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2010年1月16日

検察の狙いはズバリ "小沢の脱税逮捕"

 検察の動きを報じるメディアは、2004年10月の世田谷の土地購入をめぐる原資となった小沢一郎の4億円の出所はどこかということに集中している。水谷建設などの裏金説、政党助成金説、そして奥さんからの借金説などが出ている。検察は、あらためて鹿島建設などのゼネコンや陸山会の事務所らの強制捜査によって書類を押収したという。おそらく、この4億円の出所をさらに探すつもりであろう。

 西松事件に端を発した小沢疑惑の捜査を続ける東京地検特捜部の動きは、すでにほぼ1年。まるで牛のヨダレのようなダラダラとした捜査はこれまで見たことがない。そもそも政治資金規正法違反による大久保秘書の逮捕そのものに相当な無理があると言われているなかでの長期捜査。だが、検察はようやく4億円の疑惑を探し出したようだ。

 そこで思い出されるのが、1993年の金丸信元自民党副総裁の脱税逮捕である。当時、金丸は佐川急便からの5億円の政治献金を政治資金収支報告書に記載していなかったことが発覚。ところが、検察は自民党のドンの威力に恐れたのか、事情聴取もせぬまま略式起訴、罰金20万円ですませた。「5億円で20万円の罰金かよ!」とマスコミも世論も怒り、検察庁にペンキを投げつけられる事件もあった。

 検察の威信が低下したことに巻き返しを図ったのが、当時の五十嵐紀男特捜部長である。マスコミと世論の批判の裏で、潜行捜査を開始した。担当検事は後の特捜部長の熊崎勝彦。そして、国税当局との連携による潜行捜査で、金丸サイドに巨額の資金が隠されていることを見つけ出した。いわゆる"タマリ"と言われるカネである。

 3月下旬、特捜部は金丸信を都内のホテルに呼び出した。当日の様子はこうだ。

 金丸はなぜ呼び出されたのかわからぬまま、ホテルに入った。検事が切り出す前に金丸は「ちょっと待ってくれ」と電話機を取り上げ、自宅に電話。「今夜、バレーボールの試合の中継があるからビデオに撮っておいてくれ」と話した後、検事に向かって「何だね」。検事は「脱税で逮捕です」と逮捕状を出した。金丸は1分間何のことか分からず、ポカンとしていた。
 その夜、検察は緊急の記者会見を開いた。土曜日ということもあって、集まった記者は「何のことだろう」と思いながら、あるいは何人かは休みだったため赤い顔のまま記者席に座った。だが、会見で検察が「さきほど金丸信容疑者を脱税で逮捕した」と発表したと同時に、蜂の巣をつついたような騒ぎになった。
 その後、パレロワイヤル永田町にある金丸事務所の家宅捜索で、金庫の中から金の延べ棒が出てきた。そして、金丸は裁判の途中で死亡する。

 当時、威信が地に堕ちた検察が必至に探し出したのが、このタマリである。入口は政治資金規正法で、出口が脱税だった。

 小沢の4億円が政治資金として届けられていなければ「所得申告をしない脱税」という見方もできるが、すでに時効にきている。そこで検察は、すでに時効となっていても、あらためてゼネコン各社に小沢サイドに献金をした事実を出してくれと要請していると言われる。04年の4億円以降もこのタマリが続いているとすれば、金丸逮捕と同じパターンとなる。おそらく、検察はそこを捜査の着地点として見ているだろう。

 時効にかからぬタマリを見つけているのか、いないのか。隠しダマのタマリがなければ、この長丁場の捜査は失敗ということになる。「検察vs.小沢」の最終攻防戦がはじまっている。

Profile

二木啓孝(ふたつき・ひろたか)

-----<経歴>-----

1949年、鹿児島県出身。
明治大学在学中から出版社勤務。
1979年、小学館「週刊ポスト」専属記者。
1983年、「日刊現代」入社。編集局配属。
1995年、編集部長。政治、企業事件、宗教問題をテーマに取材・執筆。
2007年、「日刊現代」を退社。現在、BS11編成制作局長。

-----<出演>-----

『インサイドアウト』
(BS11)
『NEWSゆう+』
(大阪ABC)
『おはようコール』
(大阪ABC)
『パックイン・ジャーナル』
(朝日ニュースター)
『アクセス』
(TBSラジオ)

BookMarks

-----<著書>-----


『宗男の言い分』
2002年7月、飛鳥新社


『殺人心理』
2000年10月、アスキー


『永田町の通信簿』
1996年12月、作品社

『手に取るように政治が分かる本』
かんき出版

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