INSIDER No.16-1《FROM THE EDITOR》2001/05/10横浜発
●旅から旅への2週間
4月25日から連休を挟んで5月8日まで、帯広(講演と乗馬)、ソウル・浦項(韓国経済とIT革命の取材)、鴨川(田植え)、沖縄(「サンデー・プロジェクト」番組スタッフ&出演者の研修?旅行)と旅が続いて、その間自宅に着替えを取りに戻ったのは2晩だけという、ちょっと珍しいスーパー・ゴールデン・ウィークでした。昨日、今日は久しぶりに自宅で山のようになった新聞・雑誌、郵便物、ファックス、そしてメールを整理しながらこの原稿を書いています。
韓国取材の一端はNo.14本欄で触れました。今週の『Newsweek』のカバー・ストーリーは「韓国をうらやむ日本人」で、女性のエステや超高速回線が各家庭にまで行き渡ったIT革命やソフト開発、『シュリ』に続いて間もなく公開される『JSA』などの映画、さらには政府が進める大胆な経済構造改革まで、かつては韓国を軽んじていた日本人が今では同国を羨望の的にしていると書いていますが、まさにその通りです。他方、韓国もまた日本ブームで、日本映画に長蛇の列が出来るし、日本語熱はますます盛ん。原宿のような若者の街=明洞(ミョンドン)では「日本ホンモノタウン」というビル1軒丸ごと日本の憧れ商品を集めたショッピングモールがオープン間近で、和服姿の若い韓国女性が辻々でビラを配っていました。10日付毎日新聞“記者の目”欄で澤田克己ソウル支局員が、教科書問題で「韓国の人々は頭から湯気を出して怒っているに違いない」と日本人が思っているのは「誤解」で、韓国人は確かに怒ってはいるが、感情的になって過激な行動をしているのは一部だけだと書いているのは、本当です。
韓国取材の最終日の5月4日には、ちょうど訪韓中で前日に金大中大統領と会談した鳩山由紀夫さん以下民主党代表団の面々と梨花女子大裏のレストランで昼食を共にしました。彼らの感触では、大統領は、彼が就任以来進めてきた“未来志向”の日韓関係構築と日本文化の輸入解禁措置の積み重ねがこんなことで後退しかねないことに胸を痛めている様子だったと言います。とはいえ、野党や野党系マスコミがこの問題を金大中いじめの材料に利用しようという思惑でガンガン突き上げてくれば、韓国政府としては日本に対して強硬な“再修正”の申し入れをせざるを得ない。そうなると日本政府も一旦検定合格の判を押したメンツがあるからそれを突っぱねる。これでは結末の着けようがないですから、そこでこの教科書を作った人たちが、東京に立てこもって「内政干渉だ」などと叫んでいないで、堂々と韓国を訪れて向こうの一流の学者たちと学問的な公開論争をする──そのついでに韓国にも日本より優れたものがたくさんあることを謙虚に学んでくるのが一番いいと思うのですが、彼らはその勇気も持ち合わせていないようです。
大統領のみならず一般の国民にも、18年前の教科書問題の時や、5年前の竹島(独島)問題の時のようなとげとげしい“反日”の空気は全くと言っていいほど感じられません。私は、教科書問題を糾弾するネット市民運動の1つで、日本の文部科学省などのサーバーにアタックをかけた張本人でもある「独島守備隊」本部や、その問題を告発する「殺気」と題したホームページを1人で立ち上げた中学3年生の自宅を訪れましたが、彼らも実に冷静で、「こんな教科書を作ろうとしているのはごく一部の右翼」「日本人全部を悪く言うような投稿に対しては『そうではない』と注意を与えている」などと語っていました。
そういう流れからすると、韓国人が怒るような歴史教科書をわざわざ作って、そんなことで日本人の“誇り”が取り戻せるかに思っている一部右翼のちゃちなナショナリズムは、すでに日韓双方の若い世代によって蹴散らされていると考えていいでしょう。そのことに気付いていないのがこの人たちの哀れなところです。
なお経済改革とIT革命を中心とした韓国取材の報告は6月3日の「サンデー・プロジェクト」で行う予定です。
さて、安房鴨川の「鴨川自然王国」では5月5日、棚田保存トラスト会員や農作業ボランティア約40人が集合して、3反3畝ほどを膝まで泥に浸かりながら半日がかりで田植えしました。今年は1反は仮に全滅することがあっても無農薬・無化学肥料栽培を貫き、残りの2反余りは、稲水ゾウ虫予防のために育苗時に最小限の消毒を行い、またやむを得ない場合の農薬使用に関しては栽培委託農家の判断に任せる低農薬栽培とすることになりました。どちらにしても除草剤は使わないので、これから草取りが大変。炎天下、地獄の草取りを体験したい方は、6月2〜3日と6月30日〜7月1日の2回予定されていますので、どうぞ。
田植えと宴会の後、サウナで酔いを醒まして夜中に1時間半、車を飛ばして東京全日空ホテル入り。翌朝の「サンデー・プロジェクト」に出て、そのまま田原総一朗さん夫妻をはじめ同番組の出演者やスタッフと共に梅雨入りした沖縄へ。名護の海辺のリゾート・ホテルで釣り、ダイビング、ゴルフなど思い思いに過ごすのんびりした2泊3日でしたが、2日目の夜は希望者8人でタクシーを1時間飛ばして那覇・国際通りの喜納昌吉&チャンプルーズのライブハウス「チャクラ」に出動。10カ月ぶりにナマの「花」に泣いて「ハイサイオジサン」で踊って、その後は喜納さんの妹が最近開いたおしゃれなラウンジ・パブで彼の延々と続く神懸かり的な“お説教”を聴いて……といういつものパターンで深夜1時過ぎまで古酒を煽り続けたのでした。
●『週刊現代』に書評を書いた
『週刊現代』の今週号に森永卓郎『成功するEメール、失敗するEメール』(講談社)の書評を書きました。「情報を発信している人のところには情報が集まる」という著者の捉え方に賛成です。
それから、毎日新聞社『週刊エコノミスト』の5月21日発売の号の「小泉“新世紀維新”内閣とは一体何なのか」という特集に、アンケートへの回答という形で私見を述べました。
●玉木正之「スポーツと日本人」が楽しみ
スポーツ評論家/音楽評論家/作家の玉木正之さんがNHK3チャンネル23時「人間講座」で6月6日から毎週水曜日“スポーツと日本人”9回シリーズを放映します。「ヨミウリとかナベツネとか名前は出さないが、相当思い切った企業スポーツ批判をやれそうだ」とご本人も張り切っていて、これは楽しみです。玉木さんと私は、古い本誌読者の方はご存じですが、Jリーグ創立の時から「反ナベツネ・親川淵チェアマン」で共同戦線を張ってきました。発展途上国型の国家スポーツ・企業スポーツから先進国型の市民スポーツへ──というのが、私が玉木さんや川淵さん、それにラグビーの平尾さんなどと共有するコンセプトです。
●麻布の「がま池」が危ない!
「DEEP AZABU」という麻布“地元学”探求の個人ホームページを開いている岩田隆之さんから久しぶりに次のお便りがありました。
『麻布のガマ池をできれば港区に買いとって頂き、せっかくの自然を保護しながら、みんなで楽しめる公園にしたいという主旨で署名を集めています。この度、麻布山の水系を守る会としてホームページを立ち上げ、港区長宛てに署名を集めています。是非ご覧になって、ご賛同いただけたら、ご署名おねがいいたします。できるだけ多くの署名を集めたいので、ご家族がお知り合いの方々にも広めていただけたら幸いです。http://www.beat4u.co.jp/gamaike/』
私も早速署名しました。港区の住人はもちろん、そうでない方もどんどん署名に参加してください。なおDEEP AZABUはhttp://www.246.ne.jp/~pap0456/azabu.htmlです。これだけ麻布にこだわったサイトも他にないので、是非ご覧下さい。▲