Calendar

2009年8月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31          

Recent Entries

« 「友愛と共生社会」の実現へ(6)── ユニテリアン思想の転換
メイン
「友愛と共生社会」の実現へ(8)── 友愛と共生の社会づくりの理念 »

「友愛と共生社会」の実現へ(7)── 労働運動から政治運動へ

【編集部より新刊のご案内】

41hNqqqB0tL._SS500_.jpg

平野貞夫著:わが友・小沢一郎(幻冬舎)

*  *  *  *

 鈴木文治の努力で創設された「友愛会」の綱領は、次のようなものであった。

(1)我らは互いに親睦し、一致協力して相愛扶助の目的を貫徹せんことを期す。
(2)我らは公共の理想に従い、識見の開発、德性の開発、德性の涵養、技術の進歩をはからんことを期す。
(3)我らは共同の力により、着実な方法をもって我らの地位の改善をはからんことを期す。

 ユニテリアンの精神そのものである。友愛会の顧問には、東大教授・桑田熊蔵、法学博士・小河滋次郎、評議員に慶応大教授・堀江帰一、東大教授・高野岩三郎、戸板女学校主幹・武田芳三郎、早大教授・内ヶ崎作三郎(牧師)、仏文学者・内藤濯、弁護士・松尾清次、子爵・五島盛光、東京養育院幹事・安達憲忠、一高教授・三並良、東京商大教授・関一らが就任した。そして、渋沢栄一ら開明的経営者の協力を得て発足した。明治の有識者の中には、時の政権に媚びを売る21世紀の日本の有識者とは違う見識があった。

 友愛会運動は二年目で2,000人を組織し、どんどん拡大していく。第一次世界大戦やロシア革命など歴史の中で、労働運動として発展を遂げる。大正10年(1921)10月の10周年記念大会で「日本労働総同盟」となる。ユニテリアン思想を出発点として、弱い立場の働くものを守り、労働争議を指導する本格的な労働運動の全国組織となる。

 日本の経済発展とともに、労働運動もILOに加盟するなど展開していくが、ソ連や社会主義運動の影響を受けて分裂をくり返す。また戦時体制では国家権力の中に組み入れられていく。さらに敗戦後の労働運動は、米ソ冷戦下ではイデオロギーの対立をくり返した。経済が成長し豊かな社会となると、労働運動の退廃が始まる。自分たちだけが良ければよいとの風潮が主流となる。労働貴族が生まれ労働組合員の既得権化を批判されるようになる。21世紀の今日、労働組合運動は大きな曲り角にきている。

 鈴木文治が創って働く人々全体の「相愛扶助」という「友愛会の原点」は、ほとんど忘れられている。現在の「友愛会館」の場所は、かつてのユニテリアン教会のあったところだ。ユニテリアンという言葉を知る人もきわめて少ない。その精神はほとんどの人々の心から消えてしまった。

 「友愛会」といえば、もう一方で戦前から知られているのが、鳩山由紀夫民主党代表の祖父・鳩山一郎元首相である。戦後の昭和27年(1952)、政界復帰後はじめての演説で「友愛革命」を提唱した。孟子の「惻隠の心」という言葉を引用したり、ユニテリアンの話を引用して、真の友情や隣人愛の必要性を説いている。さらに民主主義を確立するためには「智」がなくてはならないとし、これがないと衆愚政治になると論じている。ユニテリアン思想は、健全な保守主義者の中にも大きな影響を与えていた。

 20世紀に出現した異様な人間文明、排他的で自己中心の過剰な市場原理主義による投機資本主義は、米国のキリスト教原理主義者の影響によって、21世紀の地球人類を恐怖に陥れている。中東の石油資源をめぐる争いも、人間を勝組と負組に区別し格差と貧困をつくる政治も、その背景には宗教・信仰の堕落がある。いかにして「友愛と共生の社会」を実現すべきか、次回の最終版で述べよう。(続く)

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.the-journal.jp/mt/mt-tb.cgi/5375

コメント (6)

■コメント投稿について編集部からのお願い

《THE JOURNAL》では、今後もこのコミュニティーを維持・発展させていくため、コメント投稿にルールを設けています。はじめて投稿される方は、投稿の前に下記のリンクの内容を必ずご確認ください。

http://www.the-journal.jp/contents/info/2009/07/post_31.html

ご理解・ご協力のほどよろしくお願いいたします。

>経済が成長し豊かな社会となると、労働運動の退廃が始まる。自分たちだけが良ければよいとの風潮が主流となる。労働貴族が生まれ労働組合員の既得権化を批判されるようになる。21世紀の今日、労働組合運動は大きな曲り角にきている。

派遣村では、多くの有志の労働組合の方が参加しました。その後の集会で、連合、全労協、全労連が垣根を越えて参加しました。これは驚くべきことですね。その後、湯浅誠さんが事務局長を務める反貧困ネットワーク主催の集会にも、それぞれ参加されていました。
労働組合が派遣労働者の救済の乗り出しようになってきています。ますます、それが発展していくことを強く願っています。

派遣村では、労組のみなさん、市民団体の方々、テレビでその様子を見て、駆けつけた国民・市民の力で成り立ったもの。ここに、市民による活動の真のすばらしさがあるように感じます。私はここに、閉塞した社会なかで、唯一の希望を感じます。

>米国のキリスト教原理主義者の影響によって、21世紀の地球人類を恐怖に陥れている。

市場原理主義により、格差社会となり、酷い貧困を生み出しました。対テロを建前に、現実は、イラクやアフガンーへの侵略戦争を行った。
これを終わりにさせなければならない。

宗教なる語が即カルトを彷彿させるような昨今の世相に「宗教・信仰の堕落」がよく表れていると思います。それは現代人の倫理・道徳意識の頽廃であると言換える事も出来ましょうし、横文字にモラルハザードというのも同様でしょう。(無論歴史的には同様の事態が繰り返されて来たのでしょうが。)

鳩山一郎元首相の言われた「智」の本意は存じ上げませんが、仮に「人道思想」に裏付けられた'wisdom'のようなものと解釈します。すると現代社会を蝕んで来たのは、単なる「知」で満足し、屢々「狡知」の蔓延を許して来た事とも言えるでしょう。一例を挙げれば、単に金を儲ける為だけに頭を働かすことを「知」とする。対して、儲けた金を自己の欲求を満たすに留まらず、他を利し以て(地域、国家、国際)社会全体の為にするにはどう使うべきかを考える。これを「智」の働きとすることができるでしょう。

政治上の対話に理念理想を持ち出すと往々にして現実軽視や空論などとの批判が出されますが、本末を顛倒した物謂いでしょう。確固とした理想があるからこそ、その実現への努力と智慧も生まれ、真に意義ある政策へと結晶するものと考えます。
 政治的理想を言う事自体への批判は論外であり、問題はその理想が現時点で広く共有されるべき価値あるものか否かを問う事でしょう。平野氏が解説してこられた「友愛」及び「共生」の思想はその価値あるものと思います。

最終回も楽しみにしております。

平野様
今晩は。
「宗教・信仰の堕落」現代人がかくのごとくに至った大きな原因は、二度の世界大戦と経済システムの激変により、伝統宗教の、組織維持の方法が旧態依然では立ち行かなくなったことが大きな原因であると、私は考えます。現在、人類は良きにつけ、悪しきにつけ世界中が大きな転換期にさしかかっているのでしょう。宗教も然りです。人はどう有るべきか。苦しむこの時節は、天が人類に与えた思索の時であるのでしょう。政治経済だけでなく、様々な局面において、思惟できる幸せを前向きに捉えてゆきたいです。私はキリスト教とは接点をもてない人間ですが、人類の英知を知ることは非常に興味深いことだと思っております。気象の変化のめまぐるしいおり、お体ご自愛の程を。
最終回を楽しみにしております。

The JOURNAL読者のみなさんへ

 前回、平野著作旧版の無償提供をご案内したが、mail addressがわかりづらいとのご指摘を受けたので、再度のご案内です。
 メールは、
t_oshima@syohokai.comまで、よろしく。

 残り、300冊セットほどありますので、ご遠慮は無用に。
 この期を逃せば「ゴミ」と化すことから、お役にたてばのの思いです。

豊後の小兵衛

<平野様>
宗教と労働運動と政治との係わり、とても興味深く拝読させて頂いております。
ジョン万次郎に起源する日本のユニテリアン思想と、鳩山一郎の友愛思想。
平成の今、小沢一郎と鳩山由紀夫がこの国の統治機構を革命的に転換させるべく手を携えている事、平野さんの記事を読むにつれ、歴史の必然と思えてきました。
最終回は、どうなるのか?
楽しみにしております。

コメントを投稿

(いままで、ここでコメントしたことがないときは、コメントを表示する前にこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまではコメントは表示されません。そのときはしばらく待ってください。)

※[投稿]ボタンをクリックしてから投稿が完了するまで数十秒かかる場合がございますので、2度押しせずに画面が切り替わるまでお待ちください。

Profile

平野貞夫(ひらの・さだお)

-----<経歴>-----

1935年、高知県生まれ。
法政大学大学院政治学修士課程終了。
衆院事務局に入り、副議長(園田直)秘書、議長(前尾繁三郎)秘書などを経て委員部長となる。
1992年、参院高知地方区で当選し、小沢一郎と行動を共にする。
2004年、参院議員を引退。
以降、言論執筆活動に専念する。

BookMarks

-----<著書>-----


『坂本龍馬の10人の女と謎の信仰』
2010年1月、幻冬舎


『平成政治20年史』
2008年11月、幻冬舎


『虚像に囚われた政治家 小沢一郎の真実』
2006年9月、講談社


『ロッキード事件「葬られた真実」』
2006年7月、講談社


『公明党・創価学会と日本』
2005年6月、講談社

→ブック・こもんず←



当サイトに掲載されている写真・文章・画像の無断使用及び転載を禁じます。
Copyright (C) 2008 THE JOURNAL All Rights Reserved.