INSIDER No.326《IRAQ》暴かれるイラク侵略米軍の化学兵器使用
2004年11月初めに行われたファルージャへの総攻撃で米軍が化学兵器を使用したのではないかという疑いは、当時から指摘されていたが、イタリアの国営放送RAIが11月7日に放送したドキュメンタリー番組「ファルージャ/隠された大量殺戮」は、攻撃に参加した米軍兵士の証言や焼けただれたイラク人の死体の写真など強力な証拠を揃えて米軍の蛮行を暴露した。この伊放送局のスクープを、イギリスの『インデペンデント』紙11月8日付をはじめ欧州のメディアは大きく取り上げている。米軍とその傀儡政権は、いまサダム・フセインを、化学兵器を用いてクルド人を大量虐殺した罪で裁こうとしているが、米国に彼を裁く資格などあるはずがないことが、改めて明らかになった。下記「ライニュース24」のサイトは、番組の要旨を掲げている。もちろんイタリア語だが、写真やビデオ・クリップでその片鱗を見ることが出来る。
※伊RAI「ライニュース24」
http://www.rainews24.it/
※英インディペンデントの記事
http://news.independent.co.uk/world/middle_east/article325560.ece
米軍がファルージャで化学兵器を使用しているという報道は、総攻撃直後の昨年11月10日にイスラム・オンラインから流れていた。「伝えられるところによれば、米軍はファルージャへの大攻勢で化学兵器と毒ガスを使用している...米軍は、抵抗勢力にガスを浴びせ、国際法で禁止された化学兵器で攻撃している」
※イスラムオンラインの当時の記事
http://islamonline.net/English/News/2004-11/10/article05.shtml
米政府は12月に、この報道を「広く流布されたうわさ話」に過ぎないと一蹴、USinfoサイトは「燐弾は国際法で禁止されていない。照明用に、敵に向けてではなく空中に発砲される形で、ファルージャでも少量が使われた」としていた。
しかし、番組では、その燐弾が市街地に雨あられと降り注ぐ映像が示され、空中ではなく敵に向けて、少量ではなく大量に、使用されたことを裏付けている。さらにこの侵攻に参加した元兵士は、「白燐弾が使われるので、注意しろという命令を聞いた」と証言している。米軍内ではウィリー・ピートという愛称で呼ばれる燐弾は「皮膚につくとその場でやけどを起こし、筋肉を溶かし、骨まで燃やしてしまう...オレは女子供の焼けただれた屍体をいくつも目にした。燐弾は爆発して、(飛び散った黄燐が)雲のようになる。(爆発から)150メートル以内の人間はまず、だめだね」
番組は、ファルージャ人権研究センターが提供したイラク人被害者の写真を公開したが、それを見ると、衣服はほとんど元のままなのに、皮膚が溶けたり、高熱でぐちゃくちゃになったりしている。ファルージャの生物学者のモハマド・タレクは番組のなかで次のように証言している。
「炎の雨がファルージャに降り、様々な色の物質に打たれた人の体は燃え始め、私たちが目にしたのは、奇妙な傷のついた屍体、衣類はそのままで焼け死んでいる人たちだった」
番組はさらにマーク77と呼ばれる改良型のナパーム焼夷弾がファルージャ攻撃で使われていたことを明らかにし、ナパーム弾を軍事目標以外に用いることを禁止した1980年の国連特定通常兵器使用禁止制限条約への違反であることを指摘している。▲