INSIDER No.317《FROM THE EDITOR》
●『GRAPHICATION』で結城登美雄さんと地域について語った!
富士ゼロックスの隔月刊のPR誌『GRAPHICATION』は、企業のPR誌というイメージからはおよそかけ離れた、知性的な文化誌として昔から知られていますが、その9月発行のNo.140の特集「地域の自立と再生」で私と結城登美雄さんが対談しました。
結城さんは、本欄に何度も登場していますが、仙台在住の民俗研究家にして地域再発見のための「地元学」の提唱者の1人で、この雑誌でも2000年以来「東北を歩く」を連載しています。宮城県の旧宮崎町の人たちが「うちの町は田んぼばかりでコンビニの1軒もない。何とか特産品でも作って全国に売り出そう」と思い立って結城さんに相談したところ、結城さんは「何を言ってるんだ。コンビニがないなんて名誉なことじゃないか。庭先にはおいしい野菜がある。裏山に行けばさまざまな山菜やキノコがある。小川には魚がいる。こんな豊かさに囲まれていて、何で自分たちが豊であることに気づかないんだ」と一喝。それがきっかけになって、周りの旬の食材を活かして昔から各家庭で作られてきたバアちゃんの手作り料理を1軒1皿持ち寄ってみようじゃないかということになり、第1回の「食の文化祭」が開かれました。皆さん「こんなもの、何が面白いんだ」と思いながら、しかし1000もの料理が集まってそれを小学校の体育館に並べた時の壮観に驚き、自分らの地域の持っている豊かな自然の力とそれを上手に活かしてきた昔からの暮らしの知恵を再発見したのでした。最初は年1回開かれていましたが、「旬というなら季節ごとにやらないと」ということになり、今では年4回、春夏秋冬開かれて、全国から何万人もが訪れる一大観光イベントに発展しました。結城さんは、この文化祭を企画し指導した功績を主な理由として、今春、文化庁の芸術選奨(芸術振興部門)を受賞しました。
彼は昭和20年生まれで私が1つ上の同世代。彼は仙台郊外で古い農家を買って息子と共に農業に取り組む半農半X生活を実践していて、私も今、安房鴨川の山中に家を建てていてそれに続こうとしているところ。そんなことで気が合って、仙台で東京で、あるいは由布院で、会えば酒を酌み交わす仲なので、この対談もいつもの酒飲み話のようになってしまいましたが、今「地域」をめぐって何を問題とすべきかについて参考になるかと思います。
『GRAPHICATION』の講読は無料。下記URLからお申し込み下さい。
※http://www.fujixerox.co.jp/company/fxbooks/graphication/
●『編集会議』で「スクープ」について語った!
宣伝会議が発行する月刊誌『編集会議』11月号の「名編集長・世紀のスクープ」のページに私が登場、ロッキード事件の時のことなど思い出しながら、インサイダーの仕事は“事実のスクープ”より“視点のスクープ”であり、とくにインターネットで玉石混淆の情報が氾濫している中では、きちんとした視点を持った“情報を選別するための情報”の価値が高まるだろう、というようなことをしゃべっています。
『編集会議』は紙とWebの編集者・ライターを目指す人、なりたての人向けの雑誌。この号は巻頭特集「読者の心を捉える新手法」、特別座談会「フードジャーナリストという仕事」、「今が狙い目、Webライターを目指せ」といった記事が並びます。同誌が東京、大阪、名古屋、福岡、札幌などで開催する「編集・ライター養成講座」はなかなか好評で、私も講師陣の1人で、特に大阪の教室には年2回程度、話しに行っています。同誌のURLは次の通り。
●早稲田大学で2週連続公開講座「総選挙とメディア」が開かれる!
先の総選挙ではメディア、特にテレビの政治・選挙に与える影響の大きさに改めて驚かされましたが、これをめぐって早稲田大学オープン教育センターの主催で「総選挙とメディア」と題した公開講座が10月18日(火)と25日(火)の2回にわたって開かれます。時間はいずれも13時〜14時30分、会場は14号館201教室。18日は「総選挙のテレビ報道と新聞報道」で、田原総一朗、岸井成格(毎日新聞)、星浩(朝日新聞)、25日は「総選挙とインターネット」で、竹内謙(日本インターネット新聞)、鈴木寛(民主党参議院議員)。公開なので一般の方も入場できます。▲