作られているというから凄い。旧ソ連が崩壊して経済混乱に陥ったとき、世界中は統計数字だけ見てGDPが何分の1かに縮小するのに驚いたが、ダーチャのおかげで餓死者はおろか痩せ衰える人さえ出なかった。ロシア人の方がよほど、土に根ざした確かな暮らしをしているということである。豊田さんには『ロシアに学ぶ週末術』(WAVE出版)の著書がある。

★うかたま
http://ukatama.net/

 さて、そのダーチャって面白いよね、という結城登美雄さん(仙台在住の民俗研究家で自ら息子と農的生活を実践)と彼の旧友の石山修武さん(早稲田大学理工学部建築科教授)の対話から今年始まったプロジェクトが「21世紀型農村研究会」。第2回は、上記の豊田さんの「ダーチャ報告」。第3回は北海道・帯広の後藤健市さんに「北の屋台」「スノーフィールドカフェ」の話。第4回が12月15日にあり、メインゲストはカメラマンから瓦マンに転身した淡路の山田脩二さんという天下の大奇人で、その他いくつかの報告の後、結城、石山、甲斐(農文協・増刊現代農業編集長)、それに私でトークを行いました。参加者は回を追うごとに膨れあがって、第4回は90人近く。参加は事前申し込みさえすれば自由なので、今後ご関心ある方は石山ホームページをウォッチされたい。過去の記録も実費販売している。

★石山修武研究室
http://ishiyama.arch.waseda.ac.jp/www/home.html

2005年12月14日

INSIDER No.332《East Asia》“東アジア共同体”への遠い旅程——10+(3+3)+3=?

 14日にクアラルンプールで開催される第1回東アジアサミットに先立って、12日同所で開かれたASEAN10カ国プラス日中韓3カ国(10+3)の首脳会議は共同宣言を発し、「東アジア共同体を長期的目標として実現していく共通の決意を改めて表明」しつつ、その「推進力」はASEANであり、「重要な手段」は10+3の枠組みであると規定、その10+3首脳会議の創設10周年に当たる2007年までに将来の共同体形成の方向性を示す宣言をまとめるとの方針を明らかにした。

 言外に含ませているのは、東アジア共同体を作るのは、東アジアと言う以上あくまで10+3であり、14日のサミットから参加する南アジアの大国=インド、アジアに属すると言えるかどうか疑わしいオーストラリアとニュージーランドは、オブザーバーとまでは言わないが、少なくとも創始メンバーに入れるつもりはありませんよということであって、つまりは日本外交は、この21世紀=“アジアの世紀”をどう制度化するかの大事な第一歩のところで早くも失点1を記録したのである。

●日本の及び腰

 元々ASEANが発案し主導権を発揮して10+3の枠組みで構想され提唱された東アジアサミットに、インドと豪・NZを入れるよう働きかけたのは日本であり、その裏には米国の意向が働いている。

 アジアで米国が参加しない地域統合が実現して、それが事実上の中国の影響圏となって米国が排除されるのではないかというのが、米国が昔から取り憑かれている地政学的な恐怖であり、十数年前、1990年代初にマレーシアのマハティール首相(当時)が米国抜きの「東アジア経済協議体(EAEC)」構想を打ち上げ、日本の経済界や通産省(当時)、外務省アジア派などがこれを歓迎し呼応しようとした際には、米国は激しく反対し、外務省の主流をなす親米派を手先に使ってこれを叩き潰した。97年アジア通貨危機の後、今度は日本の大蔵省
(当時)を中心にアジア独自の通貨安定基金を創設する構想が浮上したときにも、米国は日本を叱りつけてこれを阻止した。

 今回の東アジアサミット構想についても、当然米国は敵意を剥き出しにし、本誌No.289(04年5月13日付)などでも既報の通り、米外交マフィアの知日派筆頭であるアーミテージ前国務副長官が『朝日新聞』04年5月1日付に載ったインタビューで真っ向から反対を唱えた。発言の要旨を再録すれば次の通り。

▼21世紀前半の最も重要な変化は、中国とインドの台頭だ。中国が国際社会で有益な国となるよう、日米が強固な関係を築いて支援する
必要がある。
▼東アジア共同体構想に私は反対だ。米国がアジアで歓迎されていないと主張しているのとほとんど変わりない。深刻な誤りだと思う。米国は太平洋国家であり、地域諸国の活気溢れる活動には参加できて当然だ。(米国排除の)方向性が出ること自体が問題だ。中国は東アジアサミットに積極姿勢を示しており、米国を除いた協議には非常に意欲的だ。ただ、米国をアジアから追い出そうとしているのかどうかは、まだ分からない。
▼2020年まで今後15年間を視野において、米国が中国やインドの台頭にどう対応するか、提言をまとめる。日本も同意してくれれば、中国の台頭がしかるべき形になるよう一緒に手助けすることができる。

 日本はたちまち動揺し、10+3の外相が昨年5月6日京都に集まってサミット準備会合を開いた折には、「米国をオブザーバーとして
参加させるべきだ」と提案、ホスト国のマレーシアから「米国自身からまだ参加希望が届いていないのに何を言っているのか」と馬鹿にされて支持を得ることが出来なかった。米国のアジア政策担当者も後にそれを伝え聞いて、「米国が国際会議の後ろの席でメモを取っているなどという参加の仕方があるわけがない」と日本の配慮に逆に腹を立てたものの、入れてやらないと言われているものに無理矢理入るわけにもいかず、やむなく「インド、豪・NZなど“民主国家”を入れて中国に対するカウンターバランスにしろ」と日本に指令したのである。

 これもまたおかしな話で、サミット参加の10+3+3の13カ国で世界人口の半分近い30億人、GDPは8兆ドル超だが、そのGDP合計の半分以上を日本一国で占めているのだから、日本外交がまともであれば、日本一国で十分に中国とバランスを取って、一面で協力、一面で競争・牽制をしながら共同体づくりの主導権を握ることが出来るはずである。それを米国から「お前だけじゃ役に立たないから印、豪などを入れろ」と言われて「ハイそうですか」と素直に従うところが情けないが、反面、米国が反対しているのに及び腰ながら参加に踏み切ったのは進歩ではある。

●本当の道筋

 米国の恐怖を取り除き、東アジア共同体づくりを上手に進めるために日本が本来採るべき方策は、本誌がこれまで何度も提唱し、また姜尚中が『世界』1月号でも書いているように、北朝鮮の核疑惑をめぐる「6者協議」を成功に導きつつ、それを東北アジアの恒久的な地域協力の機関すなわち「東北アジア諸国連合(ANEAN)」に発展させ、それとASEANが複眼的に連動して全体としての「東アジア共同体」を形成することである。

 6者の枠組みは、韓国、中国、米国、ロシア、日本が北朝鮮を取り囲む陣形となっているが、核問題が解決した暁には、その5カ国が多国間協力によって北朝鮮の経済再建とエネルギー供給態勢づくりを支援するとともに、4者(朝鮮戦争当事者である韓朝中米)もしくは3者(休戦協定署名国である朝中米)による休戦協定の和平協定への置き換えによる戦争状態の解消、それに伴う米朝国交樹立、朝韓米による信頼醸成・軍縮・非核化、中米露日が見守る中での南北統一協議、等々が展開される舞台となる。そして、それらの進展に応じて6者は、朝鮮半島問題解決のための枠組みであることを脱して、東北アジアの多国間安全保障と経済協力のためのANEANへと発展・解消される。ANEANが形成されて、それとASEANとで東アジア共同体の大枠を作るということになった場合、中国やASEANはそのような間接的な形で米国やロシアが参加することを拒絶しないかもしれないし、また仮に米露がANEANの一員であっても東アジア共同体の正式メンバーではないという扱いになった場合でも米露の不満は薄らぐかもしれない。

 そうすれば、姜尚中も書いているように、「この地域に米国が加わり、ロシアも参加することで、間接的に東アジア共同体は域外に開かれた地域統合に向かうはず」だし、また米国が徒に中国の台頭を恐れるのでなく、かえって「米中の戦略的パートナーシップはより拡大していく」に違いない。また日本にとっても「日米同盟か、それとも東アジア共同体かといった、二者択一的な選択も事実上、意味をなさなくなり、日米に軸足を置きながらも、もうひとつの軸足を東アジアに移すような、より多角的な外交・安全保障の戦略が可能になってくる」はずである。

 しかし日本は、小泉首相の靖国参拝へのこだわりによって中国、韓国との関係を戦後最悪と言っていい状態に追い込んでしまい、隣国との普通の対話さえ成り立たない有様で、ANEAN構想どころではない。日本は21世紀戦略不在のままアジアと米国の間でフラフラしながら、経済的には巨大でありながら政治的には無視されるほどの存在感しか示し得ないのかもしれない。▲

2005年12月 6日

INSIDER No.331《REVIEW》佐野眞一の「沖縄コンフィデンシャル」が快調だ!

 ドキュメンタリー作家の佐野眞一が月刊プレイボーイに10月号から連載を始めた「沖縄コンフィデンシャル/戦後60年の沖縄を作り上げた怪人たち」が、12月号あたりからだいぶ盛り上がってきた。12月号の第3回では、日本最西端の島=与那国が戦後の数年間、島を挙げて「密貿易」に精を出し、久部良港は24時間、沖縄や宮古はもちろん奄美、九州、台湾などからやってくる密輸ブローカーとそれ目当ての女たちで溢れかえり、港周辺だけでも70軒もの料亭やバーがあって札束が乱れ飛んでいたという、知られざる歴史が解き明かされる。

 密貿易の主な内容は、沖縄の米軍基地から盗み出された煙草、薬莢、銅製品、バルブ、航空燃料等々さまざまの軍用物資と、台湾から運ばれた食料品や医薬品などの貴重品との物々交換である。米軍基地からの窃盗を専門にする不良集団は“戦果アギヤー”と呼ばれ、それがやがて沖縄ヤクザの有力な一派に発展する。海上には、密貿易船を狙う海賊も出没したが、その仲間の1人が今も与那国に生き残っていて、佐野のインタビューに「昔の話は忘れた」などと答えているのを読むと、何かお伽噺の世界に迷い込んだような不思議な感覚に囚われる。

 密貿易と言っても、権力の側から見ればそうだというだけの話で、与那国島は那覇から510キロ、台湾から111キロで、台湾のほうがよほど近い。戦前は沖縄より植民地=台湾との関係が深く、日用品の買い付けには那覇に行かずに台湾に行っていたし、戦後になって国境線が引かれた後もまだ台湾の紙幣が通用していた。もっと遡れば、与那国が琉球王朝の支配下に組み入れられたのは比較的新しく、1510年(日本本土では室町中期)のことで、それ以前はサンアイ・イソバという伝説的な女酋長が島を治めていて琉球王の軍を寄せ付けなかったという。沖縄県の端っこになったのも、戦後になって台湾との間に国境線が引かれたのも、与那国からすれば自分の意思ではない迷惑な話なのだ。

 さて、『カリスマ 中内功とダイエーの「戦後」』の著作でも知られる佐野が、このように沖縄の闇世界の取材にのめりこむことになったきっかけは、まさにその中内ダイエーのかつての急成長の“秘密”が沖縄にあったことを知ってしまったからである。ダイエーの原点は「牛肉安売り」だが、その牛肉がどこよりも安いのは、オーストラリア産の子牛を沖縄で大量に飼育し、それを米軍支配下の沖縄には特例措置で関税がないことを利用して格安で輸入したからだった。ところが中内が沖縄経由で輸入してボロ儲けをしたのは牛肉だけではなかったようで、香港から運ばれるペニシリンなどの医薬品を「ぜんぶ今のダイエーの中内さんが買いはっ(て)ペニシリンは高いから盗られんように田岡(一雄=山口組組長)さんの子分らが警備した」。山口組と手を組んだ沖縄舞台の密貿易こそ中内商法の原点なのだ。

 だから、『阿片王/満州の夜と霧』を上梓したばかりの佐野は言う。「満州という“時間軸”と、沖縄という“空間軸”を立てる。そして、その2つの軸がクロスしたところに結ばれた像こそ、われわれがいま生活する日本列島の掛け値なしの姿なのではないか」と。賛成だ。われわれは満州も沖縄もよく知らず、だから日本のこともまだよく分からない。さあこの連載、これからどう展開していくのか、楽しみだ。▲

2005年12月 3日

INSIDER No.330《FROM THE EDITOR 》

●明日のサンプロは・・・

 明日のTV朝日『サンデー・プロジェクト』は(1)田原コーナー1/欠陥マンション問題追及第2弾「どうする?どうなる?」、(2)田原コーナー2/なんでこうなった?「YK←→K」、(3)財部誠一取材「世界最高峰/GEの秘密」——の3本。コメンテイターは財部と高野。(1)は、今夕6時時点で「出演者未定」となっているから、まだモメているんでしょう。こういうことはあるんで、前日の夜中まで出演者が決まらないことも、しょっちゅうではないが時折あること。番組のプロデューサーやスタッフが胃潰瘍になるケースだ。(2)は加藤紘一と山崎拓の出演。かつてYKKと並び称されたこの2人と小泉だが、加藤は靖国問題などで小泉を批判、山崎も内閣改造で冷遇されて離反? かつての“盟友”は何のために結集し、どうして袂を分かったのか。「3人の半生の軌跡を辿る人情噺」だと。(3)は年間売上げ15兆円の世界最高峰の大企業の秘密を財部が探る。

 明日は、サンプロの後、いつものように田原さんはじめ出演者と一緒に六本木ヒルズの一角で昼食を共にし、それからラグビー早明戦を国立競技場で観戦。終わって、かつての早稲田の神話的ウィング=藤原優が主催する“祝勝会”(早稲田が勝つと決めている——勝つでしょう、清宮監督率いる早稲田は今年は一段と強い)。伝統の早明戦に敬意を表して、明日のサンプロでは私も早大ラグビー部のオフィシャル・ネクタイを着用する。毎年、早明戦とか大學選手権とかにサンプロ出演日が当たれば必ずそうしているのだが、知らない人は何のネクタイか分からないよね。ささやかな公私混同です。▲

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