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2005年8月31日

INSIDER No.310《ELECTION》小泉の迫力に気圧される岡田——民主党は“郵政”を逃げたら勝てない

 29日に日本記者クラブで行われた党首討論で、自民党の小泉純一郎総裁は予想通り「郵政民営化」一本に絞って、それが経済活性化や将来の社会保障の負担軽減にも繋がる改革の鍵だと訴えたのに対して、民主党の岡田卓也代表は冒頭発言では郵政に一言も触れずに、国民年金も含めた年金の一元化と月額1万6000円の子供手当制度の導入を前面に押し出した。党首相互の討論と記者との質疑の中では、小泉は年金について、岡田は郵政について、それぞれに受け身で弁解的な態度に終始したという意味では互角だが、小泉は「殺されてもやる」という覚悟を示して自民党反対派に対して刺客を次々に送り込んで、郵政民営化の是非を問う選挙なのだ!という土俵づくりに成功しており、岡田がその土俵には乗らずに年金その他という別の土俵で勝負しようとしても迫力負けになるのは必然で、このままでは民主党は現有勢力確保も難しいだろう。

●岡田はまるで判っていない

 政治的な勝負は、議論の中身以前に、どちらが議論の土俵を作るかで事実上、行方が決定づけられる場合が少なくない。古い話になるが、92年のPKO法案をめぐっては、それ以前に社会党が公明・民社両党との間で「自衛隊とは別組織で」という野党3党合意を形成していたにもかかわらず、社会党がもたもたしている間に自民党が巧みに公明・民社を取り込んで「自衛隊で」という与野党合意を作って切り返し、さあその土俵に社会党は乗るのか乗らないのかと迫られた時に田辺誠委員長が率いる同党内部は混乱し、最後は衆院本会議での牛歩戦術による抵抗というどうしようもない手段で自爆するしかなかった。逆にその翌93年の政治改革国会では、宮沢自民党が優柔不断で小選挙区制導入に踏み切れずに、小沢一郎・羽田孜ら後の新生党、武村正義・鳩山由紀夫ら後のさきがけなどの改革推進派が離党も辞さずという気分に向かっている時に、山花貞夫委員長の社会党は党内の異論を押し切って公明・民社両党と「小選挙区制導入」に踏み切る3党合意を作り上げて、宮沢にその土俵に乗るのか乗らないのかと迫った。すると自民党は分裂して宮沢内閣は崩壊、総選挙となって戦後初の本格的な非自民連立政権として細川内閣が出来た。

 事ほど左様で、誰が勢いを持って争点の土俵を作るかということが、議論の中身で正しいことを言うかどうかよりも遙かに大事なことなのだが、岡田はそのことが全く判っていない。小泉が作った土俵は、ある意味で架空のもので、郵政の何らかの改革が必要であることでは民主党はもちろん自民党造反派の多くも反対ではなく、単に小泉流の民営化法案の中身やそれを何が何でも押し通す政治手法に反対しているにすぎないにもかかわらず、小泉はそれを「郵政民営化に賛成か反対か」と極端に単純化して国民に選択を迫った。本当であれば、小泉のいきなり民営化という案と、民主党の郵貯・簡保の縮小・民営化と郵便の国営維持という案と、もう1つ、もし自民党造反派に公社を維持したまま合理化を図るという案があるとすればそれと、3つの「郵政改革」案についてそのどれを選ぶかという選挙でなければならなかった。それなら有権者も落ち着いて3案を引き比べ、態度を決めることが出来る。

 小泉がそのような単純化で勝負に出たのは仕方がないとして、民主党がなすべきは、まずその土俵から逃げることなく乗って行って、郵政そのものをめぐって小泉案がいいのか民主党案がいいのかの選択を求めることであったはずだが、岡田は当初から「郵政は争点ではない」という認識を示し、周辺や選挙現場から「それでは戦えない」と突き上げられてようやく民主党案を示したものの、その打ち出し方はおずおずとしたもので、結果として「逃げている」という印象を広く与えてしまった。その劣勢を、年金など別の土俵で巻き返そうとしても、小泉が乗ってこないのは自明である以上、無理なことで、空振りに終わるだろう。

 もちろん、有権者も馬鹿ではないから、小泉流の単純化の化けの皮も次第に剥がれつつあって、解散当初よりも自民・民主の差は縮まりつつある。しかし、おそらく岡田はそれを「郵政だけが争点でないということを国民が理解し始めた」と受け取っているだろう。そうである限り民主党は勝てない。▲

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