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2007年7月17日

生活保護をどうするのか ──参院選の隠された争点

先週の火曜日(10日)に、北九州市で生活保護を打ち切られ、52才の男性のミイラ化した死体が発見された。

この男性は肝臓を患い生活保護を受けていたが、北九州市の担当者から「働く意欲があるなら働いてほしい」と言われ、4月から生活保護を打ち切られた。残された日記の最後のページには「おにぎりが食べたい」。

北九州市では生活保護を打ち切られた人が昨年と一昨年で一人ずつ死んでいる。

生活保護を考える際、北九州市のケースは象徴的だ。

かつて北九州市は生活保護天国と言われた。炭鉱の斜陽と鉄鋼の不況で、生活保護受給者が飛躍的に伸びた。1967年の統計では、生活保護受給者1000人あたり、全国平均は15.2人に対し、北九州市は67.2人。

さすがにこの人数は市の行政を圧迫し、他の自治体からも批判が出たため、一挙に受給者を減らしてゆく。現在、生活保護申請の許可率は30.6%だが、北九州市は15.8%。申請しても全国平均に比べて半分しか受給することができない。

生活保護にはもう一つの変化がある。それは、生活保護を受ける世帯が大きく変わったことだ。

かつて生活保護といえば、一家の大黒柱が病気になるか、母子家庭で育児のため働けない世帯が主流だった。当然、大黒柱が健康になったり、育児に手間がかからなくなったら母子家庭では生活保護の受給をやめる。1980年の統計では、こうした家族の受給率は6割を超えていたが、現在27%になっている。変わって増えているのが高齢の独居老人で全受給者の65%をしめる。10年後には8割を超えるとも言われている。

こうした受給者は、健康になって働きはじめるということはない。つまり、生活保護増加の流れは実質的な年金になりつつある。現在、年金受給世帯は104万世帯150万人。2000年以降に100世帯の大台に乗り、今後も増え続ける。

生活保護の精神は憲法で保障された「健康で文化的な最低限の生活」を保障するものであり、公的補助の基本である。年金同様、社会保障の根幹である以上、この問題を選挙公約であげていない政党は何をしているのであろうか。

立候補者にぜひ聞いて欲しい。

2007年7月 9日

保健室がない安倍小学校

安倍小学校には保健の先生がいない。永田町には〝身体検査〟という言葉がある。いうまでもなく、身長・体重を測るものではない。入閣予定者の身のまわりをチェックすることである。

検査のポイントは3つ。「金」「女」「黒い人脈」。

安倍政権が昨年9月に発足以来、この3つをクリアできない人がボロボロ出ている。
並べてみると・・・

1.「女」の本間正明政府税調会長
2.「金」の佐田玄一郎行革担当相
3.「金」の伊吹文明文科相
4.(3つの範疇ではないが失言の)「女は産む機械」の柳沢厚労相
5.「金」の松岡利勝前農水相
6.(これまた失言)「原爆しょうがない」の久間章生防衛相
7.「金」の赤城徳彦農水相

ビックリするほど不健康な小学校である。派閥政治が幅を利かせていたときは、各派閥が身体検査をして入閣の推薦をしていた。

これが変わったのは小泉政権。この政権では、飯島秘書官が保健医の役目をしてチェックをしていた。以前、「田中真紀子以外はクリアした」と、飯島秘書官から自慢話を聞かされたことがある。

で、安倍政権。総裁選での安倍支持の論功行賞と仲良しでつくった内閣だから、身体検査は二の次。このボロが出ている。

だが、問題はこの小学校で保健室がないことだ。保健室とは処理能力のことである。

佐田は辞任させたが、松岡は守り、久間も守り、赤城も守っている。対処能力のなさは政権の体力のなさでもある。小泉政権は、対処能力ではなく〝勢い〟で問題を蹴散らしてきた。安倍には蹴散らす力がない。選挙戦で問われているのは、この体力である。

Profile

二木啓孝(ふたつき・ひろたか)

-----<経歴>-----

1949年、鹿児島県出身。
明治大学在学中から出版社勤務。
1979年、小学館「週刊ポスト」専属記者。
1983年、「日刊現代」入社。編集局配属。
1995年、編集部長。政治、企業事件、宗教問題をテーマに取材・執筆。
2007年、「日刊現代」を退社。現在、BS11編成制作局長。

-----<出演>-----

『インサイドアウト』
(BS11)
『NEWSゆう+』
(大阪ABC)
『おはようコール』
(大阪ABC)
『パックイン・ジャーナル』
(朝日ニュースター)
『アクセス』
(TBSラジオ)

BookMarks

-----<著書>-----


『宗男の言い分』
2002年7月、飛鳥新社


『殺人心理』
2000年10月、アスキー


『永田町の通信簿』
1996年12月、作品社

『手に取るように政治が分かる本』
かんき出版

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