INSIDER No.4-3《OPINION》森首相の人格欠陥
森喜朗首相が日本の実習船と米原潜の衝突事故の第一報を受けてから約2時間もゴルフ場に留まって、それから自宅に帰って着替えてからのんびり官邸に戻ったというのは、彼の首相としての欠格というに止まらず、人間としての人格的欠損を示している。
首相周辺の話では、事故発生の第一報では死傷者が出たかどうかは明かでなく、その約1時間後の午前11時半頃の第二報で初めてその可能性があることを知らされて、プレーを切り上げてクラブハウスに引き揚げたというのだが、そんなことは何の弁解にもならない。
第1に、海難事故や航空機事故を聞いて死者がいないかも知れないと考える方がおかしい。彼は例えば、ゴルフの最中に自分の息子が乗った飛行機が墜落したという知らせを受けて、そのままプレーを続けただろうか。もし続けていれば、人間としておかしいと言われて当然だろう。
第2に、今時、船員になろうと進んで苦しい訓練を受ける若者は国の宝である。森の息子はグータラかもしれないが、首相として自分の息子以上に大事にしなければならないのはこういう若者たちである。「日本の宝である俺の息子たちに何てことをするんだ!」と、すぐにワシントンに怒鳴り込もうと思うのが首相というものである。
第3に、首相は日本のシンボルであり、その行動様式は常にシンボリズムに則ったものでなければならない。嘘でもいいから、ゴルフ姿のまま官邸に駆けつけるのが政治的に当たり前であって、官房長官や副長官が適切に行動したので実務対策的に齟齬がなかったとかいうのは別次元の話である。
余談:北海道で聞いた話では、ある自衛隊の最高幹部はこの件に対する私的見解として、「森は首相として、もうどうしようもない」と語った。▲