「日本一新運動」の原点(26) ── 小沢氏の国会招致は筋違い
2010月11月08日

 10月30日(土)から3日間、故里の土佐清水市で「ジョン万次郎祭」に参加するため帰省していた。万次郎生家の復元記念行事の中で、私が『日本人の道しるべ 万次郎の生き方』を講演してきた。

 万次郎は日本人で第一号のユニテリアン信者で、「人は自分の言動に責任をもち、人類は皆救済される」という教義で生きた人物であり、「日本一新の会」の基本理念である「自立と共生」の原点といえる。

 万次郎といえば、平成時代になって米ソ冷戦が終結し、日本人の国際認識を高めようと、小沢一郎氏の提唱で超党派の通称「ジョン万次郎の会」(http://www.manjiro.or.jp/)を設立した。

 正式名称を「財団法人・ジョン万次郎ホイットフィールド記念 国際草の根交流センター」といい、草の根国際交流を中心に20年にわたって運動が続けられ、「自立と共生」をテーマに、日本一新運動も協力関係といえる。

 それにしても、三日間も東京を離れたので、いろんなグループから、問題を持ちこまれ、しばし対応に苦労した。

■小沢氏の国会招致は筋違い

 小沢氏は11月3日(水)の「ニコニコ動画生放送」に出演し、野党が国会招致を求めていることに対して、「司法で採り上げているものを立法府で議論するのは妥当でない」と発言した。私はこの件について、11月2日(火)、ある集会で国会での政治倫理制度のルールについて説明をしたばかりであった。4日(木)には、小沢氏は岡田幹事長に会い、国会招致について応じない意向を伝えた。しかし、岡田幹事長は政治倫理制度の趣旨をよく理解していないようだ。

 そこで政治倫理審査会の機能について説明しておこう。

 審査会の審査は、

(1)政治倫理に著しく反したと思われる議員を、審査会の委員3分の1以上の申し立てがあった場合、審査するかどうかを出席委員の過半数で決める場合。

(2)不当な疑惑を受けたとして、議員が審査の申し出をした場合。

の2つの方法がある。通常、審査会の対象となるのは、議員の職務に関して犯罪が疑われる問題である。また、政治資金規正法や議員資産公開法に「著しく違反」した場合も対象としている。

 小沢氏の場合、何の問題を政治倫理審査会で採り上げようとしているのか理解できない。野党が強く国会招致を要求し、与党民主党執行部も腹の中では、小沢氏に自ら出席してもらい、野党への国会対策として利用したいということであろう。問題を推測すると「陸山会の政治資金収支報告」のことが考えられる。従来なら、この事項は問題があれば総務省の指導で訂正すれば済まされ、「著しく違反」とはいえない。

 この問題は、麻生首相と森法務大臣が事実上の指揮権発動で、大久保秘書を逮捕したことに始まる政治捜査である。小泉自民党体制に深く食い込んでいた樋渡検事総長や、漆間官房副長官(前警察庁長官)が、民主党への政権交代後、小沢排除のために仕掛けたのが「陸山会事件」であった。もっとも卑劣な政治権力側の犯罪なのである。実は、私は当時の森法務大臣から傍証となるような発言を聞いたことがある。

 仮に「水谷建設のヤミ献金」が問題だというのなら、それは、「赤旗」が熱心なだけのガセネタの類であり、小沢氏に関係のない話だ。さらに、検察審査会が強制起訴議決を行い、東京地裁や高裁が司法手続きに入っているとなれば、国会での調査は行うべきではなかろう。

 さてこのような情況で、国会側の意思で、小沢氏を政治倫理審査会へ審査申し立てたり、予算委員会なりに証人喚問とか、参考人招致を、国政調査の限界を無視して強行するなら、疑惑噴出の第五検察審査会の実態、それは議決内容・議決手続・審査員の年令構成の疑問などなど、すべて明らかにしてからにすべきである。

 さらにいえば、検察審査会法の制定や改正をめぐっては違憲論さえあり、小沢氏の強制起訴議決に至る手続きや運営の不自然さだけでなく、違法との指摘まで論じられている。これを明確にするのが国会の最大の責任ではないか。

■検察審査会の異常な不自然さ

 事実なら大変なことだが、「日本一新の会」の調査によれば、東京地検特捜部の担当検事が第五検察審査会に、捜査状況を説明に行ったのが9月末だった、と証言する人物がいることがわかった。もっとも初めて捜査状況の説明に行ったのか、二回目だったのか明確でない。仮に初回だったら大変な問題だ。

 強制起訴議決後の捜査説明なら、何らかの事態が発生して議決理由の変更か、はたまた、なにごとかを追加したのか。いずれにせよ、不自然どころか何か重大な問題を隠蔽している可能性が高い。

 これらのことは、仮に検察審査会が司法機関としても、司法行政に当たる問題であるから、当然至極に国政調査権が適用できる。基本的には民主主義社会のためには国政調査権に限界はないことを全国会議員が理解すべきである。さらに、「強制起訴制度」という検察審査会法改正という違憲で欠陥法律を立法したのは国会ではないか。小沢氏の問題は全議員にふりかかる問題である。

 それがわからず与野党とも、小沢氏の国会招致を国会対策に利用しようとしている。自民党政権も検察も裁判所も、それに国会の与野党も、何故、小沢氏を排除しようとするのか。日本国はどうなるのか。

 ところで、東京地検特捜関係者の話によると、「樋渡検事総長と佐久間特捜部長がいなくなって、ホッとしている検事が結構いる」とのこと。どうも「検察によどむ諸課題」は、大阪地検特捜部だけとは言い切れないのではないか。この春に緊急出版した拙著で指摘した数々の疑問が、白日のもとに晒されることを強く望みたい。

■岡田幹事長に問題有り

 11月2日(火)、岡田幹事長は、民主党代議士会で小沢氏の国会招致について、「幹事長の責任で今国会での実現に努力したい。喚問であれ、政倫審であれ、どういったことを明瞭化したいのか野党に整理してもらいたい。議院証言法第四条の意思を尊重することを確認して欲しい」という趣旨の発言をした。この発言をきっかけに、与野党国対レベルで、小沢氏の国会招致を棚上げして補正予算の審議に入ることで合意していたことが破談となった。

 また、岡田幹事長は11月4日(木)の記者会見で「補正予算・法案審議・本予算・法案審議、地方統一選挙に小沢さんの国会招致が障害になっている」と発言している。恐らく、官邸と協議の上、小沢氏の国会招致を「補正の入り口で政倫審、参議院の出口で証人喚問」という情報があったが、本当だったのだ。

 「メルマガ・日本一新」の読者の皆さん、そしてこの論説を目にされた多くの方々にお願いしたい。まずは岡田幹事長への抗議と、民主党所属国会議員に、こんなルール無視の暴挙を許せば民主政治の破壊であることを強く訴え、決して許してはならないことを要請して欲しい。最後に岡田幹事長よ、テロ情報流出・尖閣問題のビデオ流出のみならず、対ロ問題などで大混乱する菅政権の失政続出をどう考えているのか。政権交代以後、小沢一郎を排除していることに根本原因があることがわからないのか。

 国家の浮沈が問われるこの時、心眼をもって政治に臨むべきだ。

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