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« 「友愛と共生社会」の実現へ(4)──日本人とユニテリアン思想
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「友愛と共生社会」の実現へ(6)── ユニテリアン思想の転換 »

「友愛と共生社会」の実現へ(5)── ユニテリアン思想の啓蒙と挫折

【編集部より新刊のご案内】
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平野貞夫著:わが友・小沢一郎(幻冬舎)

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 福沢諭吉のユニテリアンに対する考え方は、明治23年(1890)3月発行の『ゆにてりあん』第1号に載っている。

「教えの目的は人類の位を高尚にして、努力の働きを自由にし、博愛を主とし、一個人一家族の関係に至るまでも、之を網羅して善に向はしむるにありとのことなれば、都て是て現在の人事にして、余輩宗教不案内の者にも甚だ解し易く、果たして其実効を奏せんには、人間至大の幸福これに過るものあらず」

 ナップ宣教師は福沢諭吉の好意で、賛同者を増やしていく。協力者は福沢だけではなかった。東大総長の外山正一、同じく加藤弘之、東大教授で明六社をつくって啓蒙思想を普及し『自由の理』を記した中村正直らが支援した。文学界では矢崎嵯峨の屋、幸田露伴、北村透谷らがユニテリアン思想から大きな影響を受けていた。明治時代を創った有識者の思想形成にユニテリアン思想が与えた影響は大きい。

 福沢諭吉は、慶応義塾に神学部をつくり、ユニテリアン思想の教育を行う構想を持っていた。ところが、明治30年頃から突然ユニテリアンから離れるようになる。その理由についていろいろな見方がある。ひとつは明治32年、福沢が軽い脳梗塞を起こし体力的に弱くなったとの説である。

 もうひとつは、明治憲法・教育勅語体制が整うにつれて、日本の支配層に変質があったことを理由とする説である。福沢は「教育勅語」に反対で、それに理解を示すユニテリアンに不満があったという説。また、日本のユニテリアン教会の内部問題もあったようだ。いずれにせよ、日清戦争後、(1894~95)、日本の資本主義が急速に成長していくなかで、有識者たちも理想主義の活動に限界が生じてきたことが背景にあった。

 明治国家の建設に努力した人々の間で、ユニテリアンを支援する動きは日清戦争を契機に急減していく。しかし、国家の要職にありながら、ユニテリアンの教えを実行する人物がいた。陸軍の大山巌である。日清戦争で第二司令官のとき、日本兵に住民からの略奪や捕虜に乱暴することを厳しく禁止した。

 厳寒の旅順の清国兵の捕虜たちが屋外でふるえているのをみて、自分たちの馬を外に出して屋内に入れ、清国兵は合掌して感謝した。これを見た外国人記者は「地球上で他にない見事な軍隊だ」と褒めたたえた。日露戦争では、総司令官であった大山巌は捕虜収容所に向かうロシア兵を、日本軍に「敬礼」させて見送らせた。その態度に感動してロシア兵が泣いている様子が、英国新聞に報道された。

 大山巌のこれらの態度は、万次郎から個人授業として受けたナイチンゲールなどのユニテリアン思想によるものであった。(続く)

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平野様
いわゆる友愛思想の根源をユニテリアン思想に求め、歴史的事実を中心に淡々と叙述してくださり、とても勉強になります。明治の思想や文学に少なからぬ興味を有する者として、今回の記事は特に面白く拝読しました。

 産経WEBに平野氏の著書「わが友 小沢一郎」の書評と、政治部遊軍記者・高橋昌之氏のコメントが掲載されているが、その纏めに「今回の衆院選は『小沢一郎に政権を任せるかどうか』の選択ともいえます。賛否は分かれると思いますが、いずれにしても小沢氏に対する評価を定めたうえで、投票されることをお薦めします。今回はそれほど日本の行方を決める重要な選挙だからです。」と記されていて、これが産経の記事かと、瞬間は目を疑った。
 「ちょっと待てよ、民主党の現代表は鳩山さんだが・・・・」とも思ったが、マスコミのひとつの見方でもあろうし、恵美さん(畏敬の念を込めて・・)が、「小沢総理でしか、民主党政権は持たないと危惧している。それまで、何とか鳩山さんが繋いでくれ!」と書いていることと通じるのかな。

 10数年前、同じ産経には江藤淳の「小沢論」が掲載されていたが、あの時の記憶が鮮明に蘇る記事でもあった。

 因みに「わが友・・・」は、アマゾンと紀伊国屋WEBであれば手に入るようだ。ユニテリアン思想の背景なども詳述してあり、並行して読んで頂くことで、この連載も生きてくる。

 以上、平野氏著作のCMを兼ねて・・・・。

豊後の小兵衛

平野様
「友愛」という概念は現代人にとって確かに馴染みが薄く、その意味するところを正しく理解するには説明が必要なのかもしれません。高野さんが「『love』ではなく『fraternity』です」とサンプロかどこかで仰っていたと思いますが、当初のメディアの揶揄ぶりはひどかったです。因みに福沢諭吉が日本語で「自由」という言葉で表した概念も変節してきているようですね。

 ところで『わが友・小沢一郎』を読ませていただきました。小沢一郎氏の政治家として、人間としての魅力が実像として迫ってくるものがあり大変興味深く、出版の絶妙のタイミングを計るストラテジーにも感じ入りました。特にこの時期、多くの人に読んでいただきたいと思いました。

<豊後の小兵衛様>
産経新聞の記事を、ポジティブに感じのは、 豊後の小兵衛様はじめ小沢さんファンの全国500万人(平野さんの受け売り)だけでしょう。
私は、もっと悪意に満ちていると思いますよ。
最近、テレビで自称ジャーナリスト達は、「民主党が勝つという事は、小沢チルドレンが多数当選するという事です。それは、取りも直さず、民主党が小沢さんに支配される事です」などと、さかんに小沢傀儡政権論を展開しています。もちろん、私は傀儡ウェルカムですけど...。むしろ、民主党内プチ小泉くん達が、党内世論の中心になってもらっては困ります。

自公、彼らの本音は何よりも小沢一郎が怖くてたまらないのですよ。公明の子供に「秘書」と言う言葉まで言わせてのネガティブなCMなど一線を越えています。それと、「日の丸を破いて党旗を作った民主党」の文字がみんなの政治で散らばっておりましたが、これは何かあったのでしょうか。ご存知の方がおられましたら教えて下さい。「窮鼠猫を咬む」状況下では何が起きるか分かりませんからね。追い詰められて居る事は間違いないのだから。

報道ステイションで山崎養世氏と猪瀬氏との高速道路無料化についての討論が行われたが、山崎氏の説明の方が完全に説得力がありました。猪瀬氏は竹中と同じで屁理屈とごまかしの天才の感じがしました。道路公団の民営かもほとんど行われていないみたいですし、彼らの得意な言葉は「そこで働いている人間を再び公務員にするのか?」です。  もう詭弁やごまかしが通じないと思います。国民も少しは利口になりました。司会の古館も「勝負が着かないので、またの機会に・・・」とか逃げてしまったが、見ていて古館も司会者失格だと思いました。

勝負は完全に着きました。山崎氏の勝ち!!

猪瀬氏は道路公団民営化の時に
「料金は下げます。一部の車とかじゃないです。全ての車の通行料金を下げます!」
と言い切っていた人物です。
同じ番組での発言でしたが司会者も本人も全くその事に触れませんでしたね。

猪瀬 直樹氏みたいな「全共闘くずれ」にろくな奴はいませんよ。

恵美さん

 不確かな情報ですが「産経に限らず、役割分担を始めた」との見解も届いています。

 江藤淳が「閉ざされた言語空間」で指摘した「マスコミの自己検閲」は、平成の世でも確り生き残っています。

 それにしても比例単独候補の決定遅れや、解散権が幹事長にあるかのような発言など、もっと叱ってやってくださいな。

 出席した出陣式は、酷暑の中で、どこもかつてない盛り上がりでした。

豊後の小兵衛

<にわかに巻き起こる新型インフル>
ユニテリアンに関係なくて申し訳ありません。
のりPの騒ぎで、これ以上は引っ張れないと踏んだか、にわかに新型インフルエンザの話題がマスコミから流布されるようになりました。
確かに、インフルエンザは注意しなければならないし、テレビCMに3億もかけて「皆様冷静に」などと危機感を煽る費用があるなら、ワクチンの製造ラインの整備と、海外からの輸入ワクチンも含め対処すべきとは思います。
しかし、今回のインフルは、季節性のインフルエンザと毒性は変わらず、3人目の死者が出たと報じた所で、季節性のインフルエンザで毎年約1万人が死亡している事と比較しても、取り上げるべきニュースとも思えません。
選挙を前に今、いきなり騒ぎだしたのは、別の目的がある様な気がするのは、私だけでしょうか?
春のインフル騒ぎの時に、マスクが買えないとパニくって深夜メールを寄こした友人が、のりP騒ぎに夢中で、2ちゃんねるにまで情報を取りに動いているとのメールがきました。はぁ~。いい人だし、頭も悪い人ではないし、良い友人なのですが、今度はまたまた新型インフル騒ぎについてのメールがくるのかも知れません。マスコミが意図した通りに動く人もいる事は確かです。「目くらまし作戦」その意味では成功しているのでしょうね。

平野様
こんばんは。
およそ宗教教義というものは、信仰心がなくても心惹かれるものには哲学、道徳となり、信じるものには救いとなると言ったところでしょうか。元来政治的意義、また、為政者階級の利害から注目されたユニテリアンも大方の人間にはその真髄を理解されること無く、散っていったのでしょう。現在の日本人においても文化ベースにある仏教や神道ですらどれほどの日本人が教義を知っているかと言えば、ごく限られた人間しかいないということを考えれば、むべなるかなです。また、ユニテリアンの組織もその波に取り込まれていったところに人の世の儚さを感じます。しかし、人間は理想を捨ててよいのでしょうか?現実にまみれながら、「良き人」として生涯を全うしたいという欲求は、人間の心の中に普遍として存在するような気がします。理想を忘れず、夢をあきらめず、我々日本人もくじけないで、何とかしたいものです。遅滞停滞の現状打破。ポジティブでいること、それをなくしたら、未来が消えてしまうような気がします。

恵美様
メディアの目くらましが相変わらずなのは本当に悲しいことです。もっと真剣に日本の、いや自分たちの未来を考えてほしいです。そういう視点に立ったら、こんな馬鹿げたことを続ける、メディア人の中から一人くらい造反者が出ても良さそうなものですが。虚構の栄華はいつまでも続くはずも無いのに。

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Profile

平野貞夫(ひらの・さだお)

-----<経歴>-----

1935年、高知県生まれ。
法政大学大学院政治学修士課程終了。
衆院事務局に入り、副議長(園田直)秘書、議長(前尾繁三郎)秘書などを経て委員部長となる。
1992年、参院高知地方区で当選し、小沢一郎と行動を共にする。
2004年、参院議員を引退。
以降、言論執筆活動に専念する。

BookMarks

-----<著書>-----


『坂本龍馬の10人の女と謎の信仰』
2010年1月、幻冬舎


『平成政治20年史』
2008年11月、幻冬舎


『虚像に囚われた政治家 小沢一郎の真実』
2006年9月、講談社


『ロッキード事件「葬られた真実」』
2006年7月、講談社


『公明党・創価学会と日本』
2005年6月、講談社

→ブック・こもんず←



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