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« 医者を増やせば医療崩壊を解決できるのか?(3)── 深刻化する小児科医不足、解決策はあるのか?
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医者を増やせば医療崩壊を解決できるのか?(4)── フリーター医師の増加は過酷な労働が原因か?

 医療崩壊が言われて久しいが、その背景には深刻な「医師不足」があるとして、現在、わが国は医者の数を増やそうとしている。しかし、医者の数を増やせば、それで医療崩壊を解決できるのかと言えばそうではない。

 今回は、激増中のフリーター医師の問題について考える。

■医者を増やせば医療崩壊を解決できるのか?(4)
── フリーター医師の増加は過酷な労働が原因か?

 医療崩壊のなかで、現在、注目を集めているのが、激増するフリーター医師である。常勤ではどの病院にも勤務せず、非常勤で複数の病院を掛け持ちするのが、フリーター医師である。フリーターといっても一般社会のフリーターとは違い、彼らの収入は一般サラリーマン、勤務医などより、はるかに高い。なかには年間3000万円を稼ぐ猛者もいる。

 たとえば、ある麻酔科医(33歳)は、1日15万円のバイト勤務を掛け持ちし、月に300万円近く稼ぐ。親が医者で病院経営が苦しいのを知っているから、「おれはオヤジのようにならない。いまの方が気楽でいい」と言う。また、偏差値秀才で医者になった者も大学の医局勤務を嫌い、高収入のフリーター医師になる者が多い。たとえば、会社の健康診断に来る医者は、ほぼ8割方フリーター医師と見ていい。

 厚労省や民間機関各種の調査によると、40代の内科医のそれぞれの平均年収は、およそ次のようになる。

・ 大学病院 600〜800万円(アルバイトで400万円)
・ 国公立病院 800〜1000万
・ 民間病院 1500〜1800万円
・ フリーター医 2000〜3000万円(所属なし)

 これでは、多くの病院が「医者が足りない」と言うのは仕方あるまい。もはや、勤務医にいたっては、エリートサラリーマンなどよりはるかに年収が低くなっているのだ。しかも、仕事は激務ときている。とくに地方の大学病院の勤務医となると、週70時間労働は当たり前。激務に耐えかねた若手医師が辞めると言い出すと、「今後お前の紹介状は受けつけない」などと、引き止め工作するところまである。

 厚労省は立て前的に、医者も自由労働市場としている。医者の確保は各病院の努力次第というわけだ。しかし、昔は大学の医局に半強制力があったから、地方にも医者が行っていた。それがなくなって、本当に自由競争になったら、地方に行く医者はいない。いまの若者は、田舎で一生医者生活を送ろうなどとは考えない。それで、地方病院に行くにしても「住む気はないが短期バイトで稼げるなら」ということになり、医療の地方格差はますます進んでいる。

 もはやこれは悪循環で、地方の大学病院は医者が1人抜けたら本当に崩壊してしまうという世界になっている。

 フリーター医者が増加すると、医療のレベルは落ちる。サービスも低下する。たとえば、彼らにとって、当直や検診で診た患者のその後などは知ったことではない。また、検査や処置に関しても、自己流になり、医局にいたら学べた最新治療などにも疎くなる。

 ではこのような状態を放置しておくとどうなるだろうか?

 これ以上フリーター医師が増えれば、当然、報酬も下がらざるを得ない。現在、フリーター医師は飽和状態にあるとする見方もあり、都市部においては仕事も求人も少なくなっている。

 一昔前のフリーター医師は、平日半日働いて、昼過ぎに帰宅して入浴、昼寝。あとは優雅にナイトライフなんてことが平気できた。勤務も実際は、実働時間が1時間なんてこともあった。しかし、いまや連続2週間勤務なんてこともザラである。フリーター医師の報酬も、確実にダンピングしていて、やがて報酬も勤務医レベルに落ちて行く可能性が高い。

 このように見てくれば、医者の数を増やせば医療崩壊が防げるというのは大きな思い違いだ。最近、婚活の世界でも、医者の人気はダンピングしているという。フリーター医師の激増から報酬が下がれば、婚活リストから医者が消える日も近いだろう。

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一番の問題点は、手厚すぎる公的負担ではないか。高齢者も含めて、少なくとも1回の診療が3千円以下の場合は、全額自己負担にすべきではないか。

自己の健康管理に、このぐらいのノルマを課さないと、健康管理に心を配ることがないし、医者に負担が過剰にかかりすぎると思う。医者を増やせばいいということにはつながらない。

また、高額医療は、自由診療の考え方、或いは高負担の考え方を組み入れるべきではないか。何でも平等の考え方は、モラルハザードを生みやすいし、正しいあり方ではない。今後高額医療が増えてくるので、保険制度が破綻してしまうのではないか。

yamadataro (2011年1月14日15:14氏
> 一番の問題点は、手厚すぎる公的負担ではないか。高齢者も含めて、少なくとも1回の診療が3千円以下の場合は、全額自己負担にすべきではないか。

 賛同します。
 1回の診療が3千円以下程度の場合は、
個人経営の医院だけで、やって頂く方が。

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富家 孝(ふけ・たかし)

-----<経歴>-----

医師・医療ジャーナリスト。
1947年大阪市に生まれる。
1972年慈恵医大卒。
開業・病院経営・日本女子体育大学助教授を経て、現在、オフィス51取締役。
新日本プロレス・ドクター。
慈恵医大相撲部総監督。

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