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2006年5月25日

村上世彰、帰国ドタキャンのナゾ

 きのう(25日)、シンガポールから9日ぶりに帰国するはずだった村上ファンドの村上世彰氏(46)が搭乗名簿に名前を載せながらドタキャン。阪急HDとの阪神電鉄株の買い取り交渉が大詰めだというのに、この不可解な行動に様々な揣摩憶測が流れている。

 阪神電鉄を巡る阪急側と村上ファンドの交渉は、今週末にも大詰めを迎える。帰国は交渉テーブルにつくためと見られたのに成田空港で待ち受けていた報道陣はもちろん、阪急サイドもビックリだろう。それで関係者からはこんな声がささやかれている。

 「村上ファンド側の言い値は1株1200円から1000円(25日終値964円)まで譲歩している。しかし阪急側が1株800円の買い取りから一歩も引かない。村上氏は阪急側を焦らせようと帰国を遅らせた。こうなると、29日の阪神電鉄の株主総会まで株を手放さず、役員として乗り込むこともありうる。長期戦に突入しそうな雲行きです」(証券関係者)

 村上氏が嫌うマスコミに肩すかしを食わすためという見方もある。シンガポールに発った今月16日には、空港に押し寄せた報道陣にキレ、TVカメラを手で防いでピリピリしながら走り去っているから、マスコミにモミクチャにされるのが嫌なのかもしれない。

 さらに、「身の危険」説。阪神の星野仙一SDが「村上には天罰が下る」「阪神の経営権を握ったら私は辞任する」と怒っている。ただでさえ多くの人から恨みを買っているのに、トラキチの怒りに火がつけば身辺に危険が及ぶ可能性もある。

 それだけじゃない。

 「証取等監視委が最近、証券各社に調査に入って、村上ファンドの取引についてあれこれ聞き回っていました。地検特捜部も関心を持ち始め、動いているようです。村上氏は貿易商だった父親が親しくしていたシンガポールの大物華僑のもとに身を寄せているという噂もあります」(事情通)

 これだけ不安材料がそろえば帰国をドタキャンするのも無理はない。
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 以上、日刊ゲンダイに書いた記事を安直に引用したものですが、ここからが「本題」。記事の最後に書いた検察の動きです。証券取引委員会はこれまでの村上ファンドが買い占めてきた株の取引を関係者から詳細に聞いていて、東京地検と連携している。地検特捜部はマージャンで言えばイーシャンテン(テンパイの一歩手前)くらいまで来ていて、容疑は証券取引法違反。不当な情報を流して株価操作をした疑い。ニッポン放送はホリエモンに持ちかけ、TBSは三木谷に持ちかけて株価を急騰させたが、他の銘柄にも容疑があるという。早ければ夏前にハジける可能性あり、です。

2006年5月15日

安田弁護士バッシング

 先週土曜日(13日)午後、東京・新宿「ネイキッド・ロフト」で行われたシンポ「人権派弁護士批判に答える」に行ってきた。これは安田好弘弁護士への急速なバッシングが何に起因しているのかをテーマにしたもの。安田弁護士はオウムの麻原彰晃の元主任弁護人だけでなく、光市の母子殺人の上告審弁護人、和歌山毒入りカレーの林真須美被告の弁護人、ヒューザーの小嶋進社長の相談人と、まぁ難しい事件の駆け込み寺状態の人だ。その安田氏が世間のバッシングを受け、さらにお上から狙われているという不気味な情報があって、「これは何だ?」というシンポだった。

 パネリストは宮崎学(作家)魚住昭(ジャーナリスト)宮台真司(社会学者)佐藤 優(外交官)佐高 信(評論家)中村順英(日本弁護士連合会前副会長)と、ひと癖もふた癖もある連中。私も宮崎氏に誘われて(というより命令で)参加し、少し遅れて行ったため発言席と参加者の間という腰の引けた位置の椅子で発言した。

 それぞれ鋭い分析と指摘があったが、「知の怪物」佐藤氏が(私はムネオ氏を「情の怪物」と呼んでいる)拘置所体験を踏まえて興味深いことを言っていた。大要はこうだ。

 母子殺人の被告が広島拘置所から友人に出した手紙にはオ○○コとオ○○コの絵とともに「やりてぇ」などの記述があったという。なぜこれが検閲ナシで出されたのか。私が東京拘置所から出した手紙は検閲だらけだった。広島拘置所は意図的に極悪人に仕立てている。

 1987年に起こした保険金殺人で死刑判決を受けた長谷川は被害者の兄に何通もの手紙を書いて謝罪し、その贖罪を知った兄と母親が異例の嘆願書を名古屋拘置所に提出した。法務省は他の死刑囚の執行を飛び越えて長谷川を吊るした。国家にとって死刑囚は贖罪してはならないし、まして被害者家族が除名嘆願は許されない。だから、法律家が革命家になってはいけない。安田弁護士へのバッシングはそういう構図の中にある。

 私はこんな発言をした。

 安田弁護士が書いた『「生きる」という権利』を読むと、彼の弁護は被告本人そのものになりきっている。彼は法律家から革命家になっていて、権力側から見れば、弁護士、検事、裁判所というゲームのルールを破る不届き者なのだろう。そこに安田批判と共謀罪との共通項が見える。共謀罪、教育基本法改正、国民投票法などが持つ不気味さは、どんどん天井が低くなってゆく感じと似ている。その降下する天井にゴツンと頭がぶつかったのが安田弁護士。天井にぶつからないためにはコウベを垂れるかヒザを屈するしかない。ややこしいのは、安田バッシングがネットなどの匿名大衆からも起きていること。この異端排除の〝空気〟こそ問題だ。

 その後の討論はオポチュニズムとそれを助長するメディアについて行われたが、満席の会場から二児の母が「そんなメディアに毒されない子育てはどうすればいいのでしょう」との質問にパネラーはウ〜〜ン。

 緊急シンポにも関わらず100人の参加者にホッとしたり、テーマの重さにドッと疲れたり……でした。

Profile

二木啓孝(ふたつき・ひろたか)

-----<経歴>-----

1949年、鹿児島県出身。
明治大学在学中から出版社勤務。
1979年、小学館「週刊ポスト」専属記者。
1983年、「日刊現代」入社。編集局配属。
1995年、編集部長。政治、企業事件、宗教問題をテーマに取材・執筆。
2007年、「日刊現代」を退社。現在、BS11編成制作局長。

-----<出演>-----

『インサイドアウト』
(BS11)
『NEWSゆう+』
(大阪ABC)
『おはようコール』
(大阪ABC)
『パックイン・ジャーナル』
(朝日ニュースター)
『アクセス』
(TBSラジオ)

BookMarks

-----<著書>-----


『宗男の言い分』
2002年7月、飛鳥新社


『殺人心理』
2000年10月、アスキー


『永田町の通信簿』
1996年12月、作品社

『手に取るように政治が分かる本』
かんき出版

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