沖縄は芸能の島ともいわれる。毎週新しい民謡が生まれる土地は、日本には他にない。ラジオではゴールデンタイム(月〜金)に琉球放送は一時間、ラジオ沖縄は早朝(月〜土)に1時間45分、昼間に10分間のベルト(毎日横に並ぶので、帯と称する)で民謡番組がある。三線(さんしん)、琉舞、空手は習い事のベスト3。エイサーは1万人規模のものもあり、いまや本土まで進出している。
沖縄の文化の広がりは音楽・芸能ばかりではない。自然の素晴らしさとホスピタリティは誰もが賞賛する。万事あくせくしない生活様式は、沖縄文化の核心かもしれない。沖縄の文化(生活様式)とは、ややルーズでもろくて、他では成り立たないところがある。逆にそれが強さとなっているところもある。祖先崇拝の念の強さは、経済的に換算するとどうなるのだろうか。葬式、その後の会合、お墓にかけるお金は膨大だろう。ビジネスマン向けの手帳に年中行事(旧暦)が書かれている。なんと35もある。バリ島では300日お祭りだそうだが、沖縄は日本の中では群を抜いて多い。巨大な岩、こんもりとした林、海岸沿いの洞窟……そこに沖縄独特の板状の線香を見かけることがある。御嶽(うたき)だ。沖縄の人々の精神世界を支える場所だ。
お墓参り、お祭り、御嶽めぐりなどは何の経済的利益を生み出す訳ではない。しかし文化の型を守ることは、精神的なやすらぎをもたらしてくれるだろう。御嶽はただの木や石のある場所に違いないが、人々から敬われることにより、伐採や破壊から免れている。生命を生み出す自然を守り、人間を再び躍動させる役目を果たしているのだ。
沖縄に来て2年がたった。ここでは文化と経済の新しいつながりが模索出来るだろう、という直感が働く。企業が支援する「文化」活動はバブル崩壊と共に影が薄れた。行政が支援する「文化」活動は意外性に乏しく人気を博することは少ない。ここで文化に括弧をつけたのは、舞台で演じられる芝居、オペラ、クラシック音楽の類しか補助金支給の対象にしていないように見えるからだ。そうした「文化」は支援なしには成り立たない。ヨーロッパのように、政府が金銭的にバックアップして市民にそうした文化を提供するやり方に、私は反対ではない。
しかし老人も若者も一緒に楽しめる居酒屋でのおしゃべり、余興の域を越した芸の披露、休日を利用した御嶽や城(ぐすく)巡りも立派な文化である。パラグライダーもサーフィンも、ホエールウォッチング、ゲートボール、エコツアー・・全て文化ならざるものはない。こうした文化は身体の緊張を解きほぐしてくれる。
我々は産業社会のリズムから一度離れる必要があるのではなかろうか。これまでやってきたことを見直し、ちょっと気を抜き楽にすることで、全く別の世界が見えてくるかもしれない。沖縄をネットワークの一つの始点として、文化・経済の生の情報が飛び交う広場(フォーラム)を想定してみた。誰でも入ってきて小グループの集まりに参加することも出来るし、出てゆくのも自由。沖縄のガジュマルの木のように、ひげが生えて地上に垂れそれが根となって元の木はどんどん広がってゆく。そんなネットワークにしたい。
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文化経済フォーラム設立のお知らせ
文化と経済は密接なつながりを持っています。かつては経済で得た利益は全て文化に費やされていた時代もありました。この数十年経済オンリーで突っ走った日本は、ゆとりと生きがいをなくし惨憺たる様相を呈しています。文化的な「束縛」や文化創造に欠けていた面が、このような状況を生み出してしまったのかもしれません。
文化と経済が接合した、こころゆたかに暮らせる社会をめざしたいものです。
文化経済フォーラム設立のヒントになったのが文化経済学会<日本>です。1996年福岡大会で行われた記念講演「文化と政策」において劇作家の山崎正和氏は次のように述べています。「文化というのは人が生きるにあたって、なりふり構うこと」「文化というのは相手に対する尊敬とそれを形に表すことが基本」そして「なりふり構わない人間は常に数値を追っかけています」(文化経済学第一巻第一号—1998年5月)
文化経済学はケインズと同時代のJ・ラスキン(1818〜1900)が唱えました。彼は価値という言葉を欲望の充足ではなく、「知識や情熱や意志や体力や気力を持った全人格的存在=全人としてみた人間の発達に貢献する財」という意味で使いました。彼はまた金銭的な「リッチ」と「ゆたかさ」=自然の美のなかに人間の生命力が発現し躍動している状態、とを区別しました。沖縄はリッチではありませんが、ゆたかさにおいては世界有数の土地だと思います。経済的な指標は芳しくありませんが、それを上回る心のゆたかさがあります。文化経済学の実践・研究にふさわしい場所といえるでしょう。
文化経済学会は国際的な学術団体で各国に支部があります。私達の文化経済フォーラムは文化経済学会と協力関係を築きつつ、独自の展開を図りたいと思います。学会の探究心と趣味の会の気楽さとを併せ持つ会にしたいと願っています。
文化経済フォーラムは「文化」「経済」に関わる方、心のゆたかな方、ゆたかになりたい方なら誰でも入会できます。是非ご入会ください。年に1〜2回のイベント(4月7〜8日は宮古島で実施)と、テーマごとのアゴラ(ギリシャ語で広場)を年に10回くらい開く予定です。沖縄以外の会員のために東京でのアゴラ開催も検討中です。ニュースレターは年に4回予定(メールかファックス、郵送は有料)、会費は年2000円、法人は1万円(入金はついでの時でOK)。
下記のことをお書きの上、お知らせ頂ければ幸いです。
氏名eメールアドレス自宅住所および電話・ファックス連絡先電話・ファックスニュースレターの発送方法(eメール、ファックス、郵送)
〒902-8521
沖縄県那覇市国場555沖縄大学人文学部 緒方研究室
098-832-2822(fax)かogata@okinawa-u.ac.jpまで
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文化経済フォーラム・企画案
文化経済フォーラムは現在30人程度の会員ですが、範囲を当初から沖縄に限らず東京など他の地域、出来れば外国も含めて考えます。また最終的には200人程度までゆくと予測しています。その場合中央に司令塔があってなにかやることは致しません。
がじゅまるのようにひげが伸び、そのひげが地上に垂れ、いつのまにか根となって元の木を支えてゆく。そんなイメージです。各会員が個性豊かにやっていただく交流の場をめざします。アイデアは地球大で発想し、実際の集まりは小規模でも良いと思っています。
その集まりをアゴラ(あごら)と名づけます。ギリシャ語で広場の意味ですが、なんとなくウチナーグチ(沖縄方言)にも似ています。恐竜の名前のようなひょうきんさもあります。最低3人でアゴラ成立とします。地域ごとのまとまりでも良いし、同じような企画の広場でもOK。二人では○×で対立するかもしれないが、3人は別の要素が加わって仲良くまとまる最低単位ではないでしょうか。3人寄れば文殊の知恵。キリスト教やイスラムは白黒はっきりさせるが、佛教には中間がある、と聞きました。3人だと、じゃんけんのように、こちらには勝つがあちらには負けるという絶妙な仕掛けもあります。
アゴラ毎に色々なテーマがあがっています。とりあえず出来そうなものを列挙します。
☆シルクロード・あごら……シルクロードの映像を見ながら(5回くらいのシリーズ)
シーサーの道(沖縄映像?による「シーサーロード」)・・講師:玉城
エジプトのスフィンクスから沖縄のシーサーまで
シルクロードを駆ける馬(NHK制作「天馬と生きる」)・・講師:緒方
アレキサンダー大王の愛馬は、三国志の馬だった
その他に麺ロード、佛教伝来の道、海のシルクロード、等のテーマを予定。
☆がじゅまる・あごら……山門教授による花と木シリーズ
「家主」を絞め殺すがじゅまる、ひまわりでの地域おこし、モノレールの柱を熱帯の花々で飾ろうなど
☆UFO・あごら・・UFO研究グループ
UFOの名所はどこだ?—地球にやってきても雲に化けている時もあるから要注意
精神世界ブームと沖縄ホーリースポットめぐりなど
☆文化経済ベンチャー・あごら……吉川教授による「文化をものづくりへ」実践篇
廃屋を文化の最先端ルームへ
世界一の塩からできるもの
文化経済的視点から見たまちゃぐゎーなど。
(なお蝶の話は日本鱗翅学会会員なのでプロ)
その他に会でゲストとしてお招きし、あごらとして独立しそうなものとして、
☆黒潮あごら……気象に詳しいグループ—黒潮文化圏の文化経済的考察
☆琉球音楽あごら……照屋林賢—音楽がひっぱる経済
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