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2011年3月28日

「日本一新運動」の原点(47)── もうひとつの『国家危機』

■もうひとつの『国家危機』

 東日本を襲った巨大震災と津波災害、そして福島第一原発災害。日本という国家社会を自然の猛威が襲った最大の悲劇である。さらに原子力発電という人類文明を象徴するシステムの崩壊である。いま、日本国はこれらの天災と人災による『国家危機』といえる。

 私たちは、この『国家危機』とは別に、もうひとつの『国家危機』があることに気づかなければならない。それは未曾有の災害に対する政治の対応が適切に機能せず、危機管理の中心であるべき内閣・官邸が混迷を続けていることである。災害対策基本法にもとづいて、菅首相を本部長に「緊急災害対策本部」を設置したものの、強制力を持つ対応もなく、やたらと問題別の対策本部を乱立させ、統括的総合性と個別対策の有機的な連携ができておらず、各省庁がバラバラの対策となり、最悪の事態となっている。

 被災者の救援に必死の活動を続けている自治体職員、他府県の応援消防隊員に、自衛隊員はじめ災害関係の政府職員、ボランティア活動の民間の人々、さらに政務三役らのご苦労には頭が下がるものがある。

 しかし、どうしようもないのが政治家の危機意識である。特に最高責任者の菅首相と政権与党の岡田民主党幹事長については、報道されている話だけでも、政治家としての基本認識に重大な欠陥を感じているのは私だけではない。

 二人の統治能力の問題点が被災地現場に混乱を持ち込み、被災者や、一般国民を不安のどん底に陥れている。被災現場だけでなく、国家権力行使の総元締めである内閣・官邸が機能を失っているといえる。菅首相と岡田民主党幹事長には、自己の面目を保持しようとする意識が先行し、己を捨てて国家国民のために、国内外のあらゆる人材力を活用しようとしないことに問題がある。要するに巨大震災と原発災害に対する危機意識がなく、それが内閣と政権与党が機能を失い『国家危機』を招いているといえる。加えて、その意識を持っていないのが衆参両院議長である。彼らは、東日本の国土と社会が崩壊した巨大震災で、死者・行方不明者・安否未確認者が5万人にも及ぶかも知れない惨状を知っているのか。

 さらに、福島第一原発災害は、日本国内だけではなく、世界的被害に拡大しているが、日本国家の存立と、日本人の存亡の危機にあるという意識を持っていないことは、誠に残念なことである。

 与野党の国会議員の中には、この非常事態を『国家危機』として認識している人たちがいて「如何に対処すべきか」、私に意見を求めてくる人たちもいる。その人たちは、民主党の場合には岡田幹事長に抑えられて動きようがないとのこと。今、党内抗争のような動きはすべきでない。しかし、国家と国民生活の危機には自らが立ち上がって、政治の在り方を論議することは、国民から負託された国会議員の職務ではないか。その気はあっても動き方を知らないことに問題がある。

 一方、野党側にも『国家危機』に対する認識が浅い。個々の国会議員の中には、献身的に被災現場でボランティア活動をしている人たちもいるが、政治全体としての対応を構想する政治家がきわめて少ない。民主党に比べて国家観をもつ政治家は多いが、持ち方に問題があることと、知識が専門的で切り売り的だ。自民党指導層の軽さに比べると、まだ増しだが、昭和30年代から始まった「豊かな国づくり」に寄与した先人からすれば、とても国家の危機を乗り切れる政党ではない。

 劣化した日本の政治を見るにつけ、巨大震災がもたらした『国家危機』とは別に、日本政治における重大なもう一つの『国家危機』があることを私たちは肝に銘じておくべきだ。この間、各国の専門家からは、日本の政治や官僚体制が、日本の技術を生かすどころか、その妨げになっているという厳しい指摘を受けている。

■国家の危機体制を教示するのは歴代総理だ!

 この巨大震災の救援・復興活動の中で、如何にして『国家危機』の意識を持ってもらうか、とても難しい問題である。菅首相にとっての巨大震災は「在日韓国人からの違法献金」問題を、野党の追及から逃れる絶好のチャンスであったことは事実である。

 3月11日(金)、震災当日夜に、菅首相が記者会見した時の雰囲気は、政権延命を確実にした自信に充ちていた。その気負いが震災への客観的認識を誤らせたといえる。

 菅首相の心の奥底の中で、巨大震災を有り難いと思う深層心理が働いたのではないか。それが翌日早朝の福島第一原発災害視察となる。そこから宿命の神は菅首相から離れていく。そして震災が未曽有であったように、国家最高指導者として未曽有の崖っ縁に立たされることになる。

 菅首相がこの巨大震災にどう取り組むのか、真っ当な姿勢を確立することで、『国家危機意識』が向上するのではないかと思い、私は「東日本大震災及び福島第一原発問題に対する政治の取り組みについて(構想案)」というメモを知人の政治家や有識者に発信した。内容の要点は、「メルマガ・日本一新」の46号に掲載した。このメモは、内閣府顧問の笹森清元連合会長から菅首相に渡され、しかも、提言者である私の実名も伝えたと聞いている。

 3月19日(土)午前、菅首相は鳩山、小沢、前原の民主党代表経験者三氏を招き、状況を説明して協力を要請したようだが、「挙党体制を築くべき」というポイントの話は出さなかった。その直後唐突に、自民党谷垣総裁に、副総理格で震災対策担当での入閣を電話で要請し、即座に拒否された。「挙国体制を確立すべし」と言う私のメモを摘み食いしたものと思われる。ことここに至っても、菅首相に『国家危機』への認識は感じられず、自民党は災害対策の責任転嫁だと主張することになる。

 この状態が続くとすれば、国家の存立と日本人の存亡に関わることになる。菅首相が政治家として少しでも普通の感性になってもらうため、今は何をすべきか。それは被災から二週間も経って、救援物資が行き届かず、原発災害の解決にも見通しがつかないという最悪の事態が目前となった。菅首相には『国家危機』を認識して貰わなくてはならない。

 その役割は歴代の総理経験者が果たすべきではないか。「日本一新の会」では、この運動に全力を挙げたい。

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2011年3月19日

「日本一新運動」の原点(46)── 巨大震災と原発災害に想う

 巨大震災の翌日、達増拓也岩手県知事からの電話で、「この悲劇は神話の世界にある惨状だ」と聞かされた。何故、純粋で共生の精神を生かして暮らしてきた東北の人々に、わが国の有史以来最大の悲劇が降り掛かるのか、この世には、神も仏も無いものかとの思いに駆られた。

 この大惨事の中で、被災地や被災者を救援するため、自治体、関係団体に住民が加わって、被災者ともども共に生きようと必死になって活動している報道映像を見た世界中の人々から、これら人間愛に賞讃の声が寄せられている。東北で発生した歴史的悲劇が、「弱肉強食のハゲタカ資本主義」の反省を促し、新しい人類の在り方を示す教訓・思想となる可能性を感じることで、怒りに狂いそうになる自分の気持ちを落ち着かせている。

 また、福島第一原発の震災・津波による原発施設損傷による放射能防御という未曽有の被災に対して、東電職員・自衛隊・警視庁機動隊・消防庁レスキュー隊など現場の人々が、文字どおり、生命を懸けて対応している事態に心から敬意を表したい。

 原発問題の解決は世界が恐怖の中で注目しており、人類の将来が掛かっている。国際的不安の中で、さまざまな妨害的デマに悩まされての作業が続いている。最悪の事態にならないことを祈る。

■極限に至った民主党の劣化

 3月17日(木)午後2時29分、私の手元に一通のファックスが届いた。

 "民主党本部から節電や募金呼掛けの用ののぼりやチラシ、ポスター、リストバンドを送ってくるとの連絡あり、本部は狂っているとしか思えない。そんなことをするおカネと労力があるなら、もっとすべきことがあるはずだ。高知県連からは強い抗議の申し入れをした。"

 これは、民主党高知県連・大石宗幹事長のツイッターからの発信である。また、18日(金)午前6時50分に放映されたテレビ朝日のニューヨーク特派員は、「米国では、日本政府が外部からのアドバイスを受け入れなくなっていると報道されている」とのこと。これらの指摘が、菅民主党政権の統治能力、ことに、ダメージコントロールの問題点を突いている。

 政権の中で、懸命の活動を続けている政務三役を始め、政府職員にはひとしく敬意を表するが、菅首相や岡田幹事長ら政治指導者の国家危機に対する基本認識を反省してもらわないと、これからの国家の存立にかかわることになるので敢えて言わせてもらう。16日(水)から「各党・政府震災対策合同会議」が発足した。自民・みんな・共産・社民・新党改革の5党が参加している。野党各党は原発被災に対して強い不安を示しているが、政府の説明は「安全で問題ない」の繰り返しで、「きちんと説明しろ」と不満を募らせたとのこと。

 この最中、民主党の有志から、非常事態に対する政治活動のシュミレーションについて意見を求められた。私の体験を参考にして何回かアドバイスをしたが、まったく民主党のコンセンサスとなっていない。

 17日(木)の政府・与党連絡会議で、ようやく輿石参議院議員会長が「野党に協力を求め、各党党首クラスを菅内閣の緊急災害対策本部に加えて欲しい」との提案をした。ところが岡田幹事長は「各党・政府震災対策合同会議の仕組みがある。民主党の対応が遅いとはいわれていない」旨、主張したとのこと。こんな発想では未曽有の巨大震災と原発被災への適切な対応が出来るはずがない。まして巨大震災の救済や復興を、選挙などの政治に利用するようでは、民主党が非常事態の足を引っ張り、人命を無にしているといえる。

■菅首相は原子力を本当に知っているのか?

 菅首相は16日(火)夕刻、官邸を訪ねた内閣府特別顧問の笹森清元連合会長に「ボクはものすごく原子力に強いんだ」と、東工大応用物理学卒の経歴を誇るように言ったという報道があった。私はこれを聞いて、よくも言えたものだと驚き、平成19年7月の参議院通常選挙のことを思い出した。当時、私は民主党高知県連代表を務めていた。東電のプルトニュウム汚染物を高知県東洋町に埋める話があり、反対運動をやっていた。民主党高知県連は、エネルギー対策の中長期構想として、「プルトニュウムという核兵器になり、有害物質を発生させる現在のウラニュウム原発政策を順次変更すべきだ。そのため、プルトニュウムを焼却でき、かつより安全性が高い"トリウム溶融塩原子炉"(ja.wikipedia参照)の研究開発を復活すべきである」ということをまとめた。この趣旨を参議院選挙のマニフェストに入れてはどうかと、私は当時の小沢代表に進言した。小沢代表は「それは良い考えだ。私から菅代表代行や鳩山幹事長にいうと上から命令する感じになるので、君から二人によく説明して、是非マニフェストにいれるようにして欲しい」と応じてくれた。

 早速、菅代表代行に会って、小沢代表の意向を踏まえて説明したところ、実に素っ気なく、「文科系の君から原子力の話を聞いても仕方がない」という不遜な態度であった。驚いたのは「トリウム溶融塩炉による原子力発電なんか知らない」という言葉であった。この人は政治家として、ウラニュウムによる原子力発電の危険性について認識していない。これ以上、民主党内でこの説明をしても無駄だと思い、鳩山幹事長には説明することをやめた。

 東電出身の笹森氏は記者団に「(首相は)原子力について政府の中で一番知っていると思っているんじゃないか」と、皮肉交じりに語ったという。この菅首相の驕りが、12日(土)早朝の自衛隊ヘリによる福島第一原発事故現場に行くという暴挙につながり、爆発防止の現場で結果的に初動作業の邪魔をすることになる。

 同日の与野党党首会談で、「危機的状況にならない」と、菅首相が断言するのを待つかのように1号機で水素爆発が発生し、原子炉建屋が崩壊した。15日(火)早朝の東電本社での恫喝行動といい、官邸での「東電の馬鹿野郎」との怒鳴り散らし発言といい、福島第一原発をめぐる菅首相の判断ミスには際限がないのでこの程度にしておくが、この初動の遅れが、禍根となったことだけは明記しておきたい。

■非常事態だ!、挙党・挙国体制をつくれ

 3月14日(月)の、「メルマガ・日本一新」緊急増刊号で、私と戸田顧問の連名で、"○東日本巨大震災に対して、国会は、「国家非常事態宣言」を行い、小沢一郎を活用して党派を超え、国家を挙げて、救済復興に全力を尽くすべきである"を発信した。並行して、衆参両院議長に、国民の代表である国会議員へ、国家の存立にかかわる非常事態である認識を共有するよう促したが、未だにその動きがない。

 ごくわずかな友人である国会議員から、衆議院事務局時代に私が災害対策や危機管理の仕事をしていた関係で相談があった。

 私はまず、平成9年6月に朝鮮半島で紛争が始まろうとした時、当時官房長官であった梶山静六氏から極秘に要請があり、野党新進党の立場ではあったが、当時の小沢党首と相談して「朝鮮半島での有事発生に対する政治の取り組みについて」という提言を作成したことがあり、これを参考にと友人に渡した。友人たちは民主党のなかでこれを活かそうと幹部を突き上げたが執行部は無視した。

 17日(木)になると民主党を支援する有識者や市民たちから、私に「小沢一郎を党に復帰させ、救援・復興のために日本再生の中核に据えるべきだ」との声が殺到した。中には具体的な対応の構想をつくれという友人たちもいて、「東日本大震災及び福島第一原発問題に対する政治の取り組みについて」というメモを作成して配布した。

 友人の国会議員や菅首相に近い有識者にも、このメモは届いていると思う。

 その要点は、

1)まず、民主党の挙党体制をつくれ。そのため歴代民主党代表を菅首相が招き、協力を要請すること。特に党員資格を停止している小沢氏を回復させること。政府与党が挙党体制をつくれなくて、何が出来るか。

2)各党・政府震災対策合同会議なんていう半端な組織ではなく、「国家非常事態総合対策本部」を設置し、与野党指導者・内閣・国会をを一体化した組織とし、この非常事態を「国家安全保障問題」として捉え、すべての対策を統合すること。同時に、具体的に有機的分担を組織化すること。

3)総合対策本部の役割は、(イ)非常緊急事態への諸準備、国際的協力の要請 (ロ)被災者の救援・復興、原発問題の解決、復興院設置の準備 (ハ)国民への協力支援などの要請、パニック防止対策 (ニ)救援復興の財源確保、日本経済再生構想の作成 (ホ)その他、とすること。

 要するに、国民の生命と日本国存立のため、憲法の真の原理を生かすには、既存の制度や前例にとらわれない大胆な政治を断行すべきであるということだ。

 これが「日本一新の会」の願いである。

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2011年3月14日

「日本一新運動」の原点 緊急臨時増刊号:東日本巨大震災に対して、国会は「国家非常事態宣言」を行い、小沢一郎を活用して党派を超え、国家を挙げて、救済復興に全力を尽くすべきである。

 3月11日に発生した「東日本巨大震災」は、想像を絶する歴史にない大災害となった。東北地方を中心に、死者・行方不明者が5万人を超える可能性があると現地からの情報がある。

 併せて、東京電力・福島原子力発電所では、巨大震災の被害を受け、わが国で体験したことがない大惨事が発生している。

 被災現地では関係者が必死の救援活動を行っているが、菅政権には、この非常事態に対応する認識と方策に限界がある。

 2月初旬、菅政権の統治能力が話題となっていたとき、小沢一郎氏は、「国家が異常事態となり、国民の生活に支障が出ないようにしなければならない」と私に語った。(「2月12日付メルマガ・日本一新」載録)

 今まさに、その異常・非常事態が発生したのである。

 まず、衆参両院議長に要請する。速やかに本会議を開き、「国家非常事態宣言」を議決し、巨大震災の被害が国家の存立、国民生活に甚大な影響を与えるものであることを、国民に認識させるべきである。その上で、国民それぞれの立場で、被災者の救援と被災地の復興に協力を求めるべきである。

 菅首相と岡田民主党幹事長は、この国家非常事態に、小沢一郎元代表の統治能力や危機管理力、さらに政治力と見識を活用すべきである。

 そのため「党員資格停止」の処置を解消し、まずは与党である民主党が党を挙げて救援復興に臨む体制を確立すべきである。谷垣自民党総裁の、復興支援増税論など論外である。

 「日本一新の会」会員、並びにこのメルマガを読んでいただいたすべての方々にお願いがある。衆参両院議長及び岡田民主党幹事長他、お知り合いの衆参両院議員に対し、このメルマガの要旨をメールやファックスで要請していただきたい。

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「日本一新運動」の原点(45)── 民主党政権はどうなるか 巨大震災に考える

 前原外務大臣の辞任、細川厚生労働大臣の年金問題の無責任発言などで、菅政権が崖っ縁となった3月9日(水)、BSフジ・プライムニュースで「民主党はどうなるか」をテーマに、民主党国対委員長代行の斎藤勁氏、同国民運動本部長の渡辺周氏と私、そして河野勝早大教授をゲストに議論した。

 生放送だったのでご覧になった方もいると思うが、重要な問題もあったので、番組の中で言い足りなかったことを中心に、まずは補足しておきたい。

■土肥政倫審会長の竹島領有権主張中止の行動

 菅首相の側近であり、衆議院政治倫理審査会会長の土肥隆一氏が、「日韓キリスト教議員連盟」の会合で、日本政府に竹島の領有権主張の中止を求める共同宣言に賛同し、名前を載せていることが番組の始まる直前に報道され冒頭にこの問題が話題となった。

 意見を求められた私が「昨年暮れから心配していたことが起こった」と発言したところ、出席者一同「何事か」と緊張した。実は、昨年暮れに小沢元代表の政倫審への出席について、民主党内で紛糾し菅首相や岡田幹事長が狂ったように小沢氏を引っ張り出そうとした場面があった。その時、不可解な動きをしたのが、この土肥政倫審会長であった。

 政倫審会長といえば、議長職を終えた大物政治家が就く職責としてつくられた制度であり、党派を超えた見識で職務を行うことが大前提だが、土肥会長の言動には、菅首相や岡田幹事長の手先となり小沢氏を追い落とそうというものを感じた。私は牧師という聖職者のイメージとは異なる胡散臭さを嗅ぎとり、土肥氏の背後を調査してみた。

 土肥会長は昨年9月の民主党代表選挙で菅氏を支持し、兵庫県下で「刑事被告人の小沢氏を代表にしてはならない」と、事実と異なる悪質なアジ演説をしたことで知られていた。その原因は何だろうというのが私の知りたいところであった。わかったことは、土肥氏には牧師としてのボスがいて、それは米国籍韓国人の女性で、米国議会のロビイストということだ。当然のこととして諜報機関とのつながりも推測できる。

 その女性牧師がしばしば訪日して布教活動をしており、ことさら小沢一郎氏の「政治とカネ」を厳しく批判しているとのこと。事実に基づかない大手マスコミの捏造記事を中心に誹謗中傷を繰り返していたことがわかった。国際的な思惑もあると思うが、異常なことである。

 こういう人物を師とする土肥氏の実態を知り、竹島の領土帰属について問題の言動があり得ると私は予知していたのである。小沢氏の政倫審出頭を強圧的に行うなら、これらの情報を公表するつもりであったが、そこまでには至らなかった。問題発生後の土肥氏の言い分けが無責任きわまりなく、菅政権の性格丸出しだ。政治倫理とは「金と女」だけのことではない。国家主権に対する政治家の基本認識のことをいうのである。

■前原外務大臣の辞任の背景

 BSフジ・プライムニュースで取り上げた次のテーマは、突然の前原外相の辞任問題であった。「泥舟から逃げた」との話が大勢となる中で私は、次のように背景を説明した。

 これにはいくらかの責任が菅首相にある。専門家の情報によれば、「2月初旬の北方領土返還国民大会で菅首相がロシア大統領の訪島を"歴史的暴挙"と批判した。これをやらせたのは某団体で、裏には自民党との提携の橋渡しをしてやるとの話があったようだ。ところが菅発言が波紋を呼び、前原外相が火消し役となる。その影響で前原外相の政治資金パーティーの購入者の届けが虚偽であり、実際は暴力団のフロント企業であったと報道された。

 ところが参議院予算委員会で本格的に採りあげられる前に、在日外国人による違法な政治献金が発覚し、突然の外相辞任となった。前原氏にとっては菅政権という「泥舟からの逃亡」ではなく、絶好の保身のための辞任であった。この機会に辞任していなければ、フロント企業との関係、さらに新たな在日建設業者との問題が発覚していたとの情報もあった。そうなれば、政治生命が完全にたたれるという事態の可能性があったのだ。

■民主党に何を望むか!

 3番目のテーマは「民主党に何を望むか」であった。私は50年間、政治の世界に生き約5千人の国会議員を観察してきた経験を体して、次のように述べておいた。

 平成12年4月の森自公政権以来、わが国の議会民主政治の劣化が目立ち始めた。一昨年の夏には歴史的政権交代が行われ、国民の民主党に対する期待は大きかった。それは議会政治に対する期待でもあった。

 鳩山政権の失政で菅政権となったが、政権交代の原点である、「国民の生活が第一」を踏みにじり、政治運営も国民からの信頼を失う異質なものを展開し、政権担当能力のないことを露呈した。根本原因は政権交代スタートのときから、小沢一郎という政権担当経験者を排除したことにある。これからの民主党に望むことは、「政権交代の原点に戻れ、戻れなければその志のある人間で新党を結成すべし」ということであった。

■菅首相の違法献金と巨大地震の発生

 朝日新聞の3月11日朝刊(都内版)は、「菅首相に違法献金の疑い、在日韓国人から、「首相側未回答」と、衝撃的特ダネ報道を行った。これで来週にも退陣かと、NHKの参議院決算委員会の中継を横目に、このメルマガを執筆していた。

 ところが、午後2時46分頃、巨大地震が発生した。私の書斎は2階にあり、ここに置いてある本棚から一斉に本が飛び出し、部屋中が書物や資料で溢れてしまった。

 時間が経つにつれ、観測史上最大の巨大地震で東北地方は想像を絶する被害となった。被災者や被災地の皆さんには、心からお見舞い申し上げる。思えば大正12年9月1日の関東大震災は、同年8月24日に加藤友三郎首相が逝去し、山本権兵衛に大命が下り組閣準備中のときであった。この非常事態に組閣の遅延は許されず、9月2日に赤坂離宮の天幕の中で親任式が行われた歴史が残っている。

 さて、この巨大地震で政局はどうなるであろうか。まずは、菅内閣のもとで与野党協力して、緊急な地震被害対策に全力を尽くすべきである。緊急対応が終わった後、巨大震災が与える社会・経済などの影響を政治がどのように対応していくかが問題となる。菅政権の統治能力ではその問題を解決できないと、私は思う。

 巨大災害は人間の発想も変える。国民に信頼されない政権ではこの難関を解決できない。「国民の生活が第一」を基本理念とし、「共生社会」を創造する志のある政治勢力を結集した「救国連立政権」を成立させなばならない。衆議院の解散は当分できる事態ではない。

 巨大地震は、わが国の政治・経済・社会などに、これまでのあり方でよいのかとの警告を、天道が発したものといえる。弱肉強食の経済成長を競うのでなく、国民の幸せを成長させる政治に変えろと・・・。

 すべてのテレビ局は巨大地震報道で埋め尽くされている。画面が伝えるその惨状を見るにつけ、この後処理こそ真っ当な政治の出番であると強く思うのは私一人ではあるまい。当面は一人でも多くの方の生命を守ること。そして、次に待つのは国民が安穏に暮らせる国土の再建である。「日本一新の会」の役割はひとしお大きくなった。

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2011年3月 7日

「日本一新運動」の原点(44)── 16人の志士の棄権を批判すべきでない!

■国家の統治権を放棄した菅政権!

 3月2日(火)の未明、衆議院本会議で「平成23年度総予算」を賛成多数(295名)で可決した。これで3月30日には憲法の規定で、参議院の議決がなくとも自然成立することが確定した。

 295名という大多数の賛成だが、嬉しそうな顔をしていたのは、菅首相だけであった。『夕刊フジ紙』は、見出しを「菅狂気の笑顔」としていたが、その「笑み」に気持ち悪さを感じたのは私だけではなかったと思う。民主党執行部幹部たちの顔はみな暗かった。

 それもそうだろう。参議院が逆転しているので、仮に予算関連法案を衆議院で再議決するとなると、議員全員出席の場合で、318名の賛成が必要で24名足りない。仮に統一地方選挙後、公明党21名が菅政権に全面協力するとしても、3分の2の数字には不足する。

 菅政権は完全に行き詰まったのである。

 予算関連法案にはいろんな種類がある。施行日が先で、成立を急がなくても良いものもあるが、4月1日施行のものや、成立が遅れると国民生活に影響の出るものなどがある。中でも予算の財源となる税法とか、国債発行の法案など、予算と一体の関係のものは、衆議院で予算と一緒に議決し、参議院に送付するのが原則である。例外的に野党の抵抗で数日遅れることもあるが、政府与党の都合で、意図的に予算と切り離して衆議院に残した例は初めてである。

 何故、菅政権がそのような判断をしたのか。重要な予算関連法案を成立させない責任を野党のせいにしたいからである。参議院に送付しても否決され、衆議院で再議決できないとなるなら、野党が与党の主張をのむまで衆議院に置いておこうということだが、こんな姿勢では議会民主政治は運営できない。

 予算だけを送付された参議院では、予算の審議をするには、一体となる関連法案について修正するとか、撤回するとかという論議そのものが無意味となる。関連法案が参議院の縄張りにあってはじめて有効な審議となるからである。菅政権のこのような国会運営では、野党が話し合いに応じないのは当然である。菅首相は、党首討論で谷垣自民党総裁に、「丸のみできる予算の組み替え要求をしてほしい」と発言したのは数日前であった。精神の根底が狂っているのだ。

 予算と一体となる予算関連法案を、政府与党が意図的に分離し、予算を参議院に、一体関連法案を衆議院に置くことは重大な憲法違反となる。3月2日の朝日新聞の論調もこのことを理解していない。菅首相に辞めてもらうのが国民生活を向上させる基本である。

 菅政権は、まず「両院制を否定している」といえる。それは、「参議院の審議を侵害」しているからである。参議院で与野党逆転のねじれ現象をつくった張本人は、他ならぬ菅首相自身だ。かつては「良識の府」と稱された参議院はもっと怒るべきである。菅首相は国家の統治とは何かを知っていない。

 この一連の出来事は、野党が欲する「問責決議案提出」のりっぱな理由になる。何故、参議院野党はそれをやらないのか。議会の申し子を自認する私には到底理解できない。

■16人の志士の棄権を批判すべきでない!

 平成23年度総予算の衆議院本会議の採決で、民主党・無所属クラブから会派離脱宣言をした16人の志士は、棄権の態度で抗議した。

 これに対して全マスコミ、そして多くの国会議員は厳しく批判した。「国民を代表する国会議員は、予算審議で賛成するか反対するかのために選ばれている。欠席なんて国会議員の義務を放棄するものだ」という発言は間違っている。「バカも休み休み言え」といいたい。

 衆議院先例集・第297号に「表決権は、これを放棄することができる」という確立された先例があることを知らないのか。国会議員の見識と責任で、それなりの理由があれば「棄権」は権利として認められているのだ。与謝野国務大臣が、「国会議員の役割を放棄したもので議員の資質に関わる」と批判していたが、自民党から立ち上がれ日本、そして無所属となって、菅内閣の主要閣僚となった国会史上最大の無節操の政治家がよく言うわと思う。菅政権の政治運営と政策の破綻、そして国民からの信頼を失った状態への抗議として「棄権」の権利を行使したことは、議会人として立派である。

 岡田民主党執行部は、16人の志士の渡辺浩一郎会長を小沢一郎氏と同じ「党員資格の停止」にしたが、党員資格の停止にすべきは菅代表・岡田幹事長らである。「無理が通って道理が引っ込む」ようになっては、組織は崩壊する。16人の志士の活動は、今は無知な人から批判されても、必ずや歴史の中で高く評価されると私は確信する。

■秋櫻舎での真剣で楽しい談論!

 「日本一新の会」の維持会員で、東京で開かれる行事では多々ご協力頂いている「秋櫻舎」の中谷比佐子代表が主宰する"比佐子つれづれ"に、2月26日(土)参加した。30名近くの参加者で、静岡や銚子、そして長野など遠いところからの人たちも参加していて驚いた。

 中谷代表には「蚕に学ぶ日本一新」というメルマガを執筆してもらったのでご記憶の人も多いと思う。実は私の母方の祖父は、明治17年に、高知農学校の蚕糸科卒業であった。父親は開業医であったが、母親は昭和18年、私が小学校2年まで蚕を飼い繭をつくり、絹糸にして織物まで織っていた。子供の頃からその手伝いをしていたので「蚕」と聞くと実に懐かしい。そのせいか、今でも自宅ではほとんど和服である。

 参加者からの質問が鋭かった。若干紹介しておこう。現役の共産党員の男性が、アカハタの「小沢氏の政治とカネ」報道に、最近疑問を持つようになったこと。さらに、共産党のあり方にも疑問を持つようになったことについて意見を聞かれた。

 私は「資本主義が崩壊的に変質したという歴史観がないせいだ」として、物事の本質を見抜く力が劣化したことに原因があり、小沢一郎という政治家が時代の変化に対応しようとする唯一の存在だ。それが旧体制の人間に嫌われるのだと答えておいた。

 次に、小沢さんの党員資格の停止を慌てて決めた民主党執行部の思惑は何か、との質問があったので、私は「情報によれば、昨年暮れから仙谷氏を中心にある謀略があったようだが、それが原因ではないか」と、説明しておいた。それは、菅首相のままでは統一地方選で惨敗なので、三月に辞めさせ、再び代表選挙を行い前原を代表としたい。そのために小沢さんが立候補できないように、2月までには処分しておく必要がある、ということだと・・。

 その前原外務大臣が、政治資金問題で報道があり、かなり計画が変わったといわれている。これらの情報が正確かどうかわからないが、「火のないところに、煙は立たない」という格言もある。

 そもそも、巨大メディアがこぞってデッチアゲた情報だけで、政府与党民主党執行部が政権交代の最大の功労者小沢一郎を、赤軍派に等しい集団リンチで排除したのが問題の本質だ。これが菅・仙谷・岡田民主党政治の実態といえる。


 秋櫻舎からの帰りしなに「土産」を戴いたが、山陰の生酒で見た目にも垂涎ものだったから触手は動いたものの「おろちの舞」という酒名であったため、事務局に回すようお願いして退散した。

 もっというなら「てんてこ舞」の方が良かったが、この際だから妥協しよう。私のことを「古狸」と公言して憚らない「大分の山猿」にせめてもの意趣返しである。

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◎日本一新の会事務局からのお願い

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Profile

平野貞夫(ひらの・さだお)

-----<経歴>-----

1935年、高知県生まれ。
法政大学大学院政治学修士課程終了。
衆院事務局に入り、副議長(園田直)秘書、議長(前尾繁三郎)秘書などを経て委員部長となる。
1992年、参院高知地方区で当選し、小沢一郎と行動を共にする。
2004年、参院議員を引退。
以降、言論執筆活動に専念する。

BookMarks

-----<著書>-----


『坂本龍馬の10人の女と謎の信仰』
2010年1月、幻冬舎


『平成政治20年史』
2008年11月、幻冬舎


『虚像に囚われた政治家 小沢一郎の真実』
2006年9月、講談社


『ロッキード事件「葬られた真実」』
2006年7月、講談社


『公明党・創価学会と日本』
2005年6月、講談社

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