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医者を増やせば医療崩壊を解決できるのか?(2) ── 出産難民と不人気科目:なぜ産婦人科は嫌われるのか? »

医者を増やせば医療崩壊を解決できるのか?(1) ── 医学部の定員増が決定!しかし、それだけで問題は解決しない

 医療崩壊が言われて久しいが、その背景には深刻な「医師不足」があるとして、現在、わが国は医者の数を増やそうとしている。しかし、医者の数を増やせば、それで医療崩壊を解決できるのかと言えばそうではない。

 そこで、今回から6回に分けて、この問題を追求していきたい。

■医者を増やせば医療崩壊を解決できるのか?(1)
──医学部の定員増が決定!しかし、それだけで問題は解決しない

 10月22日、文部科学省は、来年度(2011年)も医学部の定員を増やすことを決め、定員はこれまでで最も多い8930人余りとなる見通しとなった。現在、医学部(医学科)は全国に80あり、いずれも1学年100人程度の少人数編成が基本になっている。

 医師の養成は、このような少人数による臨床研修などによらなければできないので、定員増といっても一気にはできるものではない。また、医学部は卒業までに最短で6年を要すから、現在言われている「医師不足」がすぐにでも解消できるものではない。しかも、医療崩壊が進んでいる状況を、「医師不足だから医者の数を増やせばいい」という単純な方策で解決できるわけでもない。

 それでも、政府が医学部の定員増政策を継続させていくことは、評価すべきだろう。ただ、民主党政権はマニュフェスに「医師の1・5倍増」をうたっているものの、医療崩壊にはそれほど関心を示していないのが気がかりと言えば気がかりである。

 これまで医学部の定員は、1982年の8280人をピークに減り続けてきた、これは、この年に厚生省の医師需給見通しに基づいて定員削減が閣議決定されたからである。当時は「医師過剰」とされ、この政策はその後2007年まで続いて、医学部の定員は7625人まで減少した。

 しかし、2000年代半ばから医療訴訟の増加、地方病院の経営危機、妊婦たらい回し事件などが次々に起こると、医療崩壊は医師不足が原因であるという声が強くなった。

 その結果、2008年から政府は方針転換し、医学部の定員増に踏み切った。2008年はとくに「骨太の方針2008」で、特例措置分が504人も設けられたりした。

 とはいえ、じつは、日本の医者の絶対数は、「医師過剰」と言われた1980年代においても不足していたのだ。当時でさえ、日本の対人口医師数は既にOECD諸国平均より低くかった。そして現在は、さらに低くなり、OECD平均と比べるとなんと12万人も不足している。したがって、OECD平均並に引き上げるとすれば、たとえば年間1000人の増員ペースだと、なんと120年間もかかってしまうという、笑い話のような話になる。

 日本の医療行政はこのように、すでに数十年にわたって間違ってきたが、役所はそのことを認めようとはしない。ただ、目につかない程度には発表する。先日も厚生労働省は、「地域で十分な医療を確保するにはいまよりも2万4000人余りの医師が必要」という調査を発表した。

 これを受けて、今回の医学部定員増になったわけだが、定員増よりも早急にすべきことは山ほどある。たとえば、思い切って外国医師を導入するとか、2004年から始まった臨床研修の新制度を全面的に見直すなどである。この新制度により、一般の民間病院においても研修ができるようになったため、薄給で働かされる大学病院の医局に残らないばかりか、地方の病院にも行くのを嫌うようになった。

 今回の定員増とともに、文科省は、地域の医師確保の対策として、奨学金の返済を免除する代わりに、一定期間、地域の医療機関で働くことを条件にする入学枠を、都道府県ごとに最大で10人まで設けるという。また、近く専門家による会議を発足させ、医学部の新設を認めるかどうかなども検討するという。

 しかし、医療崩壊は対策が追いつかないほどの猛スピードで進んでいる。

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医師不足は確かにそうであると思います。
それを補うにはカルテの電子化は避けて通れないツールだと思います。
病院に行き不具合を訴えると何処に行っても検査、検査漬けで何処の病院に行っても同じことをやっています。
病院、医師によってレベルの差がありすぎ優秀な医師に診てもらいたくても、紹介、金がなくては見てもらう事もでいません。
医師の時間を効率的、医療費の削減で医師全体ののレベルアップに時間を費やしてほしいと思います。
また、予約制を取り待ち時間の短縮、患者へのサービス向上にもつなげてほしいものです。

医療崩壊の原因にはいくつかあるが、そのいくつかを列記してみる。


1、官僚が机上の空論で医療行政を変えるたびに悪くなる。


2、マスコミの医療に対する偏向報道。


3、Monster patientが増えてきている事


4、変な医師・おかしな医事評論家が増えた事


5、政治家が医療に関心がなく、医療を他の企業と同じ様に考えている事。


6、小泉医療改悪により医療界がメチャクチャになった事


7、生あるものはいつかは死ぬと言う事を子供の頃から教えて来なかった事


8、目の前にいる重症な患者さんを助けようと努力した医師に感謝する気持ちがなく、ただ結果責任を追及する風潮がある事

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富家 孝(ふけ・たかし)

-----<経歴>-----

医師・医療ジャーナリスト。
1947年大阪市に生まれる。
1972年慈恵医大卒。
開業・病院経営・日本女子体育大学助教授を経て、現在、オフィス51取締役。
新日本プロレス・ドクター。
慈恵医大相撲部総監督。

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