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INSIDER No.328《FROM THE EDITOR》

●巨大企業はサイコパス(人格障害)集団なのか?

 カナダのブリティッシュ・コロンビア大学法学教授=ジョエル・ベイカンの著書『私たちの社会は“企業”に支配されている』(早川書房、04年11月刊)を原作に、同じくカナダの2人の社会派映画監督が制作したドキュメンタリー映画『ザ・コーポレーション』が、12月10日からのロードショー公開を前にあちこちで話題になっている。

 映画では、巨大多国籍企業による反社会的暴力とそれに対する闘いの事例が7つ採り上げられ、米国の超過激派=マイケル・ムーア監督やノーム・チョムスキーMIT教授らの証言も交えながら、コーポラティズムに覆われた我々の社会のあり方を根源から問いかける。事例の1つは、米国最大のテレビ・ネットワークであるフォックス・テレビで遺伝子組み換えの牛の成長ホルモン剤の弊害を告発しようとした2人の記者が解雇され、内部告発者保護法に基づいてフォックス社と争った事件。米国で唯一、認可された牛の成長促進のための遺伝子組み換えホルモン剤が、米モンサント社のrGBH(商品名=ポジラック)で、93年に販売を開始、今では全米の乳牛の25%以上にこれが投与されている。

 確かに、これを飲ませると牛の代謝作用が高まって搾乳量が増えるものの、一方で乳腺炎に罹るリスクも高くなって膿汁が牛乳に混入する。それを抑えるには抗生物質を大量に飲ませなければならず、その影響でこの牛乳を飲んだ人に乳癌や大腸癌が発生しやすくなるという問題が明らかになった。そこでフォックスの調査報道記者であるジェーン・エイカーとスティーブ・ウィルソンはこの問題を取材して番組を制作したが、放送直前にモンサント社から「これを放送すればフォックス社は重大な影響を被るだろう」との圧力がかかり、会社側は広告収入が断たれることを恐れて、2人の記者に番組内容をねじ曲げるよう命令した。それに従わなかった2人は結局、解雇され、その後、内部告発者保護法に基づいて会社を相手取って訴訟を起こした。2人は一旦は勝訴するが、フォックス社が上告して判決を覆した。

 映画は、こうした事例に共通する現代企業社会の病を「サイコパス」すなわち人格障害と診断する。企業を1人の人格として精神分析すると、極端に自己中心的、慢性的な嘘つきで罪悪感がない、冷淡で他人への共感や思いやりがない、人間関係を維持できない、社会規範や法に従えない、自分の行動に責任を負えない……等々、まさに反社会性人格障害そのものだと言うのである。

 監督の1人であるジェファニー・アボットはインタビューに答えてこう語る(リンククラブ・ニュースレター12月号)。

 「利益追求を至上命題とする企業では、公共の利益を守る姿勢は保ちにくい……。ところが過去30年間のネオリベラリズムによって、さまざまな規制緩和や民営化が行われ、企業の活動範囲は広がっています。政治活動においても、ロビー活動を行い、企業が政府をコントロールする状態が起こっているのです」

 単に「大企業は悪である」と決めつけて非難するだけでは解決にならない。企業の経営者の中にも、環境問題はじめ社会との関わりを重視して自制的な経営に切り替えようとする者が増えているのは確かだが、それはまだ個人的な良心のレベルに留まっている。内部告発は有力な是正手段ではあるけれども、フォックスの2人の記者の体験が示すように、常に決め手になるとは限らない。大企業や多国籍企業が余りにも大きな実質的権力を握って人々の生活と生命を操作するようになった時代に、この化け物を社会はどうコントロールすべきなのだろうか。

 それにしても、企業の人格障害として挙げられている特性は、平気で残虐犯罪を引き起こす昨今の青少年にそのまま当てはまる。現代社会を覆う企業社会の人格障害が、遺伝子組み換え食品をはじめさまざまな商品を通じて知らぬ間に青少年の体と心を蝕んで、人格障害を蔓延させているのだとすると……恐ろしいことである。

 この映画の上映は12月10日より東京・渋谷のUPLINK XおよびFACTORYで。
日程および作品解説は下記で。

http://www.uplink.co.jp/corporation/

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