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2010年2月 7日

まだ終わっていない小沢問題

 「小沢不起訴」が決まった翌日のワイドショーで、元検事の弁護士コメンテーターが悔しげにこう言っていた。「検察審査会で2回、起訴相当が出れば、小沢さんはアウトですから!」

 "古巣"可愛さから、本来、検察をチェックする審査会に望みを託す奇妙な構図だ。「陸山会」事件で、東京地検特捜部は元秘書の石川知裕衆院議員ら3人を起訴したが、小沢氏については嫌疑不十分で不起訴とした。

>>続きは「Infoseekニュース」で

2010年2月 2日

小沢捜査 4つの結末

■難しい検察の"こぶしの振り下ろしどころ"

 小沢疑惑について、民主党側から「検察が情報リークしている」という批判が出ていて、これに大手メディアは一斉に反発。社説やコラムで「記事は地を這うような取材の結果だ」「検察も監視の対象」と反論している。しかし、正直に言って今回の事件ほど検察の捜査情報が流れ出ていることも珍しい。同じネタが一斉に各紙の朝刊に出たり、「検察関係者」のコメントが同じだったり。連日報じられる小沢疑惑に接していれば、世論も「小沢が悪い」と変わる。

 そんな検察捜査と洪水報道に異議を唱えるメディアもある。「週刊朝日」や「日刊ゲンダイ」で、「週刊ポスト」もこれまで反小沢から路線変更しつつある。また1月中旬に東京で開かれた「検察捜査を考えるシンポジウム」では田原総一朗、鈴木宗男、佐藤優、魚住昭の各氏、郷原信郎弁護士らのメンバーが出席して検察を批判、大した告知もしていないのに、狭い会場に400人近くが詰めかけ、インターネットの中継に2000人以上がアクセスしてサーバーが動かなくなる事態も出た。

■今後の展開をシミュレーションすると

 文字通り、国政を左右しかねない地検特捜部の「小沢政治資金問題」だが、検察は小沢氏をどうするつもりか。今後どのような展開になるのか。各ケースに分けてシミュレーションしてみる。

【在宅起訴】
 石川知宏容疑者ら3人の元秘書の供述から、小沢氏が政治資金収支報告書に虚偽の記載を指示したとなれば、虚偽記載の共犯として立件。ただし石川容疑者とは格段の差がある大物政治家なので、国会開会中でもあるから身柄拘束なしの在宅起訴。石川容疑者の拘置期限が切れるのが2月4日なので、このタイミングで行われる可能性が高い。となると党内から小沢幹事長の進退問題を問う声が広がる(すでに、前原、野田、枝野の各氏から示し合わせたように進退問題を公言し始めた)。

【逮捕許諾請求】
 逮捕された元秘書3人から新供述が出たり、新証拠が出た場合は再度の小沢氏の事情聴取がありうる。小沢氏がこれを拒んだ場合、検察は「証拠隠滅の恐れあり」として身柄を押さえることになるが、国会開会中の議員には不逮捕特権がある。そこで検察庁は国会に逮捕許諾請求を出すことになる。許諾は議員採決で決まるのだが、衆参とも連立与党が過半数を握っているから、当然否決。検察は造反議員をあてにしてリスクを冒すことはないから、この選択はない。

【国会閉会後の逮捕】
 不逮捕特権の壁を回避するには国会会期切れ後の逮捕、つまり6月逮捕ということだが、こうなると容疑は政治資金規正法違反ではなく、ズバリ脱税である。

 こんな情報がある。「検察庁の地下には家宅捜査によって押収した資料が山積みになっている。これを検察事務官がブツヨミ(押収物を読み込む)をしている最中で、小沢関連のカネの出し入れが分かるまでには2か月以上かかりそうだ」(検察関係者)

 現在の容疑は収支報告書の虚偽記載。過去にさかのぼって収支を調べる必要はない。となると特捜部の狙いは、小沢氏のカネの出し入れを洗いざらい調べ上げて、所得申告も政治資金の届け出もしていないカネを見つけ出そうとしているのではないか。地検は年末から国税当局と連携し始めた、という話も出ている。かつて、自民党のドンと言われた故・金丸信氏が「入口は政治資金報告違反で、出口が脱税」というケースがあった。

 こうなると民主党は参院選どころではなくなり、政権維持すら難しくなる。

【不起訴】
 小沢氏は事情聴取のみで、お咎めなしというケースだ。強気の検察もさすがに大物政治家に手をかけるのをためらった、ということになるが、となると「あの大掛かりな捜査は何だったのか」という声が湧き上がる。与党側も検察の恣意的な捜査の在り方に批判を集中させる。「だから必要だ」として検事総長人事の国会承認、あるいは民間登用、さらに「取り調べの可視化」法案も具体化する。

 こうして見ると、小沢聴取に踏み切った検察の"こぶしの振り下ろしどころ"は極めて難しい。最後は検事総長の"政治判断"だが、それがこの政権の命運と参院選の結果を左右するという状況になってきた。

<「通信文化新報」のコラムを加筆転載>

Profile

二木啓孝(ふたつき・ひろたか)

-----<経歴>-----

1949年、鹿児島県出身。
明治大学在学中から出版社勤務。
1979年、小学館「週刊ポスト」専属記者。
1983年、「日刊現代」入社。編集局配属。
1995年、編集部長。政治、企業事件、宗教問題をテーマに取材・執筆。
2007年、「日刊現代」を退社。現在、BS11編成制作局長。

-----<出演>-----

『インサイドアウト』
(BS11)
『NEWSゆう+』
(大阪ABC)
『おはようコール』
(大阪ABC)
『パックイン・ジャーナル』
(朝日ニュースター)
『アクセス』
(TBSラジオ)

BookMarks

-----<著書>-----


『宗男の言い分』
2002年7月、飛鳥新社


『殺人心理』
2000年10月、アスキー


『永田町の通信簿』
1996年12月、作品社

『手に取るように政治が分かる本』
かんき出版

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