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2007年1月31日

安倍首相の評価する「愛国心」って何?

安倍首相は26日の施政方針演説で「戦後レジームを大胆に見直し、新たな船出をすべきときが来ている」と表明し、首相就任直後の所信表明での原点回帰路線を改めて強調した。

最重要課題に掲げる「教育再生」を前面に押し出し、「安倍カラー」で支持率続落を乗り切ろうということだろう。

24日には教育再生会議に「ゆとり教育」の見直しなどを盛り込んだ第一次報告を提出させ、教育3法案を成立させると言っていたが、教員免許の更新には愛国教育の指導ができるかどうかも含まれてくる。

これには、当然、教師からの反発がでる。

それを封殺することは教職員組合との対決であり、その目配せは参院選での民主党、社民党、共産党の支持基盤潰しを描いているのだろう。

そもそも、安倍首相は愛国心をどう評価するつもりなのだろうか。

小泉前首相は「愛国心をどう評価するのか」と国会で問われ「それは評価できない」と答えたが、安倍首相は「日本の伝統や文化を学ぶ姿勢や態度でわかる」と答弁した。

だったら、あざとい子供はランドセルに日の丸を書きかねない。

新右翼の鈴木邦男氏は「ゆくゆくは、一級愛国士の国家試験でもやるのだろうか」と言っていたが、それをやれば文字通り心の問題を採点するという憲法違反につながる。

今月の20、21日に読売新聞が行った世論調査では、教育に「愛国心」を盛り込むことを67%が評価した。

しかし、「愛国心が必要だと思いますか」と聞かれれば「いらない」と答える人は少ないだろう。

そもそも、愛国心が必要か否かという論点と愛国心を教育に盛り込むこととは別問題なのだ。

それにしても安倍さん、あなたは「愛国心」をいかに評価するつもりですか?

2007年1月16日

最近の事件取材は難しい

今回はThe Commons & JFN合同企画『PEOPLE 高野孟のラジオ万華鏡』から、昨年12月に収録した二木啓考氏のボイスコラムの概要を、テキスト版でお届けします。

最近の事件を考える上でも、興味深いコラムとなっています。

ぜひ『PEOPLE 高野孟のラジオ万華鏡 / The Commons Plus』のサイトにアクセスして、二木氏のボイスコラムをお聞き下さい。

http://www2.jfn.co.jp/people/scope/voicecommons/index.html

(文責:《ざ・こもんず》運営事務局)

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 今日は、「最近の事件取材は難しい」という話をしたいと思います。

 事件の発生現場を川の流れに例えますと、上流は「事件の発生現場」、中流は「事件の背景」、下流は家族構成などの「社会性」にあたります。
 
 上流である「事件の発生現場」は新聞やテレビの仕事で、このあたりは機動力の差がありますから、私のような夕刊紙の記者は太刀打ちできません。

 だから、我々は「中流から下流の事情をどう吸い上げるのか」...ここが商売となるわけです。

 そういった中流から下流の取材を私はしているのですが、事件の取材とは基本的に楽しい作業なのです。
 
 どういう楽しさかというと、自分の想像から事件を組み立てて、「背景はこういう事ではないか」という仮説をもとに事件の周辺の取材をしたり、関係者に話を聞いたり、資料を漁ったりする。

 まるで、ジグゾーパズルのピースを集めて、事件の全貌を組み立てるような作業をしていく。

 そして、そういった取材を続けていくと“最後の1ピース”が「パチン!」と当てはまるように、事件の全貌が完全に明らかになる瞬間があります。
 
 つまり、「これだ!」という事件の核心である“最後の1ピース”が見つかる瞬間があって、これが事件記者にとって一番の快感なのです。

 しかし、ここ十年ほどの事件ではそれが見つからない。納得がいかない事件が多い。

 つまり...

 動機がはっきりしない。

 被害者と加害者の因果関係がわからない。

 なぜこのような事件がおこったのかがわからない。

 など、どうしても“最後の1ピース”がうまく入ってくれない。
 
 だから、最近は新聞や雑誌の分析・評価として、心理学者や社会学者がコメントを寄せたりする。

 でも、実はあれは苦肉の策で、事件の“最後の1ピース”が見つからないのを、専門家に語らせているのです。

 たとえば、誰もが林真須美が犯人だと考えている和歌山毒入りカレー事件ですら、事件の核心が見つからない。裁判でも明らかにならない。
 
 先日、林真須美被告の夫である林健二さんに取材をしたのですが、彼は「真須美は無罪だ」という。

 理由は、「私は真須美と組んで、ヒ素を飲んで保険金をいっぱいもらった。真須美は計算高い女だ。ちゃんとゼニになることしかやらん女や。それがカレーにヒ素を入れてなんの得になるんや」と言う。
 
 事件の核心がいまだわからないために、健二さんが言うことにも「なるほどな」とつい感じてしまうわけです。
 
 だから、検察はとても苦しんでいます。

 検察は、和歌山市園部地区の夏祭りのときに「他の住民にヒ素を入れた人はいない」ということを立証して、彼女の有罪を証明しようとしている。

 しかし、これは非常に危うい手法で、立証が一つでも崩れた場合、無罪となってしまう可能性があります。

 このようなことが最近の事件の特徴で、私は「事件に着地点がない」と言っています。

 この傾向は連続幼女殺害事件の宮崎勤が最初だと思うのですが、ニュースは決まって最後に判を押したかのように「心の闇」という。

 これは、実は何も語れていないということなのです。

Profile

二木啓孝(ふたつき・ひろたか)

-----<経歴>-----

1949年、鹿児島県出身。
明治大学在学中から出版社勤務。
1979年、小学館「週刊ポスト」専属記者。
1983年、「日刊現代」入社。編集局配属。
1995年、編集部長。政治、企業事件、宗教問題をテーマに取材・執筆。
2007年、「日刊現代」を退社。現在、BS11編成制作局長。

-----<出演>-----

『インサイドアウト』
(BS11)
『NEWSゆう+』
(大阪ABC)
『おはようコール』
(大阪ABC)
『パックイン・ジャーナル』
(朝日ニュースター)
『アクセス』
(TBSラジオ)

BookMarks

-----<著書>-----


『宗男の言い分』
2002年7月、飛鳥新社


『殺人心理』
2000年10月、アスキー


『永田町の通信簿』
1996年12月、作品社

『手に取るように政治が分かる本』
かんき出版

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