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「友愛と共生社会」の実現へ(3)── ユニテリアン思想の日本での展開 »

「友愛と共生社会」の実現へ(2) ── 友愛の原点はユニテリアン思想にあり

 ジョン万次郎がボストン郊外のフェアヘブンで暮らすことになったのは、1843年(天保14年)であった。ホイットフイールド船長は、日曜日に先祖から続く教会につれていく。名士たちの家族席に座ろうとしたしたところ、黄色人種の万次郎は黒人として扱われ、教会に連れてくることを断られた。

 船長は万次郎を受けてくれる教会を探し、宗派を変えて「ユニテリアン教会」に行くことになる。万次郎は捕鯨船の船主で、ユニテリアン教会の信者代表のワーレン・デラノ(フランクリン・デラノ・ルーズベルト大統領の祖父)に可愛がられ、ユニテリアン信仰を深めていった。ユニテリアン信仰は、正統派キリスト教徒が信じる三位一体を否定し、神の唯一性を信じる人々だといわれている。万人救済を教義とし、人類愛や隣人愛を主張する。異宗教間の交流活動にきわめて積極的で、自由と理性と寛容を重んじ権威への盲従を嫌う。歴史的には、西暦325年の宗教会議で決定した「三位一体説」に反対し、キリストを神の子と認めない人たちを発祥としているため、異端視されていた。

 米国でのユニテリアン運動の発祥は、1620年にメイフラワー号で英国を去り、マサチューセッツのプリマスに上陸した清教徒が結成した「会衆派」をルーツとしている。フェアヘブンはプリマスの目先である。万教同根という縄文古神道のDNAを持つ万次郎とは不思議な縁である。万次郎がフェアヘブンで暮らした1843年から46年頃というのは、ボストンを中心にユニテリアン運動がもっとも盛んな時代であった。中心人物はエマソン(1803〜82)であり、ホイットマン(1819〜92)が続く。

 エマソンは、ニュー・イングランドの牧師の家に生まれ、26才のときユニテリアン派の牧師になる。「自然と神と人間が究極的に同一のものに帰する」という汎神論を主張し、東洋の哲学や宗派に強い関心を示した。思想家として米国の良識を代表していた。ホイットマンは詩人として知られ、エマソンの影響を受け、草の根デモクラシー運動や奴隷解放運動などを展開した。万次郎が帰国後、幕閣や土佐藩などで説明した米国の政治や社会の背景にある考え方は、エマソンやホイットマンの思想を反映したものであった。ユニテリアン信仰の特長は、「神の存在と神の愛と摂理を信じ、救いは自分で勝ち取る責任があり、人は自分の言動に対して自ら責任を負い、霊魂は不滅であることを信じ、人類は皆救済されることにある」といわれている。これが「友愛」の原点であり、まさに「自立と共生」の精神といえる。(続く)

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ジョン万次郎に学ぶ―「自立と共生」の理念に生きた男(平野貞夫著)

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「自立と共生」
かつて日本は「一億総中流」という見事な「共生」社会を築きあげてきた。ところがバブル崩壊後、柔軟性を失った日本社会は閉塞状態に陥り国民の不満が拡大していった。そこに登場した小泉政権は欧米流の「強いもの、環境により適応したものが生き残る」という「競争」原理の政策でブレークスルーを図ろうとした。

その結果、景気は回復し一部の競争力の強い企業や金持ちはより豊かになった。しかし一方では弱者が切捨てられ格差が拡大し様々な社会問題が引き起こされた。そこで福田氏は総理になった時に民主党の当時小沢代表の理念である「自立と共生」をパクり、今までの行き過ぎた改革競争にブレーキをかけつつ格差の縮小を進めようとしたようだ。

ここで「自立」とは主体的行動を表しており「競争」や「改革」に通じるところがある。「競争=改革」は社会を進化させる作用があるが、副作用として落ちこぼれや格差を生み出す。その副作用を軽減するのが「共生=セフティーネット」なのであろう。ところが「競争=改革」主義者は「共生=セフティーネット」をバラマキと批判する。

確かに無駄な高速道路作りに税金を投入しても経済的効果が無ければ「バラマキ」かもしれない。しかし民主党の掲げる「農業の個別所得補償」や「子供手当て」などは格差を是正するための「再配分」であり「バラマキ」とは言えない。またこれらの政策は環境や食料自給率、さらには出生率の向上など長期的視点で国益になるだろう。

これからの政治は「自立・競争と共生」のバランスをとることがポイントになる。ところで日本では「経済は一流、政治は三流」と言われてきた。いわゆる「55年体制」は自民党と社会党の馴れ合い政治、政権与党と官僚の癒着といった相互補完的な「共生」関係があった。これが政治を閉塞状態に追い込んだと言っても過言ではない。

しかし先の参議院選挙で民主党が勝利し「衆参ねじれ国会」となったために与野党が緊張感を持って切磋琢磨する機会が生まれた。民主党はかつての社会党のように自民党と裏取引をするのではなく堂々と国会で論議しようとしてきた。政治の世界もこのような「自立・競争」が働くことで一流になってもらいたいものだ。

平野貞夫様
こんにちは。連載、楽しく読ませて頂いております。私はクリスチャンではないので教学的なことは解りませんが、印象としては。ユニテリアンの思想はかなり実際的で現実的な教えなのだと思いました。以前、機会があり、キリスト教学の三位一体説を聞いたとき、頭では、多分こうであろうと理解しても、どうしてもしっくり来ませんでした。しかし、キリスト教としては、この説は、根幹にある教学です。そこを異端視されてまで、教学に組み込まないところは、会派を創設した祖師としては、なかなか勇気有ることであったと思いますし、キリスト教としては、あまり多くない会派なのではないかと思いましたが、いかがでしょうか。東洋人にあまり、一神教が根付かないのは、現実主義で融通無碍な考え方をもっているからではないかと、私は思っていますが、ユニテリアンなら日本人である万次郎もしっくり来たのかもしれません。
しかし、わたしは、「友愛」の思想的背景がユニテリアンだいうのはどうも、ストンと落ちません。鳩山さんは実際、ユニテリアンの信者なのでしょうか。言葉の思想背景としては面白いと思いますし、教養としては楽しませて頂きますが、私個人は、単純に漢字から表記された「友愛」という印象からしか、考え方をとらえることしか出来ないので、断言するのはいささか腑に落ちないのです。日本は面白い国であると思います。GHQに占領されながら、戦後キリスト教はあまり根付きませんでした。それとは対照的に、韓国などはキリスト教、儒教、仏教が三分の一づつの比率であると聞きました。また、キリスト教の外国人牧師から、「日本のキリスト教徒は、日本キリスト教の信者だ」とぼやきとも取れることを聞いたことも有ります。万次郎にしても諭吉にしても、ユニテリアンが日本には無い、ある種斬新な考え方だとは思ったにせよ、むしろ、「友愛」という言葉ができた時点で、日本人の感性でユニテリアン思想を消化し、呑み込んでしまったのではないでしょうか。
私の勝手なコメントはこれくらいに致します。また、続きをお聞かせください。
よろしくお願い致します。

<平野様>
ご苦労様です。ユニテリアンについては、高野さんがすでに教えてくれています。また、鳩山代表自身もこのサイトで友愛の原点として、記事を載せてくれています。
平野さんほどの深い理解は到底及びませんが、この板の常連は、ほぼ知識レベルで知ってはいます。
なので、平野さんへのコメントが少ないのかな?と私は、勝手に想像しています。
さて、日曜日のBS11のフェイスに出演され、元共産党議員の逢坂さんと対談されました。とても、面白かった。「自由党の時は、国家の骨格をどのようにするのか明快だったが、民主党では、絶対に不可能だ」「なぜなら、民主党には、新自由主義の人たちがいて、一方には既得権益を守りたい人がいる」「私が議員を引退したのも、そのような理由もある」とのお話は、なるほど、と納得できるものでした。
結局、今回の民主党のマニフェストは、前原氏・福山氏、岡田氏など新自由主義の人々が多数関っていて、農業分野では、いきなりFTAに踏み込んでいたりします。
農村部の地区候補から悲鳴があがり、大あわてで修正する事態になっております。
小沢さんのいう、地に足のついた選挙を体験せず、風だのみで議員になった人たちが、現場の声を実態として受け止める事なく、勝手に自らの机上の理論をマニフェストに盛り込んだと私は見立てます。
民主党が真に国民政党となる為には、究極的には彼らとは別れざるを得ないのではないか?と最近は、つくづく思うのです。
なにせ、多くの農民が海外からの安い農産物に押されて、廃業しても、それは自由経済理論に沿うことであるから容認するのが新自由主義の考え方です。その上で、企業による大規模農業にシフトすれは、これ幸い。あまった農民を安い労働力として使えばいい。それも自己責任という訳です。
彼らは、どんな不況産業にも人の営みがあり、そこで生活する人の歴史や思いがある事を知ろうとしないバカものです。
彼らにつける薬はないので、早く小沢チルドレンが育ち「節度ある自由経済社会」「ポスト金融資本主義」に踏み出す事を望むばかりです。

平野貞夫様こんばんは。
「何故、日本で政権交代はできないのか」のコ-ナー以来、匿名ですが2度目の投稿をさせて頂きますので、よろしくお願いします。

『わが友・小沢一郎』を昨日手に致しました。小沢一郎を語りつつ必然的に現代政治史を語られている書であると思います。まだすべてを読み終えておりませんが、一生懸命ページを進めているところです。その手を止めて投稿しています。
本書の第5章で、ユニテリアン思想の話が出ていますね。陸軍大将そして元帥として、日清、日露戦争を指導した大山巌や、わが国労働運動の原点ともいわれる安部磯雄、鈴木文治の名前があげられていたことが印象的です。こうした日本人の歩みをしっかり学び直す必要があると考えています。

これから暑い日々が続いてまいりますので、御身体に気をつけられましてお過ごしください。今後とも平野貞夫様の御活躍を祈念いたします。

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Profile

平野貞夫(ひらの・さだお)

-----<経歴>-----

1935年、高知県生まれ。
法政大学大学院政治学修士課程終了。
衆院事務局に入り、副議長(園田直)秘書、議長(前尾繁三郎)秘書などを経て委員部長となる。
1992年、参院高知地方区で当選し、小沢一郎と行動を共にする。
2004年、参院議員を引退。
以降、言論執筆活動に専念する。

BookMarks

-----<著書>-----


『坂本龍馬の10人の女と謎の信仰』
2010年1月、幻冬舎


『平成政治20年史』
2008年11月、幻冬舎


『虚像に囚われた政治家 小沢一郎の真実』
2006年9月、講談社


『ロッキード事件「葬られた真実」』
2006年7月、講談社


『公明党・創価学会と日本』
2005年6月、講談社

→ブック・こもんず←



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