Calendar

2005年10月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31          

Recent Entries

Recent Comments

« INSIDER No.319《INSIDER》インサイダー×東京万華鏡=ざ・こもんず——インターネット・ジャーナリズムの新展開
メイン
INSIDER No.321《FROM THE EDITOR》 »

INSIDER No.320《BUSH》ブッシュの国家運営は自殺行為的!——ブレジンスキーが痛烈に批判

 14日付のインタナショナル・ヘラルド・トリビューン論説欄に載ったズビグニュー・ブレジンスキー(カーター政権の安保担当補佐官)の論文はタイトルからして凄い。「Demagoguery -- George W. Bush's suicidal statecraft(民衆扇動——ジョージ・W・ブッシュの自殺行為的な国家運営)」である。

 「60年前にアーノルド・トインビーは、彼の代表作『歴史の研究』の中で、帝国が崩壊する究極の原因は『自殺行為的な国家運営』あると結論づけた。ブッシュ大統領が歴史の中で占める地位という観点から見てまことに悲しむべきことに、いやそれより遙かに重要なことだがアメリカの将来という観点からして不吉なことに、9・11の大惨事以降に米国が採ってきた政策にはこの気の利いたフレーズが当てはまるような気がしてならない今日この頃である」

 という書き出しで、やや持って回った表現ではあるが、ブッシュの出鱈目が米帝国崩壊の引き金となりかねないことへの深刻な懸念を表明し、具体的に次のような問題点を挙げる。

●孤立化する米国

▼イラク侵攻の失敗を受けて達成目標を再検討しようという動きが政権内で始まりつつあると言われるが、10月6日のブッシュ演説を聞けば、2004年の選挙キャンペーンで彼が戦争の正当化のために用いたデマゴギー的な言い回しに逆戻りしている。この戦争は世界中から批判に晒され、とりわけ中東では米国は、イギリス帝国主義の後継者として、またアラブ人を軍事的に抑圧するイスラエルのパートナーとして、烙印を押されてしまった。

▼テロリストが蛮行に走る動機を“自由への憎悪”や“文化的な敵意”で抽象的に説明しようとするのは米国人の自己欺瞞であって、現実に米国と英国とイスラエルがイスラム世界の人々の宗教的尊厳を軍靴で踏みにじっていることが、中東のみならず北アフリカからパキスタン、インドネシア、カリブ海まで新たなテロ参加者を生み出しているのである。

▼米国の核不拡散を推進する能力も損傷している。軍事的に弱いイラクには攻撃をしかける一方、北朝鮮の核武装には自制的であり、さらにインドの核計画には協力して核拡散を助長するかの態度を採っているそのダブル・スタンダードが、イランの核開発問題の解決を難しくしている。

▼グアンタナモやアブグレイブの収容所における虐待と拷問の事実によって、米国の世界における道徳的立場は地に落ちた。国際刑事裁判所に対する米国の反対姿勢は全く利己的と受け止められている。

▼イラク戦費と国内テロ対策費の総額はほとんどの国々の国家予算を上回るほどに達しており、その財政赤字と貿易赤字が相俟って米国は世界ナンバーワンの債務国となっている。そのため、ドルは投資や科学的革新や教育などの長期的な経済的競争力のために注がれることがない。

▼昔からの親米国でさえも米政策に批判的になり、その結果、東アジアや欧州やラテンアメリカはじめ世界中で、米国との協力関係よりも地域連合を形成しようとする離米傾向が強まっている……。

●超党派による路線の再建

 このようにして米国は世界の中で孤立し衰弱して行きかねないのだが、路線修正はまだ可能だと元補佐官は言う。それには、議会で民主党と協力して超党派で、まずイラク問題に関して目標を縮小して再設定し、米軍が早く撤退すればするほど、それだけシーア派・クルド族・スンニ派が自分らで政治的調整を図るようになるという考え方に切り替えるべきだと言うのだが、そんなに巧く行くのかどうか。

 しかし、ブッシュ政権が少しでも路線転換して帝国崩壊を避けるには、民主党の力を借りて国難を乗り切るというのは、「破滅的なリーダーシップ」を後3年間堪え忍ばなければならない米国にとっては1つの処方箋ではある。

 現に、北朝鮮に関しては、クリントン政権時代に国連大使を務め北朝鮮とは強いパイプを持っているビル・リチャードソン=ニューメキシコ州知事が、事実上の特使として17日ピョンヤン入りした。北朝鮮は5月以来、リチャードソンの訪朝を求め、彼もブッシュに対して自分を派遣するよう要請していたが、6カ国協議が微妙な進展の途上であったこと、彼が次期大統領選の民主党候補として有力視されていることから、ホワイトハウスはOKを出さないでいた。が、ここへ来て彼の派遣に踏み切ったのは、11月に再開される6カ国協議で何としても核問題を決着させたいというライス国務長官の強い意志をブッシュが容認したためで、ブレジンスキーの言う超党派による政策再建の最初の表れと言える。

 リチャードソンは国連大使時代にそこを舞台とした北朝鮮との交渉を通じて北から深い信頼を得ており、ブッシュ第1期にはパウエル国務長官の私的アドバイザーとして話し合いによる核問題の解決を強く進言してきた。彼は地元の食糧、医療、エネルギーなどの専門家を引き連れて訪朝しており、当面の問題の解決だけでなく米朝国交交渉の開始に向けて地ならしを進めるものと見られている。

 こうしたアプローチはイラクやイランに関しても行われる可能性はあるが、それが帝国崩壊を食い止める決め手となるのかどうかは定かでない。▲

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.the-journal.jp/mt/mt-tb.cgi/422

Profile

現在、INSIDERニュースレターの内容は、ご覧の《THE JOURNAL》内でブログの形で公開されております。
誰でも無料で閲覧し、またそれについて感想や意見を書き込むことが出来るようになっておりますが、従来通り、お手元に電子(Eメール)版配信もしくは印刷版郵送の形で講読を希望される方は、引き続きEメール版:年間6,300円(税込)、ペーパー(紙)版:年間12,600円(税込)をお支払いください。[法人購読の場合は年間105,000円(税込)になります]
ウェブ上で無料で閲覧できるものが、Eメール版・ペーパー(紙)版が有料なのはどういうわけだと思われるかもしれませんが、後者の場合、読者名簿管理と請求の事務、配信と郵送の手間が必要であり、とりわけ印刷版の場合は紙代、封筒代、印刷代、郵便代のほか宛名を印刷して封筒に貼り、印刷されたものを三つ折りして封入し、糊付けし、紐で束ねて郵便局に運び込むのに膨大な手間とコストがかかっていることをご理解下さい。
また、無料で閲覧できるならそちらに切り替えたいという方もおられると思いますが、残余の購読期間は引き続きEメール版もしくはペーパー(紙)版を配信させて頂き、購読料を途中返還することは致しませんのでご了解下さい。

BookMarks

TOKYO KALEIDO SCOOP
http://www.smn.co.jp/

INSIDER(インサイダー)
http://www.smn.co.jp/insider/

→ブック・こもんず←



当サイトに掲載されている写真・文章・画像の無断使用及び転載を禁じます。
Copyright (C) 2008 THE JOURNAL All Rights Reserved.