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INSIDER No.26-1《FROM THE EDITOR》01/09/03岡山発 »

INSIDER No.25-2《LDP CLINICAL》これから始まる小泉首相の“暑い夏”──参院選後の政局

 「信任におごるな」(読売)、「“信任”ではなく“催促”」(毎日)、「“人気”は“参加”に変わるか」(朝日)、「猶予の時、終わった」(日経)──参院選開票翌日の各紙政治部長の論説のタイトルが一様に示しているように、有権者の多くは、小泉純一郎首相の「改革」に期待しつつも、それが本当に遂行されるのかどうか危ぶんでいて、「今回は騙されても仕方がないから、自民党に1回は入れよう」(菅直人=民主党幹事長)という屈折した選択をした。その意味で、この勝利を一番つらい思いで受け止めているのは小泉自身であり、改革を具体化しながら抵抗勢力の反撃をいかに阻むか、その改革の方向・速度と景気対策の折り合いをいかにつけるのか、靖国参拝の強行による内では公明党、外では中国・韓国の反発をいかに避けるのか、彼にとっての最も暑い夏がすぐに始まる。

●自民党は復調したか?

 自民党が得た64議席は、(1)改選議席61を3つ上回り、前回当選44、前々回46を大幅に上回るだけでなく、(2)改選総議席121の過半数61を上回り、さらに(3)非改選と合わせて与党3党が参院で過半数を確保するために必要な63をも単独で上回っており(つまり仮に今回、公明党と保守党が獲得議席0でも参院の過半数を維持できる)、文句なしの勝利である。しかも、今回は定数が5つ削減されているから、そうでなければ66か67にも達していたはずで、前回44から約5割も議席を増やした計算になる。自民党が改選総議席の過半数を抑えたのは、92年の宮沢政権下の参院選で67議席を得て以来、初めてである。しかし同党は、89年の参院選で36議席の大惨敗を喫して、単独で参院の過半数を占められなくなっていて、だからこそ相手を取り替え引き替えしながら連立政権を維持しなければならないのだが、その歴史的傾向を逆転することは今回も出来なかった。76人の自民党立候補者が全員当選して、さらに推薦無所属2人を後から入党させれば、その逆転は全く不可能といういう訳ではなかったにもかかわらず、である。

 一時は9割を超える内閣支持率を誇りながら、自民党の単独過半数回復に至るほどの決定的勝利には届かず、また投票率も56%台という史上3番目の低さに止まるというギャップに、人々の小泉改革に対するとまどい、ためらい、うたがいが現れている。有権者の中には、(1)前内閣のどうにもならない鬱屈感との対比で小泉や田中真紀子外相を「かっこいい」と感じて、憂さ晴らし的に支持してはみたものの、いざ「改革」となると何のことやらさっぱり、という人もいれば、(2)「改革」には期待するが、「メニューは見せられたが、料理の中身が分からない」(読売)まま、何やら「痛み」が襲ってくるらしいのは不安だという人もいる。さらにもう少しレベルが高く(3)どんな痛みかを薄々は察知しながらそれを甘受する覚悟をしているけれども、本当に小泉が自民党内の抵抗勢力を排除してそれを実現できるのかどうか疑っているという人もいるだろう。その各レベルでの迷いが、いざ投票日となって「よく分からないか
ら」投票に行かないとか、行って1票は自民党に入れたがもう1票は別の党に入れたとかいった行動を生んだに違いない。

 そのことはたぶん、無党派層が今回もまた大きくは動かなかったことを意味しているのだろう。6月都議選の結果について田中愛冶=早大教授は、小渕・森政権を通じて自民党から離れて漂流していた本籍=自民党の無党派層が「戻ってきた」程度であって、無党派層の7割を占める本来の意識的に支持政党なしの無党派層は動いていないと分析したが(本誌No.21 EDITOR欄)、今回の各紙出口調査でも無党派層のうち自民党に投票したのは3割程度であり、小泉が無党派層を掴むことに成功したと見るのは早計に過ぎる。その人々は、一部は留保条件付きで今回小泉を支持し、また多くは改革が本当に望ましい方向に動き出すかどうか疑って投票に行かなかったり野党に入れたりしたのであって、小泉が本気でないと知ればたちまち反自民に戻っていくだろう。この夏から、早ければ年内にあるかもしれない総選挙にかけて、小泉はその答えを出すことを求められているのである。

●“景気”を口実にした抵抗

 小泉が直面するのは、第1に、自民党内抵抗勢力の蠢動である。橋本派や江亀派には、選挙中から「選挙が終わったら小泉はタダではおかないからな」と息巻く者がいたし、橋本派を中心とする利益団体は、表向きは「私も改革に賛成です」と言いながら、組織の内部では「小泉のやりたい放題を阻止するために絶対高位当選を」と、利権喪失への危機感に訴えて集票活動をてこ入れする者がいた。メニューが具体化し、それがどのように予算に反映されるかが目に見えてきたときに、彼らの決死の抵抗が始まることは間違いない。

 もちろん小泉は、解散・総選挙をちらつかせつつ、「今更、改革に反対すれば、お前ら“国賊”になって選挙に落ちるぞ」と脅して党を引っ張って行こうとするだろうが、橋本派や江亀派は陰謀、情報操作、恫喝、脅迫、買収、談合、根回し等々、何でもありの戦闘集団であり、死活的な権益を侵されて黙って付き従うとは考えられない。

 第2に、なおさらやっかいなことに、先のサミットでも各国首脳が懸念を表明したように経済は「世界同時不況」の様相にあり、それは日本でも9月上旬の4〜6月の四半期GDPの速報発表、株価の一段の下落、企業・銀行の決算の悪化などとなって現れるだろう。それは、小泉のせいではないし、また本質的に5兆ドル規模を維持する日本経済にとって耐えられないようなものではないにもかかわらず、浅薄なマスコミが「マイナス成長になって大変だ」と騒ぎ、それに乗じて抵抗勢力が「やっぱり改革は後回しにして景気回復を最優先しないと日本が潰れる」と大合唱を始めるに違いない。榊原英資=慶大教授が29日の「サンデー・プロジェクト」で指摘したように「これは世界同時不況であって、改革とは関係なしに、危機管理策として景気対策を講じなければならず」、従ってその緊急の景気対策は改革の方向と接合するように巧みに仕組まれなければならないが、抵抗勢力はそれを改革先送りの口実に利用して、利権政治の延命を図ろうとするだろう。ここをきちんと整理できるかどうかが、小泉にとって当面、最大の試練である。

 第3に、靖国参拝問題がある。田中外相がハノイで中国・韓国の外相と会談した際に、「あなた方の言い分はしっかりと承ったので、帰って首相に伝える」とだけ言っておけばいいのに、「私も首相の参拝に反対だ」とまで踏み込んでしまったので、公明党も「体を張ってでも止める」(冬柴鉄三幹事長)と硬化せざるを得なくなった。首相としては、参拝の公約を守ろうとすれば外相を更迭し公明党との絶縁も辞さないという強硬な姿勢を採らざるを得ず、しかも中韓両国との関係悪化を覚悟しなければならない。といって、参拝を取りやめれば、それがまた党内抵抗勢力の“小泉下ろし”にきっかけを与えることになりかねない。

 小泉が率いる自民党の“ねじれ”は二重三重に絡み合っていて、「改革をやれば自民党が壊れ、できなければ小泉人気は落ちる。進むも戻るも地獄」(小沢一郎=自由党党首)ということになろう。▲

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