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2010年8月29日

「日本一新運動」の原点(13) ── 偽造された「世論」は国を滅ぼす!

 8月26日朝、小沢一郎は鳩山前首相と会談して、民主党代表選挙に出馬する決意を、礼節をつくして表明した。

 これで「日本一新の会」の期待通りの局面となり、とにもかくにも、この日本をどう一新するのか、国民の生活・経済の活性化・安全保障の確立などを徹底的に提起し、ポスト"ポスト冷戦"の国家戦略を打ち立てて、わが国の方向性をはっきりと示して欲しい。

 明けて、翌27日の新聞各社の社説を読んで驚いた。小沢氏の出馬について「小沢氏出馬 ── あいた口がふさがらない」(朝日)、「大義欠く小沢氏の出馬」(毎日)、「日本の進路を問う代表選に」(読売)、「『国のかたち』こそ争点だ」(東京)、「主導権争いだけの党代表選なら不毛だ」(日経)、「小沢出馬 国の指導者に不適格だ」(産経)と、みごとなまでに横並びである。タイトルにクレームをつけるのも大人げないとの思いはあるが、不思議なことに、いつ倒産してもおかしくない新聞社ほど、小沢に批判的なタイトルになっていることにお気づきの読者も多いと思う。

 じつにちんけな現象ではあるが、小沢のメディア改革を恐れていると解すれば胃の腑に落ちる。

 「新聞で食えなくなったら不動産で食う」と、私に豪語したのは朝日新聞の幹部だが、これが日本の巨大マスメディアの実体であり、社会の木鐸を自ら放棄していることから、健全なマスメディアは、日本に存在しなくなったといえる。他社の論説内容も似たり寄ったりであり、マスメディアの「大政翼賛会」を、自ら証明してくれている。

 検察審査会で審理中の問題についても、「起訴相当」の議決の可能性があるから出馬すべきでないとの主張をくり返している。この件の問題点については、再三この論説で述べたからくり返さない。

 主張は岡田外相と同じ意見だが、どうしてかくも憲法の原理や議会民主政治に無知な政治記者が多いのか。もしくは、その昔には持っていたはずの「記者魂」を大学に置き忘れたのか、新聞社のロッカーに仕舞いこんで「知らぬ顔の半兵衛」を装うっているのか。

 そうではなく、問題を意識して語っているのなら犯罪的行為であると指摘せざるを得ない。百歩譲って、彼らの論に従えば、議会民主政治は成り立たなくなることも再三述べた。再現すれば、首相にしたくない政治家を検察が不起訴にしても、検察審査会に申し立てて、メディアを使い棚上げにすれば、その政治家の自由な行動を阻止できるわけだ。

 小沢出馬表明の26日午後3時頃、関西テレビの電話インタビューに応じた。相手は山本というアナウンサーだったが、小沢氏が出馬を決意した経過を誠実に答えていたところ、「世論調査で80%の反対を押して出馬することはおかしい」とか、「起訴逃れの出馬か」という無礼千万な質問をした。「検察のリークでメディアが太鼓を叩き、鐘を鳴らして、小沢悪人の世論をつくりあげ、それを大衆にオーソライズさせる。悪質なのは君たちマスメディアだ」と、私は激怒して電話を切った。

 YOMIURI ONLINEに、政治へあなたの思い(http://sum.qooker.jp/O/election14/ja/sp1.html?from=yoltop)という投稿コーナーがあり、小沢氏の立候補に76%の人が「支持する」と答えているが、新聞各社は公式に発表する世論調査との乖離を説明して欲しいものだ。

 同じように、偽造された世論で国を滅ぼした例はドイツだけではない。この日本を戦争の道に導いたのは、当時の朝日新聞をはじめとするメディアだったことは歴史上の事実であり、戦後の新聞はその謝罪から再スタートしたのである。

 小沢出馬をめぐる各社の社説は、「いつか来た道」を、まざまざと思い出すものであり、危険きわまりない社会現象であることを、メルマガ読者諸氏も心に留めていただきたいと切望する。しかし、マスコミの中にも良心と正義を主張する「わずかな」勇士たちがいるので、その一つを紹介しよう。

 新聞各社が国を滅ぼしかねない社説を出した同じ日に、テレビ朝日のスーパーモーニングで、民主党代表選挙をテーマとし、小沢の出馬に関連して、「政治とカネ」が話題となった。生方幸夫民主党議員の小沢出馬批判に対して、週刊朝日の山口一臣編集長は「小沢さんの政治と金の問題は虚構だ」と明確に断言した場面を目にされた読者も多いと思う。反して、同じ民主党に所属する生方議員が、きまずそうにひと言も反論できなかったのが印象的だった。

 西松事件で大久保逮捕以来、私が主張してきたのは「何故、民主党は小沢氏個人の問題としているのか。検察ファッショとして、民主党への政権交代を阻止する検察のあり方を調査、追求すべきだ」であり、それは『小沢一郎 完全無罪』(拙著・講談社)を始めとして、あらゆる機会を通じて述べてきたとおりである。

 当時の菅代表代行を中心に、民主党として取りあげることを意識して避けたのは、今から思うと「小沢排除」の前兆であり、それを巧みに利用した、と仮定すれば、ただいま今日の現象すべてに納得がいく。

 小沢一郎が代表選に出馬することで、「政治と金」(ここは敢えて「金」とする)について説明するなによりもの良い機会となる。小沢氏本人もそのつもりでいるし、メディアも正面から聞き取ってくれれば、それで少しは報道の姿勢も変わるだろう。

 余談ではあるが、七月下旬、野中元官房長官と久しぶりに会う機会があり、その時に野中氏が、仙谷官房長官が『いろいろ』と相談に来ていることをふと漏らしたが、私はそれを聞いてたいへん驚いた。

 ところで、この機会にメディアに言いたいことがある。それは、私の経験則に従えば、「内閣機密費」が代表選に使われる可能性が大であることだ。例えれば、すでに毒饅頭を食べた顔、さらには、もうすぐ毒饅頭が手に入る顔、そしていかにも欲しそうにしている顔、こんなことは、よくも悪しくも50年近く永田町の片隅で生きてきた私には、テレビに映る政治家の、その顔、立居振舞を見ればほぼ分かる。

 これはまた、政治評論家、論説担当など、斯界にいる人々も同じであることも付記しておきたい。

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2010年8月25日

「日本一新運動」の原点(12) ── 西松・陸山会問題の真相

 民主党代表選挙に小沢一郎氏が出馬する可能性が強まるにつれ、党内外から暴論・珍論が噴出している。「検察審査会の結論が出る前に出馬すべきでない」という意見だが、これがマスメディアも交えて「小沢排除」の世論づくりに利用されている。

 そこで、坂本龍馬の「四観三元論」を活用して、西松・陸山会問題を私の立場で総括しておく。

■西松・陸山会問題の真相

 今年4月、私は『小沢一郎完全無罪』(講談社刊)を緊急出版した。その目的に、自民党政権と特捜検察、そして巨大メディアがタッグを組んだ「検察ファッショ」であり、これでは日本の議会民主政治は崩壊すると警告しておいた。

 特捜検察は、西松事件で1年間にわたり10億円を超えると言われる税金を使い、総力を挙げて小沢一郎を逮捕起訴すべく捜査を行った。結果は、逮捕起訴できず、政治団体「陸山会」の収支報告書の虚偽記載で、秘書を逮捕起訴した。従来の政治資金規正法の運用では、問題にされなかったことだ。起訴となった案件について、総務省の担当から何の注意も行政指導もなかった問題である。

 しかし、敢えて強制捜査を行ったのは、特捜青年将校の暴走である。官僚支配政治を改革し、検察の特権を縮小しようとする小沢一郎を葬ろうとする政治的謀略であった。さらに、麻生元首相らが、政権交代を阻止するために「指揮権発動的」なことを行ったが、それでも賢明な国民は、昨年8月の総選挙で、政権交代の民意を明確に表明した。

 そして本年1月、特捜は水谷建設がらみで石川知裕衆議院議員(元秘書)を逮捕し、小沢の「政治とカネ」は新しい事態を迎える。月が変わった二月四日、特捜は「小沢不起訴」を決定した。

 これで一段落かと思いきや、翌5日には、ある人物たちが地検判断を不服とし、東京第5検察審査会に「審理の申立て」を行ったが、あまりにもその手際の良さというべきか、事前に謀られたと邪推すべきか、胃の腑に落ちない思いをするのも私一人ではないだろう。

 そして4月27日、「起訴相当」を全会一致で議決し、小沢を「絶対的独裁者」と、その理由書に書いたことが話題となり、小沢の「政治とカネ」が再びメディアからの攻撃の標的となる。私は「指揮権発動的行動」の傍証を得ており、5月22日、高野孟氏が主宰する、「THE JOURNAL」に『西松事件・大久保秘書逮捕の真相を究明すべし!』を寄稿した。これはネット上で大反響を呼び、その余韻は今でも残っていて、グーグルで検索すると、3万件強もヒットするとのことである。

 実はこの問題に関して、6月2日は民主党の「司法を考える会」に招請され、詳細な説明を行う手筈になっていたが、折悪しく鳩山首相の辞意表明で会合は中止となった。

 話題の中心は「第5検察審査会」の奇っ怪な動きである。いずれ真相は明らかになろうが、専門家が現在問題にしていることを紹介しておく。

1)陸山会の職員宿舎建設のための土地購入を「利殖目 的のための土地購入」と誹謗し、政治資金を利殖のための土地購入代金にあてるという反社会行為を断罪するために東京地検特捜部は起訴すべきであるとする名誉毀損の誣告によって小沢一郎と陸山会の正当な政治活動の妨害を図ることを策した人物は、反社会的活動団体所属であり、かかる「申し立て」を受理したことそのものに問題があったこと。

2)市民代表の審理補助員に、米澤俊雄弁護士という人物を選任した経緯や行動に問題があるといわれていること。

 漏れ聞くところによると、関係当局は検察審査会のあり方を含め、小沢問題の処理に困惑しているとのことである。

 以上が「西松・陸山会問題の真相」であり、「検察審査会の実体」である。小沢一郎の代表選出馬について、渡部恒三前顧問、岡田外相、蓮舫大臣らが検察審査会がらみで、小沢氏の出馬を妨害・阻止する発言を繰り返しているが、じつに滑稽である。さすがに原口総務大臣が「推定無罪の原則が民主主義の鉄則だ」として、検察審査会の政治利用を批判している。認知症が心配されている渡部老人の発言は評の外に置くとして、岡田外相と蓮舫大臣の発言は憲法の原理に反する。このことは、彼らよりも数倍の年月、そして、彼らよりも深く、強く憲法と向き合ってきた私からの警告でもあることを明記しておこう。

 国民から多数の負託を受け、聡明であるべき民主党国会議員が、これらの讒言に影響されるようでは近代政党とはいえないし、負託された国民への裏切りであることも明確に指摘しておく。

■小沢氏が「政治とカネ」で追求される理由

 小沢氏は、田中角栄、金丸信、竹下登の後継者といわれる負の遺産を背負いながら、自民党政治を崩壊させてきた。その恨み・辛みと、嫉妬の固まりが虚像となって、いわれなき攻撃を受けているのが、「小沢攻撃」の本質である。

 小沢一郎の政治資金についての考え方は、父親・小沢佐重喜氏の信念に基づいており、誠実に法を守っている。

政敵やメディアが垂れ流す情報は断じて事実ではない。政治団体が不動産を購入することも、法に基づいた浄財の有効活用のためであり、俗説・風説に惑わされるべきではない。

 「政治とカネ」で小沢氏が批判される切っ掛けとなったのは、平成十二年四月、自由党が保守党と分裂した時である。政党助成金を含む党の資金を保守党にも分配するという小沢党首の意向に、私が強く反対して分配できなかったことがその要因である。

 強い批判を受けたが、すべて自分の責任として一切弁解しない。こういうことが誤解されて、メディアの標的になり続けているのである。

■民主政治を危うくする情報操作

 8月23日の夜から、小沢一郎の代表選出馬はないとの情報が流され始めた。菅支持派からのもので、鉢呂氏を入閣がらみで選対本部長にすることで旧社会党を取り込んだ。仙谷官房長官と川端氏の関係で旧民社党の支持を取り付けたというものだ。

 これに影響されて、各メディアも口を揃えて「小沢の出馬はない」とのコメントを始めるようになったが、これほど議会制民主政治を冒涜するものはない。このメルマガで幾度も述べてきたが、代表選挙は理念・政策で争うべきであり、旧来の手法である人事で離合集散をくり返せば、これこそ官僚支配に終始した自民党政治の復活でしかない。

 菅民主党政権が発足して約3ヶ月、この間、政権交代の党是を放棄し、官僚支配の自民党政治より一層悪質化した。代表選は、菅首相のままで国家と国民の存立ができるか否かを問う唯一の機会であるとともに、大多数の国民の意思である政権交代の大義を全うするのか否か、政権与党を構成する人々の覚悟が問われている。

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2010年8月24日

「日本一新運動」の原点(11) ── 民由合併の真相

 坂本龍馬が北辰一刀流の思想である「妙見信仰」を学び、会得したなかに、「四観三元論」がある。ものごとの本質を見極めて、判断・行動するというものだ。これを応用し、国難の渦中にありながら、無責任にも迷走中の「民主党の本質」を論じてみたい。

 「四観」とは、ものごとを、

1)「高観」高いところから観る、
2)「離観」離れたところから観る、
3)「影観」隠れたところから観る、
4)「光観」見えやすいところから観る、

 により、客観的に観察・認識して本質を掴めという教えである。

 「三元」とは、例えば「黒と白」とは絶対的対立ではなく、黒に光を強く当てると灰色となり、白に近づく。「黒と白」をコントロールしているのは「光」であり、これをして「律」とか「中庸」という。

 人間社会の諸問題は、「律」が何であるかを探しあてることにある、といっても過言ではない。「律」とは、古代中国では「一筋の道」を意味し、和訓では「のり、さだめ、おきて」を意味する。さらに、説文解字には「均しく布くなり」とあり、特別の意味を持つ漢字であることも付記しておこう。

■民主党と自由党合併の真相と苦難の道

 現在の民主党混迷の原因は、民・由合併時の原点にあることから、まずはそこを検証しておきたい。

 平成14年11月、当時の鳩山代表が提唱した合併の提案には、「国家と国民のため」という崇高な思想があった。自由党の小沢党首は、その心意気に感じ、無条件で了承したが、肝心の民主党内がまとまらず失敗し、鳩山代表辞任の引き金となった。

 その後、菅代表となって合併協議を引き継いだが、議論は進化せず、平成15年5月に協議の打ち切りとなった。菅代表には、鳩山氏が有していた「思想」の欠落があったからである。

 一方の自由党は、6月に入ってから民主党との合併は行わないと決し、秋にも予定されている総選挙と、翌年の参議院選挙を自由党独自で戦うべく、候補者擁立などの準備に入った。ところが同年七月中旬、菅代表が唐突にも自由党との合併話を蒸し返してきたのだが、これには民主党内の複雑な内部抗争があり、今日の問題の原点はここにある。

 当時、鳩山グループに所属していた合併派の友人から相談を受けたが、菅執行部と鳩山グループとの間に、党のあり方について深刻な意見の対立があったという。合併に消極的な菅執行部を鳩山グループが激しく突き上げ、9月には民主党を離党して、自由党と合流したいとの動きが始まったというのだ。これからは私の推測だが、菅代表はこの鳩山グループの動きを察し、機先を制して唐突に小沢自由党に合併協議を申し込んだのではないか。菅代表と小沢党首の極秘会談は続き、7月23日深夜、民主党の条件を丸呑みして協議は成立した。

 私は、菅代表が党内権力を維持することだけを目的とした合併話であることを知っていたから、この話には反対だった。しかし、小沢党首は「このまま自公政権が続くと国民生活は崩壊する。日本に与えられた時間はもう少ないのだ」と語り、「必ず民主党で政権交代をしてみせる」と宣言し、自由党内をまとめた。

 民・由合併の時点で、鳩山と小沢の間では「自公政権を崩壊させ、国民生活を守る政権を創る」という基本戦略を共有していた。しかし、当時から、民主党内には小泉政治に同調するネオ・コン派が暗躍しており、菅体制は党内派閥のバランスをとる「弥次郎兵衛」が実情であった。

 その後、年金問題や郵政民営化などで党内外は紛糾する。前原代表の就任で「小沢一郎の出番はない」といわれるようになった時、件の「偽メール事件」が勃発した。

 急遽、小沢代表の登板と指導により、民主党は変貌し、小沢─鳩山─菅のトロイカ体制が組まれ、平成19年、「逆転の夏」と命名した参議院選挙を勝利し、政権交代への道筋を明らかにした。

 先を急ぐことから、この間の経緯は端折るが、小沢代表の「政治とカネ」の問題はこの歴史の中から出てきたものである。

 検察は、この約1年間、10億円を超える費用と多大な人員を駆使した西松事件の捜査も小沢本人を起訴するには至らなかった。要するに、事件的要素はなかったのである。

 問題となっている検察審査会への告発も、受理することが疑問視される人からのものであるといわれているし、小沢一郎を政界から排除することで既得権を維持しようとするのは、旧体制官僚や巨大メディアだけではないことは、民主党政権の閣僚たちが、小沢一郎の代表選出馬を阻止すべく、珍言暴言を繰り出していることからも明かであろう。

■民主党の党是に反する菅首相の言動!

 6月4日に菅直人氏が代表に就任した民主党は、はたして議会主義政党であるのか否か、疑問を持つのは私一人ではないと思う。

 昨夏、政権交代が実現できたのは、「官僚支配政治の改革」、「国民の生活が第一」の政治を行うことを国民に約束したからである。菅首相はそれらの約束を反故にして、小泉政治の再現を連想させる弱肉強食の、ネオ・コン官僚政治を復活させた。さらには「消費税10%増税を平成12年度中にも実施」と暴論を提起し、参議院選で惨敗した。これらは先の政権交代で約束した党の基本方針に明らかに違反している。

 政党運営の基本に照らせば、明らかな党規違反であり、菅代表・枝野幹事長・玄葉政調会長は党紀委員会に提訴され、その責任を追及されるべき立場にある。政党のよって立つべき基本方針や党是が、いとも簡単に反故にされ、遵守されないようではその政党に信頼は生まれないし、そしてまた将来性もないことは自明である。

 自衛隊、日米安保違憲を党是としていた日本社会党が、自社さ野合政権のために党内論議も経ずして、一夜にして党是を変更し、その2年後に崩壊したのは記憶に新しいし、この歴史的事実を、民主党に所属するすべての議員諸氏は忘れてはならない。

 同時に、9月14日に行われる民主党代表選は、民主党の党是に反した菅代表の責任を問うことが最重要課題であることを、党員・サポーターの皆さんも、深く心にとどめて欲しいと切望する。

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2010年8月21日

「日本一新運動」の原点(10) ── 国家を危機状況に追い込むメディア権力

■政治家である前に人間であれ!

 8月17日、新任の西岡武夫参議院議長の事務所を訪ねた。私の人生の師・前尾繁三郞元衆議院議長の遺稿『十二支攷』(全六巻・思文閣刊・絶版)を議長就任の記念として届けるためである。

 「攷」は「考」と同じ音訓で、漢字学では同訓異義に分類されるが、意味も同じである。つまり、十二支は干支であり、それに当てはまる祖型の漢字(甲骨文字をいう)を考察し、そこから転じて人としてのあり方を説いている。ただ一般の人には難解で、かなり漢字学を消化していないと読めない。曰く「説文解字」、「羅振玉」、「和漢合運暦」、「和名類聚抄」など、和漢の古文書と首っ引きの本であり、その碩学ぶりが読み取れる。この『十二支攷』付録冊子には、縁あって私が執筆した「前尾学について」が載せてあり、前尾議長がどんな気持ちで、議長職に臨んでいたか、西岡新議長の参考にとの思いがあった。

 前尾先生は、戦後最大の学識と見識をもち合わせた政治家で、「人間と政治」の研究がライフワークであった。議長秘書として薫陶を受けた私は、「政治家である前に人間であれ」という遺言を生涯忘れることができない。この意味は「常識と誠実さを持つ人間が、政治家になるべきだ」ということになる。

 菅首相の言動ほど、この遺言に違えたものはない。政権交代の原動力となった「国民の生活が第一」を放棄し、消費税を10%とする増税論を得意げにぶち上げ、民主党の党是に反した言動をくり返した。加えて、参議院選挙惨敗の責任も何らとろうとせず、円高の経済危機に何の対応もしない。私は明治以後の議会史をそれなりに繙いたつもりだが、未だ同じケースを探しあてないし、多分ないだろうと思う。 

 こうなると菅首相の政治家の資質という以前の、人間としての資質に疑いを持たざるを得ないし、良識ある国民も同じ思いを抱いていると、確信に近いものがある。

■朝日新聞社説の驚くべき不見識!

 先に朝日新聞の「天声人語」を批判したが、またもや、8月16日の朝日新聞社説は『党首選のあり方--政権交代時代にあわない』との見出しで、民主党の代表選挙に二つの疑問を投げかけ、社会の木鐸たる責任放棄をやってのけた。 

 第一の疑問は「仮に菅首相が敗れれば、新代表が首相になる。毎年のように首相が代わったあげく、今度は三ヶ月でお払い箱か。こんな短命政権続きで日本は大丈夫か」というものだ。

 現下の危機状況の日本を一新させるためには、代表・首相の資質、見識、能力などが選択の基準になるべきであり、首相に不適正で、無能で人間性に欠陥のある人物が政権を続けることになれば、国家の危機が拡大するだけであることはいうまでもなく、これも同じく先に述べた。

 民主党代表選挙は、投票権を持つ党員・サポーターの自由な判断に任せるべきで、朝日社説が菅首相の続投を誘導することは、民主党に対する重大な「内政干渉」であり、戦前の、いつか来た道の繰り返しであると怒りを覚える。

 第二の疑問は、「菅氏は先の参議院選で自民党に敗北しても辞めなかったのに、なぜ一党内の手続きに過ぎない投票の結果次第で辞めなければならないのか」というものだ。これもまさに議会民主政治の根本を理解せず、政党政治を冒涜する暴論である。仮に菅氏が代表選挙で敗れても、その見識と政治力と人間性が評価され、日本の危機を解決できる政治家であるならば、国会が菅氏を首班として指名し、政権を続けられることを憲法は担保しているのだから、まったくの「暴言」でしかない。

 朝日新聞はどうして菅首相の続投に拘るのか。菅首相の人間性と政治力のどこを、どのように評価するのか、そこを書いて続投論を述べるべきである。なのに「通説」を装い世論を誘導する。

 繰り返しいうが、朝日新聞の質的劣化には驚くばかりだ。朝日だけでなく、巨大メディアのほとんどが菅首相を続投させる世論づくりを始めている。この背後に何があるのかよく検証すべきだ。

■国家を危機状況に追い込むメディア権力!

 20世紀後半はテレビの発達もあって、巨大メディアが第四権力として国家社会に大きな影響を持つようになった。メディア権力に立法、行政、司法の国家権力さえ、悪い影響を受けるようになった。情報社会が進んだ平成時代に入って、さらにその傾向が強くなったが、健全な情報社会を創設するには、日本でも次に列記するメディア改革が、是非とも必要である。

1)クロス・オーナーシップ(新聞とテレビの共同経営)の禁止。

2)国民の共有財産である電波使用料がきわめて低廉で、既存局優位に偏っており先進国並みに電波オークション制度の導入。

3)中央、地方官公庁の記者クラブ制の廃止。

 である。

 ネット社会が進むなかで、巨大メディアは経営に苦しみ、多くのメディアは宗教団体などに依存しているのが実情であり、その要因はマスメディアとして、視聴者・読者の信頼を失っているからである。小沢一郎が、何故、巨大メディアから嫌われ排除されるのか。その理由は、これらのメディア改革を本気で実現するからだ。私が体験した小沢排除の実例を述べておこう。

1)新進党時代、熊谷弘氏の呼びかけで日本テレビの貴賓室を訪ね、氏家会長や渡辺読売新聞会長から高級なフランス料理をご馳走になった。その時に、この二人から「小沢一郎から離れろ」と強く説得された。

2)本年3月31日、日本テレビは「わかりやすい政治特番組」を放映した。小沢一郎はどんな人物で、何を考えているかを、約一時間、私を中心にして収録を終えた。仔細あって、追加取材まで受けたのだが、放映前日の夕刻、「ある事情で該当部分が放映できなくなった」と連絡があった。

 近年の巨大メディアは、まず政権交代を阻止する戦略を練っていた。それなのに、図らずも民主党政権となり、次は「小沢首相は絶対阻止する」との戦略に切り替え、西松事件も陸山会事件も、検察とメディアの暗黙の流れにあった。

 今回も同じように、民主党の代表選挙でも菅政権とメディアの阿吽の呼吸が聞こえてくるし、朝日の社説もその流れにあり、メディアのむちゃくちゃな強い意志を私は重視している。

 されば社会の木鐸は世上から消えたのか、否「ネット」がある。ネットは「情報の産直」であり、だれも手心を加える術がない。ネットから日本一新はできるのだ。

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2010年8月16日

「日本一新運動」の原点(9) 臨時増刊

 9月14日の民主党代表選をめぐって、党内外が緊張してくるのは当然のことであり、特段の話題にもならない。今朝の毎日は「政局『凪』でリラックス」と見出しを付した記事を書いているが、「的外れ」とだけは指摘しておこう。

 さても、憲法で基本的人権が保障され、かつ「言論と行動の自由」も明確に保障されているわが国では、個人の資格で何を言おうと、何をしようと自由であることはいうまでもない。

 だがしかし、国政を担い、就中外務大臣という要職にある人物の問題発言については、きびしく警鐘を鳴らし、先例とならない手立てを採っておくのが、長い間国会事務局に身を置いた私の役目であり、引いては日本一新運動の根幹にも関わることであることから、臨時増刊として一筆を認めた。

■岡田外務大臣発言の重大性!

 8月13日に朝日ニュースターの収録番組で、岡田外務大臣が小沢一郎氏の民主党代表選出馬に関して「検察審査会の結果が出ていない段階で、『首相』になり、審査会が起訴相当、不起訴不当と結論を出すのは考え難い」と述べたと報道されている。この岡田発言の意図するところは「検察審査会の結論が出ない段階で、民主党代表選に出馬(代表に選ばれれば『首相』となる)するのは避けるべきである」ということを、婉曲にいったものである。岡田外務大臣の、政治家としての見識や判断に幼児性があることは斯界ではよく知られていることであり、些末なことに驚くには値しないが、この度の発言は、立法・行政・司法という三権分立を定めた憲法の基本原則さえも知らない何よりもの証拠となる。憲法を遵守する立場では、本来三権は緊張関係にあるもので、特に司法権との関係でいえば、最高裁の最終判断が決定するまでの間は「推定無罪」とするのが、庶民であってもイロハのイである。従って、それを知らなかったとすれば、それは庶民以下の存在でしかなく、国政の要職を務めるには不適である。

 百歩譲って、それらを知って上での岡田発言なら、小沢一郎という政治家の言動に干渉し、行動を制約し、その政治生命を奪うことを意図していると断ぜざるを得ない。

 よって、この発言は、先に批判した菅直人氏の「小沢は、党のためにも自分のためにも、日本のためにも静かにしておけ」という暴言と同根・同質のものでしかない。

 検察審査会の結論と政治家の行動とはまったく別次元の問題である。岡田氏の論理に従えば、検察が仕組んで、首相にしたくない政治家を検察審査会で棚ざらしすれば阻止できることになる。これは「検察ファッショ」として別の機会に論じたことから割愛する。

 小沢一郎の「政治とカネ」の本質は、麻生政権が検察を使って「小沢潰し」を図り、マスメディアが鐘と太鼓でそれを煽りつづけ、かつ、検察審査会で棚ざらしにしたものであり、それはとりもなおさず、岡田外相の思惑どおりの展開となっているが、如何・・・・。

 私はここまで馬脚を見せられると、菅首相や岡田外相に腹を立てる気にはならない。それは彼らが良質な政治家ではなく、日本の民主政治や、国民利福にはものの役に立たない人たちだと見限ったからである。

 この時期に、「無性に腹が立つ」のは民主党所属国会議員、特に、小沢グループと称される政治家たちにである。猛暑に呆けたのか! もっと怒り、抗議するのが君たちの「いまの仕事」ではないか。

■国家危機に対処する代表戦と思え!

 猫の首輪ではあるまいに、コロコロ首相を変えるのは確かに褒められたことではない。しかし、歴史観もなく政治や経済にも洞察力がなく、日本の歴史に残る「政権交代」を実現した「国民の生活が第一」の公約をかなぐり捨て去り、消費税の増税という官僚政治に、「みごと」の三文字を冠して取り込まれた菅政権が続けば、それは、はるかに国益を違え、国民を辛苦の谷底に突き落とすこととなる。

 菅首相の最大の問題は、財務官僚から振り付けられた「財政再建」をひたすら叫び続けていることにある。日本が国家的存亡の危機にあるという認識に欠け、「財政再建」に拘れば、財政再建はおろか、現下の国家危機をさらに深刻にするという洞察力に欠ける。

 いまこの時期は、総合的な国家危機解決対策を実現しなければならないのが常識中の常識である。小沢一郎は十七年前『日本改造計画』を世に出し、大ベストセラーとなった。それは、ポスト冷戦下の国家戦略であり、以後、日本の政治はこれを軸に動いたといっても過言ではない。いま、国際社会は大きく動いている。ポスト〝ポスト冷戦〟といわれる世界での国家戦略を、次の代表戦で議論するべきだ。その構想を持ち、同時に、実行できる行動力と、より以上に求められる胆力を保持しているのは小沢一郎だけであり、多くの国民はそのことをよく知っている。

 オバマ米大統領は〝グリーン同盟〟という新しい政治を構想し、軍縮と金融資本規制と、福祉環境政策を断行している。欧州でも経済危機の中〝トランス・ハーモニー〟(調和資本主義)の政策を思考するようになった。

 小沢一郎は平成18年9月の民主党代表選挙で、「私の政見」を発表しているが、そこでは、「人間と人間、国家と国家、人間と自然との『共生』を国是とする」と宣言して代表となった。これこそが「日本一新運動」の理念である。敢えて民主党の小沢グループ国会議員に告げる。一日も早く『共生社会』への政策を立案して、小沢一郎が生命を懸けて活動できる環境を創って欲しい。これこそが、昨夏の政権交代の大義であり、いま君たちがなし得る最大の仕事、それも歴史に遺るであろう大事業のさきがけである。

 今こそ「指示待ち」を排し、ひとりひとりの奮起を熱望するが、昨夏には300有余の議席を委ねた、国民大多数の意志であることも併せて認識して欲しい。

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2010年8月12日

「日本一新運動」の原点(8)── 参議院の存在意義を確立するには何が必要か

 8月8日(日)の午前、「テレビ朝日」のサンデーフロントラインに生出演した。『どうする参議院』というテーマで、キャスターはニュース番組で名を馳せた小宮悦子女史、ゲスト出演者は、松井孝治(民主党)、山本一太(自民党)の参議二人と、岩井奉信日大教授(政治学)、そして私だった。コメンテーターとして藤原帰一東大教授(政治学)に、星浩(朝日新聞編集委員)もスタジオ入りしていた。

 地上波テレビが、「爆弾発言」を連発する私を生出演させることは珍しいことであり、かつ格好の機会でもあると思い快諾したが、時間の制約もあって、言い足りなかったことも含め論点を整理しておきたい。

■ねじれ国会は悪いのか!

 そもそも番組のモチーフが、「ねじれ国会が日本の政治のためにならない」というものであり、菅首相が政権運営で混乱するようになることを心配する背後を強く感じた。岩井教授が実例を挙げて問題点を指摘し、「ねじれ国会が悪い」という雰囲気になったので、私が冷水をかけた。

「選挙の結果は国民の、有権者の絶対的意志だ。衆参のねじれを良い、悪いにつながることで論じることは国民主権を冒涜するものだ」と。

 ちなみに、参議院の63年間の歴史で、与党単独過半数の時期は、自・社55年体制の23年間だけだ。野党多数のねじれは、18年、与野党伯仲が6年間、連立の16年間も決して安定したものとは言えなかった。議会の仕組みとして二院制を採用する国では起こり得ることで、民主政治の当然の現象なのだ。政権運営を上手にやるという問題と一緒くたにしてはならない。 

■問題の本質は菅政権の信頼感にある

 議会政治で第一に重要なことは、主義・主張を異にしても、構成する国民、政党間に真の信頼関係が醸成されなければならない。国民の多くが「ねじれ国会」を心配するのは、菅政権に対する信頼感に疑問があり、国政を委ねることに大いなる不安を抱いているのが真因である。

 それは、

1)鳩山首相が交代した直後の、「クーデター」を想起させる唐突な「小沢切り」。
2)菅政権発足後の会期末、議会政治の崩壊を招いた稚拙な国会運営。
3)消費税増税論に象徴される、民主党基本方針の独裁的変更。
4)選挙中の、議会政治にあるまじき独善的言動。
5)選挙惨敗後の無責任体制と無気力政治。

 などが、自民党政治への復帰を連想させ、官僚支配政治までも復活させて国際的にも批判を受けている。

 自民党、公明党、みんなの党などは、民主党と基本政策でイデオロギーによる先鋭的な対立はない。それなのに信頼関係が生まれないのは、菅政権の体質に問題があるからだ。彼が反省し、膝を屈して謝っても、菅首相を信用できない何かがあると理解した方が自然である。それは120年間続いた日本の議会政治で、菅政権の施政に政治文化として異質性を感じているのが、私一人ではないという証左でもある。

 「ねじれ国会」でも、海部政権は湾岸戦争に対して応分の国際責任を果たしたし、続く宮沢政権はPKO法を成立させた。むろん、紛糾もありはしたが、一部の政党と真実の信頼関係があったからなし得た成果であることはいうまでもない。

■参議院の存在意義を確立すべし

 「衆議院の行き過ぎをチェックし、補完する」ことが参議院の役割とされている。これを「あいまい」と論じたのが政治学者の岩井教授だったが、私は「政党政治の弊害をなくする」という明確な役割があると反論した。

 この役割を果たしていたのは、昭和20年代だけであった。それ以降、参議院は政党政治弊害の集積場と化した。特に昭和56年の拘束式比例制、平成12年の非拘束式比例制の導入が、決定的に参議院を政党に従属せしめた。

 戦前、貴族院の改革が何度か主張されたが、全部失敗した。その結果、検察ファッショ、天皇機関説事件、2・26事件と戦争への道をひた走ることになったのが歴史の証明でもある。

 二院制はあり方によっては国を滅ぼす。政治学者はもっと歴史を研究し、かつ学び、それをもってして有権者を善導しなければ、無能のそしりを免れない。

 参議院が野党多数となったことに問題があるのではない。与党内、与・野党間の、そしてまじめな有権者から信頼されない菅政権の「反議会政治性」が問題なのである。そして参議院を構成する選挙制度、政党を指導できる人材の確保をどう担保するのか、参議院の改革が急務であることは論を俟たない。

 しかし、闇の中にある参議院に一筋の光がさしこんできた。それは議長に西岡武夫氏、副議長に尾辻秀久氏が選ばれたことだ。私は二人の人格と見識を信じ、日本の改革を期待している。同時に、放映後私に直接、間接的に寄せられたご意見を識ると、国民の健全性に改めて勇気を得る思いでもあった。

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2010年8月 6日

「日本一新運動」の原点(7)── 朝日新聞も理解していない菅首相の政治責任

 参議院選挙を受けた第175回国会が、7月30日に召集された。この機会に言いたいことは山ほどあるが、その前に、どうしても看過できない問題について今回は論じておく。それは、本来ならばわが国の世論をつくるべき、天下の朝日新聞の『天声人語』(7月31日)の記事に関することである。

■菅首相の参議院選惨敗はミスなのか

 天声人語氏によれば、7月29日の民主党両院議員総会の有り様について、「この党を見限った人もおられよう」と菅首相及び、民主党執行部を追求した議員を批判していたが、正確を期するために関係個所を引用したい。

おとといの民主党両院議員総会の有り様に、この党を見限った人もおられよう。政治の暗雲低い中、お天道様だけが無遠慮なほど元気だ。列島が陽(ひ)に灼(や)かれ、雨に叩(たた)かれた7月の言葉から▼甲子園をめざす球音が各地でこだました。かつて栄光を刻んだ野球評論家の桑田真澄さん(42)が球児らに、「ミスをなくそうとムダな努力をするよりも、ミスから学ぶことのできる選手の方が成長が早い」。皆でミスをカバーし合うのも喜びであり充実だ。政治屋サンにはそれもないが

 これは桑田真澄・平田竹男氏共著の『野球を学問する』(新潮社刊)から「ミスから学ぶ」を引用して「政治屋サンにはそれもない」と揶揄しているが、この記述は不見識で、読者を混乱させ、かつ社会の木鐸であるべき義務を放棄した記事と断ぜざるを得ない。同時に、人間の社会を支配する「政治の本質」を知らないのだろう。

 「政治」はスポーツと違って、国家社会や人間の存立を直接支配するものである。国家の最高権力者ともなれば、戦争をすることも、人を生かしたり殺すこともできるのだ。無論、政治のミスで仲間がカバーすることができるものもある。しかし、菅首相が犯した参議院選惨敗の原因、小沢前幹事長への人権侵害・冒涜、クーデター的ともいわれる基本政策の独断変更、並びにその後の政治責任に対する無自覚さは重大であり、これらはミスではなく、「政治犯罪」にも等しいことを私たちは思い知らねばならない。日本のマスコミがこれらの問題を正確に報道・論評しないことに問題がある。

 議会民主政治では、権力者の政治責任を憲法で明記しないもの。それは憲法の上位に位置する不文律=条理だからである。この感性と見識を失った政治家は、当然にその人間性と資質が問われなければならない。政治家だけではなく、マスメディア全体が持つべき感性なのだ。

 天声人語氏にはこの感性が失われている。ということは『朝日新聞』にこの感性が失われている証明にほかならない。天声人語氏は、

今の子どもたちは情報の感じ方が目と耳だけになっている。手でさわる、においをかぐ、味わう。5感全部をよみがえらせると生き生きした子どもが戻ってくる

 と、他人の意見を引用しているが、このことばは、子供にではなく、天声人語氏および、朝日新聞社にこそ向けられるべきであろう。また、他のマスメディアについては論じるまでもないだろう。

■菅首相の人格的本質を知るべし

 日頃、私が尊敬している有識者たちが(氏名は敢えてふれない)テレビのコメントや評論などで、オヤッ!と思う発言を気軽に発しているのが気に掛かるが、それは〝菅首相の責任問題〟である。確かに短期間にクルクルと首相が変わることは「国際的にはもちろんのこと、国内政治の、就中国民の生活にとってよくないことである」と、一般論としてはその通りである。しかし、民主党を応援する有識者が、菅首相について本当にそう思っているならこれは問題である。菅直人という人物が政治家としてのみならず、ひとりの人間として資質や性質を、真剣に考えたうえのことだろうか、私には甚だ疑問を禁じ得ない。市川房枝参議院事務所時代、関係者の菅氏に対する人間不信は自明であり、いまさら私がいうまでもない。さらには、昨年他界した田英夫氏の厳しい批判も思い起こす。

 原点(3)でもふれたから繰り返しにはなるが、敢えてもう一度書いておこう。それは平成19年の1月から菅氏本人と小沢民主党代表(当時)の要請で、国会運営や政権交代後の準備などを中心に、アドバイザー役を仰せつかった。もちろんのことノーギャラである。自公政権の国会運営への対応だけでなく、政権交代した時の対応などについて、徹底的に議論したし、「民主党の政権担当能力」についても話題になり、「自己抑制力」の話もした。ところが、どうした弾みか、平成21年3月の大久保秘書逮捕事件以後、プッツリと何の連絡もなくなった。アドバイザー役時代の印象は、理念や基本政策の話はほとんど受け入れず、如何にして民主党内の現実的イニシアティブを握るかに関心が強かったように思う。政治家の政治的症状を診断するのが私の仕事のひとつだが、『似非市民運動型無思想性免疫不全候群』とでもしておこう。

 政権交代の大義を放棄した菅首相の言動は極限に達している。この人物を首相として継続させるかどうかは、9月の民主党代表選にかかっているが、これは政党政治としての制度によるもので、党の適正な決定を待ちたい。

 巨大メディアが不作為に仕掛けている「菅代表で首相継続の雰囲気」は、既得権を墨守しようとするメディア権力の戦略だ。資質と能力に、甚大なる疑問符を抱く人物を、首相として続けさせることは、民主国家としてもっとも危険なことであり、かかる人物を戴く国民には塗炭の苦しみが待っている。

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2010年8月 3日

わかりやすい国会の話[第21回]昭和時代の議会政治(8)

 吉田首相は、第2次から第5次まで内閣を続け、昭和29年12月7日に政権運営に行き詰まり総辞職する。政権を担当した5年間で講和条約と日米安全保障条約により、敗戦処理と戦後復興を行った。

 昭和23年12月23日、吉田首相は少数単独内閣を解消するため衆院を解散。翌24年1月23日総選挙を実施した。結果は、吉田総裁が率いる民自党が264人の絶対多数を得た。民主党連立派との提携も成功し、参院緑風会との協力関係もでき、順調な発足となった。吉田政権は、米ソ冷戦でGHQが変更した占領政策に取り組んでいくことになる。ドッヂ九原則やシャープ税制改革らであった。

>>続きは「Infoseek 内憂外患」で

Profile

平野貞夫(ひらの・さだお)

-----<経歴>-----

1935年、高知県生まれ。
法政大学大学院政治学修士課程終了。
衆院事務局に入り、副議長(園田直)秘書、議長(前尾繁三郎)秘書などを経て委員部長となる。
1992年、参院高知地方区で当選し、小沢一郎と行動を共にする。
2004年、参院議員を引退。
以降、言論執筆活動に専念する。

BookMarks

-----<著書>-----


『坂本龍馬の10人の女と謎の信仰』
2010年1月、幻冬舎


『平成政治20年史』
2008年11月、幻冬舎


『虚像に囚われた政治家 小沢一郎の真実』
2006年9月、講談社


『ロッキード事件「葬られた真実」』
2006年7月、講談社


『公明党・創価学会と日本』
2005年6月、講談社

→ブック・こもんず←



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