« 2011年7月 | メイン | 2011年12月 »

2011年8月25日

小沢よ、いまこそ日本を救え

 民主党は「国民主権=政治主導、『国民生活が第一』」の自立した共生国家への道を歩むか、「官僚主導=無責任政治、既得権擁護」の、カビの生えた旧来型の古い政治に逆戻りするかの岐路に立たされている。大げさではなく、民主党代表選には、日本の存亡がかかっている。

 23日、代表選への立候補を表明した前原誠司は「『小沢史観』からは脱却しなければいけない。。元代表の党員資格停止処分は、執行部の決定を尊重すべきだ」と語った。「小沢史観」とは何か。前原が説明していないので推測する以外にないが、「日本改造計画」に示した理論と政策、それを具現化するために、守旧派の政治家やマスコミの攻撃・弾圧にさらされて18年間も戦い続けている小沢の排除を対立軸とし、小沢抹殺を基本戦略とする民主党主流派の歴史認識だ。その「小沢史観から脱却する」とはどういうことなのか。素直に考えれば「小沢理論は正しい。政権交代の原点に立ち帰り、小沢を筆頭に、国難に対処できる挙党一致体制を構築する」ということだ。

 しかし、政治の世界は手練手管、騙し合いが幅を利かせる世界である。代表に選出された場合、前原の「『小沢史観からの脱却』とは、小沢理論を肯定するのではなく、むしろ、時代にあわないものとして無視することだ」と開き直ることもありうるだろう。もし、そういう事態になれば、民主党は分裂し、政界再編成の大津波が襲ってくるだろう。テレビ報道によると、23日、仙谷由人は小沢と極秘会談をして、「挙党一致で政権、党運営をするので、前原をよろしく」と懇請し、小沢から「挙党体制はわれわれが主張してきたことで、それを壊したのは、あなたがただ」と返されたそうである。

 小沢の座右の銘は「百術一誠にしかず」である。「言ったこと」「約束したこと」を守り抜く政治家は、現在の日本では小沢一郎だけだろう。その姿に鬼気迫るものを感じることもあるし、オチャラケた冗談を言いにくい堅苦しさを覚えることもある。小沢一郎は、「芸能人的政治家」ではない。

 THE WALL STREAT JOURNALのインタビューで小沢は「何か国民生活に関する問題を処理する時に、われわれは、自民党の、官僚機構に任せて、おんぶに抱っこの政治はもはやだめだと言ってきた。政治家が自ら決断し、国民のための政治を実行する。今回の原子力の話だけではない。それは何かというと、イコール責任だ。決断したら決断した者の責任が生じることは当たり前だ。責任のない決断はない。そういうことを主張してきたにもかかわらず、民主党政権が、特に、菅政権が、そうでないという実態に気づき、国民の支持を失っている」と述べている。これは政治の本質を衝いた最も重要な基本原則だ。

 私は前原の才気煥発さをそれなりに評価してきたが、民主党代表としての偽メール問題の処理でトップリーダーとしての資質に疑問をもち、国交相としての「八ツ場ダム」、沖縄担当相、外相としての「尖閣列島」などで露呈した、無責任な、マッチポンプ的言動には国を滅ぼしかねない危うさと軽さを感じた。主流派の一員として小沢排除を推進したのは、偽メール問題で解党の危機に瀕した民主党を蘇らせた小沢に対して前原にはトラウマがあるのではないだろうか。

 前原の出馬で代表選の構図は変わった。立候補を辞退する者もあるかもしれない。票が欲しいだけで小沢詣でをしてオベンチャラを言った者は「物乞い」ならぬ「票乞食」である。小沢と手を携えて新しい日本をつくろうと決意した者はそのことを堂々と宣言すればいい。日本の命運を賭けた「歴史に残る」代表選にすべきだ。無責任に面白おかしく「乱立、数合わせ」などとヤユするマスコミの陰謀に踊らされてはならない。2年間の民主党政権は、たしかに行き当たりばったりの危ういものであったが、まだ2年間も残り時間があり、十分に間に合う。

 ところで、マニフェストの妨害者は官僚と利権団体、マスコミであることを認識しておく必要がある。子ども手当、高校無償化、農家の戸別補償など国民に支持された政策を実行するためには総予算を組み替え、優先度の低いものはカットすればいい。これは官僚が天下り先の業界・団体と長年にわたって作り上げた歳出構造の抜本的改革である。官僚が身体を張って抵抗するのは無理からぬところだ。しかも、子ども手当にせよ、高校無償化、農家の戸別補償にせよ、官僚が裁量する余地のないものだ。官僚にとっては「官僚の思考」がすべてであって、彼らが関与できない、理解できないものは、「バラマキ」なのである。予算減額・カットにおののく利権集団もマニフェストを「バラマキ」として葬り去ことに躍起である。自民党にとっても、政権を奪回し、既得権益を確保するためには小沢の影響を受けた新政権の政策を「バラマキ」と決めつけ、撤回を要求するのは当然のことだ。官僚機構や利権集団と密着している大手マスコミは「マニフェスト撤回」の強力な宣伝部隊である。代表選に出馬する者には、「マニフェスト実現に命を賭ける」覚悟を求めたい。

 8月7日、東京・浅草で、21日には神田神保町の古書街で「小沢復権」を求めるささやかなデモがあった。28日には新潟でもデモがあるそうだ。中国に「東山再起」の故事がある。民主党は声なき民の叫びを真摯に受け止めるべきだ。マスコミの宣伝は浮草にすぎない。大地に根を張った民草の声は勁草だ。勁草は強い。

 小沢理論は巨大な羅針盤である。マニフェストの枝葉末節はともかく、大骨、中骨を大事にしながら日本丸の舵取りをすべきだ。そこに、東日本をはじめとする日本列島の、人間の血の流れる力強い復興がある。日本人一人ひとりの「体力」がみなぎる日本の「底力」がある。民間会社を装っていながら、実は権力の御用機関のような性格をもつ格付け会社の評価など、糞喰らえだ。小沢は、今こそ、日本のために、その影響力を最大限に発揮すべきである。

Profile

二見伸明(ふたみ・のぶあき)

-----<経歴>-----

69年12月の衆院選に初当選し、以後8期23年。
小沢一郎、羽田孜、石井一、森喜朗と同期。
公明党政策審議委員長、副委員長、運輸大臣を経て、94年、新進党。
97年暮の新進党解体により、小沢の自由党結党に参加。総務委員長、国対委員長。
2000年春、自由党分裂に際し、小沢と行動を共にする。
小沢対羽田の一騎打ちの新進党党首選では「四海波穏やかなときは羽田がベストだが、激動期は小沢の豪腕がベスト」と表明し、小沢の推薦人になる。

BookMarks

→ブック・こもんず←



当サイトに掲載されている写真・文章・画像の無断使用及び転載を禁じます。
Copyright (C) 2008 THE JOURNAL All Rights Reserved.