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「友愛と共生社会」の実現へ(4)──日本人とユニテリアン思想 »

「友愛と共生社会」の実現へ(3)── ユニテリアン思想の日本での展開

 ジョン万次郎は、日本人で初めてのユニテリアン信者であった。その生涯をふり返ると、自分の言動に責任を持ち、救いは自分で勝ち取るものであり、人類全体が救済されるべきものであるとの教えどうり生きたといえる。

 そのために、人が人として生きるための知恵と覚悟を理解するために、人間の教育が最も大切であるという信条であった。そして人類全体が幸せになるため、「異なった運命を社会的に共有する『共生社会』の実現」を考えていた。

 ところで、日本では万次郎で始まるユニテリアン信仰はどのような展開をしたのであろうか。万次郎は帰国後、自分からユニテリアン信者だと表明したことはない。幕末、明治にわたって、英語や西洋事情を学びにきた人たちに、しっかりとした人間教育をした。多くの指導者が輩出したが、その内容はユニテリアンの思想であった。

 日本は、明治6年(1873)にキリスト教禁制を撤廃する。それ以降、正統派の宣教活動が始まる。しかし彼らは、日本文化をまったく理解せず、西洋文化とくにキリスト教徒を唯一絶対の宗教と主張した。明治政府は、他宗教に寛容で異文化を理解するユニテリアン教会なら、日本の近代化に役立つと考えるようになる。

 明治時代、最初にユニテリアン信仰に強い関心をもったのは矢野文雄であった。福沢諭吉の慶応義塾で学び、大隈重信の推薦で政府に入り大政官大書記官を勤めていたが、明治14年(1884)の政変で下野し、郵便報知新聞の副主筆となり、立憲改進党の結成に参加する。英国滞在中にユニテリアン信仰を知り新聞に紹介する。

 矢野は、キリスト教の神怪不可思議な部分を除いて道徳のみを強調するユニテリアンを高く評価した。そして英国のユニテリアン教会に宣教師の派遣を要請したが、成功しなかった。しかし、矢野の運動は当時の日本の教育界や言論界で称賛を受ける。

 明治政府部内でも強い関心を示しはじめる。森有礼が米国公使のときユニテリアン思想を知り、その合理性、人類的発想と実効性を評価して、日本へ導入するため使節を送ることをユニテリアンの指導者に要請している。外交官でワシントンに駐在していた吉田清成も森有礼と同じ考えで、ユニテリアン教会に通い、この思想は日本人の思想に適合すると語っていた。

 政府高官でユニテリアン思想にもっとも関心をもっていたのは、伊藤博文の側近・金子堅太郎であった。金子はハーバード大学に在学中、ユニテリアンと付き合う機会が多く、日本への導入を考えていた。(続く)

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ジョン万次郎に学ぶ―「自立と共生」の理念に生きた男(平野貞夫著)

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ユニテリアン思想について、私は全く知らなかったので、勉強になります。

<平野様>
平野さんは、テレビに出演された折、政治家の国家観は、歴史を勉強しなければ創れない。との趣旨の発言をされています。
この記事シリーズは《THE JOURNAL》の読者へのおすそ分けと思って読ませて頂きます。次回も楽しみにしています。

 平野論説に、HNをローリエさんという方から、「em5467-2こと恵美さんのコメントが欲しいですね」とのメールが届いた。というのも、全8回のシリーズで、少し細切れになっていることから、全体像が掴みにくく、コメントが出しづらいのが実情であろう。で、短文ではあるがようやくコメントが届いた。彼女(と思う)のコメントは毎回鋭く、苦笑いをしながら読んではいるのだが、だからといってキーボードを叩く「勇気」は出てこない。(恐い)
 いつだったか、平野氏のテレビ発言にクレームがつき平野氏にコメントを求めたが、代理回答で済ませたこともあった。そのローリエさんの旦那の意見は「かつて、日本の農村などにあった「結」のような相互の協力、助けあいでなければできないだろう」が、平野論説の趣旨だろうとのこと。(同感・・・・)

 さても「ユニテリアン構想」だが、残り5回分の手書き原稿が届いたので、一両日中には電子化して、編集部に届ける予定である。この論説の趣旨は初回に氏自身が書いているが、「その意図は?」と電話で問うた。その答えをここに書くわけにはいかないが、「やっぱり腹が黒いな。古狸は間違いない」と断じ、本人もそれを認めた。
 ここでは平野氏を「古狸」、二見氏を「信楽狸」を私は稱しているが、信楽狸とは老舗の店先に編笠を被り、持てあまし気味の「逸物」を、だらりとぶらさげている「可愛げのある」あれで、古狸とは氏素性が異なるが、この根拠はいずれまた・・・・。

 さても、8月末の投票日を目前にして、民主党執行部のふらつきが気になる。その一は「FTA問題」である。そもそも「輸入農産物無税化」と「農業所得補償制度」は表裏一体であり、それを切り分けるなど、私の頭の中には皆目なかったのだが、高学歴者が多数を占める民主党執行部はそうではないらしい。私個人はそもそも「所得補償」という表現は好きではなかった。それは農産物の関税撤廃による価格競争に太刀打ちできない農業に向けて、その「価格補償」(補償と保証は意味が異なる)であると考えてきたから、「所得」と「価格」を使い分けるべきと提案し続けたが、ここにも「国語問題」の弱点が浮かび上がる。

 なぜふらつくか、それは「自分の考え」ではないからだ。何ごとも同じだが「借り物」には誰しも不安がつきまとう。外交・防衛もまた然り、しっかりせぇ民主党。
 農家への直接補償で割を食うのは「農協」であり、FTAに反対するのもここでしかない。そこに気遣いしてあれこれ言うのは「既得権保護」であり、改革の名に値しない。これ以上を書くと他を利することになるので控えるが、いざ鎌倉のときは「腰を据える」べきであり、ふらついていたら的を外してしまう。

 序でながら、この「農業所得補償制度」は農業問題、あるいは経済問題と皆さんはご理解だと思うが、私はまったく違う視点で捉えている。昨日の夕方から集中豪雨による被害続出の報が届いているが、この原因のひとつに「棚田の減少」がある。
 多くを書く紙幅もないことから、端折るが、棚田とは巨大な「遊水池」なのだ。新党日本の田中氏が「脱ダム宣言」したとき、私は喝采をおくった。というのも「ダム」とはその最大寿命が100年であり、彼の黒部ダムを100年後に作り直すことを想起したら、皆さん如何お考えであろうか。
 一方の「棚田」は集中的投資を必要とはしないが、継続的な維持管理が求められる。その全額を税で賄うことは至難であり、ここで割高ではあっても農業生産を継続し、ダムに代替する「棚田」の維持管理費用として「農産物価格補償」と発想すれば、腰がふらつくこともないと思う。

 日本列島は台風・地震、そして長雨、集中豪雨など、自然災害に「恵まれた」国土であり、継続的維持管理を必要とする。単純な「土建批判」のみを繰り返していると国土は荒れ、人が住めない環境となることも頭に置いておきたい。

豊後の小兵衛

豊後の小兵衛様にお伺いします。「昨日の夕方から集中豪雨による被害続出の報が届いているが、この原因のひとつに「棚田の減少」がある」と述べていらっしゃいますが,「棚田の減少」の原因は何ですか。お答え頂けたら,更にご質問を続けます。

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Profile

平野貞夫(ひらの・さだお)

-----<経歴>-----

1935年、高知県生まれ。
法政大学大学院政治学修士課程終了。
衆院事務局に入り、副議長(園田直)秘書、議長(前尾繁三郎)秘書などを経て委員部長となる。
1992年、参院高知地方区で当選し、小沢一郎と行動を共にする。
2004年、参院議員を引退。
以降、言論執筆活動に専念する。

BookMarks

-----<著書>-----


『坂本龍馬の10人の女と謎の信仰』
2010年1月、幻冬舎


『平成政治20年史』
2008年11月、幻冬舎


『虚像に囚われた政治家 小沢一郎の真実』
2006年9月、講談社


『ロッキード事件「葬られた真実」』
2006年7月、講談社


『公明党・創価学会と日本』
2005年6月、講談社

→ブック・こもんず←



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