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2005年10月29日

INSIDER No.324《FROM THE EDITOR》

●6日に早稲田で「国際協力を考える」シンポジウム!

 11月6日(日)13:30から早稲田大学で、「日本の国際協力について考えるシンポジウム」が開かれます。これは、高野が指導する大隈塾ゼミのOBたちが早稲田祭参加プロジェクトとして自主的に企画したもので、学生たちのスーダン問題の共同研究をベースにして、丹羽宇一郎=伊藤忠商事会長の基調講演、対アフリカODA問題に誰よりも詳しい鈴木宗男=衆議院議員ほかによるパネル討論が展開されます。丹羽会長とムネオという取り合わせがなかなか凄いです。一般にも公開しますので奮ってご参加下さい。

■11月6日(日)13:30〜16:50
■早稲田大学・西早稲田キャンパス 14号館201教室
■入場無料
■学生発表
「ホワイトキャラバンの活動」 ほっとかない学生プロジェクト
■基調講演
「ビジネスマンと国際協力」 丹羽宇一郎(伊藤忠商事会長)
■パネル討論
「国際協力のホンネ——いったい、私たちに何ができるの?」
鈴木宗男(新党大地代表・衆議院議員)
伊勢崎賢治(立教大学教授・日本紛争予防センター参与)
高野洋(漫画家・『国境を駆ける医師イコマ』作者)」

※概要については、http://www16.plala.or.jp/pirolo/
※参加申し込みは、ohkuma2005@hotmail.co.jp

2005年10月25日

INSIDER No.323《FROM THE EDITOR》

●29日に早稲田で「内部告発」シンポジウム!

 今週末、早稲田大学で行うシンポジウムで、高野がコーディネーターをします。ご都合のよろしい方はご参加ください。入場無料で一般参加も大歓迎です。以下、詳細。

【テーマ】
早稲田大学カルチャートーク2005
「何のために働くのか?」
〜私が≪内部告発≫を決断したとき〜

【日時】
10月29日(土)12:30開場、13:00開会、15:10閉会

【会場】
早稲田大学 井深大(いぶかまさる)ホール
(中央図書館下・東西線「早稲田」駅から徒歩5分)

【コーディネーター】
高野孟 

【パネリスト】
串岡弘昭(トナミ運輸社員)
内部告発の先駆者。
運送業界の闇カルテル・不正運賃を内部告発し会社からの過酷な差別と四半世紀以上闘った。(現在も係争中)

水谷洋一(西宮冷蔵社長)
雪印食品の偽装牛肉を内部告発したことで一躍有名に。
一時は自主廃業に追い込まれるも、現在は、営業を再開。
      
【主催】
早稲田大学学生部(学生生活課)
「内部告発シンポジウム」企画委員会

【お問い合わせ】
TEL:080-502603791
E-Mail:journalist@ruri.waseda.jp 
(代表:早稲田大学政治経済学部4年 高橋)

【URL】
http://www.waseda.jp/student/bunka/

2005年10月21日

INSIDER No.322《FROM THE EDITOR》ブログとジャーナリズム

 ブログというものの存在とそれを用いた新しい草の根ジャーナリズムの広がりが持ち始めている社会的インパクトの大きさを、一般の人々が驚きと共に認識したのは、米CBSの看板ニュース番組「シックスティ・ミニッツ」のアンカーマンを27年勤め上げてきたダン・ラザーが04年9月に降板させられた事件だったろう。

 ラザーは自分の番組で、ブッシュ大統領が州兵の徴兵逃れをした証拠とされる手紙をスクープして大いに評判になったが、草の根のブログの1つがその文書のタイポグラフィを分析して、それが後年捏造されたものではないかと疑問を投げかけたのをきっかけに、ブロゴスフィア(blogosphere=ブログ世界もしくはブログ圏)にアッという間に情報や意見が飛び交って大騒ぎとなり、大手新聞もこの問題を取り上げざるを得なくなり、結局、捏造文書であったと断定された。ラザーは、その番組だけでなく「イブニング・ニュース」からも降ろされて、事実上引退に追い込まれた。日本で言えば、田原総一朗か筑紫哲也が突然指弾されて降板するような大事件である。

 こうしたことは初めての出来事ではなく、2年近く前の02年12月には、トレント・ロット共和党上院院内総務(日本で言えば与党の参議院幹事長)が先輩政治家のパーティでの挨拶で人種差別的な発言をし、大手メディアはそれを雑報扱いで伝えただけだったが、あるブログがそれを問題視したことをきっかけに、ロットの過去の人種差別的言動がネット上で暴かれたことから、大手メディアもそれを取り上げ、ついにブッシュ大統領が「人種隔離政策を容認するような発言は不愉快で間違っている。ロット氏のコメントは米国の精神を反映していない」と声明する事態に発展、彼は院内総務を辞任しなければならなかった。

 ラザー事件の半年後、05年1月にはCNNのニュース部門責任者のイーサン・ジョーダンが、世界の政財界首脳がオフレコで語り合う「ダボス会議」の席上、「イラク派遣米軍は意図的にジャーナリストを標的にしている」と発言し、それを聴いていたブロガーがその場ですぐに自分のブログに書き込んで報道、たちまち世界中に知れ渡って大問題になりジョーダンは辞任させられた。

●1人のプロより無数の素人?

 3つの事例に共通するのは、大マスコミが「素人のお遊び」程度のものとして歯牙にもかけないでいたブログによる名もなき個人の発信とその連鎖が生み出す力の恐ろしさを、まざまざと示したことである。

 ダン・ラザー事件の教訓は、CBSの番組制作者やラザーのようなベテラン・ジャーナリストの問題発見と真贋判定の能力よりも、無数のブロガーたち(そこにはプロのジャーナリストや様々な分野の専門家も含まれているが、多くは恐らく単に自分の趣味や特定関心事のためにブログを運営している人やその熱心な読者=投稿者だったろう)がこの問題を巡って臨時に立ち上げた巨大な不定形の情報交換ネットワークのその能力のほうが優れていた、ということである。

 このように、ある問題が発生した時に、誰かが旗を掲げて問題提起すると、関心ある人々がその周りに結集して自発的に情報交換と討論、さらに場合によって行動のための集団を形成して、問題が解決すると何事もなかったかのように散っていくような問題対処のスタイルを「ネットワーキング型」と言い、その特徴はしばしば「創発的な(emergent)自己組織性」と形容される。エマージェンスは普通「出現」「登場」と訳され、形容詞のエマージェントは「姿を現しつつある」「突発的な」「緊急の」と訳されるが、この場合は岩波の国語辞典や広辞苑に出ていない「創発」「創発的」という新しい訳語が使われる。

 その創発という概念を用いて、蟻のコロニーのような豊かで複雑なシステムがどのようにして成立するのかを研究したスティーブン・ジョンソンによれば、「創発とは、ある集合体が個体の総計よりも賢い、という場合に起こる。……集合体の相互作用の中から、どういう成り行きか、より高位の構造もしくは知性が現れてくる。通常は、この経緯を司るような監督役は存在しない」と言う。『ブログ/世界を変える個人メディア』(朝日新聞社、05年8月刊)の著者ダン・ギルモアは、そのジョンソンの言葉を引きつつ、次のように言っている。

「集合体の知性が個体の総和の総計を上回るとは、まさにデジタル・ネットワークの領域にこそ当てはまる」

「分かりやすく要約しよう。読者の集団は、メディアのプロたちよりも多くのことを知っている。当たり前だ。彼らは大勢、そしてジャーナリストはしばしば、たった1人なのだから」

 ラザーの事件をきっかけに、米国で「ブログはジャーナリズムか」という大論争が起きたのは当然だった。一方では、大手メディアの保守主義と権威主義に取り憑かれたプロたちは、自分たちの仕事の質を超えるような情報が素人たちの集合体から生まれ得るなどということを認めたくはない。他方では、実際、ブログの多くは個人的なタワゴトを繰り出すだけだったり、ニュース的な情報を扱う場合もプロ的な取材や検証を経ずして単なる噂のようなものを流布して面白がっている不届きなケースも少なくない。上述『ブログ/世界を変える個人メディア』の著者ギルモアは、元はシリコン・バレーの地元紙『サンノゼ・マーキュリー』に籍を置いたプロのジャーナリストでありながら、「来るべき多方向(multi-direction)のデジタル・コミュニケーション時代には、読者=視聴者はジャーナリズムのプロセスに不可欠な存在になり得る」という確信を持つに至り、新聞社を辞めて、プロの書き手と多数の読者=視聴者の協働によるブログ・ジャーナリズムの先駆的実験を始めた人物である。

 ブログは、誰もがこれまでになく簡単にネット上で発信することが出来る道具であり、何にでも用いることが出来るし、ニュース的な発信に限って見ても、高度のものから低劣なものまで、まさに玉石混淆の世界である。が、その中で、プロのジャーナリストとアマの読者=視聴者との協働のプロセスを意識的に組織化することで「集団知は個体知を超える」という原理を実証しようとする試みが各所で始まっていることが注目に値する。われわれが始めようとしているブログ中心の発信源「ざ・こもんず」も、そのような流れの中に身を置くことになるであろう1つの実験である。

 さて、CNNのジョーダンの辞任事件は、ブログの持つ別の特徴を浮き彫りにした。情報の公開性と速報性である。たとえオフレコ前提の会議であっても、聴衆の中にパソコンか携帯電話を持つ人が居合わせて、彼が「これは問題だ、みんなに知らせなければ」と思えば、ほとんど誰に気づかれることもなくその場から自分もしくは仲間のブログに速報し、極端に言えばその会議がまだ終わらないうちに、あるいはその人がまだスピーチを終えていないうちに、すでに世界中が彼の問題発言を知っている、ということが起こり得る。取材許可証を胸にぶら下げたプロの記者だけが相手であれば、オフレコの約束を破るのは明白なルール違反であり、許可証をたちまち取り上げられることになるだろうが、誰もが発信するブログの時代には、そのようなコントロールを維持することはもはや不可能なのかもしれない。逆に、ブロガーの側には、「何でもあり」の放埒に堕することなく、公正さ、正確さ、それを裏付ける取材能力を確保する義務と責任があり、その不断の追求なしにはブログ世界のとてつもない自由を守ることが出来ない。放埒と自由の混同は権力の干渉を呼び寄せる。

 ブログの出現で電子的民主主義は新しい局面を迎えていると言える。

●さらに敷居が低くなった個人発信

 ブログは、前にも述べたが、ウェブ(ホームページ)のログ(日誌あるいは記録)を意味するウェブログ(weblog)という造語からさらにweが取れてしまった新語で、簡易型のホームページ作成のツールである。

 90年代にインターネットの普及と共に出現したウェブは、

(1)html(hyper-text markup language)というかなり面倒なコード体系を駆使して、

(2)文章とその見出し、画像、音声、複数のフレーム、アイコン、他のページやサイトへのリンクなどを凝りに凝って1つの美しいマルチメディアのデザインにまとめ上げ、

(3)それをFetchなどのftp(ファイル転送手順)のソフトを使ってサーバーにアップロードし、

(4)urlを出来るだけ広く周知して読者がアクセスしてくれるのを待つ、

——というもので、個人や小組織でもいきなり世界に向かって発信出来る“x:x”のメディアとして爆発的人気を博した。しかし反面では、

(1)htmlを駆使して制作しftpを使ってアップロードするのは慣れれば難しいことではないが結構な手間であり、更新が滞りやすい(高野ホームページもその典型!)、

(2)“読み出し”専用であり、読者=視聴者はそのウェブをブックマークもしくはお気に入りに登録しておいて、自分のほうからわざわざ見に行かなければ内容が更新されているかどうか分からず、またせっかく訪れても更新された部分に行き着くのが簡単でない場合もあって、新情報が直ちに読者に伝わりにくい、

(3)読者がウェブの記事に意見を述べたり、問い合わせをすることは出来るが、それは画面のたいていは一番下に明記されている管理者のメールアドレスにメールを送るか、別に設けられた「掲示板」のページに書き込みをするかといった方法に限られている、

——という制約があった。それに対して2000年頃から広がり出したブログは、

(1)htmlコードやftpの知識は全く不要で、ワープロを打ったりメールを書いたりする能力さえあれば、画面の定型フォーマットに書き込むとそれがそのまま表示用の画面になるので、作成・更新が極めて簡単に出来る、

(2)ウェブのように凝ったデザインは出来ないしその必要もないが、文字だけでなく画像や音声を簡単に貼り付けることが出来る、

(3)“読み出し・書き込み”両用であるため、管理者だけでなく読者もまた、記事を読むだけでなく、その記事に関する他の人の書き込みを読み、自分の意見を画面に直接書き加えることが出来、さらには、「トラックバック」と言って、例えばそのテーマについて読者自身のブログに詳しく情報や意見を載せているという場合に、自分のブログからその記事に対してリンクを張って自分のブログに誘導することも出来る、

(4)管理者もしくは読者が新たに書き込みをしたり写真を貼ったりすると、表示画面では記事の新しい順に上から配置される上、画面の一角にある目次に自動的に“NEW”のマークを付けてタイトルを表示してくれるので、読者は前回の訪問以降に何が更新されているか一目で分かる、

(5)さらに、「RSS(Realy Simple Syndication=実に簡単な配信)」と言って、各記事の見出しと内容の要約を自動的に作成して外から検索可能にしてくれる機能があり、読者はRSSリーダー付きのパソコンのブラウザーか携帯電話かPDAかで自分の関心あるテーマを指定するだけでRSSリーダーが自動的に収集に走り回ってそれに関連するブログの全記事の一覧表を作ってくれる。これは、発信者の側からすれば、ウェブのようにただお客の訪問を待つのでなく、こちらからその問題に関心ある未知の読者全員に自分の記事を配信出来るに等しいことを意味する。従来は、必要な情報を収集しようとすると、Yahooなどの検索サイトに行って自分で調べて、出てくる一覧の中には無関係なものや関連が薄いものもたくさん含まれているのを片端からアクセスして確かめて、時にはそのサイトのどこに目的の記事があるか分からなかったりして、結構苦労したのだが、RSSではその作業はほぼ自動化される、

——などの特徴がある。ウェブもすでに原理的には、個人が誰でも発信し、かつ読者と情報を共有し合う画期的な創発性メディアであったのだが、本質的に“読み出し”専用であるために、管理者でさえも簡単に書き換えが出来ず、まして読者は限られた方法でしかそこに参加できなかった。それに対して、ブログは、その敷居を跨ぐのがほとんど苦にならないほどにまで低くして、しかも“読み出し・書き込み”両用に転換したため、管理者はもちろん読者も気軽に書き込みし参加することが出来るようになり、創発性が飛躍的に拡張されたのである。

 そしてそのブログをジャーナリズムに適用すれば、プロのジャーナリスト同士の協働も、彼らと無数の読者との協働も、遙かに容易になり、前出ダン・ギルモアの適切な表現を借りれば、ニュースのあり方そのものが「講義」型から「会話」型へと質的な転換を起こす。彼は書いている。

 「巨大メディアはこれまでずっと、ニュースを『講義』のようなものとして扱ってきた。私たちメディアは、何がニュースかを読者に伝える。あなた方読者は、それを買うか、買わないかだ。……業界の自己満足と傲慢さが増殖してゆく世界だった。……未来のニュースの報道と制作は、『会話』か『セミナー』のようなものになっていくだろう。制作者と消費者の境界線は曖昧になり、その役割も変わってゆく。……通信ネットワークそれ自体が、人々の声を伝えるメディアとなる」 [続く]

2005年10月19日

INSIDER No.321《FROM THE EDITOR》

●10月22日、日比谷野音で喜納昌吉の「戦争より祭りを!」コンサート!

 10月22日(土)16時から日比谷の野外音楽堂で喜納昌吉がコーディネートする「戦争より祭りを!核兵器廃絶ピースコンサート」が開かれます。

 特別ゲストとして、スティーブン・セガール(ミュージシャン&俳優、米国)、リン・チェン(二胡奏者、中国)の2人、ほかに喜納昌吉&チャンプルーズ、秋辺得平(アイヌ民族芸能)、南越谷合同連(阿波踊り)、大城信行(沖縄空手古武道)、赤嶺正一(琉球舞踊)、金剛山歌劇団(在日朝鮮伝統芸能)、李花子(在日韓国伝統芸能)など多数出演。ゲスト・スピーカーに米先住民のイロコイ連邦およびホピ族の代表、ジャーナリストのベンジャミン・フルフォード、作家の星川淳なども登場します。

前売券4,000円、当日券4,500円で、ちけっとぽーと(03-3357-9999)ほか各プレイガイドで発売中。
ホームページはhttp://matsuri-peace.com/

 なお21日(金)にはこれと連動した企画でシンポジウム「ピース・チャランケ〜憲法9条と大いなる平和の法」が明治大学駿河台校舎・大学会館で17時から開かれます。上記の米先住民代表、ベンジャミン・フルフォード、秋辺得平(北海道ウタリ協会副理事長)、喜納昌吉、星川淳、保坂展人などの皆さんがチャランケ(アイヌ語で徹底討論の意)します。▲

2005年10月17日

INSIDER No.320《BUSH》ブッシュの国家運営は自殺行為的!——ブレジンスキーが痛烈に批判

 14日付のインタナショナル・ヘラルド・トリビューン論説欄に載ったズビグニュー・ブレジンスキー(カーター政権の安保担当補佐官)の論文はタイトルからして凄い。「Demagoguery -- George W. Bush's suicidal statecraft(民衆扇動——ジョージ・W・ブッシュの自殺行為的な国家運営)」である。

 「60年前にアーノルド・トインビーは、彼の代表作『歴史の研究』の中で、帝国が崩壊する究極の原因は『自殺行為的な国家運営』あると結論づけた。ブッシュ大統領が歴史の中で占める地位という観点から見てまことに悲しむべきことに、いやそれより遙かに重要なことだがアメリカの将来という観点からして不吉なことに、9・11の大惨事以降に米国が採ってきた政策にはこの気の利いたフレーズが当てはまるような気がしてならない今日この頃である」

 という書き出しで、やや持って回った表現ではあるが、ブッシュの出鱈目が米帝国崩壊の引き金となりかねないことへの深刻な懸念を表明し、具体的に次のような問題点を挙げる。

●孤立化する米国

▼イラク侵攻の失敗を受けて達成目標を再検討しようという動きが政権内で始まりつつあると言われるが、10月6日のブッシュ演説を聞けば、2004年の選挙キャンペーンで彼が戦争の正当化のために用いたデマゴギー的な言い回しに逆戻りしている。この戦争は世界中から批判に晒され、とりわけ中東では米国は、イギリス帝国主義の後継者として、またアラブ人を軍事的に抑圧するイスラエルのパートナーとして、烙印を押されてしまった。

▼テロリストが蛮行に走る動機を“自由への憎悪”や“文化的な敵意”で抽象的に説明しようとするのは米国人の自己欺瞞であって、現実に米国と英国とイスラエルがイスラム世界の人々の宗教的尊厳を軍靴で踏みにじっていることが、中東のみならず北アフリカからパキスタン、インドネシア、カリブ海まで新たなテロ参加者を生み出しているのである。

▼米国の核不拡散を推進する能力も損傷している。軍事的に弱いイラクには攻撃をしかける一方、北朝鮮の核武装には自制的であり、さらにインドの核計画には協力して核拡散を助長するかの態度を採っているそのダブル・スタンダードが、イランの核開発問題の解決を難しくしている。

▼グアンタナモやアブグレイブの収容所における虐待と拷問の事実によって、米国の世界における道徳的立場は地に落ちた。国際刑事裁判所に対する米国の反対姿勢は全く利己的と受け止められている。

▼イラク戦費と国内テロ対策費の総額はほとんどの国々の国家予算を上回るほどに達しており、その財政赤字と貿易赤字が相俟って米国は世界ナンバーワンの債務国となっている。そのため、ドルは投資や科学的革新や教育などの長期的な経済的競争力のために注がれることがない。

▼昔からの親米国でさえも米政策に批判的になり、その結果、東アジアや欧州やラテンアメリカはじめ世界中で、米国との協力関係よりも地域連合を形成しようとする離米傾向が強まっている……。

●超党派による路線の再建

 このようにして米国は世界の中で孤立し衰弱して行きかねないのだが、路線修正はまだ可能だと元補佐官は言う。それには、議会で民主党と協力して超党派で、まずイラク問題に関して目標を縮小して再設定し、米軍が早く撤退すればするほど、それだけシーア派・クルド族・スンニ派が自分らで政治的調整を図るようになるという考え方に切り替えるべきだと言うのだが、そんなに巧く行くのかどうか。

 しかし、ブッシュ政権が少しでも路線転換して帝国崩壊を避けるには、民主党の力を借りて国難を乗り切るというのは、「破滅的なリーダーシップ」を後3年間堪え忍ばなければならない米国にとっては1つの処方箋ではある。

 現に、北朝鮮に関しては、クリントン政権時代に国連大使を務め北朝鮮とは強いパイプを持っているビル・リチャードソン=ニューメキシコ州知事が、事実上の特使として17日ピョンヤン入りした。北朝鮮は5月以来、リチャードソンの訪朝を求め、彼もブッシュに対して自分を派遣するよう要請していたが、6カ国協議が微妙な進展の途上であったこと、彼が次期大統領選の民主党候補として有力視されていることから、ホワイトハウスはOKを出さないでいた。が、ここへ来て彼の派遣に踏み切ったのは、11月に再開される6カ国協議で何としても核問題を決着させたいというライス国務長官の強い意志をブッシュが容認したためで、ブレジンスキーの言う超党派による政策再建の最初の表れと言える。

 リチャードソンは国連大使時代にそこを舞台とした北朝鮮との交渉を通じて北から深い信頼を得ており、ブッシュ第1期にはパウエル国務長官の私的アドバイザーとして話し合いによる核問題の解決を強く進言してきた。彼は地元の食糧、医療、エネルギーなどの専門家を引き連れて訪朝しており、当面の問題の解決だけでなく米朝国交交渉の開始に向けて地ならしを進めるものと見られている。

 こうしたアプローチはイラクやイランに関しても行われる可能性はあるが、それが帝国崩壊を食い止める決め手となるのかどうかは定かでない。▲

2005年10月14日

INSIDER No.319《INSIDER》インサイダー×東京万華鏡=ざ・こもんず——インターネット・ジャーナリズムの新展開

 本誌「インサイダー」とウェブサイト「東京万華鏡」が融合して、この11月から、本誌をはじめ多くの独立系の活字・映像メディアを糾合して無料で公開する新しいサイト「The Commons(ざ・こもんず)」が発足します。

 それ以降、本誌の内容は、ブログの形で公開され、後に述べるような方式で会員登録すれば誰でも無料で閲覧し、またそれについて感想や意見を書き込むことが出来るようになりますが、従来通りメールマガジン配信もしくは印刷版郵送の形で講読を希望される方は、引き続きメルマガ年間6000円、印刷版年間1万2000円をお支払い頂くことになります。

 ウェブ上で無料で閲覧できるものが、メルマガ版・印刷版が有料なのはどういうわけだと思われるかもしれませんが、後者の場合、読者名簿管理と請求の事務、配信と郵送の手間が必要であり、とりわけ印刷版の場合は紙代、封筒代、印刷代、郵便代のほか宛名を印刷して封筒に貼り、印刷されたものを三つ折りして封入し、糊付けし、紐で束ねて郵便局に運び込むのに膨大な手間とコストがかかっていることをご理解下さい。また、無料で閲覧できるならそちらに切り替えたいという方もおられると思いますが、残余の購読期間は引き続きメルマガ版もしくは印刷版を配信させて頂き、購読料を途中返還することは致しませんのでご了解下さい。

●新しい情報空間の共有

 「インサイダー」は1975年10月に・故・山川暁夫編集長の下、印刷版のニュースレターとして創刊され、年明けて76年2月に勃発した「ロッキード事件」報道を通じて、何物にも囚われない自由闊達な立場で事の真相に迫る独立メディアとして日本と世界に知られるようになりました。80年に山川氏が引退した後、高野が引き継いで(株)インサイダーを設立、それから数えても25年、最初から数えれば30年、合本を積み上げれば腰の高さに近くなるほど、ひたすら書き綴ってきた現代史の同時進行ドキュメントです。

 そもそも「インサイダー」を創刊したのは、フリー・ジャーナリストと言えば聞こえはいいけれども、実態はマスコミ臨時工で、大手メディアの注文通りの仕事をしていれば飯は食えるけれども自尊心は満たされず、飯はどうでもいいから好きな仕事をしたいと思ってもその表現の場がないという者たちが山川氏の下に集って、そこから出撃してマスコミで仕事をしても必ず帰還すべきゲリラの小さな砦を築いて、表現したい中身(今で言うコンテンツ)を持つ者が誰のお世話にもならずに自ら広く世間に世界に発信する自前のメディアを持ちたいという思いからのことでした。

 やがて電子メディアというものが現れて、80年代半ばには日本初のパソコン通信「アスキーネット」にインサイダーの中身を搭載するという試みに撃って出ましたが、当時のパソ通はパソコンおたくばかりで、世界がどうした、日本をどうするといった話は見向きもされず、数年にして撤退しました。また同じ時期に、国内だけでなく世界に向けて発信しようということで英語版「TOKYO INSIDER」を発刊しましたが、海外での販促が思うようにいかず、これも数年にして莫大な赤字を残して撤収しました。90年代半ばに至って、日本でようやくインターネットが解禁となり、インサイダーで培ったコンテンツへの自信と、パソコン通信で挫折した「自前のメディアというならこれからは電子メディアだ」という思いと、英語版で挫折した「世界に向かって発信したい」という野望とを合流させる格好で、日本初のインターネット上の日英両語による週刊誌「東京万華鏡」を創刊し、これまた年明けてすぐに阪神大震災、続けてオウム真理教の地下鉄サリン事件という展開に助けられて、内外に広く知られる発信源となりました。NHKを辞めたばかりの故・島桂次氏が営業、高野が編集、インターネット伝道師の伊藤穣一が技術を担当するという布陣で、面白いことをたくさんやりましたが、3年後に島氏が急逝して次第に活動が低下し、今はその形骸だけが残っています。

 さて、そのようにインディペンデントな自前のメディアの探求を続けてきた私が、その30年間の成功と失敗の経験を注ぎ込む、たぶん人生最後の大仕事として始めようとしているのが「ざ・こもんず」です。全体の趣旨は、別項の「呼びかけ」をご覧頂きたいのですが、一言でいえば「独立系メディアのポータルサイト」ということになるでしょうか。インサイダーをはじめとして、これまでの30年間に共に仕事をしお世話にもなってきたたくさんのジャーナリストや書き手、制作者のみなさんによる既存もしくは新設のメディアを一堂に会して、主としてはブログ・ジャーナリズムという形で、一部はインターネット放送もしくはビデオ・ジャーナリズムという形で、発信し、しかも、それを一般読者・視聴者に対しては無料で公開します。コモンズは「入会地」で、私が開拓したこのネット上の空間にたくさんのジャーナリストやコンテンツ保有者が入会権者となって入植して共同で情報を耕作し、余に向かって「これでいいのか、日本!」と問いかける、全く新しい種類の強力な情報震源地となるはずです。

 取り敢えず11月から始まるのは、これまで準備できた限りのメニューによる実験段階で、まだ工事中の部分も多いし、また始まってからも、より多くの入植者の参加を得て増殖し変転していくことになるでしょう。

●ビジネスモデル特許の応用

 なぜそのようなものが無料公開で成り立つのか。その秘密は、福岡の若手経済人のリーダー格である妹尾八郎氏が開発し、ビジネスモデル特許を取得し、すでに「NCにっぽんドットコム」という形で事業展開している、そのビジネスモデルを応用するところにあります。

★NCにっぽんドットコム http://www.nc-nippon.com/

 このビジネスモデルは、簡単に言うと、中小企業がせっかくホームページを作って商売に役立てようとしても、孤立して開いているだけでは訪れる人も少なく、そのうち立ち枯れ状態になったり、ウェブ・デザイン会社に相談すると改善や更新に莫大な金を取られたりして、一向にIT時代の恩恵に浴すことが出来ないでいる現状に対して、それぞれのホームページを言わば「ミニ・ポータル」に仕立てることで顧客との関係を深めると共に、企業同士が集団化してお互いに連携し合うことを通じて、ホームページの活性化と引いては地域経済の振興を図ろうとするもので、「NCにっぽんドットコム」にはこれまでに九州を筆頭に全国約350社が参加し、合計100万人近い顧客登録を持っています。

 伊藤穣一は論文「創発民主制」の中で書いています。

 「ワールドワイドウェブの初期には、ウェブのページはセットアップが容易なので、自分の考えを公表しようとする人の数は劇的に増え、その結果として多様で分散的なシステムがもたらされるという期待があった。だが、実際に起こったのは、ポータルと検索エンジンがトラフィックのほとんどを占めて、注目が希少資源となる注目経済(attention economy)の出現だった。注目がサイトへのトラフィックとなったのだ。人々は、自分が探しているものを見つけるのを助けてもらうために、まずポータルに行く。それから今度は、質の高い情報や製品を提供してくれる巨大な商業サイトやニュースサイトに向かう。より小さなサイトに到達する人はごくわずかだ。この注目経済はトラフィックに価値を与え、それがバナー広告やリンクの形で、より人気のあるサイトから買い取られるようになった。今日ではこのビジネスが、ほとんどの検索エンジンやポータルサイトの主要な収入源となっている」(グローコム・レビュー03年3月)

 というように、本来が大資本も小資本も全くの個人も対等平等であるはずのウェブ世界で、実際には大が小を食い物にすると言うと言い過ぎかもしれませんが、大はますます肥え太り小はその分疲弊するという減少が起きているのが現実です。

★伊藤論文 http://www.glocom.ac.jp/odp/library/75_02.pdf

 そこで、中小企業の仮想の共同化によってそれぞれのホームページに「ミニ・ポータル」的な機能を持たせることで小が踏ん張ろうというのがこのビジネスモデルですが、そうは言っても“注目経済”に乗るには限界がある。そこを突破していく1つの方策として、「ざ・こもんず」の強力コンテンツと連携し、各中小企業のホームページに「ざ・こもんず」へのアクセス窓口機能を設定して、読者・視聴者はそこで会員登録し、そこを経由してゲートインする限りコンテンツを無料で読んだり観たりすることが出来るようにし、その代わり各企業は、1社では到底抱え込むことの出来ないコンテンツをまるで自社のホームページの裏庭に存在しているかに見せかけて集客するための宣伝広告費として、低額のサポーター会費を「ざ・こもんず」に対して支払うことになります。このサポーター企業の募集はすでに始まっていますが、最大限で1000社限定とします。

 このようにして、大手の検索サイトやポータルサイトに依存しない多極分散型の別の注目経済を展開するのですが、他方、発信の方法としても、従来の電子メールによるメルマガや、ウェブ上のコラムや掲示板の限界を超えるものとして、ブログの機能を重視していくことになります。ブログの何が面白いのか、実際にどのように運用するつもりなのかは、次号以降で述べていきます。本日のところは、多くの読者のみなさんには唐突極まりないことで恐縮ですが、インサイダーおよび東京万華鏡が融合し、また私の40年近いジャーナリスト人生の総決算として新しい、そして私にとって最後の、メディア実験が始まろうとしていることをご理解いただければ幸いです。▲

INSIDER No.318《The Commons》ざ・こもんず/知の達人たちの情報共有地——呼びかけ(案)

 「これでいいのか、日本!」と憂えている第一線のジャーナリストをはじめさまざまな分野の知の達人たちが、それぞれ自由に発信し、またお互いに議論を交わすインターネット上の情報空間を共有しつつ、それを広く一般読者・視聴者に無料で開放する新しいサイトを立ち上げることになりました。それが「The Commons(ざ・こもんず)」です。

《コモンズの知恵に学ぶ》

 コモン、あるいはしばしば複数形で用いられますが、コモンズとは、元々は村の共有地もしくは入会地のことです。日本の場合で言えば、例えば里山に20軒の集落があったとして、その20軒で茅場や後背の雑木林や新規開拓の農地を共有にして、茅場は毎年刈って、今年は或る1軒の茅葺き屋根の葺き替えを村中総出でやって20年に一度自分の家の番が回ってくる。雑木林は20面に分けて、今年はこの面を切って薪や炭にして、翌年は隣の面を切って、最初のが20年経って復元したらまたそこに戻ってという具合に循環的に管理して暮らしを維持してきました。限りある資源を上手に使って持続可能な暮らしを維持する共同体の知恵と言えます。

 なお共有地には、その土地を入会権者たちが文字通り共同所有している場合と、国有地・公用地・私有地に利用権として入会権が設定される場合とがあり、後者も便宜上、共有地と呼ばれます。いずれの場合も、入会権は民法上の物権に当たります。

《情報は惜しみなく》

 さて、情報も資源ですが、一度食べてしまったらそれでお終いの食べものや、今年切ったら20年経たないと元に戻らない雑木林とは違って、何度でも消費できるし、100人でも1万人でも100万人でもいっぺんに消費することが出来て、そうすることでむしろ価値が増していきます。「コモンズの悲劇」は起こりようがないわけで、情報こそ、より一層コモンズにふさわしいと言えるでしょう。

 「コモンズの悲劇」は、カリフォルニア大学の生物学教授だったギャレット・ハーディンが68年に発表した論文で、共有の牧草地で羊を飼う羊飼いは1頭でも多く頭数を増やして儲けようとするのでコモンズは成り立たず、私有地にしたほうが資源の過剰利用による荒廃は避けられると述べたものです。それに対して30年後にミシガン大学のヘラー、アイゼンバーグ両教授は「アンチコモンズの悲劇」を発表し、米国のバイオテクノロジーの研究はかつては連邦政府や非営利研究機関が行ってその成果を公開していたが、80年のバイ・ドール法の成立以後はDNA配列の分析情報など基礎的な研究成果の私有化が進んで特許が乱立し、それを利用した研究や開発が広く行われることを疎外する、資源の過少利用の悲劇が始まっていると指摘しました。情報に関しては「アンチコモンズの悲劇」のほうが問題なわけで、例えばフィンランドの一学生が開発したLinuxは、ソースを全世界に向かって無料公開することでその悲劇を回避する道筋を示しました。彼自身もそのOSの改良・進化・適用のため無償で働いている世界中のプログラマーたちも、そのヴァーチャルな共有地の一員となることに誇りと歓びを見出し、そのことをお金より何より大事なことと捉えました。と言って、このオープンソースの思想はお金と無縁というのではありません。そこが面白いところで、例えば米レッドハット・ソフトウェア社は、フリーOSであるLinuxに、これまたフリーで公開されている様々なソフトを組み合わせて「レッドハットLinux」というパッケージ商品を49.95ドルという超低価格で販売して利益を上げたのを先鞭として、今ではIBMやオラクルなど大企業も含めて、多くの企業がLinuxを活用したビジネスを展開するようになっています。これは、大元がフリーに踏み切ることでかえって新しい経済の広がりを形成するという1つの文化=経済モデルが誕生したことを意味します。バイオの分野でも、スタンフォード大学は遺伝子組み換えの情報を抱え込まずに低価格で誰にでも提供し、それによってかえって大きな収益を上げています。

 私たち情報の創造者の側から言えば、自分らの繰り出す情報を出来るだけたくさんの人に読んで貰いたい・観て貰いたい・聴いて貰いたいというのが創造活動の本源的な衝動であり、この誰もが注目するであろう新しい情報空間を共有することを通じてたくさんの読者・視聴者に出会うことで、お金には換えられない至上の歓びを得ることが出来るでしょう。情報は、愛と同じく、枯れることのない無限資源であり、惜しむことなく世界に降り注ぐべきものです。まずその考えに立って事を起こせば、その継続・発展に必要なお金は後から付いてくるのだと信じたいと思います。

《入会権者になるのは誰か》

 誰がこの共有地に入会権を持って発信するかについては、これは私有地ですので、憚りながら地主であり管理人である私、高野孟が自分の友人・知り合いの中から勝手に決めさせて頂きます。そうは言っても皆さん、お忙しい方ばかりなので、一人一人お目にかかってお願いをして、テーマ・形態・開始時期・頻度などを含めてご了解を得られた方から順次、メニューに加えて掲載を始めていきます。情報空間には面積がないので、将来はこれはとてつもなく大きなインディペンデントなメディアの集合体に発展していく可能性があります。

 発信者である入会権者の皆さんにとってこれに参加することのメリットは、

(1)何よりもここから発信してたくさんの人々と出会うことの歓びと、それが将来もっと強力になって日本を揺るがす震源地になるかもしれないという楽しみを共有することが出来る、

(2)すでに自分で有料・無料の発信をしておられる方の場合は、ここでその総集編とも言うべき珠玉の原稿を書いて頂いて、そこから自分のウェブサイトなどに読者・視聴者を導引することが出来る、

(3)さらに自分の著書や作品を販売することが出来る、

 などといったことでしょう。そう言うと、あれ、原稿料は出ないのか、と思われるかもしれませんがそうではありません。最初のうちは大したことはないかもしれませんが、次に述べる全く新しいビジネスモデルが軌道に乗れば十分なお支払いをすることが出来るでしょう。ただ、最初のうちの大したことはないたぶんそう長くない時期を、私と一緒に耐えて頂けるかどうか、それが入会権者となる条件となります。

 重視しているのは「ブログ」の機能です。ご存じのことと思いますが、今大流行しているブログは、Web(ウェブサイト)とLog(記録)の合成語で、htmlの知識がなくても誰でも簡単にホームページで発信し読者や仲間と繋がり合いを作れる仕組みです。「ざ・こもんず」では、下記「コンテンツ」の予定メニューのうちインサイダー、タハラ・インタラクティブ、独立ブログ群など多くの部分でブログ形式を採用し、読者とのコミュニケーションを図っていきます。ブログである以上、読者からの書き込みが行われますが、(1)この場合登録された会員しかアクセスすることがない上に、(2)本名を名乗って意見を述べることを条件とし、(3)しかも管理者が真摯かつ適切と判断するもののみを掲載し、(4)さらにトラックバック(読者が自分のサイトへのリンクを勝手に貼り付けることが出来る機能)は禁止にしますので、凡百のブログやBBSのような猥雑なことにはなりません。この機会に、ブログの扱いに慣れて頂くのがよろしいかと思います。その前に、まずインターネットを始めなければならないという方もおられますが。

《サポーターを募集する》

 「ざ・こもんず」は、一般の読者・視聴者から料金を徴収しない代わりに、中小企業を中心として多数の「サポーター」を募集します。今のところは1000社に限定することを想定しています。おいおい、バナー広告が1000個も列ぶのかよとご心配になるでしょうが、そうではありません。

 サポーター企業は「ざ・こもんず」にたくさんの一般読者・購読者を紹介してくれる代理店になるわけで、ロイヤリティを払う代わりに、自社のホームページに「ざ・こもんず」へのゲートイン機能を付与します。ゲートイン機能とは、その企業の顧客であるホームページの訪問者が「ざ・こもんず」のアイコンと説明を見つけて「え、こんなのが無料で講読できるの?」ということになると、そのホームページ上でパスワードを発行し、次回以降、必ずそのホームページに一旦アクセスしてパスワードを入力することで「ざ・こもんず」に入域することが出来るということです。パスワードを手に入れたからといって、直接「ざ・こもんず」にアクセスしようとしても出来ないし、また別のサポーター企業のゲートからもアクセス出来ません。必ず、最初に自分を「ざ・こもんず」に紹介してくれた企業のホームページからアクセスしなければならないのです。さらに、ウェブをサーフィンしていてたまたま「ざ・こもんず」に行き着いて目次と見本を見て「講読したい」と思った人も、直接購読することは出来ず、そこにある講読ガイドに沿って自分の住む地方なりその他興味のありそうなサポーター企業を選んで、そこからパスワードを得なければなりません。

 なぜそんな一見面倒なことをするのかというと、サポーター企業のメリットは、そのようにして自社のホームページのプレステージを高め注目度を上げると共に、「ざ・こもんず」の読者・視聴者になった人々が毎日のようにそこを通って「ざ・こもんず」にアクセスすることなるわけですから、黙っていても訪問者が増え、そしてついでにそのホームページから本業のほうで買い物をしたり問い合わせをしたりしてくれる機会も増えることになるからです。またサポーター企業は、フリーメールのアドレスを発行する機能も自社ホームページに付与することが出来、それによってさらに毎日のようにそこを訪問する顧客を増やすことが出来ます。そのようにしてそのホームページで「ざ・こもんず」の講読登録をしたりフリーメール・アドレスを取得した顕在的・潜在的顧客のデータは、そのサポーター企業の顧客データベースとして活用することが出来ます。また「ざ・こもんず」に購読登録したすべての読者・視聴者のデータは「ざ・こもんず」の読者・視聴者データベースとして活用されるので、サポーター企業は「ざ・こもんず」に依頼して全読者・視聴者を対象としたメール発信やアンケート調査を行うことが出来ます。もちろんデータベースは法に従って厳格に管理され、登録に当たっては、その企業および「ざ・こもんず」からお知らせやアンケートのお願いを届けることの諾否について確認を求めます。

 読者・視聴者はサポーター企業のどこかを経ることなしに「ざ・こもんず」の全コンテンツにアクセスすることが出来ませんが、これはこの空間を存続させ自分たちがそれを無料で享受出来るようにするために負担して頂かなければならない、ほんの一手間のコストです。あるいはこれは、最近ネット上に出現しているmixi.jpなどの「ソーシャルネットワーク」型のポータルサイトが「直接の知人からの招待状がなければ入れない」ようにして、コミュニティ性を確保しようとしているのと、やや似ているかもしれません。新規入会希望者はまず自分のプロフィル等を登録して、それを見て関心を持った(たぶん)未知の既存会員から招待状が届くのを待って入会を果たします。われわれの場合、サポーター企業は誰でもなれるわけではなく「ざ・こもんず」との信頼と共鳴の関係をベースに代理店として契約して頂くわけで、そのサポーター企業が読者・視聴者にとっては「ざ・こもんず」への紹介者の役目を果たすのです。読者・視聴者は、場合によって未知のサポーター企業を紹介者に選ばなければなりませんが、そこで個人情報を登録し、自分宛にその企業および「ざ・こもんず」からお知らせが届くことがあり得ることに同意して頂くことで、入会の契約が成立することになります。

 この仕組みは、実は福岡市に本拠を置く高光産業株式会社の代表取締役である妹尾八郎氏が開発し「サービス提供方法」に関わるビジネスモデル特許(特許第3393604号)を取得し米国特許も出願中のもので、このほど妹尾氏と私が協力・提携してこの特許の活用法の1つとして「ざ・こもんず」を構想することになったわけです。

 もう一度、サポーター企業になることのメリットを整理すると、

(1)自社のホームページに「ざ・こもんず」へのゲートイン機能やフリーメール提供機能を付け加えることで、顧客の数と訪問頻度が増え、商機が広がる。

(2)ゲートインやフリーメールの登録を通じて顧客の情報を得てデータベースを構築し、了解を得られた顧客に対してお知らせやアンケート調査を送ることが出来る。

(3)自社の顧客だけでなく、「ざ・こもんず」に依頼してすべての登録読者・視聴者にお知らせやアンケート調査を送ることが出来る。その際、地域・年齢層・男女別などを限定して送ることももちろん可能です。

(4)執筆者・出演者との交流会に出席し、またこの人々を講演会に招致することが出来る。

《みんなが得をする仕組み》

 コンテンツを創造し発信する者は、ごく一部を除いてみな課金に苦労しています。中小企業のほとんどは、せっかくホームページを開いてはみたものの、訪問者が少なく、それでウェブ・デザイン会社に相談すると、何のかんのと100万も200万も取られて大して成果も上がらず、インターネット時代のメリットを享受できないでいます。一般の読者・視聴者はネット情報の氾濫にうんざりして、もっと質の高い情報を探し求めていますが、優れたコンテンツは料金が高くて手が出ないことがままあります。このビジネスモデルを活用することで、情報の創造者は、慣れない営業や面倒な課金事務に煩わされることなくコンテンツづくりに専念することが出来ます。サポーター企業は、仮に1社で囲い込もうとしたら何百万円かかるかも知れないコンテンツを、わずかなロイヤリティでまるで自社ホームページの付属物であるかのように顧客に提供し、顧客との結びつきを広げかつ深めることが出来ます。読者・視聴者は、いままでの常識ではいくら購読料を払っても手に入らないコンテンツを無料で享受し、かつ自らも発信者としてそこに参加することができます。こうして、「ざ・こもんず」は、入会権を持つ発信者、サポーター企業、一般読者・視聴者のそれぞれが1つの巨大な情報耕作地を上手に利用しあってコミュニティを築いていく仕組みなのです。

 執筆者・出演者、サポーター企業、読者・購読者のみなさんに、この新しい知の共有空間に参加するよう呼びかけます。

《検討中のコンテンツ》

●は11月実験段階からスタート可能なもの、○は交渉中・検討中のもの、★は来春スタートを目指して工事中のものです。これ以外にもメニューは随時、増殖していくことになるでしょう。

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《高野系》
●高野孟の「インサイダー」
高野孟が30年間書き綴ってきた現代史の同時進行ドキュメントである「インサイダー」を無料ブログとして公開。

★「インサイダー」全バックナンバー検索

●高野孟の「榎福亭通信——農と言える日本」
かつて食と農に関心のある知人に勝手に送っていた不定期メルマガ「農と言える日本」を安房鴨川に建築中の新居「榎福亭」からの通信という形で再開。

★高野孟の「世界地図の読み方」
最新のニュースと関係づけて地図や図表を作成しヴィジュアルを駆使して解説。

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《田原系》
●田原総一朗の「タハラ・インタラクティブ」
タハラの追っかけカメラマンが記録したマスコミ界の奇才の知られざる仕事ぶりと「朝まで生テレビ」「サンデープロジェクト」の裏側。

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《100人のコラムニスト》
★パワーコラム「これでいいのか、日本!」
高野がコーディネートする第一線著名人による連鎖コラム。昭和一桁世代を中心とした各界大御所に21世紀の日本への直言を聞く「スーパーコラム」(映像インタビュー?)、第一線の書き手100人が日替わりで登場する「ハードコアコラム」(こちらは活字)の2系列。

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●二木啓孝の「事件の深層」
事件の内幕に誰より詳しい日刊ゲンダイ記者が事件の闇に分け入って深層を抉る。
●金平茂紀の「『業務外』日誌」
TBS報道局長が現「東京万華鏡」で公開して人気のある既存コラムを移行。
●玉木正之の「スポーツ・ワンダーランド」
スポーツ界の変革を扇動する異色評論家の激論。たまにはオペラの話も?
●岸井成格の「政界疾風録」
毎日新聞特別編集委員のベテラン政治記者が永田町の先生方を一刀両断。
○金子勝の「快刀乱麻」
「オレって経済学者かな」と本人が言うほど幅広い国際・国内マル秘情報。
○宮崎学の「突破者の独り言」
常に社会の最底辺から世の中の欺瞞を撃つ希代の反逆児の怖い物言い。
●辺真一の「コリア・レポート」
サンデーモーニングでもおなじみ朝鮮半島問題の第一人者が繰り出す鋭い視点。
●葉千栄の「中国経済爆走ウォッチ」
朝日ニュースターの激論司会が評判の教授/ジャーナリストが中国市場の先の先を読む。

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《映像・画像系》
●田中良紹の「国会テレビ」
国会をお茶の間に近づける国会中継と政治評論のインターネット放送。
●THE NEWSPAPERの「爆笑劇場」
人気の時事コント劇団が政治・社会を笑い倒す過激な舞台をかいま見る。
●マッド・アマノの「ザ・パロディ・タイムズ縮刷版」
反小泉・反ブッシュを標榜するパロディ作家が繰り広げる風刺の独自世界。▲

2005年10月 6日

INSIDER No.317《FROM THE EDITOR》

●『GRAPHICATION』で結城登美雄さんと地域について語った!

 富士ゼロックスの隔月刊のPR誌『GRAPHICATION』は、企業のPR誌というイメージからはおよそかけ離れた、知性的な文化誌として昔から知られていますが、その9月発行のNo.140の特集「地域の自立と再生」で私と結城登美雄さんが対談しました。

 結城さんは、本欄に何度も登場していますが、仙台在住の民俗研究家にして地域再発見のための「地元学」の提唱者の1人で、この雑誌でも2000年以来「東北を歩く」を連載しています。宮城県の旧宮崎町の人たちが「うちの町は田んぼばかりでコンビニの1軒もない。何とか特産品でも作って全国に売り出そう」と思い立って結城さんに相談したところ、結城さんは「何を言ってるんだ。コンビニがないなんて名誉なことじゃないか。庭先にはおいしい野菜がある。裏山に行けばさまざまな山菜やキノコがある。小川には魚がいる。こんな豊かさに囲まれていて、何で自分たちが豊であることに気づかないんだ」と一喝。それがきっかけになって、周りの旬の食材を活かして昔から各家庭で作られてきたバアちゃんの手作り料理を1軒1皿持ち寄ってみようじゃないかということになり、第1回の「食の文化祭」が開かれました。皆さん「こんなもの、何が面白いんだ」と思いながら、しかし1000もの料理が集まってそれを小学校の体育館に並べた時の壮観に驚き、自分らの地域の持っている豊かな自然の力とそれを上手に活かしてきた昔からの暮らしの知恵を再発見したのでした。最初は年1回開かれていましたが、「旬というなら季節ごとにやらないと」ということになり、今では年4回、春夏秋冬開かれて、全国から何万人もが訪れる一大観光イベントに発展しました。結城さんは、この文化祭を企画し指導した功績を主な理由として、今春、文化庁の芸術選奨(芸術振興部門)を受賞しました。

 彼は昭和20年生まれで私が1つ上の同世代。彼は仙台郊外で古い農家を買って息子と共に農業に取り組む半農半X生活を実践していて、私も今、安房鴨川の山中に家を建てていてそれに続こうとしているところ。そんなことで気が合って、仙台で東京で、あるいは由布院で、会えば酒を酌み交わす仲なので、この対談もいつもの酒飲み話のようになってしまいましたが、今「地域」をめぐって何を問題とすべきかについて参考になるかと思います。

『GRAPHICATION』の講読は無料。下記URLからお申し込み下さい。
http://www.fujixerox.co.jp/company/fxbooks/graphication/

●『編集会議』で「スクープ」について語った!

 宣伝会議が発行する月刊誌『編集会議』11月号の「名編集長・世紀のスクープ」のページに私が登場、ロッキード事件の時のことなど思い出しながら、インサイダーの仕事は“事実のスクープ”より“視点のスクープ”であり、とくにインターネットで玉石混淆の情報が氾濫している中では、きちんとした視点を持った“情報を選別するための情報”の価値が高まるだろう、というようなことをしゃべっています。

 『編集会議』は紙とWebの編集者・ライターを目指す人、なりたての人向けの雑誌。この号は巻頭特集「読者の心を捉える新手法」、特別座談会「フードジャーナリストという仕事」、「今が狙い目、Webライターを目指せ」といった記事が並びます。同誌が東京、大阪、名古屋、福岡、札幌などで開催する「編集・ライター養成講座」はなかなか好評で、私も講師陣の1人で、特に大阪の教室には年2回程度、話しに行っています。同誌のURLは次の通り。

http://www.henshukaigi.com/

●早稲田大学で2週連続公開講座「総選挙とメディア」が開かれる!

 先の総選挙ではメディア、特にテレビの政治・選挙に与える影響の大きさに改めて驚かされましたが、これをめぐって早稲田大学オープン教育センターの主催で「総選挙とメディア」と題した公開講座が10月18日(火)と25日(火)の2回にわたって開かれます。時間はいずれも13時〜14時30分、会場は14号館201教室。18日は「総選挙のテレビ報道と新聞報道」で、田原総一朗、岸井成格(毎日新聞)、星浩(朝日新聞)、25日は「総選挙とインターネット」で、竹内謙(日本インターネット新聞)、鈴木寛(民主党参議院議員)。公開なので一般の方も入場できます。▲

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