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2001年4月24日

INSIDER No.13-2《UZBEKISTAN》ウズベキスタン「夕鶴」講演応援ツァーのご案内──8月25日〜9月1日

 私共は昨年まで3年続きで、モンゴル国の首都ウランバートルの国立オペラ劇場を訪れることを中心とした「モンゴル・オペラ・ツァー」を企画・実施してきましたが、今年はモンゴルをお休みとして、中央アジア=シルクロードの国ウズベキスタンの首都タシケントを訪れて、そこの国立オペラ劇場で日本の代表的なオリジナル・オペラである「夕鶴」を作曲者の團伊久磨さん自身の指揮、小林一男さん(テノール)はじめ日本の第一級ソリスト6人の歌唱によって行われる公演をサポートすることになりました。

 モンゴル・ツァーの一員である羽田孜元首相が昨年同国を訪問した際に、現地のオペラ団によって「夕鶴」が上演されていることを知り、また中山駐ウズベク大使との間で両国の文化交流を深めようという話になりました。このことを伝え聞いた團さんが「私が行く」と言い出して、国際交流基金の支援も得て、隣のカザフスタンと併せて2回の公演を行うことになり、私共は時間的なこともあるのでウズベクに100人ほどの応援団を組織して同行することになったものです。

 ウランバートルのオペラ座は、日本人抑留者が強制労働で建設作業に従事し「同市で唯一、階段の高さがきれいに揃っている建物」と言われますが、奇しくもタシケントのナボイ劇場も同様の運命にあった日本人捕虜が建てて「大地震でもビクともしなかった。さすが日本人は凄い」という神話を生んだ建物だそうです。そんな境涯にあっても、目の前の仕事はついつい大真面目にやってしまう日本人の気質は嬉しくもあり悲しくもあります。

 モンゴル・ツァー仲間には、三枝成彰(作曲家)、矢内廣(ぴあ社長)、高野の3人が呼びかけ人となって約30名を、それ以外は羽田さんと日本ウズベキスタン協会(嶌信彦会長)のほうで70人ほどを募集する予定です。モンゴル組の枠には余り空きがないと思いますが、協会の枠の方は多少ゆとりがあるのではないかと思われるので、ご関心ある方はひとまず下記の三枝事務所までお問い合わせ下さい。なお関西空港からタシケントまでこの4月から直行便が飛ぶようになりました。

■日程
8月25日(土)12:00関西航空発→タシケント
8月26日(日)タシケント観光
8月27日(月)タシケント自由行動、夕方から「夕鶴」鑑賞
8月28日〔火)空路、世界遺産の街ブハラへ、観光
8月29日(水)ブハラ観光、陸路サマルカンドへ移動
8月30日(木)サマルカンド観光
8月31日(金)陸路タシケントへ、夜帰国の途へ
9月01日(土)09:55関西空港着

※上記は「ゆったり」コースで、オプションで4日目に世界遺産の街ヒワに飛び、それからブハラ、サマルカンドを回る「ハード」コースもあります。

ゆったりコース エコノミー 26万8000円
ハードコース   同    29万円

■問い合わせ
03-3584-1951 メイコーポレーション(三枝事務所)松田まで ▲

INSIDER No.13-1《FROM THE EDITOR》

●小泉圧勝に頭を抱える石原伸晃

 いやあ自民党総裁選は驚きました。前号で「小泉にチャンスがあるとすれば予備選で橋本を圧倒して第1位になった場合」と書いたものの、橋本派の業界・職域団体への支配力はまだまだ強いだろうという想定の下、結局は党員大衆や国民世論を無視して橋本を選んでしまうことで自民党崩壊は早まるだろうと見通していたのですが、自民党より先に橋本派が崩壊していて、「橋本では参院選は戦えない」という地元の危機感に跳ね飛ばされてしまったしまったわけです。

 22日の「サンデー・プロジェクト」に出演した石原伸晃さんが終始浮かない顔をして、番組後の昼食の席では「(小泉圧勝で)いやあ、困った。本当に困った。これじゃあ自民党から出られないじゃないですか」と頭を抱えていました。彼や塩崎恭久さんら若手改革派は、昨秋の「加藤の乱」の敗北後、参院選での自民党敗北を契機に決起して政界再編の引き金を引こうと覚悟を固めていて、小泉立候補となってからは、小泉が予備選で優位に立ちながらも結局橋本に負けて、参院選の前か後には「小泉新党」に向かわざるを得なくなることを期待していたのですが、そのシナリオがすっかり狂ってしまったことに「困って」いるのです。「下手したら、参院選で自民党が勝ってしまって、政界再編が遅れるかもしれない」というガッカリの仕方が面白かったです。

 小泉政権の行方と政界再編の見通しについては、全部の結果が出てから分析します。

●「政治参加」する7つの方法

 講談社現代新書で筑紫哲也編『する7つの方法』が出ました。各地の知事選や今回の自民党総裁予備選などに現れている「政治不信だといって背中を向けていられない」という人々の気持ちをどう表現するか、情報公開、選挙での公開討論会、インターネットによる勝手連、住民投票など実際に様々な運動を実践してきたリーダーたちが自らの体験をもとに政治参加の面白さを語ります。

 元はと言えば、AERAの田岡俊次さんから私に「《候補者の公開討論会を開こう》という全国運動を進めてきた小田全宏さんに本を書かせたいが、いい出版社はないか」という相談があって、私が講談社を紹介したのが発端となった本で、政治が本当に変わるのか、多くの人たちが再び関心を高めている時期に相応しい出版となりました。

●「地元学」の精髄を1冊に集めた「現代農業・増刊」

 農文協の農と食に関わる文化誌として定評のある『現代農業・増刊』が、今度は「地域から変わる日本/地元学とは何か」を刊行しました。地方がひたすら東京に憧れて、ブルドーザーで山や田を掘り返して薄っぺらな都市化・近代化を追い求めてきた100年間があって、いまそれをどこへ向かって舵を切り替えるのかという時に、その荒々しい100年間にもかかわらずまだ地域に辛うじて残っているそれ以前のお金と便利さばかりではないゆったりとした暮らしぶりの再発見こそ手がかりになるのではないか、というのが地元学と言えるでしょう。その最初の提唱者であり実践者である仙台の結城登美雄さんは巻頭の論文「わが地元学」で言います。

「はじめに自分たちの町は遅れている、ダメな町だという決めつけから始まる地域づくりが根拠とするところは、例えば人口の減少と過疎化。それを悪と決めつけ、その是正のプランを活性化策という。活性化策とはすなわち経済振興策のことであり、それ以外のテーマには力が入らない」

「しかし地元学的地域づくりは経済活性化を必ずしも第一義とはみない。住んでいる人口が多いからといって優れた人間が多いわけではない。人が減ったからといって不幸な生活を送っているわけではない、というあたりまえのことに立脚する」

「数字や金、外見を気にし、ダメからの地域づくりを主導するのは、たてい行政である。これに出来の悪い学者たとが尻馬に乗る。そして作られるのが町づくりプラン。……小さいより大きい方がよい。古いより新しい方がよい。ゆっくりより速い方がよい。すなわち彼らに共通するのは単純なモノサシのモダニズム」

 公共事業の見直しというだけでは底の浅い話で、そこに表象される浅はかなモダニズムを超えていくときの根拠をどこに求めるかが問われていて、地元学はその答えを理屈でなく身体を動かすことの内に模索しているのだと思います。

●日米デジタルテレビ戦争の内幕

 NYタイムズ記者のジョエル・ブリンクリーの力作ドキュメンタリー『デジタルテレビ日米戦争』が浜野保樹・服部桂共訳で出ました(アスキー刊)。NHK技術研究所が世界に先駆けてハイビジョンの技術を開発しながら、米国の政府・業界一体となった反撃によって“世界標準”の座を得ることに失敗し、逆にそれへのこだわりがNHKのみならず日本のデジタル化を遅らせてしまう結果となった壮大なドラマを描いたもので、戦国絵巻の面白さがあります。

 このBSをめぐる郵政省・NHKの失敗が、CSはもちろんBSも地上波もラジオも何もかも並行してデジタル化という「やけのやんぱち」のような戦略的混乱に行き着く原点だったわけで、その意味では「日本はテレビのデジタル革命の中で、どこでどう最初のボタンを掛け違えたか」をまことによく理解することが出来ます。メディア動向に関心のある方は必読です。

●六本木男声合唱団がホームページ開設

 私もメンバーである異色の集団「六本木男声合唱団」のホームページが開設されました(http://www.TenorCup.com/6ponghi/top.asp)。合唱団としては、当面、6月24日(日)19:00〜サントリーホールでテレビ朝日主催「ナタリー・ショケット演奏会」ゲスト出演、7月14日(土)12
:00〜14:00浜松町駅近くの仏レストラン「T¥'SUKI」で「子供地球基金」資金集めパーティーのスペシャル・ゲスト出演が決まっています。

●5月の高野の予定から

 4月27日から連休にかけての1週間は、久しぶりに韓国で、サッカーW杯を前に通貨危機を乗り切って経済構造改革とIT革命に取り組む同国の明と暗を「サンデー・プロジェクト」でリポートします。

 帰って翌日、5日(土)から6日(日)は安房鴨川で待望の田植え。棚田を今時珍しく手植えをしますので、体験したい方は是非ご参加下さい。詳しくは鴨川自然王国ホームページを見るか、0470-99-9011にお問い合わせを。日曜の夕方からは「サンデー・プロジェクト」番組スタッフの研修旅行で沖縄に飛んで2泊3日、とほとんど2週間飛び歩いている有様です。サンプロには13日と20日に出演します。

 公開の講演会は、15日銚子市で東総地区広域市町村圏事務組合の主催による「21世紀・日本の課題」くらいで、あとは新聞社、法人会、企業、業界団体などのクローズドの会ばかりです。池袋サンシャイン文化センターの「新・世界地図の読み方」講座第4期第2回は17日です。

 31日には名古屋の桜山中学校の生徒6人が“修学旅行”でやってきます。それぞれ自分の興味あるテーマでグループを作って、事前に下調べをして議論をして、誰かを訪ねて話を聞くという分散型の修学旅行だそうで、マスコミやジャーナリズムに関心のあるグループが私のところへ来るわけです。私が少しお話をして、それから私が引率してTBS報道の金平茂紀記者を訪ねて「ニュース23」の内幕などを聞きます。こういう修学旅行はもっと流行るといいと思います。▲

2001年4月16日

INSIDER No.12-3《LDP-CLINICAL》“橋本勝利”で死期を早める?自民党──小泉が予備選第1位なら波乱も

 自民党総裁選は4人が立候補して賑々しい争いになったが、亀井静香と麻生太郎は、(1)初めから橋本支持を打ち出したのでは派閥がもたない(堀内派の有様を見よ)、(2)落ちるのが分かっていても一度手を挙げておくほうが次につながる、(3)第1回投票で派内の浮動票的部分が小泉に流れるのを防いで、第2回投票で橋本に入れれば橋本派に恩を売ることが出来る──などの計算から立候補しただけのことで、実質的には橋本龍太郎と小泉純一郎の戦いである。どの調査を見ても、国民に人気があるのが小泉であることは疑いがなく、自民党が7月参院選の負けを少しでも食い止めようとすれば、小泉首相、田中真紀子官房長官といった布陣で臨む以外に道はないはずだが、それが分かっていながら党内力学によって橋本を選ばざるを得ないところに、末期自民党のどうにもならないディレンマがある。この総裁選を通じて、国民の気分と党内の論理との乖離は極限まで広がり、その結果、橋本の下で戦う参院選で同党の負け方はさらに酷いものとなって、政権党としての死期を早めることになるに違いない。

●予備選の行方に注目

 小泉は、派閥力学的には全く望みがない。橋本は、国会議員票の総数346のうち橋本派101と堀内派43を合わせて144を持っており、森派60と加藤・山崎両派の38を合わせた98を圧倒している。橋本派の若手の造反組10人程度がこぼれる可能性があるが、他方、小泉はすでに森派を離脱しており派閥の締め付けは利かない。それどころか、間もなく森派会長に復帰する森喜朗首相は同派幹部を集めて「小泉には投票するな」と呼びかけているという。小泉が留守を預かる森派会長の立場にありながら、森を最後まで擁護せず、むしろ辞意表明を促すかの言動をとったことを、森は恨んでいるからである。

 橋本の派閥票が144として、地方票の総数141のうち100票を取れば過半数の244に達し、第1回投票で橋本勝利が確定する。他方、小泉は98の派閥票を固められたとして、地方票が全部来ても過半数に達しない。橋本派としては、もちろん第1回投票で決めてしまうことを目指しているが、それが難しくても、第2回投票となれば亀井派55と麻生支持の24が橋本に回るから、まさかそこで負けることはない。

 小泉にチャンスがあるとすれば、今回久方ぶりに全国で実施されることになった都道府県段階の予備選で橋本を圧倒して第1位になった場合である。第1回投票で地方票の全部とは言わなくても3分の2強が小泉に回ったとすると、彼はもちろん過半数には達しないものの、橋本とほぼ拮抗しようかという勢いに乗って第2回投票を迎える。となると、地元からの「橋本では参院選は戦えない」という大合唱がますます高まって、橋本陣営の特に若手は激しく動揺し、派閥ボスの説得や野中広務選対本部長の恫喝にも関わらず、小泉に走る者が続出するかもしれない。

 しかしそのようなシナリオは、自民党の総裁予備選というものが240万党員の自由な意思を表す通常の意味の選挙であるという前提でのみ成り立つ。予備選は、ロッキード事件の衝撃を受けて党改革への姿勢を示すために77年に導入が決まり、78年と82年に行われた。2回とも全国の党員・党友が党本部に投票用紙を郵送する方式で行われたが、実際には、派閥や業界の幹部が県単位で投票用紙を何百票と回収して段ボールで党本部に持ち込むといったことが白昼公然と行われた。今回は県ごとでやり方が色々だが、42府県では郵便による投票が行われるため、同じことが繰り返される可能性がある。小泉が「一部のボスが投票用紙を100枚、200枚と集めるようだと党改革にならない」と言ったのは、そのようなやり方を得意とする橋本派に対する牽制にほかならなかった。

●240万党員の内実

 KSD事件では、KSD幹部が村上正邦前参院議員のために、91年から99年にかけて計45万人の党員を本人に無断で(一部は架空の名前で)登録し、その党費15億円を立て替え払いしていたことが明るみに出、他にもいくつかの土地改良組合が同様のやり方で党員集めをしていたことが露見したように、240万党員の7〜8割はこのような特殊権益団体が名簿を取りまとめ、多くの場合は党費も立て替えて登録されているもので、そのそれぞれが県単位で「職域支部」を作っている。4月15日付毎日新聞によると、2000年末の主な職域団体は次の通り。

大樹(特定郵便局長会) 23万9651
建設業協会 18万2526
軍恩連 15万4592
看護連盟 12万4056
医療会 11万5189
遺族会 11万0227
土地改良組合 9万3488
宅建 9万2483
ときわ会(JR) 7万9287
21世紀つくる会(MOA) 4万6037
薬剤師 3万9658
歯科医師 2万9638

 このほとんどを握っているのが橋本派で、事実、12日の橋本出陣式には特定郵便局長会をはじめ18団体の役員が出席した。元々、自らの政治的信念に基づいて自腹を切って党費を払っている個人党員などほとんどいないのだから、団体や県連の幹部が言うままに白紙の投票用紙の回収に応じるのは当然のことで、そこに橋本派の強さの秘密があった。

 そこで問題は、今回もその橋本派の流儀が通用するのかどうかである。東京や神奈川などでは投票所を設けて直接投票する方式を採り、また広島では県連役員6人、県議46人、支部長190人の代議員投票で決めることになったので、こういう場合は投票用紙を段ボールに詰めて運ぶようなことは出来ない。郵送方式の場合も、近年は職域団体の統制力が弱まっていて幹部の言いなりになるとは限らないし、何よりも、橋本の立候補が派内の反乱鎮圧に手間取って12日の届け出直前までモタついたために、末端まで指示を届かせる時間がない。

 その点で興味深いのは、16日投票の秋田県知事選で自公保推薦の村岡兼幸が民主・社民・連合が支持する現職の寺田典城にダブルスコアで大敗したことである。同県は、衆院小選挙区と参院選挙区の国会議員計5人のうち4人が橋本派で、当の村岡も橋本派幹部の村岡兼造総務会長の長男であるという橋本派の大拠点。その秋田で、連日のように橋本、小泉、麻生を含む自民党大物や橋本派秘書団50人が乗り込んで「国とのパイプを持つ村岡が当選すれば国の資金で県が潤う」と大宣伝し、市町村長や業界団体への締め付けを徹底し、それでも足りずに神崎武法公明党代表まで現地入りしたにもかかわらず、自民票と公明党の各4割が寺田に流れた。

 自民党の伝統的な集票マシーンは明らかに崩壊しつつあって、その結果、予備選でも橋本派の統制が利かずに各地で小泉が第1位になるようなことになれば、いよいよ自民党が溶解状態に入ったことを意味する訳だし、また橋本派がそれを防ごうとしてますます必死になって旧式の統制や恫喝や金権の手法を乱用するなら、橋本は党内選挙では勝つかもしれないが、国民相手の参院選ではもっと惨めな敗北となって跳ね返ってくるのを避けられないだろう。

 橋本は、3年前の参院選で負けて辞任した人物である。その彼が、今度はもっと負けてもう一度辞任しなければならないことになることが分かり切っているのに立候補せざるを得ず、立候補した以上はなりふり構わず勝たなければならない。そこに今の自民党の進退窮まった姿が象徴されている。▲

INSIDER No.12-2《HYDRO REVOLUTION》(4)石油から水素へ・続々々々──エネ庁研究会の報告書

 資源エネルギー庁が茅陽一慶応大学教授を座長に研究者・業界代表28人を集めて作った「燃料電池実用化戦略研究会」は、99年12月から9回にわたる会合を重ね、今年1月に報告書をまとめた。ここではその中から「おわりに」の章を全文紹介する。水素エネルギー社会の到来を予想しながらも、その意義を出来るだけ自動車・交通部門の燃料転換による環境保全効果に片寄せて、1家に1台の分散型発電体系への移行によって原発も電力会社も無用になるという肝心なポイントには余り触れないようにしているところに、エネ庁の限界がかいま見えている

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燃料電池実用化戦略研究会報告(2001年1月22日)おわりに
──固体高分子型燃料電池:21世紀の水素エネルギー社会の扉を開く鍵

 人類がこれまで大規模に使用してきた燃料の歴史を振り返ると、18世紀後半の産業革命期の石炭に始まり、20世紀には石炭から石油へと移行し、この数十年の間には石油から天然ガスへと移行しつつある。こうした流れは、炭化水素燃料からの脱炭素化(石炭、石油、天然ガスの順に単位質量あたりの炭素数が少なくなる)の流れであり、脱炭素化の進展に伴って、地球環境への影響はより少なくなっていく傾向にある。今後も、脱炭素化の流れは変わらないものと考えられ、21世紀半ばには、炭素を全く含まずCO2を発生しない水素が重要なエネルギーとなる水素エネルギー社会が到来することが予測されている。

 水素は究極のクリーンエネルギーであり地球環境問題への解決にもつながるとともに、水を含む地球上の多くの物質に水素が含まれているという意味で豊富なエネルギ−媒体でもあり、水素エネルギー社会の到来は我々人類にとって大きな意義がある。

 しかしながら、水素エネルギー社会の構築には、社会の中に各種の水素インフラを整備する必要があるとともに、水素の製造・貯蔵・運搬に関わる技術開発が不可欠であるなど大きな努力が必要であり、現在の化石燃料を中心とするエネルギー社会から水素エネルギー社会への移行をいかにスムーズに加速化させていくかが我々に課せられた政策的な課題である。

 燃料電池は水素を燃料とする高効率な発電装置であり、水素エネルギー社会の先駆けとなる技術であるとともに、本報告の中でも述べてきたように、システムの構成の仕方によっては水素からも化石燃料からもエネルギーを取り出せることから、現在の化石エネルギー社会から水素エネルギー社会へのスムーズな移行を橋渡しする技術である。

 水素エネルギー社会への過渡的段階では、CO2発生を伴うものの、化石燃料から製造される水素を用いて、燃料電池自動車、家庭用燃料電池などの新たな技術を早急に実用化することによって、燃料電池の利用に関する社会の経験を積んでいくことが重要であり、こうしたことにより燃料電池を普及させ、その上で再生可能エネルギーから製造される水素を中心とする完全なゼロ・エミッション社会、将来の水素エネルギー社会の到来を加速化させることが期待される。

 また、燃料電池の導入はその高効率性から主要用途先である運輸・民生部門において、省エネルギー効果が期待できるとともに、CO2の排出削減も可能である。更に、仮に燃料電池自動車においてGTL等の石油代替エネルギーが燃料となった場合には、これまで極度に石油に依存していた運輸部門のエネルギー転換を可能とすることになる。

 このため、燃料電池の導入は、現在のエネルギー・環境分野での喫緊の課題である省エネルギー対策、地球温暖化防止、石油代替エネルギーの推進を行う上でも切り札となる可能性が大きく、そうした観点からも燃料電池の実用化に関する各種課題を解決し、早急に燃料電池の実用化を図ることが望まれるところである。

 以上のように燃料電池は、現在、我が国が直面するエネルギー・環境分野の課題を解決する鍵であるのみならず、現状の化石エネルギー社会から水素エネルギー社会への扉を開く鍵でもあり、まさに21世紀のエネルギー・環境分野における「Key Technology」なのである。▲

INSIDER No.12-1《FROM THE EDITOR》

●ワシントンでお花見・続

 No.10本欄で、桜が満開のポトマック河畔でお花見の宴会をしている人を見かけないのは変だと書きましたが、よくよく聞いてみると、この町では公園や駅頭など公共の場所で酒を飲むとお巡りさんに捕まってしまうそうで、それじゃあお花見も何もあったものではない。自由の国アメリカなどと言っていられないほど犯罪や暴力が深刻なことの反映なのでしょうが、煙草は吸えないし、表で酒は飲めないし、女性にうっかり口をきけばセクハラ扱いされるし、私はこんな不自由な国に住むことはないでしょう。

 また、前回「ソフトシェル・クラブ」と書いたのは間違いで「ブルー・クラブ」です。市場で両方を見たので混同してしまいました。読者のMさんより次の指摘がありました。「ワシントンには駐在で5年半ほどおりまして、小生もこの蟹をよく楽しみました。この蟹は“ブルークラブ”と呼ばれており、市場やスーパーで生きているものをごそっと買ってきて、茹でてビールとともに楽しみました。“ソフトシェル・クラブ”はこの蟹が脱皮したばかりのときの甲良が柔らかい状態のもので、まるごとソテーにして食べます。これは最高です。ですから茹でて食べる蟹の名は“ブルー・クラブ”が適当と思います。ワシントンDCから車で3時間ほどのデラウエア州の方にチンコティークという海辺の町があります。野生の馬で有名なところです。ここには海水と真水がいっしょになる湿地帯があり自然保護区になっており、ブルー・クラブ釣りが出来ます。時期は確か7月の独立記念日前。釣りといってもブルー・クラブ釣り用に近くのスーパーや肉やで売っている“チキンネック”を凧糸でしばり湿地帯の池に放り投げると、すぐにブルー・クラブがはさみ、それをたぐり寄せ網ですくい上げるといった具合です。そばのモーテルに一泊数十ドルで泊まり、釣ったばかりのブルー・クラブを庭にあるバーベキュー道具で沸かしたお湯ですぐに茹でて、ビールとともに楽しむのは最高です。

 ワシントンで大きな本屋と言えば、18th & L St.の角にあるBORDERS BOOKS AND MUSIC(www.bordersstores.com/stores/50/)や、ジョージタウンM St.など3カ所にあるBarnes & Noble(www.barnesandnoble.com/)ですが、気の利いた本屋となると、デュポン・サークルのちょっと北にあるKRAMERBOOKS & Afterwards Cafe(kramers.com/)と、ジョージタウンの同じくM St.にあるBRIDGE STREET BOOKSでしょう。

 KRAMERは人文・文学中心の書棚構成がなかなかよくて、しかも、名前の通り、店の奥半分がバー&カフェ・レストランになっていて、カウンターでコーヒーを頼んで今買った本をパラパラめくっていると、ちょっと文化人の気分です。平日は朝7時半から夜中の1時まで、金土は24時間、開いているというのも珍しい。BRIDGEのほうは、見過ごしてしまうほど間口の小さな店ですが、中は意外に広く、国際関係、政治、ネット文化などを中心に店主のセンスが伝わってくる品揃えが嬉しい。店主が本を包みながら「アメリカと中国は大丈夫か?」と言うので、「どちらも戦争をやりたい訳じゃないから、心配ない。数日中に米乗組員も釈放されるだろう。だけど中国はスパイ機はいい獲物だから、なかなか返さないだろうけどね」と答えたのでした。

 地図屋は、前にデュポン・サークルから南に下ったところにあった最大手地図出版社Rand McNally(www.randmcnally.com/)の店が郊外のタイソンズ・コーナーという巨大ショッピングモールに引っ越してしまって、市内にあるのは16th & Eye St.あたりのADC Map & Travel Center(www.adcmap.com/)だけになりました。

 今度行ったレストランでは、ホワイトハウス近くの老舗OLD EBBITT GRILL(www.ebbitt.com/)がよかった。1856年オープン以来変わっていないという大理石のバー・カウンターや入口の大時計が醸し出すクラシックな雰囲気は、テオドール・ルーズベルトはじめ歴代大統領や議員、将軍、ジャーナリストたちがこよなく愛して通い詰めたのだそうです。その割に、シーフードのメインディッシュが13〜14ドルというリーゾナブルなお値段で、そのせいか、家族連れや観光客でごった返していて、8時に予約して行ったのに30分近くも待たされる大にぎわいでした。もう1軒は、水島敏夫=読売新聞アメリカ総局長に連れて行って貰った中華街の「青葉飯店」。近海物の新鮮なシーフードをコクのある味付けで仕上げたメニューはどれもお勧めです。

 なおNo.10本欄で触れたAstrobiologyについては、NASAのサイト(astrobiology.arc.nasa.gov/)および全米宇宙協会のサイト(www.astrobiology.com/)が参考になります。▲

2001年4月15日

INSIDER No.11《HDRO REVOLUTION》(3)石油から水素へ・続々──マイエレキの世紀

 広瀬隆は「マイエレキの時代がやってきた」と書いている。「エジソンとウェスティングハウスによって本格的な発電所が建設されて以来、世界は過去100年間、ひたすら大型発電所による集中化を進め、それによって発電効率を高めようとしてきたが、21世紀から逆の時代を迎えることになる。それぞれ電気を使用する場所に小型・中型の発電機を設置し、最終的には家庭に1台ずつ発電機を持つ。マイカーと同じように、マイエレキの時代がやってきたのである。あちこちに発電機が置かれるので、これを分散型電源と呼んでいる」実際、自動車用の水素エンジンを軸とした燃料電池の開発競争が行き着く先は、1家に1台の発電機が置かれるマイエレキの時代であり、しかもそれは遠い将来の話ではなく、数年中に現実となり始める。そのことは、エネルギー供給の体系だけでなく、環境汚染への対処を含めた人類の自然との関わり方そのものを異次元に引き上げる、まさにパラダイム・シフトが起こりつつあることを意味している。

●無公害、そして無制限?

 第1に、燃料電池は基本的に水蒸気しか出さないので無公害である。自動車・工場・大型発電所による硫黄酸化物、窒素酸化物、二酸化炭素、浮遊粒子状物質などの排ガス公害を限りなくゼロに近づけていくことが出来る。また発電時に騒音も振動も出ないので、その面でも無公害である。

 第2に、エネルギー効率が極めて高く、ガソリンや天然ガスを主燃料にする最初の段階でもすでに十分に資源節約的であり、さらに今後、太陽・風力などの自然エネルギー利用、ゴミなどの廃棄物の活用、セルロースなど再生可能な資源の導入が進めば、有限な化石燃料に頼らずにエネルギーを供給する可能性を秘めている。

 最初の段階でもエネルギー効率が高くなる最大の要因は、排熱の利用可能性である。原子力発電や旧式の火力発電所では、投入するエネルギーのうち電力として活用されるのは33%で、残り67%は排熱として捨てられる。活用率は新型火力でも40%。たいていは遠隔地に立地される大型発電所、とりわけ人里離れた海岸に作られる原発では、排熱を活用する用途が周辺にないので、むざむざ温水として海に流されて生態系を壊すのに役立っているだけである。しかも平均5%と言われる送電によるエネルギー・ロスもあるので、さらに効率は落ちる。

 それに対して、電気化学反応を使って発電し排熱をも利用する燃料電池や、ガスタービンで発電し排熱をも利用するマイクロガスタービンなど、コジェネ方式の場合は、エネルギーの平均80%までが電力または熱源として使われ、捨てられる熱は20%にすぎない。大阪ガスが日産ディーゼル工業のガスエンジンを使って2000年6月に開発した210kwのコジェネ・システムでは、すでに87.5%の効率が達成されており、今後の技術進歩で効率はさらに向上するだろう。

 家庭用のエネルギーのうち照明、動力などに使われているのは35%で、残り65%は風呂、冷暖房用エアコン、床暖房など温熱として使われている。この後者のかなりの部分を、電力ではなく、発電の際の排熱による温水で賄うことで、80%以上という驚異的なエネルギー効率が実現する。ということは、同じ必要エネルギーを得るのに投入する燃料が40%で済み、従って、仮に化石燃料を使い続けたとしても、その枯渇までの年限は2.5倍に伸びるということである。

 ところが、水素を得るのに今は化石燃料を改質するのが最も手っ取り早いというだけのことであって、理屈の上ではどこからでも水素を得ることが出来る。米カリフォルニア州などでは、太陽光発電のエネルギーを用いて海水を淡水化し、それを電気分解することで水素を得る実用化実験が行われているし、日本でも東京工業大学が太陽熱を使って炭素からメタノールを合成して発電用燃料をつくる研究を進めている。あるいは、すでに汚水処理場などで試みられているように、生ゴミや家畜の糞尿、下水の汚泥などからメタンガスを回収する方法も有力で、鹿島はすでに99年に、生ゴミを粉砕して微生物を加えて分解し、取り出したメタンガスを改質して水素ガスを得、燃料電池で発電するシステムを開発し、1トンの生ゴミから580kwの電気を生み出せることを実証した。プラスチック廃棄物を石油に分解する技術が完成すれば、もちろんそれからも水素を取り出すことが出来るから、日本の場合で年間5000万トンの家庭ゴミと4億トンの産業廃棄物の山は、実は宝の山ということになる。

 さらには、再生可能なバイオマス(生物資源)を水素の源として活用しようという考えもある。本稿第2回で触れたように、GMは当面の水素源としてガソリンが最有力だという報告書を3月にまとめたが、その中で「我々の最終目標は再生可能なセルロースだ」と明言している。トウモロコシの芯や木屑や籾殻などの植物性廃棄物を活用するとか、生長の早い植物を栽培するとか、日本中で放置されている杉林を切って杉チップにするとかすれば、水素の源は事実無尽蔵なのである。

 そのようにして、水素を化石燃料から取り出さないようになれば、化石燃料は燃料としてではなく化学工業の原料としてだけ利用し、しかもプラスチックの完全リサイクル技術が確立すればほとんど新たに掘り出す必要がなくなるから、その資源量は半永久的に枯渇しないことになる。

 第3に、分散型の発電体系になることにより、破滅的な事故を起こす危険がある原発も、公害を撒き散らす大型火力発電所も、川の生態系を破壊する水力発電用のダムも、またそのような遠隔地から都会に電気を届けるための全国に張り巡らされた送電網も、すべてが過去の遺物となり、それらの建設・維持・廃絶のためのコストと危険負担、送電によるロスと電磁波障害、災害などによる停電のリスク、環境と景観の破壊から社会が解放される。

●電池も要らなくなる

 さらに面白いことに、デスクトップ型パソコンなどのオフィス用・家庭用のエレクトロニクス機器の電源や、ノートパソコン、ウォークマン、携帯電話など携帯用機器の電池も、超小型の水素発電機に置き換わることになる。エレクトロニクス機器は、コンセントから交流電気を取り入れて直流に変換しているが、燃料電池が生み出す直流をそのまま使う方が効率が高く、信頼性もある。家庭やオフィスに発電機が備えられるようになれば、そこから直流電気を取ってもいいのだが、それよりも無停電の小型燃料電池を初めから内蔵している形になるだろう。

 携帯用機器の電池では、93年にソニーが開発した充電式のリチウムイオン電池が全盛で、これは使い捨てでなく環境負荷は小さいが、まだ重く高価で、いずれ超小型の燃料電池に置き換えられる。使い捨て電池の用途は、時計、懐中電灯、ガスレンジなどの点火装置、カメラ、おもちゃなどまだたくさんあって、そのリサイクルがなかなか進まないことが問題となっているが、これも燃料電池になれば自ずと解決する。

 この分野では、ビル・ゲイツも投資している米ワシントン州のアヴィスタ社、モトローラと米国立ロス・アラモス研究所のグループ、日本では松下電器などが最先端を走っている。モトローラが試作した携帯用燃料電池は、従来の充電型電池に比べて10倍も小型で、しかも燃料のメタノールを万年筆用のインク・カートリッジのように差し替え式で供給するもので、1回の差し替えで携帯電話なら1ヶ月、パソコンなら20時間以上、連続作動する。

 燃料電池は、自動車以外の交通機関でも応用が進むだろう。とりわけ有望なのは船舶で、カナダのバラード社はすでに潜水艦用のメタノール燃料の40kw発電機をはじめ各種の開発を進めている。原子力潜水艦は、長期間にわたって海に潜ったまま行動するために、少量の燃料で運転できる原子力発電を動力に用いるわけだが、これが燃料電池に置き換われば、電気だけでなく真水や温水も得られるし、騒音もない。さらに将来的には、海中微生物をバイオマスとして捕獲して水素を得て、その気ならいつまででも潜っていられるようなことになるだろう。また水上船であれば上述の太陽光や風力による発電と水素発電を組み合わせる方式で、海水から水素を得て船が動くことになる。また鉄道機関車に燃料電池を用いる研究も、すでに日本や米国で始まっている。

 こうして、人類の生活を支えるエネルギーをどうやって獲得するかについての20世紀までの常識は完全に覆りつつある。われわれはすでに「水素エネルギー社会」の入口に立っているのであり、そのことを遠慮がちな資源エネルギー庁「燃料電池実用化戦略研究会」の1月22日付の報告書でさえも宣言している。「おわりに──固体高分子型燃料電池:21世紀の水素エネルギー社会の扉を開く鍵」を別項で紹介する。▲

2001年4月12日

INSIDER No.10-3《MAIL TO THE EDITOR》「世界聖なる音楽祭・広島2001」最新情報

 今年6月1日から3日まで広島の宮島・厳島神社にて世界中の民族音楽、伝統音楽、現代のミュージシャンが200人以上参加して「世界聖なる音楽祭・広島2001」が開かれます。このフェスティバルは、ダライ・ラマ14世の「一切の政治、宗教を超えて21世紀を音楽で祝福し先導しよう」との提唱によって、これまでにロスアンジェルス、 バンクーバー、ケープタウン、インドのバンガロール等、世界各地で行われてきました。日本では、世界で活躍するエレクトリック・トランペッターの近藤等則が総合プロデュ ーサーとなり、運営の全てをボラ ンティアが行っています。自然と人の美の頂点である厳島神社の海の上で繰り広げられるこの音楽祭に是非ご参 加ください。

◆日時・場所

・6月1、2、3日(金、土、日)
・開催場所:広島県宮島町
・サブ・ステージ(宮島内数ヶ所)14:00-17:00
・メイン・ステージ(厳島神社・海上特設ステージ)18:00-21:00

*開催時間を若干変更することもあります。

◆出演ミュージシャン

【民族・伝統音楽】(約200名): チベット仏教音楽、マーレム・マフムード・ガニア(モロッコ)、スマラ・ラティ(インドネシア)、キム・ドクスーのグループ(韓 国)、エチオピアの音楽、ラジャスタンの音楽(インド)、バウルーの音楽(イン ド)、アボリジニーの音楽(オーストラリア)、舞楽、雅楽、声明(日本)、他【現代の音楽】: ビル・ラズウェル/マテリアル、ジャー・ウォーブルのラオス・バ ンド、近藤等則 & DJ. Sahib a.k.a. YAMA (Jazzbros)、アリス・コルトレーン・トリオ、System 7、ジ・オーブ、サンタナ(交渉中)、他【DJ】: カール・クレイグ、DJ Disk、ロバート・マイルズ、他*出演予定ミュージシャンは都合により変更されることがあります。

◆プログラム構成

当音楽祭では伝統音楽も現代の音楽のミュージシャンもいっしょになり、同じステー ジの上でセッションを繰り広げていきます。決まりきったプログラムではなく、「ミュージシャンと観客がいっしょになり、厳島 神の素晴らしい自然の中でコミュニケーションし合える」場にしていきす。全身で感じ、楽しんでください。

◆主催・後援

主催;世界聖なる音楽祭日本実行委員会(ボランティア・グループ)
後援:広島市、宮島町、広島市教育委員会、宮島町教育委員会、(社)宮島観光協会、(財)広島市文化財団、広島ユネスコ協会、宮島町ユネスコ協会、中国新聞社、広島エ フエム放送、チベットハウス/ダライ・ラマ法王普遍的責任財団、ダライ・ラマ法王 日本代表部事務所協力/厳島神社

◆お問い合わせ

世界聖なる音楽祭 日本実行委員会 「チケット発売」係
wfsm@wfsm-jp.org
http://www.wfsm-jp.org/

●広島事務局

〒730-005
広島市中区大手町2-4-3 タキムラビル4F
Tel:082-544-1711
Fax:082-544-1712

●東京事務局

〒107-0052
東京都港区赤坂7-2-21 草月会館9F
Tel: 03-5414-5063 / 03-5414-5064
Fax: 03-5414-5061

INSIDER No.10-2《MAIL TO THE EDITOR》文化の力

 沖縄は芸能の島ともいわれる。毎週新しい民謡が生まれる土地は、日本には他にない。ラジオではゴールデンタイム(月〜金)に琉球放送は一時間、ラジオ沖縄は早朝(月〜土)に1時間45分、昼間に10分間のベルト(毎日横に並ぶので、帯と称する)で民謡番組がある。三線(さんしん)、琉舞、空手は習い事のベスト3。エイサーは1万人規模のものもあり、いまや本土まで進出している。

 沖縄の文化の広がりは音楽・芸能ばかりではない。自然の素晴らしさとホスピタリティは誰もが賞賛する。万事あくせくしない生活様式は、沖縄文化の核心かもしれない。沖縄の文化(生活様式)とは、ややルーズでもろくて、他では成り立たないところがある。逆にそれが強さとなっているところもある。祖先崇拝の念の強さは、経済的に換算するとどうなるのだろうか。葬式、その後の会合、お墓にかけるお金は膨大だろう。ビジネスマン向けの手帳に年中行事(旧暦)が書かれている。なんと35もある。バリ島では300日お祭りだそうだが、沖縄は日本の中では群を抜いて多い。巨大な岩、こんもりとした林、海岸沿いの洞窟……そこに沖縄独特の板状の線香を見かけることがある。御嶽(うたき)だ。沖縄の人々の精神世界を支える場所だ。

 お墓参り、お祭り、御嶽めぐりなどは何の経済的利益を生み出す訳ではない。しかし文化の型を守ることは、精神的なやすらぎをもたらしてくれるだろう。御嶽はただの木や石のある場所に違いないが、人々から敬われることにより、伐採や破壊から免れている。生命を生み出す自然を守り、人間を再び躍動させる役目を果たしているのだ。

 沖縄に来て2年がたった。ここでは文化と経済の新しいつながりが模索出来るだろう、という直感が働く。企業が支援する「文化」活動はバブル崩壊と共に影が薄れた。行政が支援する「文化」活動は意外性に乏しく人気を博することは少ない。ここで文化に括弧をつけたのは、舞台で演じられる芝居、オペラ、クラシック音楽の類しか補助金支給の対象にしていないように見えるからだ。そうした「文化」は支援なしには成り立たない。ヨーロッパのように、政府が金銭的にバックアップして市民にそうした文化を提供するやり方に、私は反対ではない。

 しかし老人も若者も一緒に楽しめる居酒屋でのおしゃべり、余興の域を越した芸の披露、休日を利用した御嶽や城(ぐすく)巡りも立派な文化である。パラグライダーもサーフィンも、ホエールウォッチング、ゲートボール、エコツアー・・全て文化ならざるものはない。こうした文化は身体の緊張を解きほぐしてくれる。

 我々は産業社会のリズムから一度離れる必要があるのではなかろうか。これまでやってきたことを見直し、ちょっと気を抜き楽にすることで、全く別の世界が見えてくるかもしれない。沖縄をネットワークの一つの始点として、文化・経済の生の情報が飛び交う広場(フォーラム)を想定してみた。誰でも入ってきて小グループの集まりに参加することも出来るし、出てゆくのも自由。沖縄のガジュマルの木のように、ひげが生えて地上に垂れそれが根となって元の木はどんどん広がってゆく。そんなネットワークにしたい。

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文化経済フォーラム設立のお知らせ

 文化と経済は密接なつながりを持っています。かつては経済で得た利益は全て文化に費やされていた時代もありました。この数十年経済オンリーで突っ走った日本は、ゆとりと生きがいをなくし惨憺たる様相を呈しています。文化的な「束縛」や文化創造に欠けていた面が、このような状況を生み出してしまったのかもしれません。

 文化と経済が接合した、こころゆたかに暮らせる社会をめざしたいものです。

 文化経済フォーラム設立のヒントになったのが文化経済学会<日本>です。1996年福岡大会で行われた記念講演「文化と政策」において劇作家の山崎正和氏は次のように述べています。「文化というのは人が生きるにあたって、なりふり構うこと」「文化というのは相手に対する尊敬とそれを形に表すことが基本」そして「なりふり構わない人間は常に数値を追っかけています」(文化経済学第一巻第一号—1998年5月)

 文化経済学はケインズと同時代のJ・ラスキン(1818〜1900)が唱えました。彼は価値という言葉を欲望の充足ではなく、「知識や情熱や意志や体力や気力を持った全人格的存在=全人としてみた人間の発達に貢献する財」という意味で使いました。彼はまた金銭的な「リッチ」と「ゆたかさ」=自然の美のなかに人間の生命力が発現し躍動している状態、とを区別しました。沖縄はリッチではありませんが、ゆたかさにおいては世界有数の土地だと思います。経済的な指標は芳しくありませんが、それを上回る心のゆたかさがあります。文化経済学の実践・研究にふさわしい場所といえるでしょう。

 文化経済学会は国際的な学術団体で各国に支部があります。私達の文化経済フォーラムは文化経済学会と協力関係を築きつつ、独自の展開を図りたいと思います。学会の探究心と趣味の会の気楽さとを併せ持つ会にしたいと願っています。

 文化経済フォーラムは「文化」「経済」に関わる方、心のゆたかな方、ゆたかになりたい方なら誰でも入会できます。是非ご入会ください。年に1〜2回のイベント(4月7〜8日は宮古島で実施)と、テーマごとのアゴラ(ギリシャ語で広場)を年に10回くらい開く予定です。沖縄以外の会員のために東京でのアゴラ開催も検討中です。ニュースレターは年に4回予定(メールかファックス、郵送は有料)、会費は年2000円、法人は1万円(入金はついでの時でOK)。

 下記のことをお書きの上、お知らせ頂ければ幸いです。

氏名eメールアドレス自宅住所および電話・ファックス連絡先電話・ファックスニュースレターの発送方法(eメール、ファックス、郵送)

〒902-8521
沖縄県那覇市国場555沖縄大学人文学部 緒方研究室
098-832-2822(fax)かogata@okinawa-u.ac.jpまで

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文化経済フォーラム・企画案

 文化経済フォーラムは現在30人程度の会員ですが、範囲を当初から沖縄に限らず東京など他の地域、出来れば外国も含めて考えます。また最終的には200人程度までゆくと予測しています。その場合中央に司令塔があってなにかやることは致しません。

 がじゅまるのようにひげが伸び、そのひげが地上に垂れ、いつのまにか根となって元の木を支えてゆく。そんなイメージです。各会員が個性豊かにやっていただく交流の場をめざします。アイデアは地球大で発想し、実際の集まりは小規模でも良いと思っています。

 その集まりをアゴラ(あごら)と名づけます。ギリシャ語で広場の意味ですが、なんとなくウチナーグチ(沖縄方言)にも似ています。恐竜の名前のようなひょうきんさもあります。最低3人でアゴラ成立とします。地域ごとのまとまりでも良いし、同じような企画の広場でもOK。二人では○×で対立するかもしれないが、3人は別の要素が加わって仲良くまとまる最低単位ではないでしょうか。3人寄れば文殊の知恵。キリスト教やイスラムは白黒はっきりさせるが、佛教には中間がある、と聞きました。3人だと、じゃんけんのように、こちらには勝つがあちらには負けるという絶妙な仕掛けもあります。

 アゴラ毎に色々なテーマがあがっています。とりあえず出来そうなものを列挙します。

☆シルクロード・あごら……シルクロードの映像を見ながら(5回くらいのシリーズ)

シーサーの道(沖縄映像?による「シーサーロード」)・・講師:玉城
エジプトのスフィンクスから沖縄のシーサーまで

シルクロードを駆ける馬(NHK制作「天馬と生きる」)・・講師:緒方
アレキサンダー大王の愛馬は、三国志の馬だった

その他に麺ロード、佛教伝来の道、海のシルクロード、等のテーマを予定。

☆がじゅまる・あごら……山門教授による花と木シリーズ

「家主」を絞め殺すがじゅまる、ひまわりでの地域おこし、モノレールの柱を熱帯の花々で飾ろうなど

☆UFO・あごら・・UFO研究グループ

UFOの名所はどこだ?—地球にやってきても雲に化けている時もあるから要注意

精神世界ブームと沖縄ホーリースポットめぐりなど

☆文化経済ベンチャー・あごら……吉川教授による「文化をものづくりへ」実践篇

廃屋を文化の最先端ルームへ
世界一の塩からできるもの
文化経済的視点から見たまちゃぐゎーなど。
(なお蝶の話は日本鱗翅学会会員なのでプロ)

その他に会でゲストとしてお招きし、あごらとして独立しそうなものとして、

☆黒潮あごら……気象に詳しいグループ—黒潮文化圏の文化経済的考察

☆琉球音楽あごら……照屋林賢—音楽がひっぱる経済

INSIDER No.10-1《FROM THE EDITOR》

●ワシントンでお花見

 ワシントンは桜が満開。ここ一両日の真夏のような陽気で溢れるように散り始めた花を楽しむ人々でにぎわうポトマック河畔ですが、日本のようにゴザを広げて宴会をしている人を見かけないのは、平日の夕方のせいでしょうか。今回は特に目的もないワシントン滞在で、昨夜は、魚市場で、まだちょっと時期が早くて小振りですが、ソフトシェル・クラブという地で獲れる蟹を山ほど買って茹でて、テーブルに新聞紙を広げて食い散らかすという、ワシントン方式の「蟹パーティ」を楽しみました。今日は久方ぶりにスミソニアン博物館やナショナル・ジオグラフィック・ソサエティなどを巡回する予定です。

 ワシントン直行の全日空便のエコノミー席に乗ったら、何と、松井孝典=東大教授が隣の席。満席という訳でもない飛行機の中でこんな偶然というのがあるんだねえとお互いに大いに驚きつつ、飲んでしゃべって眠るというサイクルを3〜4回繰り返しているうちに12時間の空の旅も苦痛なく終わりました。彼は、NASA主催によるアストロ・バイオロジー(宇宙生物学)の国際会議に招かれてワシントンとフィラデルフィアに1週間滞在するとのこと。私が「いまインターネット上の“インタビュー”専門雑誌の企画を考えている」ことを話すと、彼は「じゃあ私が宇宙人とのインタビューを担当しよう」と言い出して、大いに盛り上がったのでした。アストロ・バイオロジーは、昨年からNASAが力を入れだした分野で、宇宙・太陽系・地球それぞれにおける生命の誕生と絶滅を包括的に解明するために、米欧日の研究者による共同研究体制を築こくとしているのだそうで、人類の宇宙への夢をさらに大きく膨らませるプロジェクトになることでしょう。

●「週刊スケジュール」の配信開始

 これまでINSIDER紙版では、年始に「今年の主な日程」、夏に「今年後半の主な日程」をお届けしてまいりましたが、今月からはより毎月初めに「月間スケジュール」を、毎週月曜日に「週間スケジュール」を配信することにしました。この月間・週間スケジュールは、フリーのジャーナリストとして活躍中の松永他加志さんの事務所で作成しているのもので、週間スケジュールには、松永さんによる「今週のポイント」「日程スペシャルレポート」が随時、挿入されます。

 これは電子版・ファックス版の読者にのみ配信します。当面は、内容・形式などについて模索中ということもあり、無料でお届けしますが、一定期間の後は本誌とは別料金のサービスとし、改めて購読を申し込み頂いた方にのみ配信する予定ですので、あらかじめご了解下さい。

●アマノさんの「週刊蜃気楼」1周年

 パロディ作家のマッド・アマノさんが、森政権発足直後の昨年5月に立ち上げた「週刊蜃気楼」が間もなく1周年を迎えます。アマノさんから「森首相を嘲笑するWebサイト「週刊蜃気楼」が昨年5月に開設して以来、いよいよ1周年を迎えます。ヒット数も18万を越える勢いとなっています。そして、嘲笑の対象である森さんが退陣ということになりました。森さんが消えてもサイトは継続します。www.shinkiro.comを覗いてみてください」とお便りがあったので、1周年を祝しつつ、「森政権の危機は単にそれだけではなくて自民党政治そのものの危機」ということなのだから、自民党政治の蜃気楼性を告発するために、今後も頑張ってほしいとの趣旨のメッセージを送りました。▲

2001年4月 5日

INSIDER No.9-2《HYDRO REVOLUTION》(2)石油から水素へ・続──世界を二分する燃料電池車の開発

●実用化間近の燃料電池車

 今から160年ほど前に燃料電池の原理を発見したのは、英国の28歳の青年ウィリアム・グローブだった。後に英国王立研究所の副会長になる彼は、水を電気分解して一方の極に筒をかぶせて水素を回収し、他方には酸素を回収する実験を行っている最中に、電極にガスが吸収されて電流が発生することを発見し、これを「ガス電池」と名付けて特許を取った。しかし当時は石炭と蒸気機関の時代で、それがやがて石油とガソリンエンジンの時代に移り変わって行く中で、この世界最初の人工的な電気化学反応による発電原理に目を向ける者はいなかった。1889年になってドイツの化学者ルートヴィッヒ・モンドが、その原理に基づいて石炭ガスを使った発電を試みて、その装置をフュエル・セルと名付けたが、失敗に終わり、その実用化は、1959年、英国のフランシス・ベーコンらによる5kwの燃料電池の完成まで待たなければならなかった。

 ところで、広瀬によると、フュエル・セルを日本で「燃料電池」と訳しているのは、完全な誤訳である。「燃やしもしなければ、電気もためずに、燃料電池とは、これいかに」であって、実際にはフュエル・セルは、「爆発しやすい水素」を燃やすわけでもないし、それで生まれる電気を「公害の塊である電池」に貯め込むものでもなくて、「水素と空気(酸素)を入れると電気が流れ、同時に熱を出しながら水が出来るような発電機」である。確かに、セルは「電池」の意味でも用いられるが、物理化学では「電気分解装置」のことで、「燃料=エネルギーを得るための電解槽」というのが逐語訳。多少意訳して「電解発電機」か「水素発電機」だろう。

 仕組みのポイントは、物質を電気的にプラスとマイナスに分離する性質を持つ「電解質」で、それに何を用いるかによって、高分子膜(PEM)型、アルカリ型、リン酸型、セラミック型、溶融炭酸塩型がある。ベーコンらが最初に実用化し、間もなく米宇宙開発で活用された燃料電池はアルカリ型で、水酸化カリウムを使った。が、今日の世界的ブームのきっかけを作ったカナダのバラード社の方式は高分子膜型で、それはおよそ次のような構造になっている。

 真ん中に導電性のある固体の高分子で出来た薄い膜があり、陽極と陰極を隔てている。両極は内部が隙間だらけの多孔質の物質で出来ていてガスを通す。膜に接する面には触媒の作用をする白金が薄く塗ってある。陰極の側に水素ガスを送り込むと、電解質膜と触媒の作用で陽子と電子が分離して、陽子はプラスの陽子イオンとして膜を通り抜け、陽極に向かう。残されたマイナスの電子は両極の間をつなぐ電線を走って陽極に向かうので、電線に電流が生まれ、それを家庭の電源や自動車の動力として利用する。電子がエネルギーを使った後、陽極に入ると、プラスの陽子が待ちかまえていて再び結合しようとするが、そこへ空気を送り込むと、空気に約20%含まれている酸素が電線から出てきた電子を横取りしてマイナスの酸素イオンになり、それが水素の陽子と結びつくことで水になる。ガスが水になる時に電子のエネルギーが熱として放出される。そのようにして、水素と空気を入れると電気と熱と水が生まれるという奇妙な発電機が作動するのである。

 バラードは、79年にたった3人で設立された研究ベンチャーで、当初はリチウム電池の開発に携わっていたが、83年からカナダ国防省の委託で高分子膜型の燃料電池の開発に進出し、その技術は90年前後までにほぼ完成に至っていた。それにダイムラー・ベンツが着目して、93年に自動車用燃料電池で開発協力する4年契約を結ぶとともに、ダイムラーがバラードの株を25%取得、その年の内に早くも20人乗りのバスの路上実験に成功して、バラードはナスダックに上場を果たした。95年には、ガソリン・エンジンと同等の性能でありながら、エネルギー効率を54%まで高めた30kw級の燃料電池を開発し、それを見て世界はこれが単なる夢の未来技術でないことを知って色めき立ったのである。ガソリン・エンジンのエネルギー効率はわずか15%、ディーゼルでも24%にすぎない。それ以降、同社が達成しためざましい技術的進歩と、次々に台頭してくるそのライバルたちとの激しい開発競争のいちいちについては、広瀬の大著を読んで頂くほかないが、ごく最近の同社の動向や製品についてはhttp://www.ballard.com/を参照するようお勧めする。燃料電池の原理を中学生でも分かるように解説したアニメも見ることが出来る。またダイムラー・クライスラーのこれに関する膨大な情報はhttp://www.daimlerchrysler.com/index_e.htmで「fuel cell」を検索すると参照できる。

 バラードの先駆者としての地位を決定的にしたのは、99年4月の「カリフォルニア燃料電池パートナーシップ」の結成である。これは、カリフォルニア州政府が打ち出した「2003年以降、同州で車を販売しようとする者は10台のうち1台は完全無公害車を販売しなければならない」という、いわゆる“2003年規制”を実現するため、同政府がバラード、ダイムラー・クライスラーのほか大手石油会社3社に呼びかけて作った研究共同体で、後からフォルクスワーゲン、ホンダ、トヨタなども参加した。当初は、バッテリー充電式の電動自動車が本命と考えられていて、それをイメージして「完全無公害車」のシェア10%義務づけが定められたのだが、電動自動車は車そのものは完全無公害でも、その充電に必要な電気は既存の発電所で作られるので、それを含めた全過程では無公害とは言えないという議論になり、燃料電池車を中心に「ほとんど無公害に近い車」10%を目指すことになったのである。

 ダイムラーはすでに、バラードの技術を使ってメタノールから水素を得る方式で走る燃料電池車を2004年から量産する体制に入ると公表しており、この陣営には米フォードや日本の三菱自動車やマツダも加わっている。ホンダと日産もバラードの燃料電池を使っているので大枠としてこの陣営だろう。それに対して米GMとトヨタは、ガソリンもしくはそれ
とよく似た性質を持つクリーン炭化水素燃料(天然ガスを液化する過程で不純物や有毒物質を取り除いた合成燃料)を使う方式による燃料電池車を2003年から市販すると発表している。GM・トヨタ両社とも、電動自動車、ガソリン・エンジンと電池を併用するハイブリッド車、メタノールやナフサや天然ガスなど他の燃料を使った燃料電池車を開発してきた
が、今年に入って結局ガソリンに絞り込んだ最大の理由は、全世界に散らばる既存のガソリン・スタンドをそのまま燃料電池車の燃料補給ステーションとして使えるので、最も普及が速く事実上の世界標準になる可能性が高いからである。

 GMは3月21日に米エクソン・モービルなどと行った共同研究の結果を発表し、燃料電池車の燃料は、最終の目標は再生可能なセルロース(植物繊維)であるけれども、当面の間はガソリンが最も効率的で環境負荷が小さいと結論づけた。ダイムラーが推進するメタノールは、単体の車だけを比べればより高い燃費性能を示すが、地下から採掘されてから、生産・精製・製造・輸送・貯蔵を経て車の燃料タンクに届くまで(well-to-tank)のコストと環境負荷を勘案すれば、ガソリンのほうが優れているとしている。この報告についてのプレス・リリースはGMホームページのニュース欄の中のプレス・リリース3月21日付http://www.gm.com/cgi-bin/pr_index.plで読むことが出来る。またトヨタとGMの提携につい
ては、トヨタのホームページのニュース欄http://www.toyota.co.jp/News/の1月9日付に詳しい。

●住宅用発電機の可能性

 こうして、ダイムラー・グループとトヨタ・GM連合が世界を二分して激しく競い合うことで、燃料電池車の実用化が目前に迫りつつあるが、その中で燃料電池の高性能化と低コスト化をめざす部品や素材の開発戦争もめざましい勢いで展開されており、そのことが、数万円で購入できる住宅用の超小型発電機の普及可能性を手前に引き寄せている。燃料電池車は欧米主導で、かろうじてトヨタやホンダがそれに互して頑張っているという図式だが、小型冷蔵庫ほどの大きさのコンパクトで安価な発電機を量産するといった家電感覚の事業となると日本が強い。実際、この分野で世界をリードしつつあるのは、東京ガス=松下電器、大阪ガス=三洋電機、東邦ガス=松下電工の3大ガス・家電連合である。家庭用の燃料電池の燃料は、当分の間、天然ガス(とプロパン、灯油のミックスか?)が中心になると考えられているから、都市にくまなくガス供給パイプ網を持つガス会社にとっては電力会社との力関係を転覆する絶好のチャンスである。家電各社は、中型・小型発電機そのものの需要はもちろんのこと、それをコジェネ・システムとして活用することで、例えば風呂や台所の給湯器が不要になって直接温水を供給することになるとか、冷暖房エアコンや除湿器や床暖房やふとん乾燥器なども電気を使わずに温排水を活用することになるとか、家庭用エネルギーの半分以上を占める熱利用の部分に一大変革が起きて、とてつもなく大きな新市場が生まれることに期待をかけている。

 米国でももちろん住宅用の開発が進んでいる。バラードは早くも96年に、数kwの住宅用や数百kwの事業所用の燃料電池の開発をめざして日本の荏原製作所と合弁で子会社を設立し、これにNTTと東京ガスが参加して実用化実験に取り組んでいる。荏原が目指しているのは、下水の汚泥から発生するガスを燃料にして発電するシステムで、すでに苫小牧市の下水場でその実験に着手している。バラードの後を追う米オレゴン州の新興ノースウェスト・パワー・システムズ社は、最初から住宅用に着目し、99年には5kwの出力でエネルギー効率が95%という画期的な家庭用燃料電池を公開し、翌年にはその製品化のために新潟県の石油ストーブのトップ・メーカーであるコロナと技術提携した。コロナが考えていることの1つは、発電機が生む大量の湯を豪雪地帯の屋根や道路の融雪に活用するコジェネである。こうして、米国企業も家庭用の製品化となると、日本に助力を求めてくるのである。

 ただし、住宅用を思い切って普及させようとする行政や事業家の意欲となると、すでに原発に事実上見切りをつけてしまった米国と、未だに原発推進の建前を崩すことが出来ない日本とでは天と地の違いがある。上述のカリフォルニア州政府による「カリフォルニア燃料電池パートナーシップ」の組織化はその代表例といえる。またテキサス州の石油王ハント一族は99年に、同州シェイリーランドに開発する居住人口3万5000人の新しい住宅地開発に当たって、すべての住宅に燃料電池を設置するという構想を発表して話題を呼んだ。テキサス州政府は公聴会まで開いて慎重に検討した末、これを認可し、さらに州議会で「電力産業再編成法」を通過させて、「個人住宅はじめショッピングセンター、病院、オフィスビルなど消費者が電力を使用する場所で発電する分散型発電(具体的には燃料電池はじめマイクロガスタービン、太陽、風力など)を奨励する」との大方針を打ち出した。これによって全米最大の電力を消費するテキサスの州民は、停電から解放され、電気代を節約できる上に余剰電力が出た場合は従来の送電線に接続して売電することが出来、大気汚染を軽減させることが出来る。この法案に署名したのがブッシュ・ジュニア州知事、今の大統領である。

 余談ながら、このことから推測すると、ブッシュ政権のエネルギー戦略の柱の1つは、燃料電池の技術をテコにして「石油から水素へ」の時代転換の主導権を確保することである。先頃、同政権が地球温暖化京都会議の二酸化炭素削減のための議定書から離脱することを公言して世界中から非難を浴びていて、それは確かに国際政治の常識とかけ離れた粗
暴な態度であるには違いないが、反面、地球温暖化会議が、20世紀と同様、今後とも人類が石油を直接燃やすエネルギー生活を続けるかの前提に立って、しかも地球温暖化の最大の原因が二酸化炭素であるかに断定して、その排出量削減に焦点を絞ろうとする路線をとっていることが、本当に正しいのかという疑問があることも確かである。

 広瀬は、温暖化の主因が二酸化炭素であるというのはフィクションであり、それよりも原発がエネルギーの33%しか電気として利用できずに残りをすべて排熱として海に流し、海水の温度を上昇させ、近海の生態系を破壊していることのほうが余程問題だと指摘、温暖化会議は「原発は二酸化炭素を出さないクリーンな発電」という宣伝に利用されていると批判している。ここはいろいろ議論が出るところだろうが、少なくともブッシュは、州知事時代から燃料電池を中心とした無公害の分散型発電の時代がもう目の前に来ていることを熟知していて、地球温暖化会議の路線は見当違いで時代遅れだと考えているだろうことはまず間違いない。

 日本の政府・自治体がこうした変化のスピードに付いていけずに、相変わらず原発中心の10電力集権体制が永遠であるかの幻覚に溺れて戦略的な対応を怠っていれば、せっかくの日本企業の優れた技術も巨大な国内需要も、おいしいところはみな米欧に囲い込まれ食い荒らされることにもなりかねない。[次号に続く]▲

INSIDER No.9-1《HYDRO REVOLUTION》(1)石油から水素へ──電力会社の危機の本質

 3月30日付の日本経済新聞近畿版に「関西電力が、ガスを売る。驚きですか」という関西電力の全面広告が出た。「電力会社が、電気に加えてガスを売る。これには理由があります。お客さまにご希望のエネルギーシステムをお届けするためです。……4月2日『関電ガス&コジェネ株式会社』を設立、ガスの販売をはじめコジェネシステムのサービスを提供します」というこの広告の意味を理解できたのは、専門家や業界関係者を別にすれば、広瀬隆『燃料電池が世界を変える』(NHK出版、2001年2月刊)を、この著者独特のリテラシーの難渋さに耐えて最後まで読み通した熱心な読者だけだろう。

 一言をもってすれば、この広告は、石油から水素への人類のエネルギー源の転換という驚天動地の事態が進行するに伴って、10年後ではないかもしれないが、15年か20年後にはたぶん確実に、関電を含めた電力10社体制そのものが廃絶されるに違いないという見通しが強まっている中で、せめて最後は天然ガスの輸入・供給会社として生き残るしかないかという、同社の悲壮な覚悟の一端を示したものと読むべきである。

●電力自由化の衝撃

 新聞は、いま電力会社が直面している問題を、主として、昨年3月に実施された「電力自由化」によって、大口需用者向けの電力小売りに三菱商事系のダイヤモンドパワーはじめ異業種からの新規参入が始まり、電力の需要そのものが低迷していることとも相俟って、電力会社が需要見通しの改訂と経営体質の改善を迫られているといった事柄として解説している。確かに大口自由化はそれだけでも、これまで国家的独占の上にあぐらをかいてきた電力会社にとって、かなりの衝撃には違いない。しかし、電力側の予測では、新規参入者のシェアは2001年度で5億5000万kw、約90億円、電力総需要の0.07%にすぎないし、2010年時点でも34億kw、0.35%であって、それで電力各社の経営がおかしくなるような話ではない。電力各社が3月末に発表したように、10社合わせて火力を中心に計14の発電所、488万kw分の建設を延期するという程度の対応で済むことである。

 新規参入者は確かに脅威ではあるけれども、例えば3月に行われた福岡県庁ビルの電力入札で九州電力が、自由化以前の料金よりも14%以上も値引きをすることで新規参入者を退けた事例が示すように、価格競争で生き残りを策していくことも可能だろう。日本の電力総需要の30%は家庭用、45%はビル・商店用、25%は産業・大工場用だが、1kw時の平均的電気料金はそれぞれ25円、20円、12円である。ビル・商店用の半分弱が大型オフィス・商業ビルで、それと産業・大工場用を合わせたものが大口だとすると、収益的には家庭用および小商店用が7割、大型ビルおよび大工場の大口が3割。日本の家庭や小商店が世界で一番高い電気代を黙って払い続ける無知と従順さを失わなければ、電力会社としては、そちらでボロ儲けしながら、大口向けでさらに価格を下げて新規参入者の頭を抑えつけることが出来るかもしれない。しかも、新規参入者は今のところ、鉄鋼・化学などの大工場が持つ自家発電設備の余剰電力を買って、特定の企業やビルなどに入札を通じて転売しているにすぎず、供給能力には限界がある。今後は彼らも、自前の発電所を建設したり、既存のものを買い取ったりして供給能力を高めるだろうが、しょせんはゲリラ的隙間産業にとどまるだろう……。

 このようなストーリーは、今後とも(1)人類の主なエネルギー源は石油・天然ガスと原子力であり、従って(2)日本の生活と産業を支える主な電力供給源は電力各社が保有する出力100万kwなどという巨大火力・原子力発電所であり、従って(3)それら電力会社の地域独占と広域送電網による集権体制は変わることがない──という前提で成り立っているものである。しかし、もし広瀬が指摘するように、(1)人類の主なエネルギー源は水素に移行しようとしており、従って(2)そう遠くない将来にすべての工場やビルや家庭が自前の中型もしくは小型の発電機を備えて、自ら必要とする限りの電力と熱を効率よく自給することになり、従って(3)現在の原発はじめ巨大発電所も広域送電網も無用の長物になる──ということであるとすれば、簡単に言って、電力10社体制そのものが要らなくなってしまうのであって、「電力自由化で大変」とかいうレベルのことではない。

 水素に酸素を反応させて電気と熱水を取り出す「燃料電池」は、1960年代から米国の宇宙船用の電源として実用化されていたが、それを思い切って小型化・低コスト化して自動車のガソリン・エンジンに代わる動力として利用しようという発想が生まれたのは1990年代初めのことで、93年にカナダの燃料電池研究ベンチャー「バラード・パワー」とドイツのダイムラー・ベンツが開発契約を結んだのが、日米欧を巻き込む技術開発競争の号砲となった。昨年のシドニー五輪のマラソンでは、排気ガスが一切出ないGM製の燃料電池カーが先導車として登場し、注目を集めたが、これはまだ試作車の域を出ず、トヨタ・GM連合やダイムラー・フォード・三菱自動車連合の実用車が市場に出回り始めるのは2003年から2004年にかけてである。車に積めるような小型で安価な発電機が出来るなら、それを各家庭に一家に一台設置して、必要なだけの電気を起こせばいいではないかという連想が生まれるのは当然で、こちらのほうも遅くとも2005年には商品として売り出される見通しである。

 この家庭用の燃料電池の特徴は、詳しくは後述するが、(1)窒素酸化物(NOx)や硫黄酸化物(SOX)のような有害物質が一切出ない究極のクリーン・エネルギーであること、(2)電気だけでなく排熱を給油や冷暖房にフル活用することによって、エネルギー効率が(今の技術でも)80%かそれ以上になること、(3)何層でも積み重ねることによって、住宅1戸でもマンションやビル1棟でも、必要なだけの出力を得ることが出来る──ことである。

 この電気と排熱の両方を活用するのがコジェネレーション(コジェネ)だが、これは燃料電池とは別の、天然ガスを燃料としたマイクロガスタービン発電機で都市の一角やビルのエネルギーを賄うシステムとして、欧米では急速に、日本でも徐々に、普及しつつある。従来の原発や旧式火力では、エネルギーの33%しか利用できず、残りは排熱として捨てられている。遠隔地の人里離れたところに立地した巨大発電所では、排熱の利用は難しく、地域やビルや家庭に小規模分散的に発電機を置くことによって初めてコジェネが可能になる。そのマイクロガスタービンによる地域発電や工場・ビル発電を東京ガス、大阪ガスがトヨタはじめ内外のメーカーと手を組んで盛んに進めており、さらに間もなく燃料電池による分散型発電が家庭を含めて広く普及するようになった場合も、当分のあいだ燃料には天然ガスを使うことになる公算が大きいため、電力会社が焦りまくっているというのが、冒頭の関電の広告が黙示していることである。

 ダイヤモンドパワーなどによる電力転売くらいならまだ耐えられるが、天然ガスの燃料電池が各ビルや家庭に普及することになると、これはエネルギー供給の原理とシステムの異次元への転換であって、電力会社の存立に関わることである。だから、電力会社も「コジェネ」に手を出さざるを得ないのだが、それを認めることは既に今の巨大発電所と広域送電網のシステムそれ自体の自己否定であり、地獄への第一歩となるだろう。

 昨年の電力自由化の直後、日経新聞の中島彰編集委員は「家庭発電所に異を唱える企業があるとすれば、それは顧客を失いかねない電力会社だろう。しかし、彼らには発想の転換を求めたい。都市ガス会社からガス管を借りさえすれば、彼らも家庭発電所をにらんだ新ビジネスを営む道が開けるはずだ」と、電力界にアドバイスを発した。大量の天然ガスの長期輸入契約を抱える電力各社が、ガス会社の下請けのようになってガスだけを売っている姿など、2〜3年前には誰も想像することさえ出来なかったはずである。[続く]

2001年4月 1日

INSIDER No.8-2《KEYWORD》北東アジア「共同の家」

 3月22日に開かれた衆議院憲法調査会で意見陳述に立った姜尚中(かんさんじゅん)東京大学社会情報研究所教授は、日本が米国との関係を基軸としつつも、北東アジアの近隣諸国とパートナーシップを強めて「共同の家(コモンハウス)」を形作るべく努力すべきだと提唱した。

 北東アジアに経済と安全保障の両輪を持つ「共同体」をつくることを日本の中心的な21世紀戦略とすべきだということは、かねて本誌も主張し続けてきたことで、大いに共鳴する。以下に「衆議院憲法調査会ニュースVol.11」より姜氏の陳述要旨を転載する。

◎姜尚中参考人の意見陳述の要旨

 自分は、日本国籍を持たないが、“made in Japan”であることを誇りとしている。

 国民にプラスを配分する政治から国民にマイナスを強いる政治への転換が求められる中で、21世紀に向けた日本のビジョンを明らかにする必要がある。

1.20世紀の北東アジアはどんな時代だったか

 20世紀において、日本は、戦前は英国と、戦後は米国と緊密な関係を維持することで繁栄を享受してきたが、親しい「隣人」を持つことができないという負の遺産をも負うことになった。このような時代は、後世において、「北東アジアはパックス・ジャポニカの時代であった」と評されることになるだろう。・親しい「隣人」を持つことができなかった結果、戦後の日本は、米国との連関を強く求めるようになったが、その関係が将来において盤石なものであるかどうかは不透明である。

 今後、日本が豊かさを享受し続けるためには、日米関係を基軸としつつ、近隣諸国とのパートナーシップ(「共同の家/common house 」)を確立していく必要がある。

2.グローカリズム・リージョナリズム・ナショナリズム

 日本の社会は、戦前戦後を通じて、公としての国家が官僚機構を通じてプラスを配分することで国民をコントロールするというシステムにより成り立っていたが、プラスの配分が不可能となった今日、国家の役割・存在意義が問われている。

 国家がプラスを配分できなくなったことで、地方分権、ネットワーク化等国家に頼らない制度が構築されつつある。国家の集権的な力は低下するが、他方で、危機管理に係るネットワークを設定する等の役割が重要になってくる。

 グローバル化が進展し、国家の役割が相対化すると、必然的に国家とは何か、国民とは何かという問題に直面することになるが、その際、いたずらにナショナリズムを焚き付けることなく、むしろ、ナショナリズムをできるだけ抑える形のシステム、すなわち、「共同の家」を築くべきである。

3.北東アジアにおける「共同の家」に向けて

 経済分野においては、(1)円の国際化、(2)輸入大国化、(3)ヒトの国境を越えた移動に関する共同管理システムの構築、(4)国境を越えた通信、情報及び運輸システムの整備等が求められる。

 外交及び安全保障の分野においては、(1)日朝交渉をミサイル問題及び拉致疑惑問題の解決と同時並行的に進める、(2)2(北朝鮮・韓国)+2 (米国・中国)+2 (日本・ロシア)の枠組みを築く、(3)朝鮮半島を永世中立地帯とするという具体的な行動を通じて、朝鮮半島を中心とした関係諸国とのパートナーシップを強化することにより、日米関係を対等なものとしつつ、多極的な安全保障体制を築くべきである。

 社会及び文化の分野においては、(1)国際交流の促進、(2)不毛なナショナリズムの消耗戦に陥らないための歴史教育の共有、(3)イベントの共同開催等を積極的に行っていくべきである。

4.日本の課題

 21世紀における日本の課題としては、(1)米中覇権競争に対する基本的スタンスを確定すること、(2)日米関係を基軸としつつ、多極的な安全保障体制を確立すること、(3)南北朝鮮の共存・統一に対し積極的な働きかけをすること、(4)円の国際化を推進するために国内改革を断行すること、(5)輸入大国化を実現するために構造改革を断行すること、(6)日本国籍の有無に左右されない多民族・多文化共生社会の実現を図ること等が挙げられる。▲

INSIDER No.8-1《FROM THE EDITOR》

●「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」がけっこう楽しかった!

 31日のオープンを控えた大阪「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)」のプレビューに行きました。「どうせ子供だましなんだろうけど、まあ一応話題だから、一度は行ってみなくては」とやや斜めの気分で、大阪読売の斎藤喬記者と一緒に行ったのですが、ところがこれがなかなか面白くてオジサン2人でマップを覗き込みながら「次はこれに行ってみようか」「よし、あの角を左に曲がったあたりだな」などと、時間を忘れてはまり込んでしまいました。

 思い返すと、「東京ディズニーランド」に最初に行ったときも同じようなパターンだったような気がして、結局、とりわけ中年以上の日本人はアメリカ映画に弱いのでしょう。そのへんを上手にくすぐるような電子的な仕掛けは、ディズニーよりUSJのほうが一段と進化しているようで、これでもかというほど押し寄せてくる感じですが、そうと分かっていてあまりに簡単に引っかかる自分には苦笑してしまいます。

 入ると、まずはショップやレストランが軒を接する、「古き良きアメリカ」の気分を残したダウンタウンで、スヌーピーのぬいぐるみやマリリン・モンローのそっくりさんが歩き回って記念撮影に応じています。作りは細部に至るまで丁寧で、デッキにヨットを繋いだレストランでビールを飲んでいると(あ、そうそう、ディズニーと違ってアルコールも煙草も禁止でないのがいいです)、アナポリスあたりの雰囲気が漂います。同じ中華料理屋でも、わざとサンフランシスコあたりのチャイナタウン風の作りにしているのが楽しい。

 そこでもうすっかり「気分はアメリカン」になって、さらに奥のアトラクション群に進んでいくのですが、人気の中心は何と言っても“絶叫系ライドもの”で、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」ではタイムマシン=デロリアンに乗ってめくるめくような時空の旅を味わうことが出来ます。「ジュラシック・パーク」や「ジョーズ」では舟に乗って危ない場面を切り抜けて行きますが、要所要所でズブ濡れにならない程度に水しぶきが降りかかって緊張感を高めてくれます。入口で200円で売っているビニール合羽は買わざるを得ないでしょう。

 水と並ぶ小道具が火で、あちこちで巧みに使われています。「ウォーターワールド」「バックドラフト」では火そのものがテーマで、消防隊の決死の活躍を描いた同名の映画を題材にした後者では、日本の消防法の下でよくこんなものが許可になったなと思うほど派手に化学工場が大火災を起こし、ここでもスプリンクラーの水を少しかぶることになります。なるほど、ハリウッド娯楽映画のあのスピード感とスリルをますます盛り上げているのは、水と火の特殊効果なのだということがよく分かります。

 同じライドものでも「E.T.アドベンチャー」は“ほのぼの系”で、モノレールの乗り物が森の中を浮遊して、急に星空高く飛んで遙か下に広がる大都会の灯を見渡す当たりはなかなか心地よい癒しがありました。そう、星もハリウッド的な小道具のもう1つだと言えるでしょう。

 料金体系は大人5500円(子供3700円・シニア4800円・障害者半額)のパスポートタイプで、すべてのアトラクションをいちいち追加料金を払うことなく楽しめます。ディズニーはこれまで、入場料+個々のアトラクション料金と、パスポートタイプとの2系統でしたが、念のためディズニーのホームページを見ると、こちらも4月1日からはアトラクション・フィーを廃止、パスポートタイプに統一すると告知されていました。ディズニーがユニバーサルに合わせたのでしょう。しかしディズニーにはシニアや障害者の料金設定はありません。USJは入口を入ってすぐに「車椅子・乳母車貸し出し」のステーションがあって、さすがと感じました。

 ディズニーのほうは9月4日に海をテーマにした新しいブロック「ディズニーシー」をオープンしますが、ここにどんなUSJ対抗策を盛り込んでくるか、楽しみなことです。テーマパークの東西両雄対決時代の開幕ということでしょう。

●千葉県知事選で堂本暁子さん当選!

 3月25日投票の千葉県知事選では、とくに県西部の“千葉都民”の票を広く集めて49万票を得た堂本暁子さんが当選し、無党派の強さに加えて女性票の“怖さ”を実証しました。私の友人である民主党・社民党推薦の若井康彦さんは全く無名の新人ながら43万票近くを得たものの、自民党の岩瀬良三候補の47万票強にも及ばず第3位に止まりました。

 最終盤になって、自民党の野中広務=前幹事長が、岩瀬の当選は難しいと見切った上で、「岩瀬が民主党にも負けて第3位になるようでは参院選に重大な影響があるので、無党派票が若井に行かずに堂本に行くよう仕向ける」という高度な作戦を密かに指示し、それが、自民党県連顧問の水野清=元建設相が堂本候補を支援する勝手連を立ち上げるとか、公明党が堂本で動くとか、民主党の田中甲議員が突然、若井候補を「労組依存の選挙ではダメ」と反旗を翻す利敵行為に出るとかいった動きとなって現れたと言われています。まあ野中ならそのくらいのことはするでしょうし、結果を聞いた野中の子分の古賀誠=幹事長が「民主党より下にならなくてよかった」と感想を漏らしたことからしても、その噂は多分本当なのでしょうが、そうであったとしても、民主党が鳩山由紀夫代表、菅直人幹事長も度々応援に駆けつけ、連合千葉も全力を挙げて支援したにもかからず、無党派層を集め切れなかったのは深刻で、このままでは参院選でも「自民党は負けたが民主党も勝たなかった」という結果になりかねません。

 とはいえ、千葉の経済人たちに言わせると「都会部はともかく、郡部でも堂本票プラス若井票が岩瀬票を上回ったのは、千葉では初めてのことで、千葉自民党はもっと深刻」とのこと。実際、自民党が66人もの県議を抱えながら2派に分かれて、知事候補もなかなか決められずに混乱を重ね、それでもこれだけの票を取ったのはさすが保守王国というところですが、堂本プラス若井の計90万票によって公共事業の土建利権の上に乗った旧構造が大きく崩れ始めたことは疑いのない事実で、何よりもそのことを評価しつつ、さてその先にどのような21世紀千葉の展望を描くのかが、これから新知事に問われることになるでしょう。

●高野の4月の予定から

 4月は幸いにも例年講演が少ないので、9日から1週間、久しぶりにワシントン中心に米国にとくに目的のない旅をして友人たちに会ってくるのと、月末から5月連休にかけては韓国のIT発展や経済復興の様子を取材します。

 一般公開の講演は26日(木)帯広で大和証券主催の経済講演会くらいでしょう。池袋サンシャインシティの東京新聞文化センターの「新・世界地図の読み方」講座は21日(土)から第4期がスタートします(月1回で9月まで)。

 鴨川では7日(土)に山桜のお花見を兼ねて集合で、8日(日)午前には若干の作業と「里山探検隊」を行います。参加希望者はhttp://www.shizen-ohkoku.smn.co.jp/で要領を確かめた上、そちらにお申し込み下さい。なお鴨川の田植えは5月5〜6日に予定しています。田植えはなにせ人手が要るので是非みなさんご参加下さい。もっとも天水任せの棚田は全くお天気次第ですので、これも上のホームページで変更がないかよくお確かめ下さい。▲

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